不眠症の治療と聞いて、何を思い浮かべますか?
眠れない、寝つきが悪いなど日中の活動に支障が出る場合もある不眠症。
多くの人は、その治療法として睡眠薬を思い浮かべるのではないでしょうか。
では、睡眠薬以外に不眠症の治療方法はあるのでしょうか。また、治療によりどのくらいの方が完治するかも気になるところだと思います。
そこで今回は、不眠症の治療方法とその完治した割合について精神科・心療内科医232名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年4月13日〜4月16日にかけて行われ、心療内科、精神科医、計232名から回答を頂きました。
不眠症治療は、「薬物療法」「生活習慣の改善」に回答が集まる
「不眠症の治療として多いものは何ですか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。
- 生活習慣の改善
- 薬物療法
- 認知行動療法
- リラクゼーション
- その他
以下が結果となります。
- 50代男性 心療内科 薬物療法
やはり、睡眠導入剤は使わざるを得ないことが多いです。 - 50代男性 精神科 薬物療法
薬物治療が一番即効性があります。 - 50代男性 心療内科 薬物療法
使えるものを組み合わせて行います。 - 40代男性 精神科 薬物療法
本来ならば生活習慣の改善ですが、それだけでは改善できない方が多いので処方しています。 - 40代男性 精神科 薬物療法
生活改善なども勧めていますが、どうしても薬物療法が主体になってしまいます。 - 50代男性 精神科 薬物療法
週1、2日程度の不眠であれば、生活習慣の改善を指示しています。それでもダメなら薬物治療も行います。 - 50代男性 精神科 薬物療法
現実的には睡眠指導と薬物療法です。 - 60代男性 精神科 生活習慣の改善
まず生活習慣の改善、次いで薬物療法の順としています。 - 50代男性 心療内科 生活習慣の改善
生活習慣の改善で効果乏しければ処方を検討します。 - 60代男性 精神科 生活習慣の改善
環境・生活面からのアプロ―チが重要です。 - 40代女性 精神科 生活習慣の改善
薬だけに頼るのは良くないです。自分でできる対処法も必要でしょう。 - 50代男性 精神科 生活習慣の改善
まずは生活習慣の改善から入って、改善がなければ薬物療法を考えることが多いです。 - 40代男性 精神科 生活習慣の改善
生活習慣の改善と薬物で改善しない人にはリラクゼーションを指導していますが、あまり数は多くないです。 - 50代男性 精神科 生活習慣の改善
生活習慣の改善及び環境要因が改善できるかどうかです。 - 50代女性 心療内科 リラクゼーション
ストレス因が明らかなときは、社会的サポートも含めて、ストレス軽減のアプローチをします。
今回の調査では、「薬物療法」と「生活習慣の改善」に回答があつまる結果となりました。
医師からは、薬物療法は即効性があるとの意見が寄せられています。
一方、「まず生活習慣の改善、次いで薬物療法の順」、「まずは生活習慣の改善から入って、改善がなければ薬物療法を考えることが多い」との意見もみられました。
医師達は、薬物治療だけに頼るのではなく、自分で対処できるよう、まずは生活習慣の改善を重要視していることがわかります。
しかし、「どうしても薬物療法が主体になってしまいます」というコメントもあるように、薬に頼らざるをえない状況もあるようでした。
それでは次に、どれくらいの割合で不眠症は完治するのかを聞いてみました。
不眠症の患者で完治した割合は20%~40%が最多
「不眠症の患者で完治した割合はどれくらいですか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。
- 0%~20%
- 20%~40%
- 40%~60%
- 60%~80%
- 80%以上
以下が結果となります。
- 40代男性 心療内科 20%~40%
来なくなった症例もあるのでこれくらいかと思います。 - 50代男性 精神科 20%~40%
慢性化する方が多い印象です。 - 40代男性 精神科 20%~40%
薬剤で安定する人は多いですが、薬剤を完全に中止できる人は少ない印象です。 - 40代女性 心療内科 20%~40%
やはり残る人が多い印象です。 - 40代男性 精神科 20%~40%
再燃することも多い印象です。 - 60代男性 心療内科 40%~60%
精神的な問題なのでこんなものだと思います。 - 60代男性 精神科 40%~60%
完治ということは再燃の危険性も含め、判断がむずかしいところですが、大体半数は服薬なしでいけるようになると思います。 - 50代男性 精神科 40%~60%
半分くらいの患者さんはこなくなります。 - 50代男性 精神科 40%~60%
不眠自体は比較的早く改善しますが、その原因までさかのぼって治療するのは時間がかかります。 - 50代男性 精神科 40%~60%
環境要因が原因の場合はそれを改善することで薬剤が必要でなくなることは多いです。 - 50代男性 精神科 60%~80%
内服治療でほぼ良くなります。 - 50代男性 精神科 60%~80%
ほとんどの患者さんは良くなっていると思いますが、脱落例も多いのでなんとも言えません。 - 50代男性 精神内科 60%~80%
患者さんは生活状況が改善すればずいぶんよくなります。 - 50代男性 精神科 60%~80%
完治した場合、来院しなくなるので、正確な割合はわからないですが、通院中断する割合は高いように感じられます。ただ、数年後に再度不眠となるケースも多いと思います。 - 40代女性 精神科 0%~20%
結局、薬がやめられない人がおおいです。
本調査では、不眠症が完治した患者の割合は「20%~40%」と回答する医師が32%と最も多い結果となりました。次いで「40%~60%」が支持されています。
完治する割合が思いのほか低いと感じられた方もおられるのではないでしょうか。
医師からは「慢性化する方が多い印象です」、「再燃することも多い印象です」といったコメントが寄せられました。不眠症は慢性的になったり、治っても再発してしまったりするケースがあることがうかがえます。
なかには、「薬剤で安定する人は多いですが、薬剤を完全に中止できる人は少ない印象です」など、睡眠薬をやめられない方が多いと考える医師のコメントも見られました。
コメントを見る限り、一度不眠症にかかるとなかなか完治できるとまでは言い切れないケースも多いようです。
不眠症の治療の多くは、薬物治療と生活習慣の改善。慢性化や再燃するケースもみられる。
不眠症の治療法について医師に質問したところ、「薬物治療」と「生活習慣の改善」に回答が集まる結果となりました。
医師のコメントでは、生活習慣の改善を試みて、症状が改善されなければ薬物治療を行うなどのコメントも見られました。また、「薬物療法」と回答した医師からは、即効性があるという意見も寄せられました。
次に、不眠症が完治した患者の割合について質問したところ、「20%~40%」が最も多く、次いで「40%~60%」が支持される結果となりました。
医師からは、睡眠自体は取れるようになるものの、原因の治療に時間がかかるといったコメントが寄せられました。さらに不眠症は再燃しやすいとの意見も見られ、完治が難しいケースもあるようです。