緊急避妊のOTC(一般医薬品)化についてどう思われますか?産婦人科医120名に聞きました

黄色い錠剤
緊急避妊薬のOTC(一般用医薬品)化について、産婦人科医の半数弱が反対で、次にどちらでもないという回答が続きました。OTC化すると誰でも緊急避妊をできるようになりますが、まずは本記事で産婦人科医たちが示した懸念点をどうクリアしていくのか考えることが大事そうです。
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昨年、緊急避妊で扱われるピルがOTC医薬品(一般用医薬品)として薬局やドラッグストアなどで販売できるか議論になっていたことを、みなさん知っていましたか?
各メディアの報道では、以下の通りでした。

緊急避妊薬は現在、医師の処方箋がないと薬局で入手できない。市販用への転用(スイッチOTC化)について議論する厚生労働省の会議では、要望を受けて今年議論されたが、医師や薬剤師の委員から時期尚早などと否定的な意見が相次いだ。性被害の支援や医療の現場からは、「当事者のことを考えていない」と批判の声が上がっている。

引用:くらしナビ・ライフスタイル:緊急避妊薬、当事者抜き議論 - 毎日新聞 

性交から72時間以内に飲むことで妊娠を回避でき得ることから“アフターピル”とも呼ばれている「緊急避妊薬」。OTC(大衆薬)化の可否判断は、賛成大多数のパブリックコメントを受けても、やはり「不可」だった。

引用:緊急避妊薬のOTC化、圧倒的世論を受けてもやはり不可

このように、一般の方々の多くの要望はありながらも、今回の専門家内の検討で見送りになったようですが、現場の産婦人科医はどう考えているのでしょうか?

緊急避妊のOTC化について、産婦人科医124名に聞きました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年12月5日から同年12月8日にかけて行われ、産婦人科医124名から回答をいただきました。

緊急避妊のOTC(一般医薬品)化について、反対派が最も多い

図1

集計結果では、緊急避妊薬のOTC(一般医薬品)化について「反対である」と「どちらかというと反対である」を合わせると医師の半数弱と最も多く、つぎに「どちらでもない」という回答が続きました。
数字だけ見ると慎重な姿勢を示す産婦人科医が多いように思えましたが、それぞれの選択肢ごとに医師の意見を見ていきましょう。

緊急避妊薬のOTC化には、反対である

  • 60代男性 産婦人科 
    緊急避妊薬は、排卵時期を遅らせるのが作用機序なので、服用後次の月経まで確実な避妊が必要ですが、一般の方には理解できていません。緊急避妊ピルを服用したから安心だと言って、性交渉を持つと、望まない妊娠が増えます。現実に韓国で起こっています。OTC化するなら、服用後の避妊指導を義務化して、避妊指導をしない場合は、ペナルティーを科すべきです。
  • 60代男性 産婦人科 
    全期間に同等に効果があるわけではないので、しっかりした危険性を説明し結果を把握しなければなりません。その後は低用量ピルの使用につなげていくべきだと思います。婦人科を受診する機会にもなり、がん検診・性病病検査等も実施しHPVワクチンの話もしています。
  • 60代男性 産婦人科 
    乱用になるのは目に見えています。日本の性教育のレベルの低さはとても先進国とは思えません。
  • 50代男性 産婦人科
    安易に無防備にセックスをしてしまい、避妊はできるが、性感染症に無防備になりやすいです。
  • 40代女性 産婦人科
    内服で100%の効果があるわけではないので、その説明や対応は薬剤師がするのでしょうか?
  • 60代男性 産婦人科
    アフターモーニングピルは確実性がないので安易に使用する可能性があるので反対です。

「反対である」を選んだ医師たちは、緊急避妊薬の使い方について、決して簡単なものではなく、ピルの乱用やむしろOTC化によって望まない妊娠を引き起こしたり、性感染症の広がりを助長したりする危険性を指摘していました。
また、OTCになると医師が指導しないで手に入る状況になるため、内服の効果についての説明をどうするのかという疑問を投げかける医師や服用後の避妊指導を義務化することが条件とした医師もおられました。
確かにメリットだけでなく、こうしたデメリットやリスクに焦点を当てた検討は大事そうですね。

どちらでもない

  • 60代男性 産婦人科
    意見は持っていませんが、使うからには、飲み忘れは、本人が結果を受け取る以外に誰も受け取ってはくれません。それが嫌なら、最初から使わない方が良いと思います。
  • 40代男性 産婦人科
    副作用を考えると反対ですが、より普及させる点では賛成です。
  • 70代男性 産婦人科
    ホルモン剤を使うので必ず説明と指導が必要ですが?

「どちらでもない」とした医師のなかでも、副作用や使用方法の指導について懸念する声や自己責任の範囲が増えることに心配する声が見られました。

緊急避妊薬のOTC化には、どちらかというと賛成である

  • 60代女性 産婦人科
    緊急避妊薬希望は、女性として、医師にかかりにくい訴えであると思います。望まない妊娠を避けるためにはOTC化も致し方ないと思います。ただしあくまでも自己責任で。日本で自己責任ということを覚悟している人間がどれくらいの率でいるか、疑問ではありますが。
  • 30代女性 産婦人科
    反省しないで同じことを繰り返すことになりそうですが、手に入れやすくなることで中絶が減るというメリットはあります。
  • 30代女性 産婦人科
    海外ではピルがドラッグストアで販売されています。日本が遅れています。何が問題なのでしょうか。
  • 60代男性 産婦人科
    緊急避妊薬の処方時は、かなり時間をかけて説明するので、OTCはまだ早いかもと思います。

「どちらかというと賛成である」とした医師は、「手に入れやすくなることで中絶が減る」、「医師にかかりにくいと感じる人にはOTC化は助かるだろう」といったOTC化のメリットが挙げられていました。
また、「海外ではピルがドラッグストアで販売されている」と日本の遅れを指摘する医師もおられましたが、一方で本当に自己責任をとれるか?といった、日本の現状だとOTC化はまだ早いと感じている医師もおられました。

緊急避妊薬のOTC化には、どちらかというと反対である

  • 40代女性 産婦人科
    普段の診療でも喫煙者や年齢既往歴で内服しない方がいいと思われる人が一定の確率で存在するためです。
  • 50代男性 産婦人科
    前もって避妊しなくなり、緊急避妊薬を間違った方法で利用して中絶に成る可能性が高くなる。
  • 50代男性 産婦人科
    きちんと内服しないと効果はありません。でも自己責任で内服するのは止められません。

「どちらかというと反対」とした医師もきちんと内服できるか?間違った方法で利用しないか?といったリスクに言及するコメントが多かったように思います。
自己責任という言葉が複数見られましたが、OTC化にあたっては、一般の方々が緊急避妊薬を正しく活用する知識や能力、責任感を獲得することも大事な要素なのかもしれませんね。

緊急避妊薬のOTC化には、賛成である

  • 60代男性 産婦人科
    基本的には個人の選択に任せるべきだと思います。妊娠反応薬の時も産婦人科医会は反対していました。
  • 30代女性 産婦人科
    望まない妊娠を阻む手立てはもう少し簡単でもよいと思うので。
  • 50代男性 産婦人科
    望まない妊娠は母児ともに不幸です。

「賛成である」とした医師は、一般の方々の意見と同様に、望まない妊娠を回避できるとした意見が見られました。

緊急避妊のOTC化は、まだまだ課題がある

本調査によれば、緊急避妊薬のOTC(一般用医薬品)化について、産婦人科医の半数弱が反対とし、つぎにどちらでもないという回答が続きました。
OTC化について慎重な意見が多く、特にピルを正しく使うことができるのか不安視する医師が多かったように思います。
OTC化すると誰でも緊急避妊をできるようになりますが、まずは今回産婦人科医たちが示した懸念点をどうクリアしていくか1人1人が考えることが大事そうです。

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