バセドウ病合併妊娠の妊娠経過と症状について産婦人科医130名に聞きました

首を気にする女性
産婦人科医の共通の見解として、バセドウ病合併妊娠は甲状腺をコントロールしていれば、妊娠も順調に経過し、目立った症状はないということのようです。ただし、コントロールが悪いと流産・早産のリスクがあるため、しっかり内科で診てもらうことが大事そうです。
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皆さんは、甲状腺の異常が妊娠の経過に影響するって知っていましたか?

知人でも妊娠希望で受診したら甲状腺疾患と診断され、治療しながら妊娠出産をされた方がいました。

なかでもバセドウ病合併妊娠という病気があるようで、日本産科婦人科学会では以下のように説明されていました。

バセドウ病合併妊娠

妊娠時に甲状腺機能亢進症を合併する頻度は0.2~0.3%と比較的高く,その多くはバセドウ病である.胎児に与える影響をみるため,抗 TSH 受容体抗体(TRAb)の測定が必要である. TRAb には甲状腺刺激抗体(TSAb)と甲状腺刺激阻害抗体(TSBAb)があるが,これらの抗体が IgG であると胎盤を通過して母体と同様の症状が胎児・新生児に現れる.
引用:8.合併症妊娠の管理と治療 - 日本産科婦人科学会

このようにバセドウ病があると妊娠に何かしらの影響があるようなのです。

今回は、バセドウ病合併妊娠だと妊娠しにくいことがあるのか?妊娠の経過にどの程度影響するのか?症状はあるのか?など、現場の第一線に立つ産婦人科医の皆さんにバセドウ病合併妊娠についてお聞きました!

 

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年8月30日から同年9月11日にかけて行われ、産婦人科医130名から回答をいただきました。

まずは、バセドウ病があると妊娠しにくいのかどうか聞いてみました。

バセドウ病は、必ずしも妊娠しにくいわけではない

図1
  • 60代男性 産婦人科 妊娠しやすいともしにくいとも思わない
    頻度が多くないので一概に言えませんが、低下症では排卵障害がおきるので妊娠しにくいと思われますが、亢進症のバセドウ病ではそのような印象は受けません。
  • 50代男性 産婦人科 妊娠しやすいともしにくいとも思わない
    日々の診療では、そもそも妊娠してから来院するので、バセドウ病患者も妊娠してから初めて来院しており、実感がありません。
  • 40代女性 産婦人科 妊娠しやすいともしにくいとも思わない
    バセドウだけでなく、甲状腺機能異常は若い女性に多いので、妊娠症例は多く経験しています。
  • 50代男性 産婦人科 妊娠しやすいともしにくいとも思わない
    妊娠前からの管理はあまり経験がありませんが、不妊になりやすいという印象はありません。
  • 60代男性 産婦人科 やや妊娠しにくい
    妊娠しにくいのは排卵障害を伴うためかと思いますが、流産しやすいのは実感しています。
  • 60代男性 産婦人科 やや妊娠しにくい
    管理が悪いと流早産の原因にもなりますが、不妊は甲状腺機能低下症の方が多いのでは?と思います。
  • 50代女性 産婦人科 あまり妊娠しにくいとは思わない
    甲状腺機能低下症は無月経となり妊娠しなくなりますが、バセドウは月経くるし妊娠します。

このようにバセドウ病合併妊娠は「妊娠しやすいともしにくいとも思わない」という回答が最も多く、次に「やや妊娠しにくい」が続きました。

甲状腺機能低下症は排卵障害のため妊娠しにくいが、バセドウ病ではそういった実感がないといったコメントが複数見られました。

一方で、バセドウ病のコントロールが悪いと流産・早産のリスクがあるといったコメントも見られ、甲状腺の慎重な管理は大事そうです。

さらに、そんなバセドウ病合併妊娠の経過について詳しく聞いてみました。

バセドウ病は、管理が悪いと妊娠の経過に影響する

図2
  • 60代男性 産婦人科 やや影響があった
    コントロールされていれば安心ですが、急に判明した時は甲状腺クリーゼに対処しなければならないです。
  • 50代女性 産婦人科 やや影響があった
    切迫早産を起こしやすい印象を持っているし、妊娠高血圧症もやや起こしやすいと感じます。
  • 50代女性 産婦人科 やや影響があった
    管理がわるいと流早産の原因となりますが、内科でコントロールできることが多いです。
  • 40代男性 産婦人科 どちらともいえない
    コントロールが悪いバセドウ病は胎児に問題が出ることが多いはずですが、幸いにしてあまりコントロールが悪いケースを担当したことがありません。
  • 60代男性 産婦人科 どちらともいえない
    数がそれほど多くなく、有意差を感じはしないですが、治療抵抗性の重症度により違うとは思います。
  • 40代男性 産婦人科 あまり影響はなかった
    コントロールをしっかり行えば、また起こりうるリスクに対応しながら診療を行っていれば、影響されることはありません。

調査では、バセドウ病合併妊娠は妊娠の経過に「やや影響があった」と「どちらでもない」の回答が並び、次に「あまり影響はなかった」が続く結果となりました。
産婦人科医のなかで意見が分かれていましたが、共通の見解としては、甲状腺をしっかりコントロールすれば妊娠の経過も順調という内容でした。

コメントからは、バセドウ病を内科がコントロールし、産婦人科で妊娠の経過をフォローしていく様子がうかがえました。

ただし重症のバセドウ病の場合は、妊娠の経過に影響する可能性も指摘されていました。

さて、そんなバセドウ病合併妊娠は、なにか症状が出るのでしょうか?
こちらも聞いてみました。

無症状が多く、症状が出る場合は頻脈、無症状、動悸など

図3
  • 50代男性 産婦人科 無症状
    妊娠してから初めて症状が出る方はほとんどなく、まずはコントロールされてから妊娠しています。したがって、とくにバセドウの症状はみられません。もし、コントロールされていなければ、上記の無症状とその他以外はほとんどみられるでしょう。
  • 50代女性 産婦人科 無症状、眼球突出
    妊娠して受診している人は概ねコントロール良好の方で症状の強い人はほとんど見ていません。バセドウでコントロールが悪くて妊娠似た人が中絶してクリーゼになった症例はありました。
  • 40代女性 産婦人科 無症状、動悸、頻脈、体重減少、手指振戦、眼球突出
    妊娠後に初めて診断されるバセドウ病では、選択したような症状が診断のきっかけになる場合があります。
  • 30代男性 産婦人科 無症状、動悸、頻脈
    妊娠している人は多くはコントロールされた方なので、無症状が多いです。
  • 40代男性 産婦人科 無症状
    治療中の妊婦さんしか見ていないため、症状はなかったです。

一見すると調査結果からは様々な症状が出るように見えますが、実はコメントの多くが「コントロールされた状態で妊娠しているためほとんど無症状」といった内容でした。
バセドウ病合併妊娠は、内科でしっかりコントロールされた妊婦さんを産婦人科でフォローしている状況が一般的なようで、症状にはあまり出ないという認識でよさそうです。

バセドウ病合併妊娠は、管理がよければ順調に経過

今回はバセドウ病合併症妊娠について調査しましたが、産婦人科医の共通の見解として、甲状腺をしっかりコントロールすれば妊娠の経過も順調で、症状は見られないようでした。

ただし、コメントのなかにはコントロールが悪いと流産・早産のリスクがある、とした意見もあり、注意は必要そうです。

バセドウ病合併妊娠と聞くと少し不安になるかもしれませんが、内科でしっかり甲状腺の状態を管理してもらい、妊婦健診をきちんと受けることが大事そうです。

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