妊娠中の旅行「マタ旅」って、大丈夫?産婦人科医150名に聞きました

笑顔の男女
「妊娠中は旅行を避けたほうが良い」とした医師が半数弱と最も多く、次に「特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない」とする回答が続きました。妊娠中の旅行はリスクがあることを念頭においてほしいとした産婦人科医の意見が多く、今回の記事を踏まえて主治医と相談することをおすすめします。
妊娠・出産・不妊の悩み
イシコメ運営事務局 イシコメ運営事務局

妊娠中も旅行に行けないかな・・・そう思われる方もおられるのでは?
最近では、そんな妊娠中の旅行は「マタ旅」などと称して紹介されています。
一方で、妊娠中はなるべく遠方への旅行は避けた方がいい、との意見もあり、ニュースにもなりました。
確かに旅行先でお腹が痛くなったり、破水したりしたらと思うと心配になりますよね。
そこで今回は、妊娠中の旅行は本当に行ってもよいのか産婦人科医150名に聞きました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年10月29日から同年10月30日にかけて行われ、産婦人科医150名から回答をいただきました。

 

図1

集計結果では、「妊娠中は旅行を避けたほうが良い」とした医師が半数弱と最も多く、次に「特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない」とする回答が続きました。

では、それぞれの回答ごとにコメントを見ていきましょう

妊娠中は旅行を避けたほうが良い

  • 50代女性 産婦人科 妊娠中は旅行を避けたほうが良い
    個人の責任の範囲での旅行は止めませんが、妊婦の急患をみてくれる病院はそんなに多くないので、医療施設へのアクセスを確保してもらうよう説明します。千葉の某有名テーマパークに向け徹夜行軍を試み、破水して運ばれてきた妊婦を個々最近でも複数扱っています。個人都合での広域搬送という結果になることまで一般人は予想できるわけがないので主治医がきっちり指導すべきだと思います。
  • 50代男性 産婦人科 妊娠中は旅行を避けたほうが良い
    旅行が原因で問題が起こることはないのですが、自宅にいても起こり得る問題(出血や破水、腹痛)は、旅行中にも起こり得ます。旅行先でそれらの問題が起こったら、そこでの長期入院もありうる事を覚悟するべきです。また、海外などでは直ぐに適切な治療を受けられるとは限らないし、治療を受けられても莫大な費用を請求される可能性があることも覚悟して旅行に行くべきです。
  • 30代男性 産婦人科 妊娠中は旅行を避けたほうが良い
    妊娠中は体調が変わりやすく、受診できる施設もおそらく限られるので、心配な方や自分の責任で対処する自信がない方は遠出の旅行は避けた方が無難だと思います。産婦人科医自身やその家族の場合は、良識の範囲である程度の遠出は可能と思いますが、それは急病時の対策を事前に考えているからです。
  • 40代女性 産婦人科 妊娠中は旅行を避けたほうが良い
    海外旅行保険の適応外であり、航空会社も乗せてくれないなど、何かあった場合のリスクが高いです。どうしても、とおっしゃる場合は「旅行先で何かあった場合にどうすればよいか、病院などについて調べておかれることをお勧めしますよ」とお話ししています
  • 50代男性 産婦人科 妊娠中は旅行を避けたほうが良い
    妊婦さんから訪ねられた場合、旅行の重要性や子宮頸管長などを考慮してアドバイスしています。予期せぬ腹痛や立ちくらみなども多いため、旅行そのものは楽しめないかも、と言います。
  • 30代女性 産婦人科 妊娠中は旅行を避けたほうが良い
    リスクの低い患者さんの国内旅行なら許容可ですが、海外旅行は海外での分娩となるリスク、新生児がNICU管理となるリスクなど考えると許容しづらいです。
  • 30代女性 産婦人科 妊娠中は旅行を避けたほうが良い
    切迫早産の場合には避けた方がよいです。妊娠経過問題なくても、旅行中に何が起こるか分からないですし、あとは自己責任ですね。

こちらを回答した医師のコメントでは、「旅行そのものは楽しめないかも、と言います」、「旅行中に何が起こるか分からないです」、「リスクなど考えると許容しづらい」とあり、全体を通して妊娠中の旅行には慎重になるべきとする産婦人科医のコメントが多くみられました。
また、もし妊娠中の旅行をするのであれば、個人の責任の範囲や覚悟をもって旅行に行くか判断をすること、旅行先の病院を調べておくなどの急病対策をあらかじめ検討しておくこと、妊婦健診での状態を考慮することなどが挙げられていました。
さらに「海外などでは直ぐに適切な治療を受けられるとは限らない」という意見も見られ、海外旅行については国による医療保険の違いや海外旅行保険で妊婦は対象外としているケースもあることから、国内旅行よりも厳しい意見が見られました。

特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない

  • 60代女性 産婦人科 特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない
    妊婦は静脈血栓が起こりやすいなどのリスクを承知して対処できるなら、変化が起こりやすい時期以外は、問題ないと思います。ただし、海外は医療事情が日本と違いますからお勧めしません。
  • 60代男性 産婦人科 特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない
    妊娠の時期、移動の手段、移動する場所等様々な要因があります。基本はそれに伴うリスクを熟知すること。また自身でなくその地域の医療システムに対する負担を考慮すべきです。
  • 50代女性 産婦人科 特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない
    振動は良くないです。座席はゆったりしたものを選んだ方がいいです。飛行機のような途中下車のできないものは、長時間は避けた方がいいと思います。
  • 60代女性 産婦人科 特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない
    基本的には体調に気を付ければ可能と思いますが、何かあった場合に困るので特定の期間以外を避ければ良いのではないかと思います。
  • 50代男性 産婦人科 特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない
    旅行自体で妊娠には影響はないでしょうが、妊娠中はトラブルが起きやすいので、旅行中にトラブルがあった時が困るとは思います。
  • 50代男性 産婦人科 特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない
    妊娠経過が順調なら妊娠34週ころまでは心配ありません。ただし、念のため母子手帳、保険証はかならず持参です。

こちらの回答をした医師は、「妊娠経過が順調なら妊娠34週ころまでは心配ありません」や「長時間は避けた方がいい」といった条件付きで妊娠中の旅行を許可するコメントが見られました。
ただし、「基本はそれに伴うリスクを熟知すること」や「念のため母子手帳、保険証はかならず持参です」といったようにあらかじめ予想されるリスクへの対策を促す意見もありました。
「その地域の医療システムに対する負担を考慮すべき」といったコメントもありましたが、何か体に異変があった場合は旅行先の知らない医療機関にお世話になるため、医療機関側の負担を意識することは大事かもしれませんね。

妊婦さんの体調に注意すれば、いつでも問題ない

  • 50代男性 産婦人科 妊婦さんの体調に注意すれば、いつでも問題ない
    体調にさえ注意すれば、問題ないと考えます。(妊娠中の症状についても、個人差が有るので。)ただ、大変な状況に有る方が、「もう少しで旅行なんですけど、行っても良いですか?」と尋ねるかと言われると、無いでしょうね…。結果的には、状態が安定している妊婦さんが「旅行は良いですか」と尋ねて、「良いですよ」といった程度と考えます。
  • 40代女性 産婦人科 妊婦さんの体調に注意すれば、いつでも問題ない
    あまり制限をかけるのもどうかと思いつつ、時々追突事故などに巻き込まれる妊婦さんもいます。初期の流産が事故が原因であったかどうか問い合わせがあっても、まず事故とは関係なくとも完全な否定もできず、です。
  • 60代男性 産婦人科 妊婦さんの体調に注意すれば、いつでも問題ない
    お腹さえ張ってなければ疲れない程度なら構わないと言っています。ただ行く先に医療機関のないところだけは避けるようにと指導してます。
  • 60代男性 産婦人科 妊婦さんの体調に注意すれば、いつでも問題ない
    医療のすすんだ国内の旅行なら問題ないでしょう。海外はケースバイケースでしょう。

こちらの回答では、状態が安定している妊婦さんであれば旅行してもよいとする意見が多かったです。
ただし、こちらでも「国内の旅行なら問題ない」や「行く先に医療機関のないところだけは避けるようにと指導」といったような旅行先の状況に気を配るようなコメントが見られました。

その他

  • 40代男性 産婦人科 その他
    産婦人科医です。週数や妊娠経過に問題がなければ、行き先など旅行の内容に無理がなければ特に避けなければいけないものでは無いと思います。しかしながら必ずしも経過が順調ではないのに遠方へ旅行したり、経過に問題ないからと無理をしたり、臨月なのに遠方へ出かけたりする方が少なくありません。結果については自己責任と言ってしまえばそれまでですが、対応する医療機関にとっては負担になります。ダメとは言いませんが常識と節度を守り、主治医の意見を考慮することは大切だと思います。蛇足ですが、同じことがマタ婚にも言えます。
  • 40代女性 産婦人科 その他
    問題ない。と言われるとバツですが、全部いけないというわけでもないです。ただ、観光旅行、海水浴で鎌倉、湘南に来て早産とか実際にいるので、その話をします。外国で未熟児産まれて数千万円かかるとか。

その他を選んだ医師も、妊娠中の旅行はダメとは言わないまでも、「週数や妊娠経過に問題がなければ、行き先など旅行の内容に無理がなければ」といった条件を満たすべきという意見が見られました。

妊娠中の旅行は問題ない

  • 70代男性 産婦人科 妊娠中の旅行は問題ない
    本人の自己責任で旅行、航空機を含めて可と考えます。本人が心配ならば止めればよいです。

こちらは、ほとんど選択した医師がおらず、全面的に手放しで妊娠中の旅行を許可する産婦人科医はいない、ということを表していると思います。

妊娠中の旅行は、リスクと状況を見て主治医と相談を

本調査によれば、「妊娠中は旅行を避けたほうが良い」とした医師が半数弱と最も多く、次に「特定の期間(妊娠初期や臨月前など)を避ければ問題ない」とする回答が続きました。
全体を通じて妊娠中の旅行にリスクがあることを念頭においてほしいとする産婦人科医の意見が多かったように思います。
旅行の許可が出たとしても、ご自身で旅行の責任をもつこと、旅行先の病院を調べておくなど急病対策をあらかじめ検討すること、妊婦健診での状態を考慮することなどを意識することが大事そうです。
「マタ旅」は、巷でも話題にもなりましたが、リスクや問題点もあるため、今回の記事を踏まえて主治医と相談することをおすすめします。

医師のコメント

ツイート
この記事の著者

関連する記事