マタニティーブルーの対策と産後うつになる割合について産婦人科医145名に聞きました

悩む妊婦さん
マタニティーブルーの対策として、周囲の人達や公共サービスへの相談、ストレス発散などに支持が集まるという結果になりました。また、マタニティーブルーから産後うつに移行する方の割合は、「10%未満」とした医師が最も多く、次に「20~30%程度」に票が集まりました。
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妊産婦の方の心のケア、いわゆるメンタルヘルスケアが大事と言われています。
日本産科婦人科学会の資料によれば、妊産婦メンタルヘルスの現状について、以下のような問題点が挙げられていました。

(1)児童虐待
(2)妊産婦の自殺
(3)妊婦の心の状態と子どもの発達
(4)虐待が子どもの脳に及ぼす影響

参照:妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル - 日本産婦人科医会 

こう見ると虐待とか自殺とか、シビアな言葉も見られますが、本資料によれば、「少子化社会は女性達が子どもを産み育てることに困難を感じている社会であり、時代的な家族関係の変化も加わって妊産婦メンタルヘルスの問題が生じやすい」とされており、決して対岸の火事ではないと思われます。
さらに、お母さんの心の状態が子どもの発達や脳に影響を及ぼすという記載も見られました。
さて、そんな妊産婦メンタルヘルスのなかでも、よく耳にするのが、マタニティーブルーというキーワード。
軽い状態の方まで含めれば、少ない数ではないようです。
先ほどの資料にあったようなシビアな状況にならないために、もしマタニティーブルーになったら、どう対策したらいいのでしょうか?
また、長引いてしまった場合、どの程度の方が産後うつになってしまうのでしょうか?

出産前後に携わる現役の産婦人科医145名にマタニティーブルーの対策と産後うつになる割合について聞きました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年11月21日から同年11月30日にかけて行われ、産婦人科医145名から回答をいただきました。

まずは、マタニティーブルーになってしまったときの対策について聞きました。

マタニティーブルーの対策は、「相談」や「ストレス発散」

図1
  • 50代女性 産婦人科
    やはり周囲に助けてもらい、本人の負担を軽くして、ひどい場合は完全に育児から離してあげることかと思います。母性愛を考えると問題ですが、お母さんが正常な精神状態にならないと子供の成長にも悪影響を及ぼします。
  • 60代男性 産婦人科
    とにかくひとりで抱え込まないこと、相談、手助けを求めることが大事です。
  • 60代女性 産婦人科
    知っていてもマタニティーブルーになりますが(産婦人科医の私もなりました)、知っていれば、「こんなものか」と対応しやすくなります。
  • 30代女性 産婦人科
    全部当てはまると思います。マタニティーブルーは自分から申告するものではないですし、誰かが、気付いてあげないといけないですね。
  • 50代男性 産婦人科
    子育ての苦労を一人で抱え込まない。周囲の人たちは、あたたかく対応する、などでしょうか。
  • 60代男性 産婦人科
    ストレス軽減のために、できることはなんでもしたら良いと思います。
  • 50代男性 産婦人科
    育児だけに意識が集中しないよう休息時間をつくってあげることが大事です。
  • 60代男性 産婦人科
    一応指導していましたが個人差多かったです。

集計では、周囲の人達や公共サービス・医療機関への相談、ストレス発散、仕事の調整などに支持が集まるという結果になりました。

具体的には、

  • 周囲に助けてもらう
  • 本人の負担を軽くする
  • 子育ての苦労を一人で抱え込まない
  • 周囲の人たちは、あたたかく対応する
  • ストレス軽減のために、できることはなんでもする
  • 育児だけに意識が集中しないよう休息時間をつくってあげる

などが挙がっていました。

お母さんの精神状態が悪いと子供の成長にも悪影響になってしまう、といったコメントもあり、子育ての面からもマタニティーブルーへの対策は大事そうです。
知っていれば、「こんなものか」と対応しやすくなる、とした医師の声もあり、これから出産を迎える方は、本特集を参考にのぞんでもらえればと思います。

そして、マタニティーブルーが続いてひどくなると心配なのが「産後うつ」。

日本産科婦人科学会によれば、産後うつとは、以下のように定義されていました。

産後うつ病

最も高頻度(産褥精神病の約半数)にみられ,基本的には妊娠以外の時期にみられるうつ病と同じく,訴えの根底には強い抑うつ感情がある.産後うつ病の多くは産科退院後に顕性化し,育児への不安,家事への不満と焦燥感,児の発達や健康についての過剰な心配,母親としての自信喪失などがその訴えとして特徴的なものである.

引用:12.産褥異常の管理と治療 - 日本産科婦人科学会 

「基本的には妊娠以外の時期にみられるうつ病と同じ」という記載がありますが、資料の内容からは、出産後に育児に関連した悩み・心配・自信喪失などが特徴的なようです。

では、どの程度マタニティーブルーから産後うつになってしまうのでしょうか?

産後うつへの移行は、10%未満とした医師が最多

図2
  • 30代女性 産婦人科 10%未満
    多くは一時的なマタニティーブルーですが、重症の産後うつに移行する人を見逃さないのが難しいし、大切だと思います。
  • 50代女性 産婦人科 10%未満
    早めにケアすればうつやその他の精神疾患は避けられると思います。
  • 30代女性 産婦人科 10%未満
    落ち込んでいる人はよく見ますが、うつになるほどの人は少ないと思います。
  • 50代女性 産婦人科 10%未満
    もともとうつ病、パニック障害などを治療していた方は特に気を付けたほうがいいです。
  • 60代男性 産婦人科 20~30%程度
    割と多いと思います。ただし、母親などが近隣に住んでいると、その発生割合は相当低減されます。
  • 30代女性 産婦人科 20~30%程度
    マタニティーブルーの時期にもよるのではないでしょうか。妊娠初期のつわりがある時期であればつわりが軽快するのと同様にマタニティーブルーも自然に軽快するように感じます。

産後うつになる割合は、「10%未満」とした医師が最も多く、次に「20~30%程度」に票が集まりました。

上記コメントをまとめると…

  • 早めにケアをすればうつやその他の精神疾患は避けられる
  • もともとうつ病、パニック障害などを治療していた方は特に気を付ける
  • 母親などが近隣に住んでいると、その発生割合は相当低減する
  • マタニティーブルーの時期も影響する

といった内容が挙げられていました。
つまり、お母さんの心のケアが遅れる場面、既往に精神疾患がある方、家族のサポートが無い方、発症する時期が産後うつになるリスクファクターになるようです。
全体を通して、産後うつまで至る例は「あまり見かけない」とする医師と、「割と多い」とする医師の両方が一定数いたように思います。

健やかなマタニティー・産後ライフのために、いろいろな対策の検討を

本調査では、マタニティーブルーの対策として、周囲の人達や公共サービスへの相談、ストレス発散などに支持が集まるという結果になりました。
また、マタニティーブルーから産後うつに移行する方の割合は、「10%未満」とした医師が最も多く、次に「20~30%程度」に票が集まりました。
産後はお母さんの心の状態が不安定になりやすいのはもちろん、それによって子どもの発達や脳に影響を及ぼしてしまう可能性もあり、健やかなマタニティー・産後ライフをおくるためにも、本調査を参考にいろいろと対策を検討してもらえれば幸いです。

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