体が熱いなと思って体温を測ってみると発熱している…。でも、発熱以外に目立った症状がないことってありませんか。
一体どんな病気にかかっているのだろうか、はたして病院は受診すべきなのかと気になる方も多いのではないでしょうか。
また、目立った症状がないなら、仕事やプライベートの予定もキャンセルする必要はないと考える人もいると思います。
そこで今回は、一般内科、総合診療科医524人に、発熱だけの症状で考えられる病気と病院を受診した方が良いかどうかについて聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年5月8日~2018年5月9日にかけて行われ、一般内科、総合診療科医524人から回答を頂きました。
発熱だけの症状で多い病気は何?
「発熱のみを主訴とする症状で多い疾患はなんだと思いますか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 感冒
- インフルエンザ
- 扁桃炎・咽頭炎
- 腎盂腎炎
- 肺炎
- 膠原病
- 胆嚢炎
- 肝炎
- 腹膜炎
- 乳腺炎
- その他
以下のグラフが結果となります。
集計では、「感冒」との回答が67%と一番高く、次に「インフルエンザ」が50%と続きました。グラフを見る限り、これら二つの病気が多くの支持を集めている事が分かります。
まずは上位に挙がった疾患をおさえ、その後医師のコメントを見ていきましょう。
感冒とは
主にウイルスが原因で起こる鼻・のど・のどの奥の急性の感染症”を風邪と呼びます。感染症状が気管や気管支に広がっていることも多いため、これらを含めることもあります。また、ウイルスが原因で起こるもののみを風邪と呼ぶこともあります。
引用:感冒|一般社団法人 安佐医師会
インフルエンザとは
インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症であるが、「一般のかぜ症候群」とは分けて考えるべき「重くなりやすい疾患」である。
引用:インフルエンザ|国立感染症研究所
扁桃炎とは
風邪の症状が続き、風邪薬を服用してもなかなか良くならない場合は扁桃炎の可能性があります。扁桃炎は初期症状が風邪に似ているため、悪化するまで気づかないことがほとんどです。38~40度近くの高熱を伴い、のどが痛み、赤く腫れて食べ物や飲み物、さらには唾液まで飲み込めなくほど辛くなる場合もあります。扁桃腺には白い斑点の膿が付着し、それが広がって全体が白く覆われます。その他の症状としては、高熱による頭痛や関節痛、悪寒。さらに首のリンパが腫れ、耳まで痛くなることもあります。
引用:扁桃炎|千葉市医師会
咽頭炎とは
のどの粘膜に風邪のウイルスや細菌が付着することによって感染し、炎症が起きた状態のこと。のどが痛み、痰が絡むようになります。扁桃腺は腫れていても、痛みや熱がない場合もあります。咽頭炎の炎症がひどくなると、のどが化膿して扁桃腺に白い斑点が付着し、扁桃炎を引き起こす場合があるので十分注意が必要です。
引用:咽頭炎|千葉市医師会
腎盂腎炎とは
腎臓の主な働きは尿をつくって排泄することです。体内で作られた、たんぱく質の老廃物や有害物質などが血液に含まれて腎臓に運ばれてきます。その血液は「腎動脈」という太い血管によって腎臓に集まり、腎臓の組織の「糸球体」で濾過されて尿細管を通る間に必要な成分を再吸収したり、不必要な成分を排泄しながら濃縮されていきます。その尿は腎杯から腎盂に集められ、尿管、膀胱を経て尿道から体外に排泄されます。「腎盂腎炎」は、腎盂や腎杯、さらに腎臓の髄質が細菌によって炎症を起こしている状態をいいます。
引用:扁桃炎・咽頭炎|日本医師会
肺炎とは
肺に炎症が起きている状態の総称。一般的には肺の急性感染症のことを指す。細菌やウイルス感染などさまざまな理由で肺に炎症が起こっている状態で、一般的には急性の感染症の場合をいいます。死亡原因に占める順位は全体で4位ですが、高齢で多くなっています。喫煙はそれ自体が肺の組織にダメージを与えることはもちろん、あらゆる肺炎の危険因子となります。特に喫煙との強い関連が明らかになっている肺炎として、急性好酸球性肺炎や剥離性間質性肺炎などがあります。
引用:肺炎|厚生労働省
熱のみが見られる際は、感冒(風邪)とインフルエンザが多い!
- 50代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ
風邪とインフルエンザが多いと思います。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ
発熱が主となるのはインフルエンザが多いです。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ
インフルエンザが多いのではないかと思います。 - 60代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ・扁桃炎、咽頭炎
感冒、流行時期にはインフルエンザです。 - 40代男性 一般内科 感冒
風邪が多いです。でも精査は必要です。 - 50代男性 一般内科 感冒
発熱のみを主訴とする症状で多い疾患は感冒です。 - 50代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ・扁桃炎、咽頭炎
感冒が最も多い印象あります。 - 60代男性 一般内科 インフルエンザ
インフルエンザは後に咳などの症状がでることが多いです。 - 60代男性 一般内科 インフルエンザ
現在はインフルエンザが多いです。 - 60代男性 一般内科 感冒
やはり風邪が多いでしょう。 - 60代男性 一般内科 感冒
感冒の頻度が最も高いと考えます。 - 60代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ
風邪やインフルエンザが多いと思います。
医師の回答を見るとやはり「感冒(風邪)」、「インフルエンザ」が多いとする意見が多くみられました。
どちらも馴染みの深い病気かと思いますが、医師の目から見ても熱の症状のみがあるケースでは、「感冒(風邪)」や「インフルエンザ」である事が多いようです。
またコメントのなかには、「インフルエンザは後に咳などの症状がでることが多い」という意見がみられました。はじめは発熱のみでも、あとで咳などの随伴症状が出てくるケースもあるようです。
肺炎の可能性もある
- 50代男性 一般内科 インフルエンザ ・扁桃炎、咽頭炎・肺炎・腎盂腎炎
高齢者では肺炎、腎盂腎炎は症状に乏しいことが多いです。 - 40代男性 一般内科 インフルエンザ・肺炎・腎盂腎炎・膠原病
高齢者の肺炎でよくあります。 - 50代男性 一般内科 肺炎・腎盂腎炎
高齢者の肺炎もありますが、発熱だけというよりは、食思不振や全身倦怠だけの方が多いかもしれません。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ・扁桃炎、咽頭炎・肺炎・肝炎
本当に熱のみなら経験上、肺炎です。 - 50代男性 一般内科 扁桃炎、咽頭炎・肺炎
年寄りなら肺炎、子供なら溶連菌です。 - 40代男性 一般内科 インフルエンザ・扁桃炎、咽頭炎・肺炎
上気道感染症や肺炎なども考えられます。 - 50代男性 一般内科 肺炎
最近は施設入所中の高齢者が増え、誤嚥性肺炎が最も多くなっています。 - 50代男性 一般内科 感冒・肺炎
圧倒的に感冒が多いです。高齢者では肺炎も多いです。 - 50代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ・扁桃炎、咽頭炎・肺炎
感冒、インフルエンザ、扁桃炎、 肺炎などです。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ・肺炎・肝炎・腎盂腎炎・胆嚢炎・膠原病
頻度の少ない疾患に見逃してはいけないものが多いです。 - 40代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ・扁桃炎、咽頭炎・肺炎
インフルエンザ検査と胸部レントゲンは簡単にできます。
頻度で言えば「感冒(風邪)」や「インフルエンザ」に比べて低いようですが、発熱のみという症状のなかに、「肺炎」にかかっている方がいるようです。
特に高齢者の場合に多いようで、「最近は施設入所中の高齢者が増え、誤嚥性肺炎が最も多くなっています」といった経験談も見られました。肺炎はこじらせると危険な病気ですし、注意が必要そうです。
また、「子供なら溶連菌です」というコメントもあり、感冒(風邪)やインフルエンザ以外の病気も念頭におきましょう。
熱だけの症状の場合、病院は受診するべき?
続いて「発熱のみの症状の場合、病院を受診すべきだと思いますか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- すぐ受診するべき
- 症状が続くようであれば受診するべき
- どちらでもよい
- 受診しなくてよい
以下のグラフが結果となります。
集計では、「症状が続くようであれば受診するべき」と回答している医師が80%と一番多く、次に「すぐ受診するべき」が続きました。「症状が続くようであれば受診するべき」が際立って多く支持されている事が分かります。
それでは、医師のコメントを見ていきましょう。
症状が続く時は受診の検討を
- 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
24時間以上続くときは受診させたほうが良いと思います。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
続くのなら受診すべきと思います。 - 60代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
流行シーズンであれば、インフルエンザの可能性があるので早い方が良いです。 - 60代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
発熱のみの症状の場合、症状が続くようであれば受診するべきです。 - 40代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
すぐに受診してもインフルエンザは検査してもらえないから、症状を見ながらが良いです。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
症状の悪化があれば内科への受診を勧めます。 - 30代女性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
合併症がない若年者で状態が悪くなければ1~2日程度経過観察も必要です。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
症状がひどくなければすぐに受診する必要性は低いです。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
半日から1日経っても改善しなければ受診しましょう。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
発熱が続くようであれば受診するべきと思います。 - 50代男性 一般内科 症状が続くようであれば受診するべき
高齢者であれば時間をおかずに受診すべきです。若年者は少し時間をおいてもいい場合があります。
一番多く見られたコメントは「症状が続くなら受診するべき」といったものでした。
具体的には、半日〜2日ほどの幅で様子をみて、続くようなら受診を促す意見が見られました。ただし、「高齢者であれば時間をおかずに受診すべき」とのコメントもあり、注意が必要です。
感冒(風邪)やインフルエンザの可能性が高い。症状が続くなら受診の検討を!
本調査によると、発熱のみの症状が見られる際の病気については、「感冒(風邪)」との回答が一番高く、次に「インフルエンザ」が続きました。
発熱のみの際は、これら二つの病気の可能性が高そうです。
一方で、特に高齢な方の場合は「肺炎」、お子さんの場合は「溶連菌」など別の病気の可能性もあるようです。
また、病院を受診すべきかどうかについては、「症状が続くようであれば受診するべき」と回答している医師が一番多く、次に「すぐ受診するべき」と続きました。
主な症状が熱のみの際には、半日〜2日の期間で経過をみて、それでも熱が下がらない場合や、高熱がみられた場合は病院を受診するのが良さそうです。