貧血の治療で鉄剤を注射することはあるの?内服に比べて改善される?医師523名聞いてみました

薬と注射器
貧血の治療に鉄剤の静脈注射を行うことはあるか質問したところ、62%の医師が肯定的な見解を示しました。基本は経口投与という声もありましたが、鉄剤の副作用で内服薬が服用できない場合や、治療期間などを考慮した場合に静脈注射を選択しているとのことでした。続いて、鉄剤の静脈注射は内服に比べ、貧血は改善されるかを調査したところ、約6割の医師が改善することに対して肯定的な見解でした。医師のコメントでは、静脈注射の場合、直接血液循環に乗ること、含有鉄量が多いこと、消化管からの吸収を省略できることで、内服より効果が早いといった見解が挙げられました。しかし、持続性の点では内服が良いのではと考える医師もいらっしゃいました。もし鉄剤の内服が難しいと感じた方は、一度医師に相談されてみてもいいかもしれませんね。
貧血
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貧血の対処法と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?
鉄を多く含む食べ物やサプリメントの摂取、薬の服用といったことを考える方が多いと思います。実は貧血の対処法はそれだけではなく、鉄剤の静脈注射という方法があります。このことを知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「貧血の治療に鉄剤の静脈注射を行うことはあるか」、「鉄剤の静脈注射は内服に比べて、貧血は改善されるか」について、一般内科医、総合診療科医、血液内科医の計523名に聞いてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年6月24日〜6月27日にかけて行われ、一般内科、総合診療科医、血液内科医の計523名から回答を頂きました。

貧血の治療に、鉄剤の静脈注射はするの?

「貧血の治療に鉄剤の静脈注射を行うことはありますか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。

  • 大いにある
  • ときどきある
  • あまりない
  • ほとんどない

以下が結果となります。

  • 50代男性 一般内科 「ときどきある」
    鉄剤を飲めない患者さんは鉄剤点滴をします。
  • 60代男性 一般内科 「ときどきある」
    鉄剤の経口投与ができない人と、急速に鉄補充したい患者さんに用います。
  • 60代男性 一般内科 「ときどきある」
    ときどきあります。特にうちの病院は輸血ができない施設なので、入院患者にフェジンを1週間静注することがあります。
  • 30代男性 一般内科 「ときどきある」
    透析患者では行います。
  • 50代男性 血液内科 「ときどきある」
    基本は経口投与ですが、副作用で服用できなければ使用します。
  • 50代男性 一般内科 「ときどきある」
    内服の副作用や治療期間の影響を考え、注射を選択することがあります。
  • 50代男性 一般内科 「ほとんどない」
    昔は注射をしましたけど、今は内服ができる患者さんが多いです。
  • 60代男性 一般内科 「ほとんどない」
    鉄剤の内服にて、殆どの患者さんは貧血が改善します。
  • 70代男性 一般内科 「ほとんどない」
    それほどひどい鉄欠乏状態を診ていません。鉄経口剤の副作用があれば別かもしれませんが、少量の投与でまず反応を見ます。
  • 60代男性 一般内科 「あまりない」
    透析患者には鉄剤注射がありますが、健常人の貧血ではよほど高度の鉄欠乏や内服不可の場合でないと静注はしません。
  • 30代男性 血液内科 「あまりない」
    消化管出血の患者さんであれば一時的に投与しても良いかもしれませんが、輸血をした場合はそれ自体に鉄が多く含まれている上に、出血が止まっていれば内服での補充でも間に合うと思います。鉄剤静注もアナフィラキシーのリスクがあります。
  • 40代男性 一般内科 「大いにある」
    静脈鉄剤の方が、即効性が高いです。

調査の結果、鉄剤の静脈注射に対して肯定的な医師は62%(「ときどきある」が52%、「大いにある」が10%)、否定的だった医師は38%(「ほとんどない」と「あまりない」ともに19%)と、約6割の医師が、貧血の治療に鉄剤の静脈注射を行うことがあるとの結果でした。

それでは、どのようなときに鉄剤の静脈注射を行うことがあるのでしょうか。
肯定的な見解を示した医師からは、鉄経口剤の副作用で服用できない状況や治療期間の影響を考える際に注射を選択するといったコメントが寄せられました。
基本は経口投与という声もありましたが、副作用の有無や治療期間がそれぞれ判断基準になってくるようです。

また、透析を行っている患者さんには鉄剤の静脈注射を行うとのコメントがいくつか見られました。抱えている病気によっては内服ではなく静脈注射を行うようです。
透析については以下のように説明されていますので、知らないという方はご一読ください。

“透析とは、体内の老廃物や過剰な水分を機械的に取り除く処置のことで、腎臓が十分な機能を果たさなくなったときに必要になります。(中略) 透析を受けていても、ほとんどの人が、健康に支障が出ない程度の食事ができる上に、血圧も正常に保たれ、神経の損傷や重い貧血(身体の細胞に酸素を運ぶ赤血球の減少)など重度の合併症の進行も避けられます。”

(引用:透析 - 05. 腎臓と尿路の病気 - MSDマニュアル家庭版

一方、否定的な見解を示した医師からは、「健常人の貧血ではよほど高度の鉄欠乏や内服不可の場合でないと静注はしません」とのコメントを頂きました。また、鉄剤の静脈注射に伴うアナフィラキシーを危惧する方もいらっしゃり、安易に静脈注射を行うことはできないようですね。
では実際のところ、鉄剤の静脈注射は内服よりも効果が高いのでしょうか。続いてその効果について聞いてみました。

貧血の治療には、内服より鉄剤の静脈注射の方が改善されるの?

「鉄剤の静脈注射は内服に比べて、貧血は改善されますか」という質問について、以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。

・改善される

・少し改善される

・どちらでもない

・あまり改善されない

・改善されない

以下が結果となります。

  • 50代男性 一般内科 「改善される」
    体力が保たれていて他の栄養素の欠乏もなければ、注射剤は早く効きます。
  • 50代男性 一般内科 「改善される」
    静脈に直接投与するので改善の効率が良いです。
  • 50代男性 一般内科 「改善される」
    含有鉄量が多いので内服より効果発現が早くなります。
  • 50代男性 総合診療科 「改善される」
    吸収の過程が省略される分は有利だと思います。
  • 50代男性 一般内科 「改善される」
    消化管からの吸収率などを考慮することなく、直接血液循環に乗るので効果は早く出ます。
  • 60代男性 血液内科 「どちらでもない」
    内服も注射も大きくは変わらないと思います。
  • 50代男性 血液内科 「どちらでもない」
    きちんと服用すれば、経口も注射も変わりないです。
  • 50代男性 血液内科 「どちらでもない」
    即効性を期待しますが、経口内服と比べてどの程度速いかは知らないです。
  • 60代男性 一般内科 「少し改善される」
    割と改善します。内服薬よりも効果発現は早いです。
  • 50代男性 一般内科 「少し改善される」
    即効性はあると思いますが、持続性を考えれば、内服のほうが良いかもしれません。

今回の調査では、「改善される」が42%で最多の回答となりました。その後を「どちらでもない」、「少し改善される」が続きました。
まず、「改善される」と回答した医師からは、直接血液循環に乗ることを理由に挙げたほか、含有鉄量が多いことや、消化管からの吸収を省略できることで内服より効果が早いといった見解がみられました。

一方、「少し改善される」と回答した医師からは、「持続性を考えれば、内服のほうが良いかもしれない」とのコメントが寄せられました。
「きちんと服用すれば、経口も注射も変わりないです。」といったコメントもあったことから、副作用の有無、即効性、持続性を鑑み、ご自身の貧血の症状に応じて医師に相談し、判断をあおぐのがいいかもしれませんね。

貧血の治療に鉄剤の静脈注射を行うケースもある

貧血の治療に鉄剤の静脈注射を行うことはあるか質問したところ、52%の医師が「ときどきある」と回答しました。「大いにある」との回答も合わせると、実に62%の医師がありうると考えていることがわかります。
基本は経口投与という声もありましたが、鉄剤の静脈注射を行う理由として、鉄経口剤の副作用の理由から内服薬が服用できない場合や、治療期間などを考慮した場合に静脈注射を選択しているとのことでした。
続いて「鉄剤の静脈注射は内服に比べて、貧血は改善されますか」と質問したところ、42%の医師が「改善される」と回答しました。「少し改善される」についても26%の医師が回答されており、合わせると68%もの医師が改善することに対し肯定的な見解でした。
医師からのコメントでは、静脈注射の場合は、直接血液循環に乗ること、含有鉄量が多いこと、消化管からの吸収を省略できることで内服より効果が早いといった見解が挙げられました。
一方、持続性を考えると内服薬の方が良いかもしれないと考える医師もいらっしゃいました。
もし鉄剤の内服が難しいと感じている方は、一度医師に相談されてみてもいいかもしれませんね。

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