最近、足のむくみがなかなかとれない。そんな悩みを持っている方も多くいるのではないでしょうか。足は特にむくみが出やすい箇所ですよね。
デスクワークが多く同じ姿勢でいることが多くなると、どうしても足がむくみがちになります。
それも一時的なものなら良いのですが、慢性的にむくんでいると、何か原因があるのではないかと心配になりますよね。もしかしたら本当に何か病気になっていることもあるかもしれません。
そこで今回は、一般内科、総合診療、腎臓内科・透析、循環器内科医527人に、足にむくみがある場合は病気が原因の可能性はあるのか、それはどんな病気なのかについて聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年8月23日~2018年8月24日にかけて行われ、一般内科、総合診療、腎臓内科・透析、循環器内科医527人から回答を頂きました。
足にむくみがある場合って病気が原因なの?
まずは、「足のむくみを主訴とする場合、病気が原因になっている可能性はありますか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 大いにある
- 多少ある
- あまりない
- ほとんどない
以下のグラフが結果となります。
「多少ある」との回答が54%と一番高く、次に「大いにある」、「あまりない」が続きました。
「多少ある」と「大いにある」を合わせると約82%の医師が足にむくみがある場合、病気が原因の可能性があると考えていることが分かります。
それでは、医師のコメントを見ていきましょう。
病気が原因で足にむくみが出る可能性あり
- 60代男性 一般内科 「多少ある」
足のむくみを主訴とする場合、病気が原因になっている可能性はあります。 - 50代男性 一般内科 「多少ある」
心臓が原因のことがあります。 - 50代男性 一般内科 「多少ある」
心腎疾患にて多く認められます。 - 60代男性 一般内科 「多少ある」
塩分摂取量が多いことが多いです。 - 50代男性 一般内科 「多少ある」
若い人だったらネフローゼ症候群の可能性もあります。 - 50代男性 一般内科 「多少ある」
腎性浮腫や心原性浮腫のことがあります。 - 50代男性 一般内科 「大いにある」
背景を十分チェックする必要があります。 - 50代男性 一般内科 「大いにある」
血液、尿、X-p検査は必須です。 - 40代男性 一般内科 「大いにある」
心不全や腎機能障害などの可能性があります。 - 60代男性 一般内科 「大いにある」
大いにあることを実感しています。 - 50代男性 一般内科 「大いにある」
まず基礎疾患がないか、鑑別が必要です。 - 40代男性 一般内科 「大いにある」
腎機能低下、運動不足による浮腫も多いです。
医師の回答を見ると、「多少ある」・「大いにある」との声が多数挙がっていました。具体的には、心臓や腎臓の疾患および機能不全を原因としてむくみが発生することが多いようです。
病気の詳しい説明は追って致しますが、心不全やネフローゼ症候群という病名も出ています。塩分の摂り過ぎや運動不足といったことも浮腫の原因になるそうなので、日々の生活習慣にも気を配りましょう。
少数だが否定的な意見も
- 40代男性 一般内科 「あまりない」
割合としては少ないと思います。 - 50代男性 一般内科 「あまりない」
病気がない方が多いです。 - 50代男性 一般内科 「あまりない」
立ち仕事などが原因の場合がほとんどです。 - 60代男性 一般内科 「あまりない」
薬剤性以外は、重篤なものは見つかりにくいです。 - 60代男性 一般内科 「あまりない」
高齢になると足のむくみを訴えることがあります。 - 50代男性 腎臓内科 「あまりない」
生理的なものが多いとは思います。 - 50代男性 一般内科 「あまりない」
足だけのときは病気と関係がないことのほうが多いです。 - 30代男性 一般内科 「あまりない」
多くは立ち仕事に影響するものです。他の症状が増えると病気の可能性もあります。 - 40代男性 腎臓内科 「ほとんどない」
あまり関係ないと考えます - 50代男性 一般内科 「ほとんどない」
足のむくみが主訴の経験はないです。 - 60代男性 一般内科 「ほとんどない」
あまり経験がないので分からないです。
次にコメントで気になったのは、「あまりない」・「ほとんどない」との意見です。全体の割合でいうと少数派な意見ですが、足がむくんでいるのは病気ではなく、以下のような原因が考えられるようです。
- 立ち仕事による場合
- 薬の副作用など薬剤性の場合
- 生理的な原因による場合
- 高齢など年齢による場合
病気が原因していることもありそうですが、必ずしもそうとは限らないようです。
そういった鑑別をしてもらうためにも、一度受診してみても良いかもしれませんね。
足のむくみで考えられる病気は何?
続いて、「足のむくみを主訴とする患者の疾患で多いものはどれですか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 慢性心不全
- ネフローゼ症候群
- 肝硬変
- リンパ浮腫
- 糖尿病性腎症
- 下肢静脈瘤
- 甲状腺機能低下症
- 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
- 急性糸球体腎炎
- 癌
- 月経前緊張症
- クッシング症候群
- 血液疾患
- ビタミンB1欠乏症
- メネトリエ病
- その他
以下のグラフが結果となります。
集計では、「慢性心不全」と回答している医師が65%と一番多く、次に「ネフローゼ症候群」、「肝硬変」が続きました。
「慢性心不全」との医師からの回答は唯一過半数を占めており、代表的な足のむくみにつながる病気だと考えられそうです。
まずは、上位の病気の概要を解説した後に、医師のコメントを見ていきましょう。
慢性心不全とは
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。心不全というのは病気ではなく、様々な心臓の病気の結果、このポンプの働きに障害が生じて色々な症状を引き起こしている状態を指すものです。(中略)心筋症、高血圧や弁膜症などが原因で長年にわたって心不全症状を認める場合を慢性心不全といいます。
ネフローゼ症候群とは
正常な腎臓では蛋白質は尿中からごく微量(1日150mg未満)しか排泄されませんが、腎疾患をきたすことで大量の蛋白質が尿中から漏出してしまうことがあります。この様な大量の蛋白尿(1日3.5g以上)を呈し、低蛋白血症やむくみをきたす病態をネフローゼ症候群と呼んでいます。
肝硬変とは
肝硬変とは、種々の原因による肝障害の終末の病態のことです。肝硬変は不可逆性で慢性的進行性の経過をたどり、代償期であれば症状は軽度ですが、非代償期すなわち肝機能が限界を超えて低下すると予後は非常に悪く、年間1万人以上が死亡しています。
慢性心不全の場合が多い
- 60代男性 一般内科 「慢性心不全」
心臓が一番多いと思います。 - 60代男性 一般内科 「慢性心不全」
慢性心不全が多いです。 - 30代男性 一般内科 「慢性心不全」
疾患としてなら心原性が多いと思います。 - 70代男性 一般内科 「慢性心不全」
高齢者の心不全に注意しています。 - 50代男性 一般内科 「慢性心不全」
高齢者を拝見しているので、心不全が圧倒的に多いです。 - 40代男性 一般内科 「慢性心不全」
重症化しやすいため、印象に残ります。 - 30代男性 一般内科 「慢性心不全」
大体の人が足の甲がむくんだと言ってきます。 - 50代男性 一般内科 「慢性心不全」
高齢者は心不全、低アルブミンが多いです。 - 50代男性 一般内科 「慢性心不全」・「ネフローゼ症候群」
心疾患もしくは腎臓疾患が疑われます。
一番多く見られたコメントは、「慢性心不全」というものでした。
医師のコメントによれば、むくみの症状を足に限定した場合でも、「慢性心不全」が最も多くみられる疾患の様です。
特に、高齢の方に「慢性心不全」は多いとのことでした。
重症化もしやすいようなので、注意が必要ですし、なるべく早期に対応した方が良さそうですね。
また、「慢性心不全」で足のむくみが現れる場所としは、足の甲が多いとのコメントもみられました。心当たりがある方は、「慢性心不全」の可能性がないか、医療機関で検査を行うことも検討するようにしましょう。
ネフローゼ症候群のケースも考えられる
- 30代男性 一般内科 「ネフローゼ症候群」
ネフローゼ症候群などが多いです。 - 60代男性 一般内科 「ネフローゼ症候群」・「慢性心不全」・「下肢静脈瘤」
心不全、腎機能低下、下肢血栓などを考えます。 - 30代男性 腎臓内科 「ネフローゼ症候群」
ネフローゼが特に顕著にむくみが現れます。 - 60代男性 一般内科 「ネフローゼ症候群」
まずは鑑別が一番大事です。 - 50代男性 一般内科 「ネフローゼ症候群」
腎臓系の疾患が多かったです。 - 40代男性 一般内科 「ネフローゼ症候群」
この病気は特に注意が必要です。 - 50代男性 腎臓内科 「ネフローゼ症候群」
小児にも発症することがあり気をつけて対応しています。 - 40代男性 一般内科 「ネフローゼ症候群」
ネフローゼは浮腫の原因としては多いです。
次にコメントで多かったのは、「ネフローゼ症候群」とする意見です。
この病気だと、むくみの症状が顕著に現れる特徴があるようです。
普段のむくみよりも酷く感じる場合は、「ネフローゼ症候群」の可能性もありますので、心配な方は医療機関にてしっかりと鑑別をしていただきましょう。
また、「ネフローゼ症候群」は小児にも発症する病気のようなので、小さいお子様でむくみの症状がひどい場合なども注意が必要です。
足のむくみは病気が原因の可能性あり。慢性心不全のケースに注意を
本調査によると、足のむくみを主訴とする場合、病気が原因になっている可能性があるかどうかについては、「多少ある」との回答が一番高く、次に「大いにある」、「あまりない」が続きました。
全てのむくみが病気に起因しているということではありませんが、症状が続く時などは医療機関に診てもらった方が良いケースもありそうです。
また、足のむくみを主訴とする患者の疾患で多いものはどれかという質問については、「慢性心不全」と回答している医師が一番多く、次に「ネフローゼ症候群」、「肝硬変」が続きました。どれも内臓の不具合に起因する重大な病気のため、健康状態に不安のある方は医師に相談してみることが大事そうです。