へその緒の異常が赤ちゃんに危険を及ぼすことも!?臍帯の異常について産婦人科医130名に聞いてみました

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今回の調査では、へその緒の異常には危険性が比較的低いものから、胎児の命に関わるものまであるという結果となりました。もし臍帯異常と診断された場合は、そのまま様子をみるのか、それとも帝王切開になるのかなど主治医とよく相談し、納得した状態で出産を迎えましょう。
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へその緒は赤ちゃんがお母さんから栄養をもらうための大切な器官です。
なかには自分のへその緒を実家やお手元にお持ちの方もおられるのでは?
そんな大切なへその緒ですが、時に何らかの異常をきたし、胎児や母体に影響を与えてしまうことがあるようです。
今回はそんなへその緒の異常について、どんな症状が起こりやすいのか、危険性はあるのかなど産婦人科医130名に聞いてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年9月5日から同年9月13日にかけて行われ、産婦人科医131名から回答をいただきました。

へその緒の長さが出産に影響する!?

へその緒の長さは、一般的に50~60cmと言われています。
しかし、へその緒がそれより長かったり、短かったりすることもあるそうです。
そこで、まずはへその緒の長さが赤ちゃんに影響を及ぼすことはあるのか、聞いてみました。

図1
  • 50代男性 産婦人科 ある
    長すぎると臍帯巻絡がけっこうあり、中にはたすき掛け上になって、胎児心拍の低下をまねき、緊急帝王切開になったりします。また短すぎると、児頭の下降がなく、分娩停止と判断しての緊急帝王切開になったりします。
  • 60代男性 産婦人科 ある
    長過ぎて首に5〜6回捲いている胎児がいますが、児心音が低下する原因と思われ、帝王切開になる事が多いです。逆に短過ぎる時も、たまに児心音低下が激しく、帝切になる事があります。
  • 60代男性 産婦人科 ある
    過短臍帯や、臍帯巻絡が3回以上ある場合には、分娩時に臍帯に牽引がかかることで血流が悪くなり、胎児に低酸素血症が起こる可能性があります。
  • 40代女性 産婦人科 ある
    短いと分娩時に牽引され胎児心拍が悪化することがあります。長いと巻絡がひどく心拍悪化のリスクがあります。

8割以上の医師が、へその緒の長さにより胎児に影響を与える可能性があると回答しました。
へその緒が通常より長いと、特に臍帯巻絡が起こりやすいとのことでした。
臍帯巻絡とは、へその緒が胎児の体に巻き付いてしまうことです。
医師のコメントによると、臍帯巻絡により胎児の心拍が低下することがあるそうです。中には緊急帝王切開になることも。

逆に通常よりへその緒が短いと、分娩時に胎児がうまく娩出できないことがあるようで、この場合も同じく緊急帝王切開の可能性があるようです。

臍帯巻絡はよくあること??

では、実際に医師たちが臨床しているなかでよく遭遇する臍帯の異常はあるのでしょうか。

図2
  • 40代女性 産婦人科
    よく遭遇というと上記では臍帯巻絡です。臍帯下垂はないこともありませんが、脱出はあってはならないほどの事態です。
  • 50代男性 産婦人科
    辺縁付着と臍帯巻絡は通常よく見られますが、その他はまれです。
  • 30代女性 産婦人科
    部長が診察→臍帯脱出→内診指を抜けず、そのままグレードAの緊急帝王切開術…となったときは衝撃的でした。
  • 30代男性 産婦人科
    普通に産婦人科していれば臍帯巻絡以外はよく遭遇してほしくないです。

8割弱の医師が、臍帯巻絡に遭遇しやすいとする結果になりました。
医師のコメントでは、臍帯巻絡以外は遭遇したくないという意見や、臍帯脱出を経験した際の大変な経験談がみられました。

臍帯脱出は母子ともに危険!?

ここまで頻出の症状を見てきましたが、上記症状の中で最も危険なのはどれなのでしょうか。

図3
  • 40代女性 産婦人科 
    臍帯脱出は児の生命にかかわります。辺縁付着、過捻転は児の発育や分娩時の異常につながることがあります。
  • 50代女性 産婦人科
    脱出はかなりまずいです。他は、無事産まれてからわかることも多々あります。
  • 50代女性 産婦人科
    陣発で入院した患者の診察中に同僚が「臍帯脱出だ!」と叫び、同僚が臍帯を完納、保持したまま、同僚と患者をストレッチャーに乗せ、手術室へ搬送し、直ちに局所麻酔と全身麻酔下で帝王切開を行い、胎児を救命できました。診断から、胎児娩出まで約10分くらいだったと思います。大学病院の分院で、陣痛室と分娩室が手術室の隣にあり、即座に行き来できる構造になっていたこと、麻酔科の医師の対応が素早く、適切だったこと、同僚が正しく臍帯を保持してくれていたこと、手前味噌ですが、私の帝王切開が早かったこと、すべてのいい要因が重なってのことで、25年くらいたっていますが、忘れられない症例です。
  • 60代女性 産婦人科
    分娩第一期の終わりごろ急に胎児心拍計で胎児仮死が出現、経産婦8cm開大だったので、人工破膜したら、真っ赤な血性羊水で、必死に引っ張り出して、九死に一生を得ました。卵膜付着、臍帯断裂でした。児は真っ白で、循環血液量の急激な減少で心臓は動いていましたが、心音は聞こえずアプガー0点でした。幸いなことにルートが一発でとれたので生き返りました。今思っても恐ろしいです。事前に付着部位を確認しておくべきでした。
  • 50代男性 産婦人科
    母体へのリスクは、臍帯異常では出ませんが、胎児へは臍帯を通しての血流低下を起こしやすく、心拍の低下などから緊急帝王切開となったりします。

今回の調査では、8割弱の医師が、臍帯脱出が危険であると回答し、次に卵膜付着が続く結果となりました。
特に、臍帯脱出は児の命に関わるという意見が多くありました。
では臍帯脱出とはどのような症状なのでしょうか。

3)臍帯脱出 prolapse of the(umbilical)cord
(1)定義 破水後に胎児先進部分よりも先に臍帯が脱出し、子宮口を通過して腟または陰裂間に懸垂してきた状態をいう.

引用:10.異常分娩の処置と管理・p58・3)臍帯脱出

つまり、破水後に胎児よりもへその緒が先に出てきてしまうということです。
へその緒が胎児と子宮壁に挟まれてしまうと血行が阻害され、結果として胎児に酸素が供給されなくなってしまいます。
医師のコメントでも、臍帯脱出の症例の体験談がありましたが、本当に一刻を争う状況だということがわかりますね。

へその緒の異変は危険度がさまざま

今回の調査では、臍帯巻絡は、頻度は高いが危険性は他の臍帯異常に比べて低く、臍帯脱出は、頻度は低いが危険性が高いという結果になりました。
臍帯の異常には、エコー検査などでわかるものもあるようで、もし臍帯異常と診断されたときは、そのまま様子をみるのか、それとも帝王切開になるのかなど主治医とよく相談し、納得した状態で出産を迎えましょう。

医師のコメント

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