薬では治らない⁉後期つわりの原因と正しい対処法を産婦人科医140人に聞いてみました

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妊娠初期に多くの妊婦さんを悩ませるのがつわりです。
症状の重さは人それぞれですが、ひどい人になるとご飯が食べられなくなるほどだと言います。
そんなつわりですが、実は妊娠後期にも同じような症状が表れることがあるようなのです。
そこで今回は、なぜ妊娠後期につわりのような症状が出てしまうのか、対処法はどんなものがあるのかを産婦人科医140名に聞いてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年8月23日〜9月1日にかけて行われ、産婦人科医143名から回答を頂きました。

妊娠後期のつわりのような症状、その原因は?

まずはどうして妊娠後期に吐き気などが起こってしまうのか、その原因について聞いてみました。

図1

8割を超える医師が「物理的な原因」と回答しました。

医師の意見を見てみましょう。

  • 40代男性 産婦人科 「物理的原因」
    それだけではないですが、やはり胃の機械的圧迫が一番の原因だと思います。
  • 50代女性 産婦人科 「物理的原因」
    酷いケースは、一時的に物が通らなくなり嘔吐が続く状態になったりします。
  • 60代男性 産婦人科 「物理的原因」
    増大した妊娠子宮による圧迫が原因であることが最も多いと思われます。
  • 60代女性 産婦人科 「物理的原因」
    増大した子宮が胃を圧迫しているので、分娩が近づいて、胎児が下降すると軽減します。

コメントにもあるように、妊娠後期で大きくなった子宮が胃を圧迫することで気持ち悪さや胃もたれが起こるようでした。
出産直前になると、胎児が子宮口のほうに下降し、胃の圧迫が軽減され、症状が改善するみたいですね。
さて、原因が分かったところで、続いてはその対処法はあるのか、見ていきましょう。

後期つわりの対処法

図2
  • 60代男性 産婦人科
    人によって胃腸の調子や胃痛の程度が違いますが、ほとんどの場合、少量を、回数を分けて食べるように指導しています。
  • 60代男性 産婦人科
    少量の食事をこまめにとり、消化の良いものを食べるのが良いです。
  • 40代女性 産婦人科
    頻回に食事の摂取をすすめています。体重が急激に増える人もいますが。
  • 50代男性 産婦人科
    食後の安静を指示しますが、横になるのも辛いので、座ったまま休むよう指導します。
  • 50代男性 産婦人科
    上記すべて指導していますが、圧迫感はなかなか取れない人も多いです。

今回、後期つわりの対処法として最も支持を集めたのは、こまめに少量の食事を摂取することでした。
消化の良いものを食べることを心掛けるのも大事なようです。
ただ、この食べ方だと太ってしまうこともあるようで、体重管理などは医師とも相談しながら十分気を付けて行ってください。
また、医師の中にはこれらの方法を行っても圧迫感が改善されないこともあると指摘する意見も見られました。
これらの方法を実行しても改善されず、またどうしても耐え難いときは、主治医と相談して個別のアドバイスをもらうようにしてください。

後期つわりのとき、薬は飲んでも良いの?

後期つわりが長引いて辛いとき、ついつい薬を飲めば楽になるのでは、なんて思いますよね。
そこで、妊娠後期の胃痛や胃もたれに対して胃薬などを服用しても良いのか、聞いてみました。

図3
  • 40代女性 産婦人科 「医師が処方した薬なら問題ない」
    妊娠後期は避けるべき薬は少ないと思いますが、医師が処方した方が安心だと思います。
  • 80代男性 産婦人科 「医師が処方した薬なら問題ない」
    過去に胃炎や胃潰瘍の既往がなければ、特に処方しませんが、どうしても希望があれば消化薬の処方にとどめることにしています。ただ、やはり市販の成分の不明な胃薬は飲むべきではないです。
  • 50代女性 産婦人科 「市販薬でも問題ない
    あまり神経質にならないように、そもそも胃痛を起こす原因を減らすよう注意します。
  • 60代男性 産婦人科 「市販薬でも問題ない」
    何を飲んでもいいですが、効果はあまり期待しないほうが良いでしょう。でも、心理的に楽になるのであれば、それでも良いと思います。
  • 40代女性 産婦人科 「薬は飲むべきではない」
    物理的圧迫なので薬の効果があるか疑問が残るうえ、長期服用が必要と予測されるのでお勧めはしません。
  • 40代女性 産婦人科 「薬は飲むべきではない」
    病的な原因が存在しない条件では、服用する利益が不利益を上回る薬は存在しません。

結果、「薬を飲むことに関しては問題ない」とする意見が8割を超えました
市販薬でも大丈夫とする医師もいましたが、処方された薬のほうが良いとする医師は、市販薬は種類も多く成分も様々のため処方された薬のほうが安全という意見でした。
また、全体的にどの選択肢を選んだ医師も、後期つわりは薬を飲んで改善するものではないとする意見が多かったように思います。
 

後期つわりは重症化するの?

ここまで妊娠後期の胃痛や吐き気について、その対処法を見てきましたが、重症化してしまうことはどのくらいあるのでしょうか。

図4

「ほとんどいない」「あまりいない」を合わせて9割をこえるという結果になりました。

  • 50代男性 産婦人科 「ほとんどいない」
    切迫早産で入院はたくさんいますが、上記の症状ではほとんどいません。もし、いるとすれば、妊娠高血圧症候群や、特殊系のHELLP症候群や急性妊娠脂肪肝を疑います。
  • 30代女性 産婦人科 「ほとんどない」
    後期つわりでの入院はありません。妊娠高血圧症候群などがあって嘔気や胃痛がある場合には入院させます。
  • 50代男性 産婦人科 「ほとんどない」
    なかなか良くならないので精査すると、胃がんだった経験があります。
  • 40代男性 産婦人科 「ほとんどない」
    胃痛が強すぎる場合、ガンを疑ったほうがよいと思います。

コメントでは、後期つわりのみが原因で重症化することはほとんどないとしたうえで、もし重症化した場合、他の病気を疑った方が良いとする意見が大半でした。
また、「ある程度ある」を選択した医師も、後期つわりのみで重篤化することはないとする意見でした。
胃痛などの症状がひどいときに懸念すべき病気として挙げられていたのが、HELLP症候群や妊娠高血圧症候群、胃がんなどでした。

<参考>
症例から学ぶ周産期医学 2)妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群) HELLP 症候群
 

もしひどい胃痛や嘔吐などがある場合は、後期つわりではなく別の病気の可能性があるので、必ず主治医に相談し、検査を受けるようにしましょう。

後期つわりの症状、しっかりチェックして

今回の調査では、後期つわりは胃が圧迫されることにより起こり、対処法としては少量の食事をこまめに食べるのがよいという結果になりました。
また、後期つわりはあまり悪化することはないようなので、もし妊娠後期に激しい胃痛や嘔吐があるようなら別の病気を疑った方が良いかもしれないようです。その場合は、一度主治医に相談するのがよさそうです。

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