日常生活で起きると怖いアナフィラキシー・ショック–医師700人のアンケート調査から

アナフィラキシーショック
アナフィラキシー・ショックの診療にあたっている医師の声から、原因として食物アレルギーと蜂アレルギーが多いことがわかりました。また、エピペン®という手段についてもっと知ってほしいといったコメントもありました。
医療の現場
イシコメ運営事務局

アナフィラキシー・ショックについて、ご存知でしょうか?
ニュースなどで一度は、学校の給食によるアレルギーの事故を耳にしたことがあるかもしれません。
お子さんがいるご家庭だと、心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか?
アナフィラキシー・ショックとは、外から何らかの原因物質が体内に入ってアレルギー反応を起こしてしまい、症状として、皮膚の発疹、嘔吐、息苦しさなどに加えて、血圧が下がって生命をおびやかす危険な状態のことです。
このため、アナフィラキシー・ショックを起こすリスクが高い方は、あらかじめ自分で打つことができるアドレナリン自己注射液が処方されています。
今回、この注射液の処方について、医師にアンケート調査を行いました。
調査の結果から、エピペン®と呼ばれるアドレナリン注射薬がどんな科で扱われやすく、どんな患者さんに処方しているのか見えてきましたので、本記事でご紹介します。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2013年10月7日から同年10月13日にかけて行われました。

本調査では、「アナフィラキシー・ショックに対するアドレナリン注射液(自己注射剤)を処方した経験はありますか。」という質問で、以下の選択肢から当てはまるものをご選択いただき、経験についてコメント欄に記載をしてもらいました。

 

1. 処方したことがある

2. 処方したことは無い

図1

処方している医師は、アンケート調査の約2割になりました。
どこの病院に行っても、アナフィラキシー・ショックに対する自己注射液を処方してもらえるわけではなさそうです。
今回は、そんなアドレナリン自己注射液を処方している729人のコメントを参考に、アナフィラキシー・ショックの診療を見ていきたいと思います。

まず各科ごとに見ていくと、自己注射液を「処方している」と答えた医師の比率が高かった科のTOP3は、以下の通りでした。

  • アレルギー科 48.6%
  • 皮膚科      43.4%
  • 小児科     40.4%

  全科平均     22.6%

アナフィラキシー・ショックは、アレルギー反応による病気なので、やはりアレルギー科が1番ですね!

また皮膚の症状が出ることから、皮膚科に受診することも多そうです。
食物アレルギーは、小さいお子さんに多いため小児科というのも納得です。

ここで、アドレナリン自己注射液である「エピペン®」について簡単にご説明します。

アドレナリン自己注射液(エピペン®)とは?

エピペン®とは、アナフィラキシー・ショックが起きた際に速やかにその場で打つための注射です。アドレナリンと呼ばれる薬剤が入っており、一時的に病気の進行を食い止めます。
もしアナフィラキシー・ショックを起こしてしまったら、エピペン®を自分または周りの人(お子さんの場合、家族や教職員の先生)の協力を受けて注射を行い、その後速やかに医療機関への受診をして医師の診察を受けるという流れになります。

実は、医師もエピペン®を処方するためには、登録・講習を受ける必要があるようなのです。

  • 50代男性 呼吸器内科
    エピペンが登場した頃にセミナーを受けて処方可能となる認定を取得しました。予防用として処方したことはありますが、使用されてなかったようです。
  • 30代女性 アレルギー科
    アレルギー内科なので必要な患者さんに処方できるよう、講習会を受講しました。
  • 50代男性 消化器内科
    エピペンが登場した頃にセミナーを受けて処方可能となる認定を取得しました。予防用として処方したことはありますが、使用されてなかったようです。
  • 40代男性 総合診療
    処方登録医の講習を受けているのでいつでも処方できます。そんなに難しい講習ではありません。保険適応にもなったので、アナフィラキシーのリスクのある方には積極的に処方すべきと考えます。

こうした講習を受けた医師が処方できるようなので、エピペン®を処方してもらうために受診する場合は、あらかじめ調べて、電話で問い合わせてからの方がよさそうです。

それでは、次に医師の方々が出会ったアナフィラキシー・ショックの事例について見ていきましょう。

卵、小麦、そば、シソ、マンゴーなど食物アレルギーが多い

  • 40代男性 小児科
    アナフィラキシー症状があり、血液検査も陽性であり、摂食直後の発症であり、食物アレルギーに伴うアナフィラキシーと診断した子ども二人に処方しました。
  • 40代男性 小児科
    乳児の卵アレルギーは急性即時反応を起こします。何度も経験しました。
  • 30代男性 感染症科
    小麦アレルギーの人にしたことがあります。
  • 50代男性 呼吸器内科
    エピペンはたまに処方しますが、年に数人で、使用例は2回(ハチ・そば)だけです。
  • 30代男性 一般内科
    マンゴーでアナフィラキシーが出た人に。
  • 50代女性 アレルギー科
    シソアレルギーの親子にそれぞれ処方しています。ふりかけなどにも入っているので、知らずに食してしまうリスクが高く、相談のうえ携帯してもらっています。
  • 50代男性 一般内科
    歓楽街が多いため、年に3~4人は飲食店等で食事した後などでアナフィラキシー・ショックを起した人が来院されます。日祝に多いですが…そのままエピネフィリンを投与しています。またその後のエピペンも処方しています。

これらがしばしば学校現場で問題になる食物アレルギーです。
お子さんだと、卵、牛乳と呼ばれる乳製品が多く、そばなども代表例でしょう。
コメントにもありますが、知らずに入っていて誤食してしまうというケースも現場ではあるようです。
このため、「安心のための掛け捨て保険のようなものと指導している。」という医師もおられました。

また食物アレルギーと並んで、蜂アレルギーについてコメントされている先生も多かったです。

山間部や林業業者の蜂アレルギーが多い

  • 30代女性 一般内科
    アナフィラキシー・ショックに陥ったことのある、蜂に刺される機会の多い農業、林業の人に処方したことがあります。
  • 60代男性 一般内科
    蜂駆除業者の50代男性がスズメ蜂に刺され、アナフィラキシーきたし来院,ボスミン筋注後ソルメドロール点滴加療し、改善。この方は蜂に刺される度ごとにアナフィラキシーきたしており、エピペン処方しました。 
  • 40代男性 リウマチ科
    山の中で働く人に、蜂刺され時の対策として処方しました。
  • 40代男性 家庭医療
    山間部で働く人は蜂刺傷などによる症状の早期治療目的で持ち歩く人もいます。
  • 50代男性 一般外科
    営林署の方がもらわれて行きます.スズメバチにアナフィラキシーショックを起こして,間一髪という方もおいでました.

林業や山で仕事をされている方が蜂に刺された時の対策でもらうケースが多いようです。養蜂場で仕事される方も、蜂に刺されやすい状況だと思うので、エピペン®が必要なんでしょうね。

もっとエピペン®を知ってほしいという声も

  • 50代男性 病理
    処方したことはありませんが、啓蒙は必要だと思います。
  • 40代女性 一般内科
    もっと普及してほしいと思います。
  • 40代男性 小児科
    今後、学生などに啓発したい。

アナフィラキシーは病院外で十分起こりうるものなので、遭遇する可能性のある学校、職場、保育などの関係者に知ってもらうことも大事そうですね。
実際に学校の教職員の方に指導したという医師のコメントがありましたので、紹介します。

  • 60代男性 アレルギー科
    処方していますし、処方した児童生徒のいる学校にはすべて出向いて教職員対象の食物アレルギーについての話しを1時間、続いてエピペントレーナーを用いての実習を約30分、その後に質問タイムとして約30分、計2時間の研修を行っています。今年は7校(小学校2、中学校3、高校3)に、出かけました。

調べてみると、JAEA(日本災害救護推進協議会)という団体でも、教職員・保育所向けにアレルギー・エピペン講習会をしているようで、こうした取り組みは、各地に広がってほしいところです。

アナフィラキシー・ショックの原因には、食物アレルギー、蜂アレルギーが多く、エピペン®という対応手段がある

アナフィラキシー・ショックの診療にあたっている医師の声から、原因として食物アレルギーと蜂アレルギーが多いことがわかりました。
また、エピペン®という手段についてもっと知ってほしいといったコメントもありました。
本記事をきっかけに、アナフィラキシー・ショックについての理解を深めてもらえれば幸いです。

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