何度もトイレに行き、トイレから出ることが難しくなってしまうつらい下痢の症状。その原因は、もしかするとストレスが原因かもしれません。
そもそもストレスが原因で下痢になることはあるのでしょうか。もしストレスが原因なら、症状を緩和する方法は?
そこで今回は、ストレスと下痢について医師532名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年4月1日〜4月4日にかけて行われ、一般内科医、消化器内科医、計523名から回答を頂きました。
ストレスが原因で下痢になることは「ある」
- 50代男性 一般内科 たまにある
過敏性腸症候群が相当します。 - 50代男性 一般内科 循環器内科 たまにある
ストレスが原因で下痢になることはあります。 - 50代男性 アレルギー科 一般内科 たまにある
過敏性腸症候群ではあり得ると思います。 - 50代男性 一般内科 たまにある
過敏性腸症候群などは、ストレスの影響を受けます。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 大いにある
過敏性腸症候群など、大いにあると思います。 - 40代男性 一般内科 大いにある
自分自身でも経験します。 - 50代男性 一般内科 大いにある
自身がそうです。ストレスが多く疲れると即下痢です。現代日本は便秘には優しい(数が圧倒的に多い)が下痢には理解が乏しい社会ですから大変です。 - 40代男性 一般内科 あまりない
ほかにも、食習慣などの原因もあることが多いです。 - 50代男性 一般内科 あまりない
あり得るとは思いますが、言うほどないです。 - 50代男性 一般内科 ほとんどない
ゼロではないと思いますが少ないです。
「ストレスが原因で下痢になることはあるか」という質問に対し、80%もの医師が「ある」と考えていることがわかる結果となりました。
医師からは「過敏性腸症候群ではあり得る」、「過敏性腸症候群などはストレスの影響を受ける」といった指摘が多く挙げられました。
また、「自分自身でも(ストレスが原因で下痢を)経験します」といった、医師自身の実体験も踏まえたコメントも見られました。
また、多くの医師から指摘されているように、ストレスによる下痢と過敏性腸症候群は深い関係性にあるようです。
過敏性腸症候群とはどのような疾患なのでしょうか。日本大腸肛門病学会では下記のように説明されています。
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome :IBS)は、大腸および小腸に潰瘍や腫瘍などの器質的異常がないにもかかわらず、下痢、便秘などの便通異常と腹痛、腹部膨満感などの腹部症状を呈する症候群です。〔中略〕過敏性腸症候群の発症あるいは症状増悪の原因としては身体的、精神的ストレスが大きく関与しています。遺伝的因子、生育環境などの背景により素因や性格が形成され、腸管の過敏性が生じます。そこに身体的、精神的ストレスが加わり、腸管の機能異常が発生し、下部消化管を中心とした種々の症状が生じます。すなわち、腸管の痙攣性収縮や弛緩障害をはじめとする運動機能の異常と中枢および末梢の感覚機能の異常が病態を形成すると考えられています。
引用:日本大腸肛門病学会 大腸・肛門の病気について
それではストレスが原因の下痢では、どのように症状を緩和させればいいのでしょうか。医師に聞いてみました。
ストレスによる下痢には気分転換や規則正しい生活を
「ストレスが原因の下痢症状を緩和する方法は?」という質問に対し、次の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。
- 気分転換をする
- 消化に良い食事をとる
- 下痢止めを服用する
- 整腸剤を服用する
- 心療内科や精神科を受診する
- 規則正しい生活を送る
- その他
以下が結果となります。
- 50代男性 一般内科
可能な限りストレス解消に努めましょう。 - 50代男性 一般内科
消化の良い食事と受診し、ストレスマネジメントすることが大切です。 - 40代男性 一般内科 神経内科
規則正しい生活とストレスを避けることが一番重要かと思います。 - 50代女性 一般内科 一般外科
一番は規則正しく、日の光を浴びるなどでしょう。 - 50代男性 一般内科 呼吸器内科
運動と生活リズムを乱さないことが重要です。 - 50代男性 一般内科
生活指導と整腸剤で様子を見ます。 - 40代女性 一般内科
睡眠をとるなど、体と心を休めることだと思います。 - 50代男性 一般内科 循環器内科
とりあえず整腸剤を服用です。 - 50代男性 一般内科 消化器内科
- まずは整腸剤、必要に応じて止痢剤。
- 50代男性 一般内科
器質的疾患がなければ食事に注意し、整腸剤をとってだましだましやっていくしかありません。あとトイレの場所を把握しておくことでしょうか。
本調査では、「気分転換をする」「規則正しい生活を送る」「整腸剤を服用する」の3つが上位を占めました。
医師からは規則正しい生活や、ストレス解消を推奨する声が多く挙がりました。
つまり症状そのものに対処するというより、原因を取り除くことが重要視されていることがわかります。
また、「生活指導と整腸剤で様子を見ます」といった意見も頂きました。
規則正しい生活に努めつつ、必要であれば整腸剤なども処方されるようです。
そんなストレスによる下痢ですが、病院に行ったほうがよいのでしょうか。
半数以上が「症状が続くようであれば受診すべき」と回答
- 50代男性 一般内科 アレルギー科 症状が続くようであれば受診すべき
重症感がある場合は受診でよいと思います。 - 50代女性 一般内科 症状が続くようであれば受診すべき
余病の合併があるかもしれないので。 - 40代男性 一般内科 呼吸器内科 症状が続くようであれば受診すべき
一過性のこともあるので少し経過をみてもいいと思います。 - 70代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診すべき
ストレスによるものか正しく判断するためにも受診するべきだと思います。 - 60代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診すべき
続くようなら、他の疾患を除外する意味で受診です。 - 50代男性 消化器内科 一般外科 どちらでもよい
ストレスの程度と下痢の程度で考えます。 - 60代男性 一般内科 どちらでもよい
ストレスが原因と思うなら、内科や消化器科ではなく心療内科です。 - 40代男性 一般内科 神経内科 どちらでもよい
その下痢が改善しないようであれば、別の鑑別診断のために受診するべきと思います。 - 50代女性 一般内科 受診しなくてよい
ストレスが原因であれば、様子を見ます。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 受診しなくてよい
ストレスをとりのぞくのが一番の治療と思います。
「ストレスがかかっている時に下痢になった場合、病院を受診すべきか」という質問に対し、63%と半数以上の医師が「症状が続くようであれば受診すべき」と回答しました。
医師のコメントでは、他の疾患を除外する意味で受診をすすめる意見が散見され、症状の改善を目的というよりは、ストレス以外の原因なのかを判断するために受診をすすめているようでした。
また、どちらでもよいと回答した医師からは「ストレスが原因と思うなら、内科や消化器科ではなく心療内科です」とコメントを頂きました。
原因を取り除かなければ改善に繋がらないため、ストレスそのものに対処しなければならないようです。
最後に、病院で診察を受ける場合はどの診療科を受診することが最適なのでしょう。ストレスに対処するためには、心療内科がいいのでしょうか。
ストレスによる下痢に最適な科は「一般内科」、「消化器内科」
- 50代男性 一般内科 呼吸器内科 「一般内科」
まずは一般内科で良いと思います。いつもより続くようであれば消化器科コンサルトかと。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 「一般内科」
一般内科にかかりそこから専門科への振り分けが望ましいです。 - 40代男性 一般内科 「一般内科」
まずは鑑別のため一般内科がいいと思いますが、大体は消化器内科に行く人が多いでしょう。 - 60代男性 一般内科 呼吸器内科 「一般内科」
内科でまずストレスによるものかの判断が必要ではないでしょうか。 - 50代男性 一般内科 「一般内科」
一般内科が鑑別の上で必要であれば消化器内科か精神科に紹介するのが妥当だと思います。 - 50代女性 一般内科 一般外科 「消化器内科」
原因がストレスかどうかわからないので、まずは消化器科です。 - 70代男性 一般内科 神経内科 「消化器内科」
他の病気の鑑別のためにも消化器内科が良いです。 - 40代男性 アレルギー科 一般内科 「消化器内科」
本当にストレスが原因かどうかも含めてしっかり診断を受けるには、やはり消化器内科だと思います。 - 50代男性 一般内科 「心療内科」
ストレスと分かっているのならば心療内科です。 - 50代男性 一般内科 「心療内科」
ストレスコントロールが重要なので。
今回の調査では、「一般内科」が40%、「消化器内科」が37%と主に内科へ支持が集まる結果となりました。
また、医師からはストレスによるものなのかの判断をする必要があるとの意見が多数見られました。
心療内科と回答した医師からは「ストレスと分かっているのならば心療内科です」とコメントを頂きました。
基本は一般内科や消化器内科に受診し、原因がストレスと分かっているのなら心療内科に受診した方がいいようです。
ストレスが原因の下痢には、まずはストレス解消を
本調査では、80%もの医師がストレスにより下痢が起こることがあると考えていることが判明しました。対処法としては気分転換や規則正しい生活を送るなど、ストレス自体を解消することが重要となっているようです。
また、症状が続くようであれば受診をすすめる結果となりました。その際最適な診療科は「一般内科」または「消化器内科」に支持が集まりました。
本当にストレスが原因なのか、ストレスではなく別の原因があるのかを鑑別する必要があるようです。
まずは、そもそもストレスを溜めてしまわないよう、自分なりの気分転換の方法を見つけ、ストレスを原因とする下痢にならないよう、気をつけていきましょう。