発熱の症状で悩まされた経験はありませんか?倦怠感や寒気で何をするにも億劫になり、苦しい思いをしますよね。
そんな、ただでさえつらい発熱の症状に、腰痛が併発するケースもあるかと思います。こんな場合、一体何の病気にかかっていて、どうしたら良いか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、一般内科、総合診療科の医師524人に、腰痛を伴う発熱の症状で考えられる病気と、自宅でできる対処法について聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年5月8日~2018年5月9日にかけて行われ、一般内科、総合診療科の医師524人から回答を頂きました。
腰痛と伴う発熱がある場合、どのような病気が原因?
「発熱と腰痛の症状がある場合、どのような疾患が原因だと考えられますか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 急性腎盂腎炎
- インフルエンザ
- 感冒
- 化膿性脊椎炎
- 尿管結石
- 膵炎
- 悪性腫瘍
- その他
以下のグラフが結果となります。
集計では、「急性腎盂腎炎」との回答が67%と一番多く、次に「インフルエンザ」が53%、「感冒」が37%と続きました。
「急性腎盂腎炎」、「インフルエンザ」がどちらも過半数の支持を得ており、原因となる可能性が高いのが分かります。
まずは上位の病気の概要をおさえ、その後医師のコメントを見ていきましょう。
急性腎盂腎炎とは
腎盂腎炎とは、腎臓に細菌が感染する病気です。腎臓でつくられた尿は、腎盂(腎臓内の尿のたまるところ)、尿管を経て膀胱に溜められ、尿道から排出されます。この尿の通り道である尿路は本来菌がいませんが、細菌が侵入し感染した場合を尿路感染症といいます。細菌が感染した部位によって下部尿路感染症と上部尿路感染症に大きく分けられます。下部尿路感染症は、尿道や膀胱に起こる感染症で、その多くは膀胱炎です。一方、上部尿路感染症は、腎盂や腎臓に起こる感染症で、多くは腎盂腎炎と診断されます。腎盂内で細菌が繁殖し腎臓にまで炎症が及んだものを腎盂腎炎といいます。
インフルエンザとは
インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症であるが、「一般のかぜ症候群」とは分けて考えるべき「重くなりやすい疾患」である。
感冒とは
主にウイルスが原因で起こる鼻・のど・のどの奥の急性の感染症”を風邪と呼びます。感染症状が気管や気管支に広がっていることも多いため、これらを含めることもあります。また、ウイルスが原因で起こるもののみを風邪と呼ぶこともあります。
腰痛を伴う発熱は、腎盂腎炎の可能性がある
- 40代男性 一般内科 急性腎盂腎炎
腎盂腎炎を疑うことが多いです。 - 50代男性 一般内科 急性腎盂腎炎
急性腎盂腎炎をまず疑います。 - 60代男性 一般内科 急性腎盂腎炎
発熱と腰痛の症状がある場合、急性腎盂腎炎です。 - 50代女性 一般内科 急性腎盂腎炎
膿尿があれば決定的です。 - 60代男性 一般内科 急性腎盂腎炎・化膿性脊椎炎
腎盂腎炎が圧倒的に多いでしょう。 - 50代女性 一般内科 急性腎盂腎炎
腎盂腎炎の際、腰痛を訴えることが多いです。 - 50代男性 一般内科 急性腎盂腎炎・尿管結石
高熱の場合は腎盂腎炎の可能性がありますね。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ・急性腎盂腎炎
意外と急性腎盂腎炎が多くよく見かけます。 - 60代男性 一般内科 急性腎盂腎炎
急性腎盂腎炎の頻度が高いです。 - 40代男性 一般内科 急性腎盂腎炎
腎盂腎炎は高熱が出ますし、早めの治療が必要で重要です。 - 40代男性 一般内科 急性腎盂腎炎
腎盂腎炎が多いかと思います。
医師の回答を見ると、「急性腎盂腎炎の可能性がある」との声が多数挙がっていました。
病気の詳細はすでに記載しましたが、何らかの形で細菌が尿から腎臓まで侵入してしまい、発生する病気です。
早期に対処すれば内服薬のみで症状も改善するようですが、対処が遅れると入院して点滴が必要になるケースもあるようです。
「膿尿があれば決定的です」とした医師のコメントも見られました。
腰痛を伴う発熱で悩まされた場合は、急性腎盂腎炎の可能性があるため、なるべく早期の病院受診を検討してみても良いかもしれません。
インフルエンザのケースも多い
- 60代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ
感冒とインフルエンザが多いと思います。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ・急性腎盂腎炎
インフルエンザが多いです。ついで腎盂腎炎。 - 60代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ・急性腎盂腎炎
インフルエンザの時にはよく訴える症状です。 - 40代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ
インフルエンザが多いと思います。 - 60代男性 一般内科 インフルエンザ
いろいろあるとは思いますが、インフルエンザをまず考えます。 - 60代男性 一般内科 インフルエンザ
現在はインフルエンザが多いです。 - 50代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ
腰痛で受診した中学生がインフルエンザだったことがあります。原因不明の腰痛は、体温も測るようにしています。 - 60代男性 一般内科 インフルエンザ
インフルエンザに注意が必要です。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ
発熱と腰痛の症状がある場合、インフルエンザです。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ
インフルエンザが多いと思います。 - 60代男性 一般内科 感冒・インフルエンザ
インフルエンザが圧倒的に多いです。 - 50代男性 一般内科 インフルエンザ・急性腎盂腎炎・化膿性脊椎炎・膵炎
インフルエンザは節々が痛みますね。
病気の概要はすでに記載しましたが、インフルエンザは、高熱や関節の痛みなどを特徴とした病気です。
関節の痛みというと肩や肘などのイメージがありますが、「腰痛で受診した中学生がインフルエンザだったことがあります」といった医師のコメントもあるように、なかには腰痛を訴える方がおられるようでした。
インフルエンザも半日を超えて以降、早めに受診することで早期の回復を望める病気です。
特にインフルエンザの流行期に高熱に加えて腰痛が出てきた際は、病院の受診を検討してみても良さそうです。
自宅で出来るオススメの対処法って何?
続いて「腰痛を伴う発熱がある際に、自宅で出来る腰痛を和らげる対処法としておすすめの方法はなんですか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 解熱鎮痛剤を使用する
- 冷湿布を使用する
- 横向きで寝る
- 痛いところをさする
- 温湿布を使用する
- コルセットをする
- その他
以下のグラフが結果となります。
集計では、「解熱鎮痛剤を使用する」と回答した医師が72%と一番多く、次に「冷湿布を使用する」、「横向きで寝る」が続きました。
「解熱鎮痛剤を使用する」が際立って高い支持を獲得していることが分かります。
それでは、医師のコメントを見ていきましょう。
解熱鎮痛剤の使用を検討しよう
- 60代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する・冷湿布を使用する・横向きで寝る
鎮痛剤が有効でしょう。 - 50代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する
腰痛を伴う発熱が生じた際に鎮痛剤です。 - 40代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する
アセトアミノフェンの屯用です。 - 60代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する
腰痛を伴う発熱が生じた際に、自宅でできる腰痛を和らげる対処法は解熱鎮痛剤を使用します。 - 40代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する
発熱と腰痛なら、病院へ行って原因を調べて解熱鎮痛剤の処方ですね。 - 60代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する
解熱鎮痛剤が一番、効果があると思います。 - 60代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する
原因にもよりますが、先ずは鎮痛解熱剤です。 - 40代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する・冷湿布を使用する
必要に応じて解熱鎮痛剤を使用します。 - 50代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する
解熱鎮痛剤が一石二鳥です。 - 50代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する
解熱鎮痛剤が最も効果的と思います。 - 40代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する
解熱鎮痛剤を利用して痛みを抑えます。 - 40代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する・冷湿布を使用する・痛いところをさする・コルセットをする
解熱鎮痛剤や湿布やコルセット装着などが有効と考えます。
一番多く見られたコメントは、「解熱鎮痛剤の使用を検討しよう」といったものでした。痛みが酷いと何をするにも弊害がありますよね。
病院へ行くのも一苦労だと思うので、まずは解熱鎮痛剤を使用して痛みを緩和してあげることが必要かもしれません。具体的な成分名として、アセトアミノフェンを挙げていた医師のコメントもあったので参考にしてみてください。
冷やすのも有効
- 50代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する・冷湿布を使用する
冷却することが必要です。 - 40代男性 一般内科 冷湿布を使用する
クーリングが基本と思います。 - 50代男性 一般内科 冷湿布を使用する
冷湿布が効果的と思います。 - 60代男性 一般内科 冷湿布を使用する
特に頭部を冷やしたほうが良いです。 - 50代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する・冷湿布を使用する
冷やすのが一番だと思います。 - 60代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する・冷湿布を使用する
やはり物理的に冷やすことです。 - 50代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する・冷湿布を使用する
患部を冷やすようにします。 - 50代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する・冷湿布を使用する
まずは冷却、効果なければ鎮痛剤です。 - 40代男性 一般内科 冷湿布を使用する
冷シップを使用すると思います。 - 60代男性 一般内科 冷湿布を使用する
冷湿布があれば利用しましょう。 - 50代男性 一般内科 解熱鎮痛剤を使用する・冷湿布を使用する
冷やすことと安静でしょうか。
次にコメントで散見されたのは、「冷やすべき」というものでした。
患部を冷却すると、痛みが楽になったりすることがあると思います。
解熱鎮痛剤の使用と併せて行えば、効果がより期待できるかもしれません。
比較的容易に実施できる方法なので、まずは試してみるのもいいと思いますが、対処しても症状が辛い場合は、急性腎盂腎炎などの可能性があるため受診を検討することが大事です。
腰痛を伴う発熱は、急性腎盂腎炎やインフルエンザの可能性あり。自宅では、解熱鎮痛剤の検討を。
本調査によると、腰痛を伴う発熱の症状で考えられる病気は、「急性腎盂腎炎」との回答が一番多く、次に「インフルエンザ」が続きました。
また自宅で出来る腰痛を和らげる対処法については、「解熱鎮痛剤を使用する」と回答した医師が一番多く、次に「冷湿布を使用する」と続きました。
腰痛や発熱の症状が辛い場合は、無理せずに解熱鎮痛剤の使用を検討しましょう。
しかし、「急性腎盂腎炎」は適切なタイミングで、適切な治療を行わなければ、入院になってしまうこともあるため、腰痛を伴う発熱で辛い場合は、早めの受診が重要です。