下痢の症状が起きてから、体重が減った、痩せたと感じたことのある方もおられるのではないでしょうか。
つらい下痢ですが、場合によっては食欲不振なども現れるため、栄養状態の悪化も考えられるかと思います。
参考:下痢|国立がん研究センター
また、インターネット上ではダイエットをしていたら下痢になったとのうわさもあります。このようなことは本当にあるのでしょうか。
そこで今回は痩せることと下痢の関係性について、一般内科医、消化器内科医、532名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年4月8日〜4月11日にかけて行われ、一般内科医、消化器内科医の計532名から回答を頂きました。
下痢になることによって痩せることは「ある」と7割の医師が回答
まずは、下痢になることによって痩せることはあるのか医師に聞いてみました。
- 40代男性 消化器内科 たまにある
一時的にはあります。継続的な下痢は明らかに病気であり、痩せることは低栄養状態を指します。 - 50代男性 アレルギー科 一般内科 たまにある
下痢が続けば痩せると思います。その時には嘔気があったり、食欲も低下していると思いますので、その点でも痩せると思います。 - 50代男性 消化器内科 救急医療科 たまにある
下痢によって脱水になり体重が減ります。病的な下痢により吸収障害となり体重が減ります(こちらは痩せます)。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 たまにある
痩せると言うより、脱水で見かけの体重が減るだけですね。その後、何日か食べられない場合は最終的に飢餓的な感じで痩せることはあります。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 大いにある
脱水と栄養摂取の低下により体重減少が起こります。 - 30代男性 一般内科 大いにある
水分喪失により体重減少が認められることは頻繁にあります。消耗によって結果的に体重が減ることはまあまああります。 - 30代男性 一般内科 神経内科 大いにある
一時的には脱水による体重減少、長期的(数日間まともに食べられない場合)には痩せてくるということは良く経験します。 - 50代男性 一般内科 神経内科 あまりない
体液の喪失によって一時的に体重は減少しますが、水を飲めば戻るので痩せたことにはならないのではないかと思います。 - 50代男性 アレルギー科 一般内科 あまりない
脱水になって一時的に体重が減少することはありえますが、下痢持続で体重が減少するとなると、痩せるというより生命の危険が先に立ちます。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 ほとんどない
痩せる定義によりますが、痩せるが体脂肪の減少を意味するなら、下痢してもすぐに体脂肪は減少しません。
調査の結果、下痢になることによって痩せることは「ある」と答えた医師が70%以上となりました。
医師のコメントでは「下痢によって脱水になり体重が減ります」、「痩せると言うより、脱水で見かけの体重が減るだけ」といった、脱水症状によって体重が減るとの意見が散見されました。
また、「継続的な下痢は明らかに病気であり、痩せることは低栄養状態を指します。」「下痢が続けば痩せると思います。その時には嘔気があったり、食欲も低下していると思いますので、その点でも痩せると思います。」など、食事が食べられないことや栄養状態が悪いことにより体重が減るとの指摘がありました。
以上の医師のコメントから、下痢による脱水症状や嘔吐、食欲不振などが原因で体重が減少することがわかります。
ただし、痩せるというよりは、病的なものですので、下痢の症状が出たときは水分補給や食事をしっかりと摂っていきたいですね。
それではインターネット上でうわさされているダイエットと下痢の関係性ですが、ダイエットが原因で下痢になることはあり得るのでしょうか。こちらも聞いてみました。
ダイエット方法によっては、下痢になりえる
「ダイエットが原因で下痢になることはありますか」という質問に対し、たまにある、大いにあると回答した医師が48%、あまりない、ほとんどないと回答した医師が52%と回答が大きく2つに分かれる結果となりました。
それでは医師のコメントを見ていきましょう。
「ダイエットが原因で下痢になることはたまにある、大いにある」
- 60代男性 一般内科 神経内科 たまにある
食材でたまに生じます。また、ダイエット目的で下剤服用を行う場合では生じます。 - 40代男性 アレルギー科 一般内科 たまにある
ダイエットによる腸内細菌のアンバランスです。特に糖質制限ダイエットなど主食を抜くようなダイエットで下痢をする人の場合、主に腸内細菌のバランスが急激に崩れることが原因だと言われています。 - 60代男性 一般内科 消化器内科 たまにある
過度なダイエットは自律神経を撹乱し下痢をおこすことがあります。 - 50代男性 一般内科 神経内科 たまにある
ダイエットサプリメントなどで下痢になることがあります。 - 50代男性 一般内科 たまにある
サプリに下剤が入っているのを知らないこともあります。 - 40代男性 一般内科 たまにある
例えば、カプサイシンなどの刺激性成分を含んだ食物を極端に多く食べたり、水分を極端に多く摂取したりする場合には、下痢の頻度が多くなるような気がします。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 大いにある
野菜などの繊維物ばかり取っていると下痢になります。 - 60代男性 一般内科 一般外科 大いにある
市販の下剤やサプリメントの下痢剤を使って痩せる目的で、下痢になっている若い女性は時々診ます。
「ある」と回答した医師のコメントでは、下痢になる原因として、
- ダイエット目的での下剤服用
- ダイエットサプリメントに含まれる下剤
- 偏った食事(主食抜き、野菜などの繊維物、刺激性成分を含んだ物ばかり食べる等)による腸内細菌のバランスの崩れ
- 過度なダイエットによる自律神経の錯乱
などが挙げられました。
過度なダイエットやサプリなどに含まれる下剤が原因で下痢を引き起こすことがあるようです。
また、糖質制限ダイエットなどでは腸内環境のバランスを崩す恐れがあるとの指摘もあり、医師のコメントを踏まえると、ダイエットによる体への影響も考えないといけないようです。
それではあまりない、ほとんどないと回答した医師のコメントを見ていきましょう。
「ダイエットが原因で下痢になることはあまりない、ほとんどない」
- 50代男性 一般内科 消化器内科 あまりない
ダイエットの方法によりますが、本当は下剤の効果がある成分をダイエットに効くということで食品やサプリメントに入っていると当然下痢します。長期間下痢をすれば余分な糖分や脂肪を吸収することも少なくなると思いますが、必要なビタミンその他の栄養素も吸収が少なくなり、健康に悪いダイエットといえます。 - 60代男性 一般内科 循環器内科 あまりない
ダイエットのサプリの中には下痢を引き起こすものはありますが、通常の健康的なダイエットをしている限り、下痢となることはあまりないです。 - 30代男性 一般内科 小児科 あまりない
ダイエット目的で内服している薬や人工甘味料が多く入った飲料などでは、摂取量が多いと下痢になることはあります。 - 60代男性 一般内科 神経内科 ほとんどない
食べないと便秘になりやすいです。下剤か繊維質でダイエットすると下痢になります。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 ほとんどない
極端なダイエットの結果(栄養失調等)、下痢になることはありえると思います。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 ほとんどない
反対に下痢でダイエットになることはあります。
「ない」と回答した医師は、「通常の健康的なダイエットをしている限りは下痢になることはあまりない」「極端なダイエットの結果(栄養失調等)では下痢になることはありえる」「食べないと便秘になりやすい」などのコメントを頂きました。
また、「ダイエット目的で内服している薬や人工甘味料が多く入った飲料などでは、摂取量が多いと下痢になることはあります」とした指摘も頂きました。
頻度としては「あまりない」、「ほとんどない」とした医師からもやはり過剰なダイエットなどでは下痢を引き起こす可能性を指摘する声が聞かれました。前項と同じく、ダイエットでは体にどのような影響を与えるのかを考えなければならないですね。
極端なダイエットは控えましょう
本調査では、下痢による脱水症状によって一時的な体重の減少と、嘔吐、食欲の低下、下痢が長期的に続く場合は、一時的でなく痩せることはあるようでした。
また、ダイエットが原因で下痢になることはあるかについては、医師の間でも意見が分かれました。
しかし医師のコメントを見る限り、ダイエット方法によりますが、ダイエット目的での下剤を含んだものの摂取、または偏った食事によって下痢になることはあるようでした。
痩せる際は、過度なダイエットは控え、健康的に痩せられる方法を見つけるようにしましょう。