過去の手術が影響する!?癒着胎盤の頻度とリスクについて産婦人科医141名に聞きました

妊婦
癒着胎盤の頻度は、「稀である」という意見が多くを占め、頻度の少なさを強調する医師の意見がみられました。また、癒着胎盤のリスク因子は、子宮手術の既往を選んだ医師が最も多く、次に前置胎盤が挙げられていました。コメントからは、こうした妊婦さんの診察に医師の方もかなり慎重な対応を心がけている様子が伺えました。
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皆さんは、癒着胎盤をご存知ですか?
とある医療機関が出しているスライドでは、以下のように説明されていました。

癒着胎盤とは
・子宮腔内の脱落膜の欠損部位から絨毛が子宮筋層に直接侵入し、分娩後自然脱落することできない状態。
・無理な胎盤剥離や胎盤部分剥離が起これば大出血か らショック・DICを引き起こし、母体予後を悪化させる。

引用:癒着胎盤 - 聖マリアンナ医科大学

「大出血」や「ショック」というキーワードも出てきましたが、出産に関する合併症のなかでも、特にリスクが高い状態みたいです。
以前とある事件でも話題になったのを私も覚えています。
今回は、そんな癒着胎盤の頻度とリスクについて産婦人科医の皆さんに聞きました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年8月16日から同年8月21日にかけて行われ、産婦人科医141名から回答をいただきました。

まずは、リスクが高いとされる癒着胎盤の頻度について聞いてみました。

癒着胎盤は、稀だけど注意すべき病気

図1
  • 40代女性 産婦人科 稀である
    本当の癒着胎盤はかなり稀ですが、無理に剥がすと大量出血をするので、胎盤が自然剥離してこない時は慎重に確認します。
  • 60代男性 産婦人科 稀である
    子宮全摘が必要な癒着胎盤にはまだ当たったことがありません(分娩件数1万超)。用手剥離で済む程度なら1/500程度です。
  • 40代女性 産婦人科 稀である
    MRIで疑いとなっても、実際にはそうでないことがほとんどです。
  • 30代女性 産婦人科 稀である
    癒着胎盤を疑う例はそれなりにあるが、病理検査で確定診断に至るのは稀です。
  • 30代男性 産婦人科 少ない
    疑い、として紹介されるものは結構ありますが、本物の癒着はかなり少ないです。

このように癒着胎盤の頻度は、「稀である」という意見が多くを占める結果となりました。
コメントでは「本物の癒着はかなり少ない」「MRIで疑いとなっても、実際にはそうでないことがほとんど」というように、頻度の少なさを強調する医師の意見がみられました。
しかし「無理に剥がすと大量出血をする」というコメントもあり、いざなってしまったら非常に注意すべき病気のようです。

次に、癒着胎盤になりやすい状況について聞いてみました。

癒着胎盤は、以前の手術による癒着が影響

図2
  • 50代男性 産婦人科 子宮手術の既往
    前回の帝王切開の子宮下部横切開部に胎盤が付着している場合は、けっこう神経使います。MRIを撮ることもあります。
  • 50代女性 産婦人科 子宮手術の既往
    帝王切開後の妊娠で後壁付着の前置胎盤があり、高次病院に送ったら癒着胎盤でした。
  • 50代男性 産婦人科 子宮手術の既往
    手術既往・中絶流産回数多い妊婦さんには、既往のある妊婦さんには、とくに注意します。
  • 60代男性 産婦人科 子宮手術の既往
    前回の帝王切開術の創部に胎盤がかかっているときは注意が必要です。
  • 60代男性 産婦人科 子宮手術の既往
    前回帝王切開で、次回帝王切開の時に癒着胎盤(increta)で子宮摘出となりました。
  • 60代男性 産婦人科 前置胎盤
    前置胎盤を合併する癒着胎盤は出血量が多い気がします。
  • 40代男性 産婦人科 前置胎盤
    8000mlを超える出血を経験したことがあります。
  • 60代男性 産婦人科 その他
    一応、中絶の経験のある人は分娩時に注意しています。

癒着胎盤のリスク因子は、子宮手術の既往を選んだ医師が最も多く、次に前置胎盤が挙げられていました。
そういった妊婦さんの診察には、「けっこう神経使います」「注意しています」など医師の方もかなり慎重に対応されるようです。
こちらのコメントでも、「8000mlを超える出血を経験した」、「子宮摘出となりました」というように大手術を経験した医師のコメントがみられ、癒着胎盤は最悪の場合、命に関わる重大な病気であることを認識しておく必要がありそうです。

癒着胎盤は、以前の手術が影響する怖い病気

本調査によれば、癒着胎盤の頻度は、「稀である」という意見が多くを占め、頻度の少なさを強調する医師の意見がみられました。
また、癒着胎盤のリスク因子は、子宮手術の既往を選んだ医師が最も多く、次に前置胎盤が挙げられていました。
コメントからは、癒着胎盤の疑いがある妊婦さんの診察に医師の方もかなり慎重な対応を心がけている様子が伺えました。
頻度は少ないといえども、もし癒着胎盤であれば、最悪の場合、命にも関わる非常に注意すべき病気です。
方針については、主治医とよく相談して臨むのが大事そうです。

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