さまざまな原因によって起こりえる胃痛。なかには空腹の時だけ胃が痛むなんて方もいるようです。
このような場合に病院を受診すべきなのか、医師の間ではどのように考えられているのでしょうか。また、何の病気である可能性が高いのかも知っておきたいところです。
そこで今回は、「空腹時の胃痛は病院を受診すべきなのか」、「空腹時に起こる胃痛の原因として多い病気は何なのか」について医師522名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年5月6日〜5月9日にかけて行われ、一般内科医、消化器内科医の計522名から回答を頂きました。
空腹時の胃痛は「症状が続くようであれば受診すべき」と81%の医師が回答
- 40代女性 消化器内科 症状が続くようであれば受診すべき
3日以上持続するようなら受診をおすすめします。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 症状が続くようであれば受診すべき
胃潰瘍、十二指腸潰瘍では空腹時痛を我慢すると吐血・下血・十二指腸穿孔の危険性があります。 - 50代男性 一般内科 消化器内科 症状が続くようであれば受診すべき
症状が持続するようなら、持続的に胃内が過酸になっている可能性が高く、精査が必要となる場合が多いと考えます。 - 40代男性 消化器内科 症状が続くようであれば受診すべき
いつも同じですが、直ちに受診すべき場面はめったにありません。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診すべき
やはり吐血などへ移行すると症状が長引く可能性があるとおもいます。 - 30代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診すべき
逆流性食道炎、消化性潰瘍など、さまざまです。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診すべき
1~2日は様子をみてよいと思います。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診すべき
空腹は特に気にしません。胃痛の程度がひどければ受診が必要です。 - 60代男性 一般内科 すぐ受診すべき
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の初期症状かもしれません。 - 40代女性 一般内科 どちらでもよい
食欲あるのでしたら、受診不要ではないでしょうか。 - 50代男性 一般内科 受診しなくてよい
水分を摂れば胃痛は治まることが多いと思います。
「空腹時の胃痛は病院を受診すべきですか」という質問に対し、81%の医師が「症状が続くようであれば受診すべき」との見解を示しました。
医師のコメントからは、空腹時の胃痛の場合、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の可能性があり、我慢すると吐血・下血・十二指腸穿孔の危険性があるとの指摘を頂きました。
また、逆流性食道炎の可能性もあると述べた医師もいらっしゃいます。
このようにさまざまな病気が考えられるようですし、あまり我慢して放置しておくのは良くなさそうです。
なかには、「3日以上持続するようなら受診」とのアドバイスや、「1~2日は様子をみてよい」とのコメントも頂きました。受診の目安にしてみてはいかがでしょうか。
空腹時の胃痛は、「十二指腸潰瘍」の可能性が最も高い
先ほどの調査によると、空腹時に胃痛がする場合、症状が続くようであれば受診すべきということがわかりました。では、そんなとき、どのような病気の可能性が高いのでしょうか。こちらも合わせて聞いてみました。
「空腹時に起こる胃痛の原因として多い病気は何ですか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらいコメントを頂きました。
- 急性胃炎
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 逆流性食道炎
- 食道裂孔ヘルニア
- 過敏性腸症候群
- 胃がん
- 神経性胃炎
- 感染性胃腸炎
- 膵炎
- 胆石症
- 狭心症
- 消化不良
- その他
以下が結果となります。
- 50代男性 一般内科
空腹時の心窩部痛は十二指腸潰瘍と教えられました。 - 50代男性 一般内科
全ての疾患が鑑別対象になり得ます。一般内科医はスクリーニングの中で内視鏡を中心とした消化器内科への対診を躊躇すべきではないと考えます。 - 50代男性 一般内科 消化器内科
空腹時痛は、胃内が過酸になって生じます。胃潰瘍が多いとされますが、頻度としては、急性胃炎が最も多いと思います。 - 40代女性 一般内科
起床時に多い場合には逆流性食道炎をおおいに疑います。 - 40代男性 一般内科
胃痛が発生する部位や種類、症状のあらわれ方や程度はそれぞれで原因が異なります。 - 70代男性 一般内科 消化器内科
潰瘍以外はほとんどが食後か、時間に関係しない痛みです。 - 70代男性 一般内科
喫煙者の胃痛は油断がなりません。 - 50代男性 一般内科
特にいろいろな疾患が関連し、しかも2種類以上が併存することが多いと思います。 - 40代男性 一般内科
癌はいろいろなサインを長期間にわたって静かに出し続けています。軽微というか我慢できる程度なために見過ごすことが怖いです。 - 50代男性 一般内科 消化器内科
所謂胃酸過多症状なので胃炎や胃潰瘍が多いです。
「空腹時に起こる胃痛の原因として多い病気は何ですか」と質問をしたところ、最も多いのが「十二指腸潰瘍」、続いて「胃潰瘍」が多いとの結果となりました。
医師に多く選ばれた「十二指腸潰瘍」と「胃潰瘍」については以下のホームページで説明されています。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは
胃・十二指腸潰瘍とは胃および十二指腸の粘膜筋板より深部に達した組織欠損である。急性胃・十二指腸粘膜病変として発症する急性型と、長年にわたり再発と治癒を繰り返す慢性型がある。
引用:胃・十二指腸潰瘍|今日の診療サポート
医師のコメントによれば、起床時に多い場合は逆流性食道炎、空腹時の心窩部痛(みぞおちの痛み)は十二指腸潰瘍、食後か時間に関係のなく痛む場合は潰瘍以外、との様々な意見が寄せられました。
これらの特徴が出ている場合は、その条件に合致している疾患の可能性があり そうですね。
なかには2種類以上の疾患が併存すると考えている医師もおられました。空腹時に胃痛がするからといって、原因は一つとは限らないようです。
さらに、喫煙者の胃痛は油断ならないとした医師もおり、喫煙者の場合は非喫煙者の場合よりも注意が必要なことが窺えます。
また、「癌はいろいろなサインを長期間にわたって静かに出し続けています。軽微というか我慢できる程度なために見過ごすことが怖いです」とのコメントも寄せられました。
我慢できるからといって放っておいたら病気の発見が遅れることになりかねず、注意が必要そうです。
最も可能性の高い病気は、「十二指腸潰瘍」。症状が続く場合は受診を。
本調査によれば、空腹時の胃痛は症状が続く際は受診すべきとの結果となりました。
医師のコメントによると、このような空腹時の胃痛では、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の可能性があり、我慢すると吐血・下血・十二指腸穿孔の危険性があるようです。
続いて、空腹時に起こる胃痛の原因として多い病気は、「十二指腸潰瘍」が最も支持を集め、その後を「胃潰瘍」が続きました。医師のコメントによれば、起床時に多い場合は逆流性食道炎、空腹時の心窩部痛(みぞおちの痛み)は十二指腸潰瘍、食後か時間に関係のなく痛む場合は潰瘍以外である可能性が高いということでした。
空腹時の胃痛は上記のような病気が隠れている可能性もあり、症状が続く場合や痛みの程度がひどければ病院の受診を検討した方がよさそうです。