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うつ病の復職・社会復帰について精神科・心療内科医192名に聞きました

うつ病患者の仕事
医師の6割以上が、うつ病の社会復帰は「ある程度できる」と回答しました。デイケア就労支援プログラムは、主治医が許可するまで改善している状態でもあり、ある程度こなしていくようです。
うつ病・躁鬱
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うつ病の治療がひと段落すれば、次に仕事探しや社会復帰について考えることになります。
例えば、地域障害者職業センターという機関では、職場復帰の援助が行われています。

<参考>
うつ病などで休職しており、職場復帰をお考えの方へ(リーフレット)

既に退職している場合は、同じ地域障害者職業センターで就労支援窓口があり、ハローワークと連携しての職業紹介や、職業準備支援という就職・職場適応のための取り組みがあります。
実際のところ、うつ病の方の仕事探しや社会復帰の現状は、どうなっているのでしょうか?精神科・心療内科医にアンケート調査を行いました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年6月7日〜6月9日にかけて行われ、精神科・心療内科医192名から回答を頂きました。

デイケアの「就労支援プログラム」って?

まず、精神科で復職・就労支援を目的に提供されている「デイケア就労支援プログラム」の参加状況について聞きました。
「デイケア就労支援プログラム」とは、精神科リハビリテーションの1つで、休職から復帰を目指すための取り組みです。主に精神科外来に通院している精神疾患の方で、主治医が許可した求職者に対して提供されるものです。
このプログラムを通じて、職場への適応をスムーズにするとともに、症状の再燃を防ぐことが期待されます。

調査結果は、以下の通りです。

図1

医師の6割以上は、「ある程度こなしていく」と回答

  • 60代男性 精神科 ある程度こなしていく
    デイケアの就労支援(復職支援)プログラムは、障害者職業センターで行っているガチガチの「職業リハビリテーション」と同様のものも、ひとりひとりの回復程度に合わせて柔軟に提供するものもあり、一概には論じられないのが現状です。
  • 40代女性 精神科 ある程度こなしていく
    患者さんのもともともっている作業能力や特性にもよりますが、就労支援プログラムに参加する時点である程度の回復が認められているので、ある程度はこなせていく方が多いですね。
  • 40代男性 精神科 ある程度こなしていく
    うつ病の概念が広いため一概には言えませんが、古典的なうつの場合には治療とともにしっかりこなされていくことが多い印象があります。
  • 60代男性 精神科 あまりこなせない
    就労支援を施行しているところまで通うのが一苦労です。そこでの人間関係がまた様々でそれをこなすことがまた苦労です。ある程度一様の人たちが数的にまとまるとよいが田舎では難しいかと。
  • 50代女性 精神科 あまりこなせない
    復職できていない場合うつ状態が遷延しているケースが多く、負荷の増加によって休みがちになることがある。
  • 40代男性 精神科 こなしていく
    逆に言えば、できるようになるくらいまで回復しないと、リワークは勧めません。リワークで失敗体験を経験することは、自信喪失につながりますから。

6割以上の医師が、うつ病の方が復帰する際に、デイケア就労支援プログラムを「ある程度こなしていく」と回答しました。

「就労支援プログラムに参加する時点である程度の回復が認められている」というコメント通り、主治医の許可があってプログラムに参加しているため、参加している時点で、ある程度復帰のための準備状態ができているようです。
ただ、うつ病の遷延やリワークの失敗などがあると、プログラムをこなせないこともあるようです。

精神障害者保健福祉手帳とは?

次に、皆さんは精神障害者保健福祉手帳をご存知でしょうか?
厚生労働省が提供している「みんなのメンタルヘルス」によれば、以下のように説明されています。

精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。精神障害者の自立と社会参加の促進を図るため、手帳を持っている方々には、様々な支援策が講じられています。

引用:みんなのメンタルヘルス総合サイト -厚生労働省

そんな精神障害者保険福祉手帳を持つ方の就職状況についても、調査しました。

図2
  • 50代男性 精神科 やや就職しにくい
    障害者枠で就職する場合、やはり就労時間単価が安いことがネックになります。手帳を持っていることをふせて一般枠での就労は、不安感が増大して、なかなか就労に結びつかないことが多いです。
  • 60代男性 精神科 やや就職しにくい
    一般就労を目指していても、最終的にはA型作業所かB型作業所でやっと仕事が続く人も多く見かけます。
  • 50代男性 精神科 やや就職しやすい
    障害者枠の求人があるので、合う人には良いと思います。ただ障害者枠に拒否的な人もいるし、そもそも障害者枠の求人は少ないので、就職しやすくなる印象も少ないです。
  • 30代男性 精神科 やや就職しやすい
    障害者として就職するチャンスが多くなるのですが、障害者でない方と同じという訳にはなかなかいきません。
  • 50代男性 精神科 就職しにくい
    てんかんで手帳を持っている人は就職しやすいが、そうした人で真に精神病性の症状を持っている場合は、就職しにくいです。他の精神疾患の場合、就労継続が難しいですし、発達障害も、よほどの支援体制をとっている会社でも、適材適所とはなりにくい状況です。
  • 50代男性 精神科 就職しにくい
    やはり、病前の給与水準などを考えると本人希望とのミスマッチが多いです。その摺り合わせと現実受容との時間がかかります。
  • 60代男性 精神科 就職しやすい
    きちんとした制度が利用できますから、当然、手帳を持って、それを利用する方が有利です。いずれにしろ、障害程度にはよるのですが。

調査の結果、「就職しにくい」「やや就職しにくい」と「就職しやすい」「やや就職しやすい」でほぼ半々に分かれました。
精神障害者の場合、障害者雇用枠で就職するチャンスがある一方、ご本人の希望に合う就職とまではいかないケースがあるようです。
自身の障害の程度、希望する条件、会社の支援体制など状況によって就職の難易度は変わってきそうです。

うつ病患者さんの社会復帰の状況は?

最後に、これまで担当したうつ病患者さんが継続して社会復帰できているか聞きました。

図3
  • 60代男性 精神科 ある程度できる
    働きたいようなうつ病患者さんは、まじめな方が多いので、就労制限さえすればわりあい続きます。ちょっとした人間関係のトラブルに弱いのと、労働能力はやはり低下している方が多いので、配慮が必要ですが。
  • 60代男性 精神科 ある程度できる
    不安障害を併発している方で就労支援施設を転々としていましたが、病院、施設、行政の担当者より適宜アドバイスをもらい、現在の就労支援施設に2年勤め、これから一般就労に移るところです。
  • 40代女性 精神科 ある程度できる
    経過中に障害者手帳を取得して無理せず障害者雇用枠で働く人や職業訓練校に通って技術を身につけて社会復帰する方などいろいろいます。
  • 30代女性 精神科 ある程度できる
    病前の社会適応がよい方、家族の疾病理解およびサポートがしっかりとある方、職場の理解がある方は継続して社会復帰しています。
  • 40代男性 心療内科 ある程度できる
    何度も失敗を繰り返しながら、定期的な外来や産業医とのやりとりなどで支えつつ成功して軌道に乗った症例を経験しました。
  • 40代男性 精神科 ある程度できる
    再発・再燃はある程度見越しておく必要がありますので、本人の治療継続もさることながら職場との連携が重要です。
  • 30代女性 精神科 あまりできない
    30代とか40代になって初めてうつ病になった人は復職できる可能性が高いのですが、若いころから繰り返しているタイプは、認知や人格のゆがみが原因のこともあり、復職できないことが多いです。
  • 50代女性 精神科 あまりできない
    精神障害者福祉手帳を取得されている場合、遷延化や、エピソードを繰り返しているケースがほとんどで、就労しても数ヶ月で離職したり、短時間の労働で、安定して就労するのは難しいです。
  • 50代女性 心療内科 あまりできない
    うつ病には執着気質、同調性性格など本人のもともとの性格傾向の関与が大きいので、遷延しやすく回復しにくい側面があります。

6割以上の医師が、うつ病の方の社会復帰は「ある程度できる」と回答しました。
コメントからは、社会復帰に際して周囲や職場の理解、連携が重要そうです。
職業訓練校、障害者手帳、障害者雇用枠などを上手に活用することも社会復帰の助けになりそうです。

うつ病の復職・社会復帰は、ある程度できるが、ケースバイケース

本調査によると、医師の6割以上が、うつ病の社会復帰は「ある程度できる」と回答しました。
デイケア就労支援プログラムは、主治医が許可するまで改善している状態でもあり、ある程度こなしていくようです。
精神障害者保健福祉手帳を持つ方の就職状況は、障害者雇用枠で就職するチャンスがある一方、ご本人の希望に合う就職とまではいかないケースがあるようです。

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