たくさん食べたらお腹が痛くなってきた…という経験をしたことがある方は多くいらっしゃるかと思います。もしかすると腹痛が起きてから食べ過ぎたことに気付くこともあるかもしれません。
しかし、本当に食べ過ぎが原因で腹痛になるということはあるのでしょうか。
そこで今回は、「食べ過ぎが原因で腹痛になることはあるか」について、一般内科、消化器内科、消化器外科、総合診療科の医師526名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年7月25日〜7月26日にかけて行われ、一般内科医、消化器内科医、消化器外科医、総合診療医の526名から回答を頂きました。
食べ過ぎが原因で腹痛になることはある?
「食べ過ぎが原因で腹痛になることはありますか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらいコメントを頂きました。
- 大いにある
- 多少はある
- あまりない
- ほとんどない
以下が結果となります。
集計の結果、「多少はある」が49%で最も多く回答され、続いて「大いにある」が38%で回答されています。
合計すると87%の医師が食べすぎによる腹痛はありうると考えていることがわかります。一方、「あまりない」が9%、「ほとんどない」が4%と、否定的な見解を示した医師は13%という結果になりました。
それでは、双方の医師のコメントを見ていきましょう。
「ある」と肯定的な回答をした医師
- 60代男性 一般内科 「多少はある」
消化不良を起こし、腹痛につながります。 - 30代女性 総合診療科 「多少はある」
高脂肪食の食べ過ぎは特によくありません。 - 40代男性 総合診療科 「多少はある」
食べた量のみならず、食べる速さや咀嚼の程度、食べた物の内容にもよると思います。 - 30代女性 一般内科 「多少はある」
多少はありますが、時間の経過と共に良くなります。 - 50代男性 消化器内科 「多少はある」
ものと量によると思います。炭水化物は食べ過ぎても大丈夫と思います。 - 50代男性 総合診療科 「多少はある」
油ものなど多量に食べた時の腹痛などあると思います。 - 30代女性 一般内科 「多少はある」
消化の悪いものを食べ過ぎた場合などです。 - 50代男性 一般内科 「多少はある」
食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎによって嘔気や嘔吐、胸焼けの症状が主として生じると思います。 - 30代男性 消化器内科 「多少はある」
食べ過ぎで胃が拡張し、腹壁に接触することで腹痛を起こすことがあります。 - 60代男性 一般内科 「大いにある」
それは腸管蠕動障害などの影響はあるでしょう。 - 50代男性 一般内科 「大いにある」
よく噛まないことも大きな要因だと思います。 - 40代男性 一般内科 「大いにある」
腸が動くことで痛みが出ます。 - 50代男性 一般内科 「大いにある」
過食にて腹痛、下痢が出現します。 - 50代男性 消化器内科 「大いにある」
消化能力の許容量を越えれば、当然腹痛になります。 - 60代男性 消化器外科 「大いにある」
消化の悪いものでイレウスになりやすいです。
肯定的な見解を示した医師からは、消化不良や消化が悪いものを食べた場合、といったコメントが寄せられました。
食べものをきちんと消化できていない場合、腹痛が起こりうるようです。
また、それ以外の理由として胃が拡張し腹壁に接触することや、腸が動くためなどが挙げられました。
さらに腹痛が起こる原因として、食べすぎだけでなく、食べる速さや咀嚼の程度、食べた物の内容も関係すると考える医師もいらっしゃります。
高脂肪食の摂りすぎはよくないとのコメントや、よく噛まないことが要因になるとの意見なども寄せられており、普段の食生活も腹痛と関係しているようですね。
また「過食にて腹痛、下痢が出現します。」との見解を示す医師も。食べすぎは腹痛を引き起こすだけでなく、下痢などの症状が現れると考えられているようです。
ほかにも、「消化の悪いものでイレウスになりやすい」とのコメントも見られました。
イレウスについては、以下のサイトにて説明されています。
イレウスとは
“イレウスとは、腸壁が一時的に正常な収縮運動をしなくなった状態です。
・一般的な原因として、腹部の手術や腸の運動を阻害する薬があります。
・腹部膨満、嘔吐、便秘、けいれん性の腹痛、食欲不振が生じます。“
このように、様々な症状を引き起こす可能性があるので、食べ過ぎや消化の悪いものの摂りすぎには注意した方が良さそうです。
「ない」と否定的な回答をした医師
- 50代男性 一般内科 「あまりない」
便通やおならの異常の方が多いと思います。 - 50代男性 一般内科 「あまりない」
腹痛が起こる前に嘔吐します。 - 40代男性 消化器外科 「あまりない」
腹部膨満感はあるものの腹痛まではありません。 - 50代男性 消化器外科 「あまりない」
ストレスなどで胃腸が拡張するときに腹痛になることが多いと思います。 - 50代男性 消化器内科 「あまりない」
習慣性便秘の人にはありえます。 - 40代男性 消化器内科 「ほとんどない」
膨満感はありますが、腹痛はありません。 - 30代男性 一般内科 「ほとんどない」
そのような作用機序は聞いたことがありません。 - 40代男性 消化器外科 「ほとんどない」
ほとんどないと思います。張りはありますが。 - 60代男性 消化器内科 「ほとんどない」
食べ過ぎ腹痛を起こしたことはありません。 - 50代男性 消化器外科 「ほとんどない」
多様な原因があるので一概には言えません。
否定的な回答をした医師からは、「腹部膨満感」、「便通やおならの異常」はあるものの、腹痛は起こらないとの意見が見られました。さらに、腹痛が起こる前に嘔吐するとのコメントも。
しかし、なかには「習慣性便秘の人にはありえる」とのコメントも寄せられました。
普段から便秘の方は、より食べ過ぎには注意した方が良いかもしれません。
また、「ストレスなどで胃腸が拡張するときに腹痛になることはある」とのこと。食べ過ぎだけでは腹痛にならないものの、ストレスや便秘など他の症状が加わることで腹痛になることはあるという見解がうかがえました。
食べ過ぎが原因で腹痛になることはありうる
本調査によれば、食べ過ぎが原因で腹痛になることはありうると考える医師が9割近くを占めることがわかりました。どうやら食べ過ぎによって腹痛が起こる可能性は高そうです。
医師のコメントによれば、消化不良を起こすことや高脂肪食の摂りすぎ、よく噛まずに食べることなどが誘因になるようです。
さらに、食べ過ぎは腹痛だけでなく下痢や吐き気、胸焼けまで伴うこともあるようで、食べ過ぎによる腹痛や他の症状に悩まされている方は、普段の食生活から見直してみてはいかがでしょうか。
否定的な回答をした医師からも、ストレスや便秘など別の要因が加わった場合は腹痛になりえるとの見解が見られたことから、心当たりのある方はストレスや便秘の改善も併せて行うと良いかもしれませんね。