うつ病に電気けいれん療法を行うのは、どんな時?精神科医・心療内科医200人にアンケート調査

手術台
電気けいれん療法は、抗うつ薬の効果が乏しく、衰弱や自殺の危険がある時に用いられるようです。行わないという医師の回答もありましたが、電気けいれん療法は、麻酔科医がいる入院施設や大学病院のような場所に限られるようで、どこでもできるわけではないようです。
うつ病・躁鬱
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薬をいくら飲んでもうつ病がなかなか治らない、自殺をほのめかすようになったなど重い病状のときに「電気けいれん療法」という治療があります。
普段聞き慣れない治療ですが、いったいどんなタイミングで行われるのでしょうか?
精神科・心療内科医にアンケート調査を行いました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2012年8月1日〜8月4日にかけて行われ、精神科・心療内科医202名から回答を頂きました。

まず、電気けいれん療法について確認しましょう。

電気けいれん療法とは?

電気けいれん療法は、重い精神疾患を対象とした治療の方法で、体に電極をつけて脳に電流を流します。麻酔や筋肉の緊張をゆるめる薬を使うことで眠った状態で行われ、治療は数回に渡って行われます。

<参考>
長崎県立精神医療センター

麻酔をかけて眠っている状態で電気を脳に通電するとは、想像するだけでSF映画の世界のような治療ですよね。

電気けいれん療法を行うタイミングは?

本調査では、こうしたうつ病の治療における電気けいれん療法をどのようなタイミングで選択するか質問し、以下の選択肢から選んでもらいました。

  1. 抗うつ薬が効かず、食事も取れないなど衰弱が激しい場合
  2. 抗うつ薬が効かず、自殺の危険が高まっている場合
  3. ある程度抗うつ薬が効くが、症状が改善しない場合
  4. ある程度抗うつ薬が効くが、副作用が強い場合
  5. 電気けいれん療法は行わない
  6. その他

結果は、以下の通りです。 

図1

それでは、医師のコメントを見ていきましょう。

抗うつ薬の効果が乏しい場合、電気けいれん療法の適応

  • 70代男性 精神科
    薬物療法では症状が改善せず、希死念慮がひどい場合とか、自殺企図が実際になされたりとか、拒食等による身体的危機状況等の生命にかかわる状況にあれば、本人・家族に薬物療法が限界であり電気けいれん療法の適応であることを説明します。
  • 30代助成 精神科
    抗うつ薬への反応がいまいちの時に次の選択肢に挙がるのですが、薬物治療でなんとか粘ってしまいます。結局、症状が生命を脅かしはじめてから電気けいれん療法をすることが多いです。衰弱と自殺の危険、激しい焦燥などです。
  • 50代男性 精神科
    実施でなく「依頼・紹介」としての立場ですが、抗うつ薬が効かず、かつ希望されている方に。麻酔をかけられ、かつ実施方針のあるところは極めて限られています。
  • 30代男性 その他
    いろいろなタイミングがあると思います。基本的には薬物療法で寛解しない時だと考えています。

うつ病の薬が効かない時に電気けいれん療法を行うというコメントが多く見られました。更に衰弱、焦燥、自殺の危険など生命に関わる状況の時が適応のようです。
しかし、うつ病が軽快しないからといって、いつでも電気けいれん療法ができるわけではないようです。

電気けいれん療法ができる施設は限られている

  • 50代男性 精神科
    電気けいれん療法は、適応や全身状態の評価がきちんとなされればとてもよい治療法と考えています。しかし大学病院などでは麻酔医の確保の問題等、昔に比べ非常に施行しづらくなりました。時代の流れですし、安全管理面では好ましいことですが、勢い現実的な適応が狭くなりました。
  • 30代男性 精神科
    勤務先の施設では修正型電気けいれん療法ができないので、やろうとすれば転院が必要になります。そのため、適応は難治症例でなおかつ切迫した状況の方に限られます。
  • 50代男性 精神科
    電気けいれん療法を行う施設がありません。それで効果があるのはわかっていますが、薬物療法と精神療法だけでしております。
  • 50代男性 精神科
    基本的に麻酔科医がいないので行いません。必要性を感じたら大学病院に転医していただきます。

良い治療というコメントがあった一方、電気けいれん療法を行う施設は大学など大きな病院に限られ、昔に比べると適応となる事例は少なくなっているというコメントもありました。
機器の準備が必要だったり、麻酔をかけながら行う必要があったりと、ハードルがありそうです。

電気けいれん療法は、薬の効果がなく衰弱や自殺の危険がある時に検討する

本調査によれば、電気けいれん療法は、抗うつ薬の効果が乏しく、衰弱や自殺の危険がある時に用いられるようです。
行わないという医師の回答もありましたが、電気けいれん療法は、麻酔科医がいる入院施設や大学病院のような場所に限られるため、どこでもできるわけではないようです。

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