患者さんが最も多い貧血とは?重篤な貧血はなに?医師523名に聞いてみました

おでこに手を当てる女性
患者さんが最も多かった貧血の種類について質問したところ、全体のうち95%が「鉄欠乏性貧血」であると回答し、その中でも、生理などの関係により女性に多いとのコメントが見られました。続いて最も重篤な貧血は何かと質問したところ、66%の医師が「再生不良性貧血」と回答。次いで「鉄欠乏性貧血」が続きました。医師のコメントによれば、再生不良性貧血は専門治療が必要であり、命に関わる疾患のようです。
貧血
イシコメ運営事務局

WHO(世界保健機構)が1993年から2005年まで行った調査によると、世界では16億人以上の人々が貧血と見なされており、およそ4人に1人が貧血に悩んでいるそうです。
参考:WHO | Global anaemia prevalence and number of individuals affected

しかし、ひとくちに「貧血」といっても種類は様々あり、一般的にいわれている「鉄分が不足している」以外が原因であることも。

そこで今回は、患者さんが最も多かった貧血の種類について、さらに、最も重篤な貧血について、一般内科医、総合診療科医、血液内科医、計523名に聞いてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年6月24日〜6月27日にかけて行われ、一般内科医、総合診療科医、血液内科医、計523名から回答を頂きました。

患者さんが最も多い貧血の種類とは?

  • 60代男性 血液内科 「鉄欠乏性貧血」
    今まで見た中で鉄欠乏性貧血が圧倒的に多かったです。
  • 50代男性 一般内科 「鉄欠乏性貧血」
    9割以上が鉄欠乏性貧血だと思います。
  • 50代男性 一般内科 「鉄欠乏性貧血」
    鉄欠乏性貧血が最も多いと思います。特に若年女性に多いです。
  • 50代男性 一般内科 「鉄欠乏性貧血」
    若い女性でかかる人が多いですが、特に女性の生理によることが多いと思います。
  • 60代男性 一般内科 「鉄欠乏性貧血」
    女性が特に多く、また自覚症状がないケースも多々あります。
  • 50代男性 一般内科 「鉄欠乏性貧血」
    閉経前の女性ではかなりの頻度であります。自分でも気づかない過多月経(子宮内膜症や子宮筋腫など)も多いと思います。
  • 40代女性 一般内科 「鉄欠乏性貧血」
    ほとんどが鉄欠乏性貧血ですが、女性は子宮内膜症の方の貧血、マラソン貧血の方もいます。
  • 50代男性 一般内科 「鉄欠乏性貧血」
    若い人の場合は鉄欠乏性貧血が多いと思いますが、高齢者ではガンにともなう慢性的な出血によることも少なくはありません。
  • 50代男性 一般内科 「腎性貧血」
    腎臓専門なので、CKD(慢性腎臓病)の患者さんが多いため、必然的に腎性貧血になります。
  • 40代男性 一般内科 「葉酸欠乏性貧血」
    葉酸欠乏性貧血が多いような気がします。
  • 40代女性 総合診療科 「巨赤芽球性貧血」
    高齢の患者さんを診ると大球性が多く、また、てんかん薬を飲んでいる方も貧血という方が多かったです。
  • 40代女性 一般内科 「その他」
    高齢者では慢性感染、炎症などによる二次性貧血が多いと思います。若年女性では生理などによる貧血が多いです。

集計の結果、患者さんが最も多い貧血の種類として、全体の95%が「鉄欠乏性貧血」と回答しました。
特に、鉄欠乏性貧血は女性に多いとのコメントが散見されました。

というのも、鉄欠乏性貧血は、通常失血(消化管出血、月経など)や溶血、鉄需要の増加(妊娠、授乳、小児の急激な成長期など)が原因となることが多いため、必然的に女性の方がかかる可能性は高くなるからだそうです。
参考:鉄欠乏性貧血 - 11. 血液学および腫瘍学 - MSDマニュアル 

ゆえに、鉄欠乏性貧血は閉経していない若年女性に多く見られるとのことでした。

一方、高齢者の貧血の場合は、別の病気が原因のいわゆる二次性貧血が多いようです。
さらに、「自分でも気づかない過多月経(子宮内膜症や子宮筋腫など)も多いと思います。」とのコメントもあり、女性特有の疾患を抱えている可能性もあるようです。

さて、貧血の多くは「鉄欠乏性貧血」と考える医師がほとんどということがわかりましたが、貧血のなかで、重篤な貧血はどんなものがあるのでしょうか?続いて聞いてみました。

最も重篤な貧血はなにが考えられる?

  • 60代男性 一般内科 「再生不良性貧血」
    治療法が一番やっかいな再生不良性貧血かと思います。
  • 40代男性 一般内科 「再生不良性貧血」
    経過からすると再生不良性貧血が一番重篤であると考えます。
  • 50代男性 一般内科 「再生不良性貧血」
    再生不良性貧血は白血球も血小板も減少する疾患です。
  • 50代男性 一般内科 「再生不良性貧血」
    再生不良性貧血は、血液内科でも対応が難しいと言われているようです。
  • 30代男性 血液内科 「再生不良性貧血」
    再生不良性貧血は専門治療を要します。感染症や出血にも注意が必要です。
  • 50代女性 総合診療科 「再生不良性貧血」
    再生不良性貧血は、治療しないと命にかかわると思います。
  • 50代男性 一般内科 「再生不良性貧血」
    あまり遭遇しませんが、再生不良性貧血やMDS(骨髄異形成症候群)が重篤だと思います。鉄欠乏性貧血や腎性貧血は「重篤な貧血」ではなく、「原疾患が重篤な貧血」だと思います。
  • 50代男性 一般内科 「鉄欠乏性貧血」
    頻度、また消化器系の癌の可能性から鑑みて鉄欠乏性貧血であると思います。
  • 50代男性 一般内科 「鉄欠乏性貧血」
    もっとも頻度が高く、他に出血の可能性があるため、鉄欠乏性貧血が一番重篤だと思います。
  • 60代男性 一般内科 「溶血性貧血」
    最も重篤な貧血は溶血性貧血だと思います。
  • 60代女性 一般内科 「腎性貧血」
    腎臓などに重篤な症状が出る可能性があります。
  • 60代男性 一般内科 「巨赤芽球性貧血」
    骨髄増殖性疾患の恐れがあります。
  • 50代男性 一般内科 「葉酸欠乏性貧血」
    どこに重点を置くかにもよりますが、全身に影響していて、治療法はあるものの、放置すると危険という点では葉酸欠乏性貧血かと思います。

集計の結果、最も重篤な貧血について、66%もの医師が「再生不良性貧血」であると回答しました。
「治療法が一番やっかい」「治療しないと命にかかわる」「対応が難しい」など、さまざまな理由から、再生不良性貧血が最も重篤であると考えられているようです。
「専門治療を必要とします」との意見もあり、その治療の難しさが伝わってきます。

今回最多で回答された「再生不良性貧血」ですが、以下のように説明されています。耳慣れないという方はぜひご一読ください。

再生不良性貧血

“再生不良性貧血は血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾患です。この状態を汎血球減少症と呼びます。重症度が低い場合には、貧血と血小板減少だけがあり、白血球数は正常近くに保たれていることもあります。白血球には好中球、リンパ球、単球などがあり、再生不良性貧血で減少するのは主に好中球です。好中球は私達の体を細菌感染から守る重要な働きをしています。
これらの血球は骨髄で作られます。本症で骨髄を調べると骨髄組織は多くの場合脂肪に置き換わっており、血球が作られていません。そのために貧血症状、感染による発熱、出血などが起こります。”

(引用:難病情報センター | 再生不良性貧血(指定難病60)

貧血の放置はしない。医師の診察をおすすめします

今回の調査では、95%の医師が「鉄欠乏性貧血」が多いと回答し、そのなかでも、若年女性に多いとの見解が多数見られました。さらに過多月経では、子宮内膜症や子宮筋腫などの可能性を指摘するコメントもあり、女性の方は特に注意が必要ですね。
続いて「最も重篤な貧血とは何か」という質問では、66%と半数以上の医師が「再生不良性貧血」を選択しました。
この貧血は放置すると命の危険に関わるようです。一方、患者数が多いと回答された「鉄欠乏性貧血」を重篤だと考える医師は11%にとどまり、選択した理由は消化器系などの出血の可能性が懸念されるためでした。
貧血の種類はさまざまであり、重篤具合もバラツキがあるようですが、放置すると命に関わる貧血の可能性もあります。
貧血を患った場合には、どのような貧血なのかを確認するためにも受診されることを推奨します。

ツイート
この記事の著者

関連する健康相談

関連する記事

閲覧数ランキング

  1. 風邪をひいている時って飲酒しても大丈夫?飲酒が与える悪影響って一体何?医師501人に聞いてみました

  2. 閉経後も妊娠の可能性はあるの??産婦人科医130名に聞いてみました

  3. 腹痛のない下痢、続くなら病院へ行くべき?523名の医師に聞いてみました

  4. 寒気を伴う吐き気がある場合、考えられる病気は?どう対処すればいいの?医師518人に聞いてみました

  5. 風邪で声が出ない場合の対処法って何?医師504人に聞いてみました

  6. 風邪でかかるのは内科?耳鼻咽喉科?医師4200人アンケート調査

  7. なかなか上手く吐けない吐き気の症状がある場合、無理にでも吐くべき?適した対処法ってなに?医師524人に聞いてみました

  8. 全部無駄だったの!? イチゴ鼻の治し方を皮膚科医200人にきいてみた

  9. 発熱だけの症状で考えられる病気って何?病院は受診した方がいいの?医師524人に聞いてみました

  10. 4割が経験する『金縛り』の原因と解くコツとは