産後ケア事業って実際のところどうですか?産婦人科医130名に聞きました

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出産後のフォローを目的とした産後ケア事業ですが、支持する医師もいた一方で、産後ケア施設の効果および推奨するかについては「わからない」とする産婦人科医が多く見られました。いずれにしても、こうした産後ケア事業を知り、ご自身の状況とあわせて検討していくことは大事そうです。
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皆さんは、産後ケア事業ってご存知ですか?
例えば世田谷区では、区の産後ケア事業として、以下のような案内がありました。

産後4か月未満の母子を対象に母体ケア、乳児ケア、育児相談・指導などを行います。
産後ケアセンター桜新町では、ショートステイ(宿泊)、デイケア(日帰り)が利用できます。

産後ケア事業 産後のお母さんを応援します | 世田谷区 - 東京

こちらの区では、子育て応援券も使えるようで、お母さんと赤ちゃんの新生活について様々な相談にのってくれたり、アドバイスをもらえたりするようなのです。
このように、市町村が主催する産後のサポート事業もありますが、他にも宿泊型の産科ケア施設が全国各地にあるようなのです。
こうした産後ケアに関する様々な取り組みについて、産婦人科医達はどのように感じているのでしょうか?産婦人科医130名に聞きました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年9月5日から同年9月13日にかけて行われ、産婦人科医130名から回答をいただきました。

まずは、出産後、精神的に不安定となったママはどれくらいなのか、産婦人科医の方々に聞いてみました。

数は少ないが出産後、精神的に不安になるママも

図1
  • 60代男性 産婦人科 0〜10%程度
    助産師によるカウンセリングの指導の実施、あるいは言動の異常をきたしたため、精神科受診でうつ病が発見されたことがあります。
  • 50代男性 産婦人科 0〜10%程度
    産後は多少の心身の不安定は認めるものの殆どは数日のうちに軽快し、カウンセリング等を必要とする症例は少ないと考えます。
  • 60代男性 産婦人科 0〜10%程度
    問題がありそうなケースは、退院後に保健師にフォローしてもらうために連絡を入れる事が多いです。
  • 50代男性 産婦人科 30〜50%程度
    核家族化が進んでますから、夫が仕事に出てしまうと、産婦さんが一人赤ちゃんと取り残されることになるため、上記のようなことが起こります。うちの病院では、いつでも電話相談を受け付けてますし、問題がありそうなら、地域の保健師と連絡を取り合いながらケアをしていきます。
  • 60代男性 産婦人科 30〜50%程度
    産褥期は精神的に不安定となってしまったりすることは、珍しくありません。

調査では、出産後、精神的に不安定となった方は、0〜10%程度とした医師が最も多く、次に30〜50%程度とした回答が続きました。
精神的に不安定になるケースはありながらも、うつ病など重くなるケースは少ないといった医師のコメントが見られました。
しかし、保健師のフォローが必要だったケースや、精神科受診をしたケースもあったようで、注意が必要です。

こうした精神的に不安定になるママをフォローしたり、様々なアドバイスをするのが、市町村が主催する産後ケア事業ですが、一方で産後ケア施設という宿泊型のサービスもあります。
一般社団法人 日本産後ケア協会のホームページでは、以下のように紹介されていました。

産後ケアセンターとは

出産後の育児支援を目的とし、母親と赤ちゃんが一緒に過ごせる宿泊型ケア施設のことです。
個室が基本で、リラックスした時間が過ごせるようシステム化されており、夫や子供など家族と一緒に宿泊できるスペースも完備されています。
看護師、助産師を中心に臨床心理士、産後ケアリスト®などの専門職が24時間体制で産後ママのケアにあたります。
産後ケアセンターでは、産後ママの休養と体力回復に向けてさまざまケアと癒しのプログラムを提供します。

引用:産後ケアセンターとは 一般社団法人 日本産後ケア協会

次に、そこうした産後ケア施設について、産婦人科医の意見を聞きました。

産後ケア施設の効果を感じる医師は、まちまち

図2
  • 60代男性 産婦人科 わからない
    自院も産後ケア施設として受け入れ体勢を敷いていますが、利用希望者がいないですね。
  • 60代女性 産婦人科 わからない
    効果は、人それぞれであるという人も有れば、無いという感じの人もあります。
  • 50代男性 産婦人科 わからない
    やはり、なんでもいいから相談できる体制があるのが良いです。
  • 50代男性 産婦人科 効果を感じた
    産後の母親の精神面や育児において効果があったと感じるが、周囲に話し相手がいないだけのことも多いです。
  • 40代男性 産婦人科 効果を感じた
    きちんとしたプログラムが実践されている施設では効果があります。
  • 60代男性 産婦人科 効果を感じなかった
    厳密に言うと、大規模な統計をとっていないので一概に結論をいえないです。もちろん、産後ケアは産後の母親の精神面や育児において重要な役割をはたしていると考えられます。

調査では、産後ケア施設の効果について「わからない」とした医師が7割以上を占めました。
人によって効果に差があったり、利用している人がいるかいないかもあるようですが、産後ケア自体は重要な役割をはたしているという医師のコメントもあり、特に産後ケア施設に否定的な見解はなかったことから、1つの選択肢として検討することは大事かもしれません。

最後に、産後ケア施設の利用を推進するか産婦人科医に聞きました。

産後ケア施設を勧めるかは、見解が分かれる

図3
  • 60代男性 産婦人科 わからない
    効果があるかどうかわからないので、推奨も否定もできないです。
  • 50代女性 産婦人科 どちらかというと推奨する
    当院の患者の場合、産後手助けしてくれる身内の方がいる方が、幸いにも多いです。しかし、そのようなサポートしてくれる方がいない場合は、心身ともに落ち着くまでケア施設を使用するべきだと思います。
  • 30代女性 産婦人科 どちらかというと推奨する
    いいとは思いますが、経済的に1〜2泊になってしまうことばかりです。もっと長期に利用しやすくなればいいと思いますが。
  • 60代女性 産婦人科 推奨する
    育児、本人の精神面の問題、家庭の問題などについて相談、指導することは重要です。主に、助産師が担当している分野です。
  • 50代男性 産婦人科 推奨する
    産後1ヶ月の間は、特に周囲からの理解ある見守り・支援が重要と考えています。

調査では、産後ケア施設の利用を推進するかについて「わからない」とする医師が最も多く、次に「どちらかというと推奨する」という回答が続きました。
ここまで見てきて、産後ケア施設を利用することは選択肢の1つであり、助産師や自治体の産後ケア事業など様々な選択肢のなかから選ぶことが重要なのではないかと思いました。
大事なのは、産後にママが孤立しないような制度・仕組みを知り、上手に活用していくことかもしれませんね。

出産後は、産後ケア事業の活用も選択肢の1つ

本調査によれば、出産後、精神的に不安定となったママは、0〜10%程度とした医師が最も多く、次に30〜50%程度とした回答が続きました。
こうしたフォローのためにも様々な産後ケアの取り組みがありますが、産後ケア施設の効果および推奨するかについて「わからない」とする産婦人科医が多かったものの、全体を通して産後に支援が必要という見解は多くの産婦人科医に見られました。
最終的には、ご自身の状況とあわせて産後ケアの事業利用を検討するかどうか判断していくことが大事そうです。

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