うつ病の休職・復帰について精神科医・心療内科医210人に聞きました

うつ 対話
うつ病による休職の原因は、人間関係が最も多く、次に長時間労働、異動・転職・引越しなど環境の変化が挙げられました。一度うつ病を発症すると完全復帰は難しいといったコメントも見られ、職場復帰の際は受け入れ側も理解が大切になりそうです。
うつ病・躁鬱
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うつ病で休職してしまうケースは、いったい何が原因なのでしょうか?
休職から復帰したにもかかわらず、うつ病が再発してしまうこともあり、厚生労働省研究班によれば、大企業でうつ病になって病気休暇を取った約半数が復帰後に再発し、病気休暇を再取得していたとされています。

<参考>
うつ病休暇:半数が再取得「企業は配慮を」 厚労省研究班 - 毎日新聞

このようにうつ病の休職や職場復帰の現状は、厳しそうな印象ですが、現場の医師はどのように見ているのでしょうか?精神科・心療内科医にアンケート調査を行いました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年5月9日〜5月10日にかけて行われ、精神科・心療内科医211名から回答を頂きました。

うつ病患者さんの休職の原因は?

まずは、うつ病患者さんの休職に最も関係していると思われる原因を聞きました。

結果は、以下の通りです。 

図1

休職で最多の原因は、「職場の人間関係」

  • 70代男性 心療内科
    長時間労働による疲労が引き金となることはありますが、長時間労働を行うか否かは上司の判断が大きく影響するので、上司の命令に逆らえないという人間関係があります。従って、長時間労働の背景には職場の人間関係が関与しています。
  • 40代女性 精神科
    上司、同僚との人間関係がうまくいっていないと、仕事の負荷についての話もしづらくなったり、不調に気づいてもらえなかったり、マイナス面が大きくなります。
  • 40代男性 精神科
    やはり、日常臨床では、職場内での人間関係の悪化で、出社できなくなるような人が多いように感じます。たとえば、職場内でのいじめです。
  • 40代男性 精神科
    やはり対人関係が一番大きな問題のような印象です。周囲のサポート体制が良ければ復職もしやすいと思われます。

今回の質問では、人間関係を挙げた医師が一番多く、特にコメントにあったのが、上司や同僚との関係でした。ハラスメントや折り合いの悪さから、うつ病に進展するようです。
また人間関係がうまくいっていないと、仕事の負荷が多くても声をあげられなかったり、気づいてもらえなかったりと、サポートが得られなくなるという要因もあるようです。
逆に「人間関係が良好だと、うつになりにくいような気がする」といった医師のコメントもありました。

次に、長時間労働を挙げた医師のコメントも見ていきましょう。

「長時間労働」も休職に影響

  • 40代女性 心療内科
    時間外残業が200時間越えになると、正常な判断力を失うケースを何例も見てきました。まず目に見える形で社会が取り組める課題だと思います。
  • 40代女性 精神科
    いろんな要素があり一つには絞れませんが、共通して長時間労働による過労はあるように思います。
  • 50代男性 心療内科
    過酷な労働状況と責任の重大さからうつ状態となり、休職に至るケースがよくあります。
  • 50代男性 精神科
    残業が常態化している、手当もまともにでない、いわゆるブラック企業に多いです。

コメントから、長時間の労働もうつ病の発症に影響してくる現状がわかります。過酷な労働環境が正常な思考を奪うというイメージでしょうか。
他にも異動後の部署で適応できないケースや、システムエンジニア・IT企業に見られるといったコメントもありました。

さて、次にうつ病を治療して復職する際、精神科・心療内科の医師は企業の産業医と連携するのか聞きました。

図2

産業医との連携は大事だが、ケースバイケース

  • 60代男性 精神科
    精神科専門医で、通常の外来、復職支援デイケア(リワーク)、メンタルヘルス専任の産業医という三つの立場で臨床に携わっている経験からは、各々の立場や役割をしっかり理解して連携(役割分担)を果たしていくことが重要です。
  • 40代男性 精神科
    産業医の医師は精神科ではないので、あまり踏み込んだことができないでいることもあるようです。そのような時に、こちらに受診を勧めてくれています。
  • 50代男性 心療内科
    職場により近い視点からの医師が加わるため、復帰を検討したり支援したりするにあたって助かることが多いです。
  • 50代男性 心療内科
    産業医によって、対応に差が大きいように思います。まったくこちら任せの方もいますし、こちらの意見を聞いて、自分で最終判断する方もいます。
  • 30代男性 精神科
    産業医からコンタクトがあれば連携しますが、個人情報の問題もあるため、連携を取らないか、患者を介してのやり取りとなることが多いですね。
  • 40代男性 心療内科
    産業医が機能しているかは、企業によります。中小はなかなか難しい場合が多いですね。

職場の視点を持つ産業医と精神科医・心療内科医がうまく連携することによって、より適切な復帰支援ができるようです。
しかし、産業医によって差がある、中小企業は難しいといったコメントもあり、その時々の状況によりそうです。

うつ病の復職には、再発のリスクも考慮

  • 40代男性 産業医
    職場から早めの復職をと言われ、本人も焦っていたので、休職の延長を提案したのですが、本人がどうしてもというので再発・再燃の可能性を告げて復職を許可の診断書を記入したところ、2週間もたたないうちに再休職となった例を経験しています。
  • 60代男性 精神科
    復職後しばらくは調子が良いけれども、また悪化する人が多いです。ストレスの原因から離れ、別部署に異動した場合はある程度再発率は低くなるのですが、それでも再発は多いと感じます。一度うつになると完全回復は難しいのかもしれません。
  • 30代女性 精神科
    原因がはっきりしている方は、環境調整で再発は防げますが、本人のコミュニケーションの問題等、原因が複雑である場合は再発する可能性が高いです。
  • 40代女男性 精神科
    もともと本人にも適応しにくい問題があると、状態的に改善して周囲が支援してくれても、なかなか完全復帰や状態の維持が困難なこともあります。
  • 40代男性 精神科
    大変なケースで、NPO法人の復職支援の職員と勤務会社の産業保健の関係者と話し合いで時間をかけて復職にいたったことがあります。
  • 20代男性 精神科
    うまく復職できるか1年以内に再発するかは半々といった感じです。

医師のコメントからは、復帰してもうつ病を再発してしまうケースがしばしばあるようで、焦った復職は避けた方がよさそうです。
また、一度うつ病を発症すると完全復帰は難しいといったコメントも見られ、職場の受け入れ側の理解も必要そうです。

休職の1番の原因は人間関係で、復職の際は再発に要注意

本調査によると、うつ病による休職の原因は、人間関係が最も多く、次に長時間労働、異動・転職・引越しなど環境の変化が挙げられました。
一度うつ病を発症すると完全復帰は難しいといったコメントも見られ、職場復帰の際は受け入れ側の理解も大切になりそうです。

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