春になり、気温が上がり始めると、花粉症の症状に悩まされる人は多いと思います。
症状は人によって様々ですが、これらに加えて体のだるさを感じる人もいるのではないでしょうか。本当に花粉症とだるさには関係があるのでしょうか。
また、もし花粉症が原因でだるさが引き起こされるのなら、どう対処すればいいのでしょう。
今回は、花粉症はだるさを引き起こすのか、その原因と対処法について一般内科医、耳鼻咽喉科医、アレルギー科医、546名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年3月9日〜3月12日にかけて行われ、内科医、耳鼻咽喉科医、アレルギー科医、計544名から回答を頂きました。
77%の医師が花粉症と身体のだるさは関係ありと回答
春先のだるさは、花粉症と関連性はあるのでしょうか。
もしくは、単に季節の移り変わりによる気温の急激な変化によるものなのか、はたまた忙しい時期ゆえの疲れからくるものなのか。
まずは、花粉症とだるさの関係について医師546名に聞いてみました。
- 50代男性 一般内科 循環器内科 時々ある
基本的に、あれだけくしゃみと鼻水に対応すればだるくなります。抗ヒスタミン剤の副作用もあります。 - 50代女性 一般内科 呼吸器内科 時々ある
炎症を起こしているのですから、だるさを伴うこともあるのでは? - 50代男性 一般内科 時々ある
この症状はしばしば経験します。花粉症症状による生活障害(睡眠障害等)に起因するものと抗ヒスタミン薬等の処方による薬剤性のものと重複している印象があります。 - 50代男性 耳鼻咽喉科 時々ある
アレルギー反応の一つだと考えられますし、鼻閉による睡眠不足でも倦怠感は起こると考えられます。 - 50代男性 一般内科 眼科 時々ある
花粉症でも倦怠感はあります、と説明しますが、感染症の合併もあるので、として決め打ちはしないようにしましょう。 - 50代男性 一般内科 小児科 大いにある
気分的にも憂鬱になるので身体的なだるさを感じてもおかしくはないです。 - 50代男性 アレルギー科,消化器内科,循環器内科,総合診療,精神科 大いにある
疲労感、頭痛、肩こり、なども多いです。 - 50代女性 一般内科 大いにある
倦怠感などの全身症状を伴うことがあります。 - 50代女性 一般内科 ほとんどない
身体のだるさを訴えることはあまりないです。 - 40代男性 耳鼻咽喉科 あまりない
花粉症でだるさは出ないと思います。
医師の回答で一番多かったのが「時々ある」、次いで「大いにある」でした。両方合わせるとなんと77%もの医師が、花粉症によってだるさが引き起こされると回答しています。
医師のコメントでは、花粉症によるだるさの原因が大きく分けて三つ挙げられていました。
- アレルギー反応または炎症によるもの
- 寝不足によるもの
- 内服薬の副作用によるもの
花粉症の主な症状として、鼻づまりがありますが、この症状により夜間に十分な睡眠をとることができずにだるさを感じたり、花粉症の症状を緩和するために服用する薬の副作用としてだるさを感じる人もいるようです。
ただし医師のなかには、感染症の合併の可能性もあることから決めつけはすべきではない、との意見もありましたので、あまりにも身体のだるさが続くようであれば念のため医師の判断を仰ぐとよいでしょう。
適切な症状緩和の方法は花粉に触れないこと
花粉症によってだるさが引き起こされることはわかりましたが、これにはどのように対処したらいいのでしょうか。
「花粉症により体のだるさを訴えた場合、症状緩和に効果的な対処法は?」という質問に対し、以下の選択肢から選び、コメントをいただきました。
- できるだけ花粉に触れないよう防備する
- 抗ヒスタミン薬を服用する
- しっかり食事や睡眠をとる
- 風邪薬を服用する
- その他
以下が結果となります。
- 40代男性 一般内科
花粉症の患者さんが身体にだるさを訴えた場合、症状を緩和するために効果的な対処法はできるだけ花粉に触れないよう防備することです。 - 50代男性 一般内科 呼吸器内科
花粉に暴露しないことが大切ですが、しばしば薬でだるくなっている場合もありますので要注意です。 - 70代男性 一般内科 神経内科
花粉に触れないように防備することです。十分睡眠をとり体を休めることも大事です。 - 40代男性 一般内科 神経内科
できるだけ花粉に触れないよう防備すること、しっかり食事や睡眠をとることです。 - 40代男性 アレルギー科 呼吸器内科
身体を休ませることも必要ですが、抗ヒスタミン剤も有効だと思います。 - 40代女性 一般内科
抗原を避け、薬を内服し、症状がひどいときはしっかり睡眠をとり体力温存することです。また、症状ひどいときは、薬を強くします。 - 50代男性 一般内科,健診・予防医学,循環器内科,リハビリテーション科,産業医
原因除去と抗ヒスタミン薬の服用が基本でしょう。 - 50代男性 一般内科 循環器内科
眠りたくても眠れない場合が多いですが、少しでも休養を取るよう指導します。 - 50代男性 一般内科 循環器内科
花粉症の患者さんが身体にだるさを訴えた場合しっかり食事や睡眠をとることです。 - 50代男性 一般内科 呼吸器内科
花粉に暴露しないことが大切ですが、しばしば薬でだるくなっている場合もありますので要注意です。
医師の回答で最も多かったのは「できるだけ花粉に触れないように防衛する」でした。やはり花粉による症状であるために花粉に触れないことが一番なのかもしれません。
次いで多かったのが花粉症で処方される「抗ヒスタミン薬を服用する」でした。
食事や睡眠を十分にとり体力を回復することが有効であるとのコメントも多かったですが、花粉症の症状が重くてだるい場合は抗ヒスタミン薬などの内服薬を服用することも薦められていました。
ただし、先ほどの調査で「抗ヒスタミン薬等の処方による薬剤性のものと重複している印象があります」という医師のコメントもあり、抗ヒスタミン薬の副作用でだるさが出る可能性も念頭に置く必要はありそうです。
花粉症によるだるさには花粉への対策と体力回復
今回の調査の結果によると、花粉症と身体のだるさの関連性についてはあるとの意見が多数を占め、花粉症によって生じるだるさには、アレルギー反応や寝不足、内服薬の副作用などが影響しているとのことでした。
対処法には「できるだけ花粉に触れないように防衛する」や「抗ヒスタミン薬を服用する」ことが挙げられていました。また、食事や睡眠を十分にとることにより体力を回復することも大事なようです。
基本的には花粉症の対策と似ているように感じられますが、「しばしば薬でだるくなっている場合もある」という意見や、単なる花粉症ではなく「感染症の合併の可能性もある」という意見も見られたことから、ひどい場合には決めつけではなく医師の判断を仰ぐのが良さそうです。