男女で尿漏れに違いはある?治療を受ければ尿漏れは改善する?泌尿器科医188名に聞いてみました

向き合う男女
本調査では、尿漏れの種類として男性は「切迫性尿失禁」が、女性は「腹圧性尿失禁」が最も多く回答を頂きました。尿漏れは、男性であれば前立腺肥大、女性であれば筋力の低下や高齢が原因で失禁が起こるといった声も目立ちます。また、全体のうち95%の方が、治療によって尿漏れは改善できると回答。症状や尿漏れの種類によりますが、薬物治療や外科治療などを行えば改善が期待できるようです。
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自分では意図せず尿が漏れてしまう「尿漏れ」。これは男女問わず起こり得ますが、特に女性や高齢者に多く見られるようです。
参考:成人の尿失禁 - 05. 腎臓と尿路の病気 - MSDマニュアル家庭版

そんな尿漏れには様々な種類がありますが、男女によって、現れる尿漏れの種類は異なるのでしょうか?また、病院で治療を行えば改善するのか気になるところです。

そこで今回は、男性・女性の尿漏れの種類について、そして尿漏れが治療によって改善されるのかについて、泌尿器科医、計188名の方々から回答を頂きました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年7月2日〜7月11日にかけて行われ、泌尿器科医、計188名から回答を頂きました。

男性の尿漏れの種類は何が多い?

「男性の尿漏れの種類で多いものは何か」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。

  • 切迫性尿失禁
  • 腹圧性尿失禁
  • 溢流性尿失禁
  • 機能性尿失禁
  • 混合型尿失禁
  • 感染症
  • その他

以下が結果となります。

まずは、選択肢に挙げられた尿失禁の種類をおさえ、それから医師のコメントをみていきましょう。

尿失禁とは

切迫性尿失禁:抑制できない切迫した尿意が発生した直後に制御不能の尿漏出(中等量から多量)が生じる。夜間頻尿および夜間の尿失禁がよくみられる。切迫性尿失禁は高齢者において最も多い型の尿失禁であるが,若年者にも発生しうる。利尿薬の使用によりしばしば誘発され,トイレへ迅速に到達できないことで増悪する。女性では,加齢とともによくみられる萎縮性腟炎が,尿道の菲薄化および刺激ならびに尿意切迫に寄与する。

腹圧性尿失禁:腹圧の急激な上昇(例,咳嗽,くしゃみ,笑う,体を曲げる,物を持ち上げるなどに起因)が原因で起こる尿漏である。漏出量は,通常少量から中等量である。女性では2番目に多い型の尿失禁で,主に出産の合併症および萎縮性尿道炎の発生が原因である。男性では前立腺全摘除術などの措置後に腹圧性尿失禁が発生する可能性がある。腹圧性尿失禁は典型的には肥満の人々においてより重症であり,これは膀胱の上にある腹腔内容物の圧力がかかるためである。

溢流性尿失禁:膀胱に過度に充満した尿の滴下である。通常は少量であるが,持続的な漏出がみられることがあり,その場合は総漏出量は多量となる。溢流性尿失禁は,男性では2番目に多い型の尿失禁である。

機能性尿失禁:認知障害もしくは身体的機能障害(例,認知症または脳卒中に起因)または排尿の制御を妨げる環境的な障壁が原因の尿漏れである。例えば,患者が尿意を認識していない可能性,トイレの場所を知らない可能性,遠く離れた場所のトイレに歩いていけない可能性などがある。尿禁制を維持する神経経路および尿路機構は正常な場合がある。

混合性尿失禁:上記の型のいずれかが混合したものである。最も多い組合せは,切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の併発および切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁と機能性尿失禁の併発である。

引用:成人の尿失禁 - 03. 泌尿器疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版

では、回答した医師のコメントを見ていきましょう。

  • 60代男性 泌尿器科 「切迫性尿失禁」
    前立腺肥大症にともなう切迫性尿失禁が多いと思います。
  • 50代男性 泌尿器科 「切迫性尿失禁」
    男性の尿漏れ患者さんが最近特に増えており、若い人も増えています。
  • 50代男性 泌尿器科 「切迫性尿失禁」
    過活動膀胱による切迫性尿失禁が多い印象があります。しかし、治療に難渋するのは尿失禁ではなく、夜間頻尿の方です。
  • 40代女性 泌尿器科 「切迫性尿失禁」
    男性の場合、(前立腺)肥大症などの排尿障害による尿失禁と、前立腺の手術後の尿失禁が多い印象です。
  • 50代男性 泌尿器科 「切迫性尿失禁」
    BPH(前立腺肥大症)に合併する症例と、脳血管障害に合併する症例の切迫性尿失禁が多いと考えています。
  • 60代男性 泌尿器科 「溢流性尿失禁」
    前立腺肥大に伴う、過活動膀胱が多いです。
  • 50代男性 泌尿器科 「溢流性尿失禁」
    残尿が原因の溢流が多いと考えます。
  • 30代女性 泌尿器科 「溢流性尿失禁」
    前立腺肥大症がかなりの確率で主因となっています。
  • 50代男性 泌尿器科 「溢流性尿失禁」
    前立腺肥大症に伴う尿閉による溢流性が多いと思います。
  • 40代男性 泌尿器科 「機能性尿失禁」
    尿失禁を主訴に受診される男性患者さんの中には、高齢によるADL低下や認知機能障害に伴う機能性尿失禁が増えてきている印象です。

調査では、男性の尿漏れの種類として「切迫性尿失禁」が最も多いという結果となり、次に「溢流性尿失禁」が続きました。
医師のコメントによると、男性の場合、前立腺肥大症による切迫性尿失禁や溢流性尿失禁を患うケースが多いようです。

また、「前立腺の手術後の尿失禁が多い印象もある」との考えを述べた方もいらっしゃいました。

他にも、脳血管障害に合併する切迫性尿失禁も多いというコメントがあり、膀胱や前立腺以外にも原因が見られる場合があるとのことでした。
さらに高齢者の場合だと、認知機能障害や日常生活動作の低下による機能性尿失禁も多くなるといい、自分で尿意を認識できないまま、尿漏れを起こしてしまうケースがよく見られるとのコメントが寄せられました。

女性の尿漏れで多い種類は?

つぎに、「女性の尿漏れの種類で多いものは何か」という質問に対し、同様に以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。

  • 切迫性尿失禁
  • 腹圧性尿失禁
  • 溢流性尿失禁
  • 機能性尿失禁
  • 混合型尿失禁
  • 感染症
  • その他

以下が結果となります。

  • 60代男性 泌尿器科 「腹圧性尿失禁」
    女性の失禁は複雑ですが、漏れやすいのは確かです。
  • 50代男性 泌尿器科 「腹圧性尿失禁」
    解剖学的に女性は腹圧性尿失禁および混合型が多いと思います。
  • 50代男性 泌尿器科 「腹圧性尿失禁」
    閉経後の腹圧性尿失禁が多いような気がします。
  • 40代男性 泌尿器科 「腹圧性尿失禁」
    女性は筋力低下など、骨盤臓器の下降が原因だと思います。
  • 50代男性 泌尿器科 「腹圧性尿失禁」
    更年期となり女性ホルモンが低下すると、筋力が低下するため、腹圧性尿失禁が多くなります。
  • 50代男性 泌尿器科 「切迫性尿失禁」
    ほかの種類と比べて切迫性尿失禁が圧倒的に多いと思います。
  • 50代男性 泌尿器科 「切迫性尿失禁」
    OAB(過活動膀胱)に伴う失禁が一番多いと思います。
  • 60代女性 泌尿器科 「切迫性尿失禁」
    高齢になるにつれ、切迫性尿失禁が多くなってくるような傾向があるようです。
  • 40代男性 泌尿器科 「切迫性尿失禁」
    女性では80%以上が切迫性尿失禁だと思われます。
  • 40代男性 泌尿器科 「混合性尿失禁」
    切迫性、腹圧性、どちらも多いと思います。
  • 40代男性 泌尿器科 「混合性尿失禁」
    女性は切迫性や腹圧性が多い印象です。
  • 30代男性 泌尿器科 「混合性尿失禁」
    骨盤底筋の脆弱と膀胱機能低下の両方がかかわっていると思われます。

女性の尿漏れの種類として、「腹圧性尿失禁」が最も多く支持を集めるという結果となりました。
このように回答した医師からは、筋力の低下を指摘するコメントが散見されています。
また「更年期となり女性ホルモンが低下すると、筋力が低下するため、腹圧性尿失禁が多くなります。」とコメントした医師もいらっしゃり、女性に大きくかかわる更年期はこのような疾患を呼び込む場合もあるようです。

一方、「切迫性尿失禁」にかかる女性も多いらしく、過活動膀胱に伴う失禁や、高齢が原因で起こる失禁などが考えられるといったコメントがありました。
また、これら腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁を合わせた「混合性尿失禁」も女性に多いらしく、いずれも骨盤底筋の脆弱と膀胱機能の低下が原因となる場合があるといいます。

さて、こうした尿漏れは治療すれば改善されるのでしょうか。

医師に調査した結果は、以下の通りになります。

尿漏れは治療すれば改善するのか?

  • 50代男性 泌尿器科 「多少は改善する」
    程度が軽ければ改善しますが、重症の場合は手術も必要となります。
  • 60代男性 泌尿器科 「多少は改善する」
    病院を受診して治療すれば多少は改善されます。
  • 60代男性 泌尿器科 「多少は改善する」
    女性の切迫性尿失禁は薬剤で、腹圧性は手術で改善することが多いです。
  • 50代男性 泌尿器科 「多少は改善する」
    腹圧性や機能性は生活の見直しなどで改善する余地がありますが、切迫性や溢流性は治療が必要です。
  • 60代女性 泌尿器科 「改善する」
    内服である程度効果は発揮されますが、場合によってはオペの必要もあります。
  • 40代男性 泌尿器科 「改善する」
    外科治療と薬物治療を効果的に組み合わせて対応すればかなり改善できると思います。
  • 60代男性 泌尿器科 「改善する」
    きちんと精査して合う手術を行えば、改善すると思います。
  • 60代男性 泌尿器科 「改善する」
    最近はいろいろな薬物療法が可能なので完全ではないかもしれませんが、改善すると考えます。
  • 40代男性 泌尿器科 「あまり改善されない」
    内服による治療では改善されません。
  • 60代男性 泌尿器科 「ほとんど改善しない」
    薬では改善されません。

集計では、肯定的な意見(「多少は改善する」「改善する」を選んだ回答)が95%と全体の大半を占めており、否定的な意見(「あまり改善されない」「ほとんど改善しない」を選んだ回答)は5%とごくわずかな意見となりました。
医師のコメントでは、治療することによって改善するとのコメントが多くありましたが、場合によっては手術が必要との意見が散見されました。

また、尿漏れの種類によっても、薬で効果が発揮されるものや手術を要するものと分かれるようで、患者さんの病状によるみたいでした。

薬や外科治療によって尿漏れの改善は期待できる!

尿漏れの種類として、男性は「切迫性尿失禁」が、女性は「腹圧性尿失禁」が最も多いという調査結果となりました。
男性の尿漏れは前立腺肥大、女性の尿漏れは筋力の低下などが原因との指摘が散見され、男女でなりやすい尿失禁の種類に違いがあるようでした。
また「病院を受診し、治療すれば改善するか」と質問したところ、95%の医師が肯定的な見解を示しました。薬物治療や外科治療などを通じれば、改善することが期待できるようです。
尿漏れの症状が続き、困っている方は、一度病院を受診し、適切な治療を受けることを推奨します。

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