妊娠高血圧症候群の安静度、入院、帝王切開について産婦人科医130名に聞きました

パソコンを操作する女性
妊娠高血圧症候群の安静度は、「家事まで or 適度な外出まで」という回答が多くみられましたが、妊婦さんの重症度次第といった面もあるようです。状態がひどくなると入院管理になり、帝王切開で出産になることもしばしばあるようでした。
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「妊娠高血圧症候群と診断を受けてしまった・・・」
妊婦さんが全員順調に経過するわけではなく、切迫早産や妊娠高血圧症候群など母体も胎児も慎重にならざるを得ない状態がしばしばあります。
以前とある産婦人科の先生から、妊娠は一般の方が思っている以上にリスクがつきまとうものと聞いたことがあります。
今回は、妊娠高血圧症候群と診断された後はどこまで安静にしたらよいのか?どんな時に入院をするのか?どのくらい帝王切開になるのか?などなど、さまざまな疑問を産婦人科医にぶつけてみました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年8月30日から同年9月11日にかけて行われ、産婦人科医130名から回答をいただきました。

まずは、妊娠高血圧症候群と診断された時にどこまで安静にしたらよいのか質問しました。

安静度は「家事まで」が多いが、重症度によりけり

図2
  • 40代女性 産婦人科 家事まではするが基本自宅内
    先に蛋白尿が出現する場合は重症化することが多いとされているので、要注意です。また、自宅で必ず血圧測定させています。
  • 60代女性 産婦人科 家事まではするが基本自宅内
    中等症くらいからは急激な悪化や胎盤機能の低下が怖いので、食事コントロールなどとあわせて、入院管理にすることが多いです。
  • 50代男性 産婦人科 家事まではするが基本自宅内
    基本的に治療で治る病気ではなく、児の成熟があれば十分で分娩の方針なので、外来管理ならそれまで無理しないことが必要です。
  • 70代男性 産婦人科 家事まではするが基本自宅内
    外出すると買い物に時間をかけやすくなり無理をしてしまう傾向にあるので、自宅にできるだけいるよう指導しました。
  • 60代男性 産婦人科 無理しなければ適度な外出、家事は可
    血圧の程度によりますが、降圧剤内服でコントロール可能な場合は適度な外出や家事は認められます。
  • 60代男性 産婦人科 その他(程度によります)
    入院でベット上安静から、家庭内で無理のない範囲で安静に過ごしてもらう人まで様々です。
  • 40代男性 産婦人科 その他(原則入院治療)
    PIH(妊娠高血圧症候群)は程度にもよりますが、ひどいときは基本的には入院治療です。なお、在宅で加療可能な程度の場合、食事制限は必要ですが、特に運動制限はしていません。

調査では、「家事まではするが基本自宅内」が最も多く、「適度な外出は可」という意見が続きました。
なかには、自宅での血圧測定や食事制限を指導
するコメントも見られました。
「外出すると買い物に時間をかけやすくなり無理をしてしまう傾向がある」というように、外出許可があったとしても無理は禁物そうです。
重症になると入院の可能性があることも妊娠高血圧症候群で気をつけなくてはいけないところですね。

さて、入院という言葉が出てきましたが、妊娠高血圧症候群ではどのようなタイミングで入院になるのでしょうか?

妊娠高血圧症候群は、重症になると入院に

図4
  • 40代男性 産婦人科 妊娠高血圧症候群の重症度分類で重症になった時
    母体の血圧が重症に入ったり、警鐘でも胎児発育が非順調となってきたりすれば、入院にて管理が望ましいです。
  • 40代女性 産婦人科 妊娠高血圧症候群の重症度分類で重症になった時
    重症ケースは胎児モニタリングしながら管理入院、成長がない場合は分娩とします。
  • 30代女性 産婦人科 妊娠高血圧症候群の重症度分類で重症になった時
    胎児に異常がみられたり、コントロールがつかなくなったら分娩の方向です。
  • 30代女性 産婦人科 妊娠高血圧症候群の重症度分類で重症になった時
    重症高血圧でなくても体重増加や浮腫が強いときは入院を勧めます。
  • 60代男性 産婦人科 症状がコントロールできない時
    一つに絞ることは難しいです。母体側要因、胎児側要因いろいろです。
  • 60代男性 産婦人科 症状がコントロールできない時
    外来で降圧剤を開始しても、コントロールが不良の場合は入院とします。
  • 60代女性 産婦人科 症状がコントロールできない時
    生活指導で改善なければ、中等症以上では入院させることが多いです。

入院になるのは、「妊娠高血圧症候群の重症度分類で重症になった時」が最も多く、「症状がコントロールできない時」が次に挙げられていました。
血圧コントロールがつかない、体重増加や浮腫が強い、胎児発育が順調ではない、などの状況で入院を勧められることがあるようです。
「重症ケースは胎児モニタリングしながら管理入院」というコメントがありましたが、重症になると胎児にも危険が及ぶことがわかります。
「成長がない場合は分娩」というように、妊娠高血圧症候群は重症化すると妊娠の継続が危なくなることから、早い時期での出産を求められるようです。

このように妊娠高血圧症候群は重症になると大変な病気そうですが、最後に帝王切開になるのかどうか聞きました。

妊娠高血圧症候群は、帝王切開になることが多い

図5
  • 40代女性 産婦人科 大いにある
    血圧の上昇が重症の基準に達したときや、軽症から急激に重症化したとき、胎児機能不全が発生したとき、胎児の成長がとまったとき、子癇になったとき、胎盤早期剥離がおこったときなどです。
  • 50代男性 産婦人科 大いにある
    経膣分娩の際に痛み刺激で血圧が容易に200超えることもあり、特に拡張期血圧が高い場合は帝王切開分娩します。
  • 40代男性 産婦人科 大いにある
    陣痛でいきむとき、高血圧の場合には脳出血の心配があります。重症の場合、初めから帝王切開も選択肢として挙げます。
  • 40代女性 産婦人科 多少ある
    初産婦だと帝王切開になりやすいです。分娩誘発するための誘発剤の輸液でむくみがひどくなり、産道が浮腫んで結局帝王切開になったこともあります。怒責で血圧が上昇するのが怖い、と帝王切開を選択することも多いです。
  • 40代女性 産婦人科 多少ある
    経産で満期ならtryしますが、それ以外は結局帝王切開になることの方が多いかと思います。全体では半分かそれ以下だと思います。
  • 50代女性 産婦人科 あまりない
    最近では胎児の成長が急に悪くなり、異常のチェックのため高次病院に回したら、高血圧症候群の早期発病型として高次病院で手術になった例がありました。

調査では、妊娠高血圧症候群は帝王切開になることが多い、とした意見が医師の半数以上を占めました。
とある医師がまとめてくれていましたが、妊娠高血圧症候群で帝王切開に踏み切る基準として、

  • 血圧の上昇が重症の基準に達したとき
  • 軽症から急激に重症化したとき
  • 胎児機能不全が発生したとき
  • 胎児の成長がとまったとき
  • 子癇になったとき
  • 胎盤早期剥離がおこったとき

などが挙げられるようです。
また、重症の状態で無理な分娩をしてしまうと脳出血をおこしかねないようで、その場合は帝王切開を勧めるコメントも見られました。
「いきみで血圧が上昇するのが怖い、と帝王切開を選択することも多い」というコメントもあるように、医師の方も妊娠高血圧症候群の分娩には慎重な姿勢のようでした。

妊娠高血圧症候群は、ひどいと入院・帝王切開になる病気

本調査によれば、妊娠高血圧症候群の安静度は、「家事まではするが基本自宅内」が最も多く、「適度な外出は可」という意見が続きましたが、重症度によりけりという医師のコメントも見られました。

また、妊娠高血圧症候群のなかには、ひどくなると入院管理になり、帝王切開で出産になることもあるようでした。

このように妊娠高血圧症候群は、非常に注意するべき病気であり、入院や帝王切開になることも念頭におく必要がありそうです。

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