下痢や便秘を繰り返す過敏性腸症候群って?医師537名に聞いてみました

下痢と便秘
今回の調査では、下痢と便秘を繰り返す患者さんの中で過敏性腸症候群を患っている人の割合はどれくらいなのかという質問に対し、全体の3分の2の医師の方々が、0%〜40%と回答。また、過敏性腸症候群の対処に必要な薬は何かという質問に対しては、腸の運動を整える消化管運動調節薬や、腸内菌叢の異常を改善してくれる乳酸菌製剤などが効果的であるという意見が多い結果となりました。
下痢
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下痢に悩まされて突然トイレへ駆け込まなければいけない、かと思えば何日も便が出ないといった症状に繰り返し悩まされてしまう。
もしかしたらそれ、過敏性腸症候群かもしれません。
腸に炎症や腫瘍などはないものの、ストレスなどが原因で下痢と便秘を繰り返すなんとも煩わしい症状に、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、下痢と便秘を繰り返す過敏性腸症候群の特徴や、その対処法について、一般内科医、消化器内科医、計537名の方々に聞いてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年4月2日〜4月5日にかけて行われ、一般内科医、消化器内科医、計537名から回答を頂きました。

過敏性腸症候群とは?

まずは、過敏性腸症候群という病気についておさえておきましょう。済生会のホームページでは、以下のように説明されていました。

過敏性腸症候群はこんな病気

過敏性腸症候群とは、原因の心当たりがなく、検査をしても炎症や腫瘍などの異常が見つからないのに、下痢や便秘、腹痛などを繰り返す病気です。
数ある消化器疾患のなかでも非常に頻度の高い病気の一つで、先進国で多く、日本人の10~15%に認められるともいわれています。命にかかわるような病気ではありませんが、慢性的な下痢や便秘の持続、腹痛や腹部の不快感を伴うため、人知れず悩んでいる人が多くいます。ストレス・不安・緊張などの精神的に負担がかかる状況や、疲労の蓄積、睡眠不足などで症状が悪化するのも大きな特徴です。また、全身症状として、頭痛、めまい、疲労感、不安感などを伴うこともあります。
過敏性腸症候群はその便通状態から、下記の3タイプに分けられます。タイプに男女差があるのは、腸の働きに性ホルモンが関係しているためでないかと考えられています。

下痢型:突如起こる下痢が特徴で、若い男性に多い
便秘型:腸で便が停滞し、便意があってもコロコロとした固い便になる。年配女性に多い
混合型:下痢と便秘を交互に繰り返す

引用:社会福祉法人恩賜財団済生会 過敏性腸症候群

それでは、下痢と便秘を繰り返す方の中で、どのくらいこの過敏性腸症候群を患っているのでしょうか。医師に聞いてみました。

下痢と便秘を繰り返す患者さんの中で、過敏性腸症候群の人はどれくらい?

図1

  • 50代女性 一般内科 20%〜40%
    過敏性腸症候群はそう多くない印象です。
  • 50代男性 一般内科 消化器内科 20%〜40%
    年齢にもよるので一概には言えませんが、そのくらいかなと思います。
  • 40代男性 一般内科 消化器内科 20%〜40%
    一般に慢性便秘の症状であるため、IBS(過敏性腸症候群)とは言い切れません。
  • 40代女性 一般内科 0%〜20%
    過敏性腸症候群の場合は下痢なら下痢だけ、便秘なら便秘だけの方のほうが多いです。
  • 40代男性 一般内科 0%〜20%
    当院は高齢者が多いので、過敏性腸症候群を患っている方に会う頻度は少ないです。
  • 60代男性 一般内科 0%〜20%
    精神的要素が影響している場合と内服薬の服用方法の理解の間違いで引き起こされた場合とを考えます。また、感染の有無を確認して判断します。
  • 40代女性 一般内科 リハビリテーション科 0%〜20%
    そういった患者さんには滅多に遭遇したことはありません。
  • 30代女性 一般内科 精神科 40%〜60%
    患者さんの話しをよく聞くと、市販の下剤を乱用していたりする人もいます。
  • 30代女性 一般内科 呼吸器内科 40%〜60%
    便秘と下痢の頻度などにもよりますが、体感的には半分くらいかと考えています。
  • 40代男性 一般内科 呼吸器内科 60%以上
    ひょっとしたら炎症性腸疾患を見落としている可能性はあると思います。
  • 60代男性 一般内科 小児科 60%以上
    便秘と下痢を繰り返す人の大部分は、過敏性腸症候群だと思います。
  • 40代男性 一般内科 神経内科 60%以上
    かなりの確率でIBS(過敏性腸症候群)と診断している印象があります。

今回調査したうち、およそ3分の2の医師が、下痢と便秘を繰り返す患者さんの中で、過敏性腸症候群を患っている人はそれほど高くない(0%〜40%程度)と回答していました。
先に紹介した通り、過敏性腸症候群は便秘と下痢を繰り返す症状を呈しますが、便秘と下痢を繰り返すことが、必ずしも過敏性腸症候群であるということにはつながらないようです。
医師からも、「一般に慢性便秘の症状であるため、IBS(過敏性腸症候群)とは言い切れません」といったコメントを頂きました。

たとえ便秘や下痢の症状に罹ったとしても、炎症性腸疾患や慢性便秘の可能性もあるようなので、一概に過敏性腸症候群とは言い切れないようです。

さて、もし過敏性腸症候群になってしまったら、どんな薬がよいのでしょうか。
こちらも医師に聞いてみました。

過敏性腸症候群はどの薬で対処すれば良いのか?

「過敏性腸症候群の患者さんに処方する頻度が高い薬は?」という質問に対し、医師の方々には次の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。

  • 高分子重合体
  • 消化管運動調節薬
  • 乳酸菌製剤
  • 下剤
  • 抗コリン剤
  • 抗うつ薬
  • 抗不安薬
  • 漢方薬
  • その他

以下が結果となります。

図2

  • 60代男性 一般内科 循環器内科 消化管運動調節薬
    過敏性腸症候群の患者さんに処方する薬のうち、消化管運動調節薬の処方をおすすめすることが多いです。
  • 50代男性 一般内科 アレルギー科 感染症科 消化管運動調節薬
    腸管の運動を制御する薬剤を出すことが多いように思います。
  • 30代男性 一般内科 循環器内科 乳酸菌製剤
    まずは整腸剤である乳酸菌製剤での対応をとることが基本だと思います。
  • 40代女性 一般内科 乳酸菌製剤
    軽い物なら乳酸菌製剤だけでよいのですが、生活に支障が出るようなら、消化器内科に紹介します。
  • 60代男性 一般内科 循環器内科 高分子重合体
    高分子重合体と抗うつ薬の併用が有効だと思います。
  • 50代男性 一般内科 神経内科 高分子重合体
    下痢型か便秘型、両方ある場合などそれぞれの状況によって使い分けをします。さらに、症状によって内服薬を変えたりもしますので、自覚症状によって内服を変更するよう指導もしたりします。
  • 30代男性 一般内科 リウマチ科 漢方薬
    漢方は使うことが多い気がします。
  • 40代男性 消化器内科 抗コリン剤
    下痢がひどい方は抗コリン剤を服用することが多いです。
  • 60代男性 一般内科 抗コリン剤
    下痢タイプの方は抗コリン剤が良いのではないでしょうか。
  • 50代男性 一般内科 心療内科 抗不安薬
    抗不安薬が一番効果があると思いますが、依存性が欠点です。
  • 30代男性 一般内科 精神科 抗不安薬
    まずはメンタルかなと思います。
  • 60代男性 一般内科 循環器内科 リハビリテーション科 抗うつ薬
    精神的な安定がよき薬です。

腸の運動を整える消化管運動調節薬と、腸内菌叢の異常を改善してくれる乳酸菌製剤をすすめる医師が合わせて全体の3分の2程度いらっしゃいました。

また、医師からは「下痢型か便秘型、両方ある場合などそれぞれの状況によって使い分けをします」というコメントを頂きました。
過敏性腸症候群の中でも、特に便秘がひどいのか、下痢がひどいのかによって、薬が分かれているようです。

その中でも、下痢がひどい方は抗コリン剤を服用することが特におすすめと回答する医師もいました。
なかには、抗不安薬や抗うつ薬を服用をすすめる方が数名いました。しかし、抗不安薬は依存性があるとの指摘もあり、使用する場合は注意が必要のようです。

過敏性腸症候群を疑ったら、医師に診てもらい適切な対処を

本調査によれば、下痢と便秘を繰り返す患者さんの中で、過敏性腸症候群を患っている人の割合は0%〜40%だという意見が最も多く、その対処に必要な薬は、腸の運動を整える消化管運動調節薬や、腸内菌叢の異常を改善してくれる乳酸菌製剤などが効果的であるということが分かりました。
調査結果を踏まえると、過敏性腸症候群は下痢と便秘を繰り返すといった症状がありますが、下痢と便秘を繰り返すからといって、必ずしも過敏性腸症候群というわけではなさそうです。
もし過敏性腸症候群を疑い、症状がひどい場合は、自分で対処するのではなく、一度医師に診てもらうのがよさそうです。

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