女性の情緒不安定にはどの診療科が最適?男女で発症する疾患に差はあるの?医師210名に聞いてみました

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調査の結果、女性が情緒不安定で受診する科目は、心療内科と婦人科の「どちらでも良い」が最多となりました。医師からは年齢や月経の関連性など、どのようなときに情緒不安定が起きるかによって診療科を判断する、というコメントがみられました。また、疾患は「パーソナリティー障害」が女性に多く、男性は「うつ病」が多いとの回答でした。
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女性の情緒不安定について、以前リサーチをした記事でみられた医師からのコメントでは、ホルモンバランスや更年期、月経前症候群など女性特有のものに影響される、という内容がありました。

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では、もし女性が情緒不安定で受診するとすれば、どの診療科が最適なのでしょうか?また、男女で発症する疾患に違いはあるのでしょうか。

そこで今回は、女性の情緒不安定に最適な診療科、男女で発症する疾患の違いについて、精神科、心療内科医、計210名に聞いてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年4月28日〜5月1日にかけて行われ、精神科医、心療内科医の計210名から回答を頂きました。

女性の情緒不安定での受診では、心療内科・婦人科の「どちらでも良い」が最多

まず初めに、女性の情緒不安定で受診する際は、「心療内科」と「婦人科」のどちらがいいのか聞いてみました。

  • 60代男性 精神科 「どちらでも良い」
    情緒不安定の要因については、二つの領域が重なっていることから、どちらを受診しても同じと思います。
  • 30代男性 精神科 「どちらでも良い」
    どちらでもいいと思いますが、婦人科系疾患が否定されていると精神科としては安心できます。
  • 40代男性 精神科 「どちらでも良い」
    どのような症状かによると思うので何科を受診するかは場合によります。
  • 40代男性 精神科 「どちらでも良い」
    年齢や月経との関連性などで判断すればよいように思います。
  • 50代男性 精神科 「どちらでも良い」
    どちらでもいいと思います。精神科領域と判断すれば紹介で。
  • 40代男性 精神科 「心療内科」
    精神症状は心療内科若しくは精神科のほうがいいと思います。
  • 50代男性 精神科 「心療内科」
    心療内科か精神科がよいでしょう。婦人科はメンタルでこまかなケアができないでしょう。
  • 30代男性 精神科 「心療内科」
    心療内科から適宜婦人科に紹介すれば良いかと思います。
  • 60代男性 精神科 「婦人科」
    ホルモン的要因も考えられるので、婦人科受診も必要です。その上で心療内科を受診するのがいいのではと思います。
  • 50代男性 精神科 「その他」
    精神科の敷居は、患者さんには未だ少し高いようですが、私は精神科を受診すべきと思います。

「情緒不安定が理由で女性が病院を受診する場合、婦人科と心療内科のどちらが良いですか」という質問を行ったところ、41%と半数近くの医師が「どちらでも良い」と回答する結果となり、その後を「心療内科」が続きました。

医師からは「情緒不安定の要因については、二つの領域が重なっていることから、どちらを受診しても同じ」とのコメントが寄せられました。
また、年齢や月経との関連性でどの診療科を受診するか判断すると良いとの意見もあり、情緒不安定がどのようなときに起こるのか見極める必要があることが分かります。
それでは続いて、情緒不安定で来院した女性患者さんで多い疾患について聞いてみました。

女性の場合、最も多いのは「パーソナリティー障害」

「情緒不安定を主訴として来院した女性患者さんで多い疾患は何ですか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。

  • ストレス
  • うつ病
  • 双極性障害
  • パーソナリティー障害
  • 適応障害
  • 自律神経失調症
  • 不眠症
  • アルコール依存症
  • 更年期障害
  • その他

以下が結果となります。

  • 30代男性 精神科 「パーソナリティー障害」
    やはりパーソナリティー障害ではないでしょうか。
  • 50代男性 精神科 「パーソナリティー障害」
    パーソナリティー障害か双極性障害でしょうか。
  • 30代男性 精神科 「パーソナリティー障害」
    単科の精神科までくるのはパーソナリティーの合併例です。
  • 30代女性 精神科 「パーソナリティー障害」
    パーソナリティー障害は多い印象です。
  • 40代男性 心療内科 「パーソナリティー障害」
    ほぼストレス性のものが多いと思います。
  • 60代男性 心療内科 「ストレス」
    ストレスになるようなことがあり、不眠に陥り、気分が不安定となり、不安・焦燥感が増悪化するケースをよく経験します。
  • 40代男性 精神科 「ストレス」
    ストレスや環境因によるものが多いと感じます。
  • 60代男性 精神科 「適応障害」
    受診してくる対象が就労中の患者が多く、適応障害が多いです。
  • 30代男性 精神科 「適応障害」
    職場や家庭のストレスから不適応を起こした方が多いです。
  • 40代男性 精神科 「双極性障害」
    双極性感情障害の患者さんが多いと感じます。
  • 30代男性 心療内科 「うつ病」
    ストレス、うつ病の方が多いです。

今回の調査では、多くの医師が「パーソナリティー障害」を選択しました。
パーソナリティー障害とは、厚生労働省のホームページで以下のように説明されています。

パーソナリティー障害とは

“パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんでいたり、周りが困っているケースに診断される精神疾患です。認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動コントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから障害(問題)が生じるものです。”

(引用:パーソナリティー障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

医師からは、「やはりパーソナリティー障害ではないでしょうか」や「単科の精神科までくるのはパーソナリティーの合併例」との意見も寄せられていました。

2番目に多く回答された「ストレス」については、「ストレスになるようなことがあり、不眠に陥り、気分が不安定となり、不安・焦燥感が増悪化するケースをよく経験します。」との実例を交えたコメントが寄せられました。
前回行った情緒不安定な時にできるセルフケアの調査では、ストレスの解消が大切だと考える医師のコメントが散見されています。深刻になる前に、適度に発散することが大事そうですね。

それでは、男性の情緒不安定の場合、発症する疾患は女性と異なるのでしょうか。こちらも聞いてみました。

男性の場合、最多で回答されたのは「うつ病」

「情緒不安定を主訴として来院した男性患者さんで、多い疾患は何ですか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。

  • ストレス
  • うつ病
  • 双極性障害
  • パーソナリティー障害
  • 適応障害
  • 自律神経失調症
  • 不眠症
  • アルコール依存症
  • 更年期障害
  • その他

以下が結果となります。

  • 70代女性 心療内科 「うつ病」
    仕事をしている男の人はうつ病の人がたくさんいるように感じます。
  • 30代男性 精神科 「うつ病」
    男性はうつ病が多いように思います。
  • 50代男性 精神科 「うつ病」
    うつ病の不安、焦燥感が背景にあることが多いです。
  • 40代男性 心療内科 「うつ病」
    うつ病の程度まで行くと男性は受診するようになります。
  • 40代男性 精神科 「双極性障害」
    男性の場合は女性と比べ、パーソナリティー障害は多少少ないと思います。
  • 40代男性 精神科 「双極性障害」
    双極性障害が多い印象です。
  • 40代男性 精神科 「双極性障害」
    経験上双極性障害が多いです。
  • 40代男性 精神科 「ストレス」
    ストレスや環境によるものが多いと思います。
  • 50代女性 精神科 「ストレス」
    職場、家庭、人間関係などからのストレスが原因の方は多いです。
  • 60代男性 精神科 「適応障害」
    就労中の患者が多く、適応障害が最も多いように感じます。
  • 40代男性 精神科 「適応障害」
    職場関連のストレスからくるものが多い印象です。

今回の調査では、「うつ病」と回答した医師が最も多い結果となり、その後を「双極性障害」や「ストレス」、「適応障害」が続きました。

医師からは「うつ病の程度まで行くと男性は受診するようになります。」とのコメントが寄せられました。
うつ病まで進行してからでないと受診しない方もいるようですが、症状を悪化させないためにも、我慢せず受診することを推奨します。

また、本調査のコメントでは3番目に多く回答された「ストレス」では、男性の情緒不安定の症状は、職場や家庭環境、人間関係などのストレスが原因と考えている医師もいるようです。
女性に限らず、男性もストレスを発散させることが大事かもしれません。

今回の調査で多く回答された「うつ病」「双極性障害」「適応障害」ですが、以下のように症状が説明されています。

もしこれらの症状をご存じない方は、ぜひご一読ください。

うつ病とは

“うつ病とは、日常的な役割を果たすのに支障をきたすほどの強い悲しみを感じているか、活動に対する興味や喜びが低下している状態です。喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。”

(引用:うつ病 - 10. 心の健康問題 - MSDマニュアル家庭版

双極性障害とは

“双極性障害(以前の躁うつ病)では、抑うつ状態と躁状態または軽躁状態(軽度の躁状態)が交互に現れます。躁状態は、過度の身体活動や、置かれた状況と著しく不釣り合いな高揚感を特徴とします。”

(引用:双極性障害 - 10. 心の健康問題 - MSDマニュアル家庭版

適応障害とは

“適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。”

(引用:適応障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

女性の情緒不安定の受診は心療内科・婦人科の “どちらでも良い” 。情緒不安定に多い疾患は男女で異なる。

本調査の結果、女性が情緒不安定で受診する際は、心療内科と婦人科の「どちらでも良い」が最多となりました。
医師からは、症状により診療科が変わるため、更年期や月経の関連性など、どのようなときに症状が起きるのか見極める必要がある、というコメントを頂きました。
また情緒不安定を主訴とした患者に多い疾患については、女性患者の場合は「パーソナリティー障害」が多く、男性患者の場合は「うつ病」が多い結果となりました。
しかし男女ともに「ストレス」が上位に回答されており、ストレスを溜め込まないようケアをすることの重要性がうかがえます。
情緒不安定な状態が悪化しないよう、我慢せず自分にあったストレス解消法を試みることや、症状がひどい場合は一度受診することを推奨します。

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