妊娠してお腹が大きくなると、腰痛に悩まされる妊婦さんも多いと聞きます。
私は普段腰痛にならないよう姿勢を意識したり、腰痛がひどくなれば湿布を貼ったりして対処しますが、妊娠しているときに腰痛になったらどんな対策をすればいいのでしょうか?
特に妊娠中の薬は気を使いますよね・・・痛み止めの湿布はしても大丈夫なのでしょうか?また、痛み止めの飲み薬は飲んでも大丈夫なのでしょうか?
そんな妊娠の腰痛対策に関する疑問を産婦人科医122名に聞きました!
※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年9月21日から同年9月25日にかけて行われ、産婦人科122名から回答をいただきました。
まずは、妊娠中の腰痛に対して産婦人科医がお勧めする対処方法を聞きました。
腰痛対策には、サポーター、エクササイズ、体重コントロール、姿勢を正す等が上位
- 50代女性 産婦人科
勧めてできることと出来ないとありますが、骨盤ベルトやストレッチ、体操は有効です。 - 40代男性 産婦人科
いろいろアドバイスはしますが、生まれないと良くならないことが多いです。 - 60代男性 産婦人科
基礎疾患がなければ体重コントロールと姿勢の矯正でなんとかなります。 - 50代男性 産婦人科
切迫早産徴候が無ければサポーターの使用を勧めることが多いです。 - 40代女性 産婦人科
出産前に腹筋を鍛えた方がいいのかと思ったことはあります。 - 50代男性 産婦人科
決定的な方法は有りませんが、何故か分娩直前には治ります。 - 40代男性 産婦人科
トコちゃんベルトを使っている妊婦さんが多いようです。 - 40代女性 産婦人科
上記が全て当てはまり、ベルトが最も行いやすい行動だと思います。
集計結果では、妊娠中の腰痛対策に「骨盤ベルトなどサポーターの着用」を挙げた医師が最も多く、次にほぼ同率で「マタニティスイミングやヨガなど軽いエクササイズを」、「体重コントロールをする」、「良い姿勢を心がける」が続きました。
サポーターの使用が取り組みやすい対策とする医師のコメントが見られましたが、一方で切迫兆候など合併症が疑われるときは避けた方がよいとのことでした。
「生まれないと良くならないことが多い」という医師の意見もあり、物理的な負担があるうちは腰痛は避けられないのかもしれませんね。
次に、いざ妊娠中に腰痛がつらくなったとき、湿布を使ってもよいのか聞きました。
妊娠中の湿布は種類を選んで使えば良い
- 60代女性 産婦人科 湿布の種類によっては問題ない
インドメタシンをはじめとする非ステロイド系鎮痛剤は、胎児動脈管の閉鎖につながる危険があるので使わない方がいいと思います。 - 50代女性 産婦人科 湿布の種類によっては問題ない
症状がひどい場合、シップは気休めにしかなりません。副作用はそれほど心配していませんが効かないので気休めでも欲しいという人以外にはあまり出しません。 - 60代男性 産婦人科 湿布の種類によっては問題ない
現在の湿布薬にはかなり強力な酸性鎮痛剤が含まれているので成分、薬物含有量を確認して、使いすぎないようにする必要があります。 - 40代男性 産婦人科 湿布の種類によっては問題ない
一応、35週くらいからは使わないほうが良い旨説明はしていますが、正直今まで問題があったケースはみたことが無いです。 - 50代男性 産婦人科 湿布の種類によっては問題ない
妊娠34週以降のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)のシップで、早めの動脈管閉鎖を起こす可能性があるため、慎重に対応しています。 - 50代男性 産婦人科 妊娠中は湿布を使用しないがいい
児への影響がゼロではないことも知られていますが、内服など他の手段に比べれば影響は少ないと理解しています。 - 30代男性 産婦人科 妊娠中は湿布を使用しないがいい
対症療法にしかならないので、シップは不要だと思います。他の方法でシップの効果を代行できるはずです。
調査では、妊娠中の湿布の使用について半数以上の医師が「湿布の種類によっては問題ない」を選択していました。
「妊娠34週以降のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)のシップで、早めの動脈管閉鎖を起こす可能性がある」というコメントが見られましたが、調べたところ以下のような説明がありました。
妊婦がケトプロフェンのテープ剤を使用して胎児動脈管収縮等が起きた症例が集積したこと等から,厚生労働省はケトプロフェンのテープ剤を含む外皮用剤について妊娠後期の女性への使用を禁忌とするなどの使用上の注意の改訂を指示しました
引用:医薬品・医療機器等安全性情報No.312,1.ケトプロフェン(外皮用剤)の 妊娠中における使用について,1.はじめに -厚生労働省
つまり、妊娠後期になると赤ちゃんに影響が出てくる可能性があり、ケトプロフェンと呼ばれるテープ剤タイプの湿布の使用は禁止するという指導内容でした。
一方で、「正直今まで問題があったケースはみたことが無い」、「内服など他の手段に比べれば影響は少ない」といった医師のコメントも見られ、禁止事項さえ守れば、あまり神経質になることもなさそうでした。
しかしながら、やはり妊娠中に薬を使うことになるため、湿布の種類も含めて主治医と相談してから使うかどうか判断しましょう。
最後に、妊娠中の腰痛がどうしても辛い時に痛み止めの飲み薬を飲んでよいのか聞きました。
妊娠中の痛み止めも種類に気をつけて使えば良い
- 50代男性 産婦人科 鎮痛薬の種類によっては問題ない
アセトアミノフェンしか使用できないので、あまり除痛効果はないように思います。 - 60代男性 産婦人科 鎮痛薬の種類によっては問題ない
アセトアミノフェンが最も問題が少ないのですが、長期使用による胎児への影響の報告もあります。 - 50代女性 産婦人科 鎮痛薬の種類によっては問題ない
アセトアミノフェン以外は使用しません。使用したとしても常用はさせません。 - 40代女性 産婦人科 鎮痛薬の種類によっては問題ない
原因が妊娠によるもの、一時的なものなので使用してかまわないと思います - 40代男性 産婦人科 鎮痛薬の種類によっては問題ない
鎮痛剤でよくなるかどうかは別ですが、飲めるものはあります。 - 40代女性 産婦人科 妊娠中は鎮痛薬を内服しない方がいい
児への影響が知られていますので、利益とリスクとの勘案次第です。 - 60代男性 産婦人科 妊娠中は鎮痛薬を内服しない方がいい
妊娠中は鎮痛薬はたいていのものは禁止しています。
集計結果では、妊娠中の腰痛に対する痛み止めに関して「鎮痛薬の種類によっては問題ない」とした回答が最も多いという結果になりました。
コメントでは、アセトアミノフェンであればよいとする産婦人科医が多かった一方で、「あまり除痛効果はないように思います」といったようにそのぶん鎮痛効果は小さいようです。常用しないように指導するといった医師の意見も見られました。
ここまでをまとめると湿布にしても鎮痛薬にしても種類に気をつければ使えるようですが、効果は期待しすぎない方がよさそうです。
妊娠中の腰痛対策を前もって意識しましょう
本調査では、妊娠中の腰痛対策に「骨盤ベルトなどサポーターの着用」を挙げた医師が最も多く、次にほぼ同率で「マタニティスイミングやヨガなど軽いエクササイズを」「体重コントロールをする」「良い姿勢を心がける」が続きました。
妊娠中の湿布や鎮痛薬の内服は、「種類によっては問題ない」が最も支持を集めましたが、鎮痛効果は小さいとする医師のコメントもみられ、効果についてはそこまで期待しすぎない方がよさそうです。
妊娠中の腰痛はひどくなると寝たきりのようになってしまうケースもあるようで、そうならないよう前もって対策していくことが大事そうです。