無痛分娩とは?リスクはどれくらい?産婦人科医130人に聞いてみました

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医学の進歩に伴い、現在では自然分娩以外にも様々な分娩方法が提案されるようになりました。
その中でも、あまり痛みを感じない出産として注目されたのが、無痛分娩。
名前を見る限りは、とても魅力的な分娩方法に思えますが、リスクの大きさを唱える意見もあります。

そこで今回は、産婦人科の医師の方々に無痛分娩のリスクなどについて聞いてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年8月22日〜8月29日にかけて行われ、産婦人科医149名から回答を頂きました。

無痛分娩とは?メリットは?

無痛分娩とは、麻酔を用いて出産時の痛みを軽減しながら分娩を行うことです。
しかし、分娩中も意識はある状態で、いきむことも必要になります。
また、「無痛」という名前がついていますが、完全に痛みがなくなるというわけではなく、あくまで痛みを麻酔で緩和するもののようです。
無痛分娩をする上での大きなメリットとしては、自然分娩と比べてお産による疲労が少なく、産後の回復も早いことが挙げられます。
また、妊婦さんが妊娠高血圧症候群や心疾患などを患っている場合は、安全な分娩を行うために無痛分娩を選択した方が良い時もあります。

<参照>
硬膜外無痛分娩とは? -和歌山県立医科大学 麻酔科学教室

無痛分娩のリスクは?

では、無痛分娩にはどのようなリスクが考えられるでしょうか。
医師に聞いてみました。

図1

医師が最もリスクと考えていたのは、「分娩遷延」でした。
分娩遷延とは、「分娩開始(陣痛周期10分以内になった時点)後、初産婦においては30時間,経産婦においては15時間を経過しても児娩出に至らないもの」のことを言います。

<参照>
微弱陣痛が原因と考えられる分娩遷延への対応は?

つまり、無痛分娩を行うと分娩に時間がかかってしまう傾向にあるようなのです。
調査では、他にも「硬膜外腔などに膿ができる」、「硬膜穿刺の影響で頭痛が起こる」、「血圧が低下する」など、麻酔による合併症が挙げられていました。

では、医師のコメントを見ていきましょう。

  • 40代女性 産婦人科
    微弱陣痛による分娩遷延はよくあるので、陣痛促進剤の投与は必要になります。頭痛や一過性の血圧低下は一定の確率で起こりうる症状です。
  • 60代男性 産婦人科
    分娩に必要ないきみとなる痛みを感じないので、しっかりした監視体制が必要です。
  • 40代男性 産婦人科
    無痛分娩によって児が自閉症になるというのは医学的根拠がありません。

このように、「いきみとなる痛みを感じないこと」や「微弱陣痛により分娩時間が長引いてしまう」などがリスクとして指摘されていました。
一方で、上のコメントのように、生まれた児が自閉症になりやすいという噂は根拠がないという意見も見られました。

無痛分娩の設備について

では、実際どれくらいの病院で無痛分娩を行うことができるのでしょうか。

図2

今回の調査では、「設備がある」と「設備がない」でちょうど半数ずつにわかれる結果となりました。
早速、医師の意見を見ていきましょう。

  • 40代女性 産婦人科
    マンパワー(麻酔科医)が足りません。大学病院ですので、産科医は硬膜外麻酔はやりません。
  • 30代男性 産婦人科
    設備はありますが、24時間マンパワーを確保するのは困難です
  • 50代男性 産婦人科
    スタッフのスキルを考えると一般開業医では十分な対応は現状ではできないと考えます。
  • 50代女性 産婦人科
    無痛分娩自体出来なくはないですが、ルーティーンで行うのは麻酔科の不足で現状できません。

医師のコメントを見てみると、設備があるとした回答でもネガティブな意見がみられ、特に「マンパワーが足りない」というコメントが圧倒的に目立ちました。
麻酔科医の協力や、病院スタッフのスキルがないと、いつでも無痛分娩をできる状態にするのは難しいようです。
このため、もし無痛分娩を強く希望するのであれば、なるべく早く主治医に相談し、できる病院を見つけておくことがよさそうです。

「無痛分娩をしたいと思いますか?」 産婦人科医に質問!

産婦人科医は、もし自分が出産することになったら無痛分娩にするのか、気になりませんか?
今回は、そんな踏み込んだ質問もしてみました。

結果は以下の通りです。

図3

なんと、「無痛分娩をしたくない」派が合計7割を超えてくる結果になりました。
それでは、「したい」と答えた医師も「したくない」と答えた医師も、その理由はどのようなものなのか見てみましょう。

  • 50代女性 産婦人科 「したいと思う」
    自分で無痛分娩を行っていた時は、総合病院で、起こりうるリスクや合併症に備えて、安全に施行できていたので、無痛分娩そのものは安全に行える手技で、受けた患者も非常に満足していました。
  • 30代女性 産婦人科 「したいと思う」
    年齢が若いうちなら、無痛分娩してもいいかなと思います。第1子は無痛にしませんでしたが、試せばよかったです
  • 60代女性 産婦人科 「どちらかといえばしたいと思う」
    痛いのは嫌いです。ただ、硬膜外麻酔併用でも陣痛はあり、痛みはなくならないことを知っているので微妙です。
  • 40代女性 産婦人科 「どちらかといえばしたいと思う」
    母体のダメージも少ないので、痛みは少ない方が良いと思っています。
  • 40代女性 産婦人科 「どちらかといえばしたくないと思う」
    価値観の問題ですが、分娩に伴うリスクは明らかに上昇しますので、その不利益と、痛みが和らぐことによる利益のバランスであると思います
  • 60代男性 産婦人科 「どちらかといえばしたくないと思う」
    痛みが嫌なら、無痛分娩よりは帝王切開のほうがまだマシかと思います。術後持続麻酔で痛みが取れるので。
  • 60代男性 産婦人科 「したくないと思う」
    麻酔事故が発生したときの対応を考慮すると、十分な管理施設でないと希望しません。
  • 40代女性 産婦人科 「したくないと思う」
    周産期リスクに加えて麻酔によるさらなるリスクを抱えたくないと考えます。

このように医師の間でも、無痛分娩に対して様々な意見がありました。
したいと答えた医師のなかで共通していたのは、とにかく十分な設備の病院でやりたいという意見でした。
したくないと答えた医師は、出産の際のリスクを増やしたくないというのが主な理由でした。
実際に産婦人科医として働いている医師の意見は、大変参考になるものだと思います。
もしこの記事を読まれている方の中に無痛分娩を考えている方がいましたら、上の医師の賛否のコメントも参考にしつつ、よく考えてから決定しましょう。

無痛分娩は、メリットとデメリットを考えて

ここまで記事をお読みになって、無痛分娩にはメリットとデメリットが存在することは、ご理解いただけたかと思います。

妊娠高血圧症候群など、無痛分娩のほうが良いとされる場合もあれば、病院の状況により無痛分娩はできないという場合もあります。
決定するための基準は人それぞれですが、本調査の声を踏まえると病院側の設備や体制を考慮することは大事そうです。
本記事を参考に、そして主治医とよく相談したうえで、納得した状態で出産に臨んでくださいね。

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