母乳育児のメリットって何?産婦人科医130名に聞きました

母乳をあげる女性
母乳育児のメリットは、赤ちゃんの免疫力向上やスキンシップによる愛着形成、母体の回復や減量効果などが挙げられていました。一方で母乳育児ができない母親に配慮した医師のコメントも多く見られました。無理せず可能であれば母乳育児をするというスタンスがよさそうです。
子ども・育児
イシコメ運営事務局 イシコメ運営事務局

皆さんは、母乳育児って聞いたことはありますか?
日本小児科学会の学会雑誌では、以下のように記載がありました。

母乳は乳児にとって最良の栄養であるだけでなく,母乳育児は母子間の愛着形成や生活習慣病予防に効果的であることが報告されている.

引用:小児科医と母乳育児推進 - 日本小児科学会 

例えば、母乳だと人工乳に比べて赤ちゃんの免疫力を高めてくれる効果があったり、赤ちゃんとママの関係を深めるうえでも大事とされています。
上記資料のなかには、母乳栄養より母乳育児という名称で呼ぶことを推奨する医師の声もあり、育児をするうえでの母乳の重要性が強調されていました。
さて、そんな良いとされている母乳育児ですが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?また実際に取り組む家庭は増えているのでしょうか?
今回は、そんな母乳育児のあれこれを産婦人科医131名に聞きました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年8月28日から同年9月6日にかけて行われ、産婦人科医131名から回答をいただきました。

まずは、母乳育児のメリットについて聞きました。

母乳育児は、母子ともに良い作用があり、愛着形成が期待できる

図1
  • 50代男性 産婦人科 
    メリットは確かにありますが、皆がそうはいきません。体質もありますがから。大事なのは、夫からの十分な心身にわたるサポートを受けたうえで、赤ちゃんと心優しく向き合うことです。
  • 60代男性 産婦人科 
    母乳によって赤ちゃんに栄養がもっていかれるので太りにくくなる傾向にありますが、ダイエット効果ではありません。
  • 60代男性 産婦人科 
    良い事ばかりが取り上げられ困っている方もおられますので、できる方は母乳でくらいが良いと思います。
  • 40代女性 産婦人科 
    一番の目的は免疫力だと思いますが、愛着形成なども重要ですね。
  • 40代男性 産婦人科 
    初乳の効能とスキンシップでしょうか。
  • 30代女性 産婦人科 
    赤ちゃんとお母さんの愛着形成に大いに役立つと思います。
  • 40代女性 産婦人科 
    人工ミルクが悪いというようにはならないでほしいです。母乳をあげたくても出ない人もいます。

集計結果からは、赤ちゃんの免疫力向上やスキンシップによる愛着形成、母体の回復や減量効果などが挙げられていました。
特に初乳だと免疫が詰まっているようで、やはり母乳による効果は重要そうです。
しかし母乳育児のメリットがいろいろと挙げられていた一方で、前回の設問と同様に無理して母乳栄養を与えるといったプレッシャーにならない方がよいとする声も聞かれました。

次に母乳育児が赤ちゃんの発育を促すのか?という疑問、特に精神発達との関連性について聞きました。

母乳育児が、赤ちゃんの精神発達を促すかも

図2
  • 50代男性 産婦人科 大いに関係がある
    猿の実験で、母乳育児と人工乳育児で児の精神発達に有意差があることが立証されています。
  • 30代女性 産婦人科 大いに関係がある
    お母さんが愛着を持てるようになり、それが良い精神発達を促すきっかけになります。
  • 50代男性 産婦人科 大いに関係がある
    スキンシップにより赤ちゃんの精神の安定につながると思います。
  • 50代男性 産婦人科 大いに関係がある
    ただ、母乳育児ができなくても、落ち込む必要はありません。
  • 40代女性 産婦人科 少し関係がある
    自分が上2人を完全母乳、3人目を混合で育児中です。3人目はまだ6か月ですが、上とは異なる点が多々あります。その経験から。
  • 60代男性 産婦人科 あまり関係がない
    この点については広範囲な、また前方視野的な研究をおこなわないと結論がでないと思われます。
  • 40代男性 産婦人科 あまり関係がない
    少しは関係があると思いますが、人工乳で育ったことが、精神的発達が遅れているということはないと思います。
  • 50代女性 産婦人科 あまり関係がない
    いろいろな事情により母乳があげられない方が見えますが、子供の精神発達が悪いわけではありません。
  • 40代女性 産婦人科 全く関係がない
    母乳が良いことばかりではありません。ビタミン欠乏など、母乳の方が不利な点もあります

調査では、母乳育児と精神発達の関係があるとした医師が全体の7割弱を占めました。
関係があるとした医師からは、「猿の実験結果で立証されている」といった声や「母の愛着が良好な精神発達を促す」といった声が聞かれました。
一方で、「母乳育児ができないと精神発達に影響するという大規模調査のエビデンスはない」とする意見や「母乳育児ができなくても落ち込まないように」とする産婦人科医のコメントも見られました。

最後に、そんなメリットの多い母乳育児ですが、取り組む家庭は増えているのかを聞きました。

母乳育児が増えているかは、意見が分かれる

図3
  • 50代男性 産婦人科 昔から変わらない
    母乳が自然に十分出る方は、苦労なくやっていると思います。ただ、十分に出ない方はしょうがないと思います。ただし、一番大事なのは、赤ちゃんとのスキンシップと、正面から眼を合わせてのやさしい語り掛けだと思います。
  • 50代男性 産婦人科 昔から変わらない
    一生懸命推進しているグループもありますが、無理する必要はないと思います。
  • 40代男性 産婦人科 昔から変わらない
    結局増えている群と減っている群とがそれぞれあるように思います。
  • 60代男性 産婦人科 増えていると思う
    母乳育児を選択する女性の方は増えてきていると感じます。母もできれば母乳で育てたいという希望が強い印象です。
  • 60代男性 産婦人科 増えていると思う
    一時、減少してましたが、マスコミ等の影響、職場の理解等により増えていると思います。
  • 50代男性 産婦人科 増えていると思う
    母乳外来などで母乳の有用性を説明しているので、患者も増加しています。
  • 50代男性 産婦人科 減っていると思う
    一時、母乳育児を希望される妊婦が多かった印象がありましたが、近年はそれほど多い印象はなくなりました。
  • 70代男性 産婦人科 減っていると思う
    仕事を持っている方が増えた為、母乳育児を希望される方も現実には断念する方が多くなっています。

母乳育児の現在の傾向については、意見が分かれる結果になりました。
「増えていると思う」とした医師からは、マスコミなどの報道や母乳外来の取り組みの影響もあり、増加しているというコメントがありました。
一方、「減っていると思う」とした医師からは、女性の社会進出で早く社会復帰する人が増えているため母乳育児が難しい面があるといった声が聞かれました。
母乳育児がよいとわかっていても、母乳が十分に出ない方や社会環境として難しい方もおられると思います。
多くの産婦人科医からは、ミルクも進歩しているため無理しない方がよいという声が寄せられていました。

母乳育児はオススメだけど無理しないで

本調査によれば、母乳育児のメリットとして、赤ちゃんの免疫力向上やスキンシップによる愛着形成、母体の回復や減量効果、精神発達を促す可能性などが挙げられていました。

母乳育児が増えているかどうかは、意見が分かれる結果になりましたが、マスコミなどの報道や母乳外来の取り組みで母乳育児が増えているという声もあれば、女性の社会進出で早く社会復帰する人が増えたため母乳育児が難しくなったとする声もありました。

良い面が取りあげられる母乳育児ですが、もしできなくても落ち込む必要はないという産婦人科医のコメントも多く見られ、無理せず可能であれば母乳育児をするというスタンスがよさそうです。

ツイート
この記事の著者

関連する記事