春先、花粉症に苦しむ方は多いのではないでしょうか。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の充血に目の痒み、その症状は多岐にわたりますが、多くの人が共通してこれらの症状に頭を悩ませていると思います。
しかし、これらの症状の他にも花粉症による皮膚炎に悩んでいる方がいるようです。
今回は、皮膚科医195名にそんな花粉症に伴う皮膚炎の症状と適切な処置法について聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年3月19日〜3月22日にかけて行われ、皮膚科医195名から回答を頂きました。
それでは、まず花粉症に伴う皮膚炎は、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。
花粉症に伴う皮膚炎は、肌に痒みや湿疹が現れる
「花粉に伴う皮膚炎が引き起こす症状として多いもの」という質問に対し、次の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。
- 肌に痒みがある
- 湿疹ができる
- 肌ガサガサになる
- 化粧水がピリピリしみる
- 肌の色が他の場所と違う
- その他
以下が結果となります。
- 50代男性 一般内科 皮膚科
まずカサカサ、次いでブツブツ、そして痒みが発症しています。 - 50代男性 一般内科 皮膚科
かゆいからかいて、かくと一層悪化していきます。 - 60代男性 皮膚科
肌はいじらなければ、悪化はしないですが、手が知らぬ間に刺激してしまいます。 - 40代男性 皮膚科
あきらかにかゆみを伴う赤い発疹が出ます。 - 60代男性 皮膚科
花粉皮膚炎も、かゆくて掻いて起こす皮膚炎も原因が異なっても結果は同じです。 - 50代女性 皮膚科
摩擦による肌荒れは赤くなりかさかさ。花粉皮膚炎は、赤くなり痒くなります。 - 40代女性 皮膚科
紅斑や浮腫がメインですが、紅斑が無くても化粧水がしみるなど過敏になっている方も多くおられます。 - 40代女性 皮膚科
眼囲の花粉症皮膚炎では表皮が薄いため、皮膚炎症状が強くでやすいです。 - 20代女性 皮膚科
摩擦でがさつきが起きているのをよく見かけます。 - 50代男性 一般内科 皮膚科
花粉症の目、鼻症状に加えて眼瞼に皮膚炎がある場合に花粉が引き起こしている可能性があります。
花粉症による皮膚炎によって引き起こされる症状として、最も多かった医師の回答は「肌にかゆみがある」であり、その後は「発疹ができる」「肌がガサガサなる」「化粧水がピリピリしみる」がつづきました。
医師のコメントでは「あきらかにかゆみを伴う赤い発疹が出ます」といったものや「かゆいからかいて、かくと一層悪化していきます」というようなものがありました。
どうやら、花粉症に伴う皮膚炎では、肌にかゆくて赤みのある症状が出るようで、もし痒くても皮膚の状態を悪化させないためにできるだけ刺激しないようにすることが薦められるようです。
ほかにも「紅斑や浮腫がメインですが、紅斑が無くても化粧水がしみるなど過敏になっている方も多くおられます」といった医師のコメントもあり、肌が赤くなったり腫れていなくても花粉による刺激が原因で化粧水がしみるようなケースもあるようでした。
では、花粉症によってこのような症状が出てしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
ステロイドやワセリンなどの塗り薬が効果的
「花粉による肌荒れの症状を治療する際、処方頻度の最も多い薬」という質問に対し、次の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。
- ステロイド外用薬
- ワセリンなどの保護薬
- 抗ヒスタミン剤などの内服薬
- ステロイドなどの点鼻液
- その他
以下が結果となります。
- 40代女性 皮膚科 ステロイド外用薬
ステロイド外用薬が第一選択薬ですが、結膜充血を伴えば、点眼薬や抗アレルギー剤内服を追加します。 - 60代男性 皮膚科 ステロイド外用薬
即効性ならステロイド外用ですが長期連用しないため他薬の併用もすすめます。 - 60代男性 形成外科 皮膚科 ステロイド外用薬
顔面に生じた花粉による皮膚炎は、ステロイド外用を使用しますが、花粉症を併発しているので、抗ヒスタミン薬の内服や点眼点鼻は必要です。 - 50代男性 形成外科 皮膚科 ステロイド外用薬
症状がひどければステロイド外用を行いますが、同時に保湿を含めたスキンケアの指導を行います。またそう痒感が強ければ内服も併用しましょう。 - 60代女性 皮膚科 ステロイド外用薬
花粉症の治療で抗ヒスタミン剤は使い、皮膚にはステロイドと、乾燥も伴えば、ワセリン処方します。 - 60代女性 皮膚科 ワセリンなどの保湿薬
明らかに花粉による接触皮膚炎を起こしているときは、ステロイド外用剤を処方します。痒みが強い時は抗ヒスタミン剤を併用、摩擦による「肌荒れ」の時は、ワセリンのみを処方します。 - 50代女性 皮膚科 ワセリンなどの保湿薬
顔面に症状が出ることが多いので、副作用が出やすいステロイド外用は極力使用したくないです。 - 40代男性 皮膚科 ワセリンなどの保湿薬
炎症は抑えられますが、ステロイドのみの外用では余計に乾燥するので、対策をアドバイスします。 - 50代男性 皮膚科 抗ヒスタミン薬などの内服薬
花粉症状そのものを抑えるために、抗アレルギー薬の内服は不可欠ですが、肌荒れの改善には外用ステロイド薬を使います。 - 40代男性 皮膚科 抗ヒスタミンなどの内服薬
ステロイド外用薬や抗ヒスタミン剤の内服薬を処方することもあります。
調査の結果、花粉による肌荒れ症状を治療する際、処方頻度の最も多い薬として医師の回答か多かったのは「ステロイドなどの外用薬」でした。
医師からは「即効性ならステロイド外用」といったコメントや「症状がひどければステロイド外用を行う」というようなコメントを頂きました。
花粉症による肌荒れの症状がひどいときや、すぐに治したいときにはステロイドの塗り薬が効果的なようです。
しかし「副作用が出やすいステロイド外用は極力使用したくないです」といったコメントにあるように、治療が長期にわたるようであれば、副作用が心配されるステロイドの使用は避けたほうがよさそうです。
また「炎症は抑えられるが、ステロイドのみの外用では余計に乾燥する」や「乾燥も伴えば、ワセリン処方します」といったコメントもあるので、ステロイド外用薬だけでなく、ワセリンなどを併用し保湿をすることも重要なようです。
適切な処置を知って、花粉症による皮膚炎に正しく対処しましょう
花粉症に伴う皮膚炎により引き起こされる症状として多く挙げられたのが「肌にかゆみがある」や「発疹ができる」でした。
これらの症状には痒みが伴うことがあるものの、症状を悪化させないためにできるだけ掻かないようにすることが重要であると医師から指摘されました。
また花粉症によって生じる皮膚炎に対して処方頻度の高い薬では、ステロイドやワセリンなどの塗り薬が効果的なようでした。特にステロイドは効果が強く即効性であるために、症状が重いときやすぐに治したいときに適しているようです。しかし同時に、ステロイドは副作用の観点から短期間にとどめることやワセリンなどの保湿剤の併用が医師から推薦されました。
花粉によって生じてしまう皮膚炎、適切な処置を知って正しく対処したいものですね。