発熱の症状で悩まされた経験はありませんか?
発熱していると、ぼーっとして物事に集中できなくなったり、休もうと思っても症状が辛くてなかなか寝付けなくなったりなど、と苦労が絶えません。
そんな発熱の症状に吐き気が加わると、なにか悪い病気にかかっているのではないか、どうすればいいのだろうと心配になることもあるでしょう。
そこで今回は、一般内科、総合診療科医512人に、吐き気を伴う発熱の症状がある場合に病院は行った方が良いのか、考えられる病気は何かを聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年5月13日~2018年5月14日にかけて行われ、一般内科、総合診療科医524人から回答を頂きました。
病院は受診した方が良いの?
「吐き気が伴う発熱がある場合、病院を受診すべきですか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- すぐ受診するべき
- 症状が続くようであれば受診するべき
- どちらでもよい
- 受診しなくてよい
以下のグラフが結果となります。
「症状が続くようであれば受診するべき」との回答の割合が79%と一番高く、次に「すぐ受診するべき」が続きました。
それでは、医師のコメントを見ていきましょう。
症状が続くなら受診しよう
- 30代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
無理をしないで、日中病院受診を勧めます。 - 60代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
胃腸症状は放置しちゃだめです。 - 60代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
症状が続くようであれば受診するべきです。 - 60代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
改善がなければ受診をしましょう。 - 60代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
脱水症になる前に受診しましょう。 - 40代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
症状が続くようであれば受診するべきと考えます。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
随伴症状の程度によっては、医療療養の受診を勧めます。 - 60代女性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
脱水が心配なので水分がとれるなら、また継続しないなら自宅で安静補水で様子をみても良いと思います。 - 70代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
症状が持続し、増悪傾向があればすぐ受診しましょう。 - 60代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
意識状態がわるい時や水分取れない時は受診しましょう。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
水分補給が困難なら点滴が望ましいです。
医師の回答を見ると「症状が続くようであれば病院の受診を推奨する」とする意見が多数挙がっていました。
症状の改善が見られない場合は、やはり受診を検討してみたほうがよさそうです。
また医師のコメントを見ると、特に吐き気の症状があるので、水分を摂取できているのかどうかが大きなポイントになりそうでした。
水分摂取が難しい場合は、脱水になる恐れがあるので、早めに病院を受診した方がよさそうです。
すぐに受診した方が良い場合も
- 40代男性 一般内科 すぐ受診するべき
髄膜炎だと大変です。 - 50代男性 一般内科 すぐ受診するべき
吐き気が伴う発熱がある場合、病院を受診すべきです。 - 60代女性 一般内科 すぐ受診するべき
髄膜炎が一番怖いですね。あとは消化器系の炎症です。 - 50代男性 一般内科 すぐ受診するべき
髄膜炎かもしれません。 - 50代男性 一般内科 すぐ受診するべき
吐き気はレッドフラッグサインです。 - 50代男性 一般内科 すぐ受診するべき
脱水症がいちばん怖いと認識しています。 - 40代男性 一般内科 すぐ受診するべき
脱水になりやすいので受診が必要です。 - 50代男性 一般内科 すぐ受診するべき
髄膜炎を疑うためです。 - 60代男性 一般内科 すぐ受診するべき
脱水症になりやすいので早めの受診を勧めます。 - 30代男性 一般内科 すぐ受診するべき
食事や水分が取れないときには受診してください。 - 60代男性 一般内科 すぐ受診するべき
髄膜炎などもあり得ますので。 - 60代男性 一般内科 すぐ受診するべき
髄膜炎、胆嚢炎の経験があります。検査を行うことも含め、受診が必要です。 - 50代男性 一般内科 すぐ受診するべき
危険な病気が隠れている可能性があります。すぐ受診してください。
続いて支持されたのは、「すぐに受診すべき」との意見です。
コメントの中でも特に気になったのは 、前のコメントでも出てきた脱水症に加えて、髄膜炎や胆嚢炎の可能性があるという見解です。
複数の医師から挙げられたこの髄膜炎ですが、聞いたことはあるでしょうか?病気の概要については、以下の説明を参考にしてください。
髄膜炎とは
脳を覆っている軟膜、クモ膜、硬膜の総称を髄膜と呼びます。この軟膜、クモ膜、クモ膜と硬膜の間のクモ膜下腔に炎症がある状態が「髄膜炎」です。髄膜炎は原因によっていくつかに分類されますが、細菌が原因である化膿性髄膜炎と、主にウイルスが原因である無菌性髄膜炎が子どもに多く見られます。 一般的な症状は熱、頭痛、吐き気、嘔吐等があり、場合によっては「けいれん」「意識障害」が認められます。これらの症状により髄膜炎を疑ったときには、背骨に針を刺して髄液検査を行います。
引用:髄膜炎|日本医師会
これを見ればわかる通り、早期に治療を開始すべき怖い病気だと言えます。
吐き気の症状自体を危険視する意見もあり、症状が続いて苦しい場合などは病院の受診を検討すると良いでしょう。
考えられる病気は何?
続いて「吐き気を伴う発熱の症状がある場合、多く見られる病気は何ですか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 急性胃腸炎
- 感冒
- インフルエンザ
- 胆嚢炎
- 髄膜炎
- 膵炎
- 腎盂腎炎
- 肺炎
- 悪性腫瘍
- その他
以下のグラフが結果となります。
集計では、急性胃腸炎と回答している医師が64%と一番多く、次に感冒、インフルエンザが続きました。
これら3つの疾患の可能性が高いようですが、コメントを見る限り、特に急性胃腸炎は頻繁に見かけることが多いようです。
まずは上位の疾患の概要を確認し、その後医師のコメントを見ていきましょう。
急性胃腸炎とは
冬の時期に風邪やインフルエンザとともに流行するのが「急性胃腸炎(ウィルス性胃腸炎)」です。典型的な経過としては、まず吐き気が生じ嘔吐し、次第に便が尿のような水様便になってきます。そして、吐き気から落ち着いてきて、最後に下痢が治まります。発熱や腹痛はあるときとないときがあり様々です。
感冒とは
主にウイルスが原因で起こる鼻・のど・のどの奥の急性の感染症”を風邪と呼びます。感染症状が気管や気管支に広がっていることも多いため、これらを含めることもあります。また、ウイルスが原因で起こるもののみを風邪と呼ぶこともあります。
インフルエンザとは
インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症であるが、「一般のかぜ症候群」とは分けて考えるべき「重くなりやすい疾患」である。
胆嚢炎とは
胆嚢炎は、胆にできる結石や細菌感染などが原因で、胆嚢が腫れて痛む病気のことです。
引用:胆嚢炎|徳島県医師会
急性胃腸炎のケースが多い
- 50代男性 一般内科 急性胃腸炎・胆嚢炎
急性胃腸炎が多いです。 - 50代男性 一般内科 急性胃腸炎
頻度的には一番多いかと思います。 - 50代男性 一般内科 急性胃腸炎
胃腸炎は年中あります。 - 50代男性 一般内科 急性胃腸炎
感染性胃腸炎が多いと思います。 - 60代男性 一般内科 急性胃腸炎
感染性胃腸炎が最も多いでしょうか。 - 50代男性 一般内科 感冒・急性胃腸炎
嘔吐下痢症が多いです。 - 60代男性 一般内科 急性胃腸炎
ノロウイルスなどが考えられます。 - 60代男性 一般内科 急性胃腸炎・胆嚢炎・膵炎・腎盂腎炎
感染性の消化器疾患を疑います。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ・急性胃腸炎
胃腸炎の場合は、高熱は少ないと思います。 - 40代男性 一般内科 急性胃腸炎
いろいろな疾患が思い浮かぶが、まずは胃腸炎です。 - 50代男性 一般内科 急性胃腸炎
胃腸炎以外の疾患も時折みますが多くはありません。 - 50代男性 一般内科 急性胃腸炎
嘔吐を伴う場合は特に多いです。
一番多く見られたコメントは「急性胃腸炎が多い」といったものでした。
原因となる病原体として、ノロウイルスをあげるコメントもありました。
吐き気を伴う発熱の症状の場合は、はじめに急性胃腸炎を疑ってみてもいいかもしれません。
中には胆嚢炎の場合も
- 50代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ・急性胃腸炎・胆嚢炎・膵炎・髄膜炎・悪性腫瘍
圧倒的多数は感冒と胃腸炎ですが、一部見逃し不可な疾患が含まれています。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ・急性胃腸炎・胆嚢炎・膵炎
急性胃腸炎が多いです。胆嚢炎も多いです。 - 40代男性 一般内科 急性胃腸炎・胆嚢炎
胆のう炎では確かによく経験します。 - 60代男性 一般内科 胆嚢炎・髄膜炎
髄膜炎や胆嚢炎を鑑別します。 - 40代女性 一般内科 胆嚢炎
胆のう炎とかの可能性はあります。 - 50代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ・急性胃腸炎・胆嚢炎・悪性腫瘍
胆嚢炎が多いと思います。 - 40代男性 一般内科 急性胃腸炎・胆嚢炎
胆道系の可能性もありました。 - 60代男性 一般内科 感冒・急性胃腸炎・胆嚢炎・膵炎・腎盂腎炎・髄膜炎
必ずしも消化器疾患とは限りません。 - 30代女性 一般内科 肺炎・胆嚢炎・膵炎・腎盂腎炎・髄膜炎
胆道感染症は見逃せない疾患の1つです。
次にコメントで気になったのは、「胆嚢炎の場合もある」というものです。
上位3つの病気に比べると発生頻度は低いようですが、胆嚢炎である可能性は捨てきれないようです。
先に記載した髄膜炎もそうでしたが、放っておくと、深刻な事態を招くこともあります。
やはり発熱に加えて吐き気という症状がある場合は、医師の問診をしっかりと受けることを検討してもいいかもしれません。
吐き気を伴う発熱は急性胃腸炎が多いも、続くようなら病院受診の検討を。
本調査によると、まず吐き気が伴う発熱がある場合に病院を受診すべきかどうかについては、「症状が続くようであれば受診するべき」との回答が一番多く、次に「すぐ受診するべき」が続きました。
また、考えられる病気については、「急性胃腸炎」と回答している医師が一番多く、次に「感冒(風邪)」、「インフルエンザ」と続きました。
一方で、「髄膜炎」や「胆嚢炎」など見逃せない病気の可能性をあげるコメントもありました。
吐き気を伴う発熱の場合、あまり無理はせず病院の受診を検討した方が良さそうです。