コレステロールを気にして、油ものをあまり食べないようにしている方も多いのではないでしょうか。しかし、全く食べないというのはなかなか難しいかもしれません。
なかには油ものを摂取してしまっても、その分運動をすれば良いのではと考える方もいると思います。
ですが、運動をすると決めたは良いものの、有酸素運動と無酸素運動、どちら方が良いのかよくわからないこともありますよね。
そこで今回は、コレステロール値を下げる運動として有酸素運動と無酸素運動のどちらの方が効果的か、一般内科医、総合診療科医、循環器内科医、代謝・内分泌科医、計527名の医師に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https:/ /medpeer.jp/)にて、2018年10月5日〜10月6日にかけて行われ、一般内科医、総合診療科医、循環器内科医、代謝・内分泌科医の527名から回答を頂きました。
コレステロール値を下げるには、有酸素運動と無酸素運動どちらがいいのか
「コレステロール値を下げる運動として有酸素運動と無酸素運動のどちらの方が効果的ですか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらいコメントを頂きました。
- 有酸素運動
- 無酸素運動
- どちらも同じくらい効果的である
- どちらも効果的でない
以下が結果となります。
調査の結果、コレステロール値を下げるには「有酸素運動」の方が効果的と考える医師が54%と過半数を超える結果となり、次に「どちらも同じくらい効果的である」との回答が32%、「どちらも効果的でない」との回答が13%、「無酸素運動」と回答した医師はわずか1%でした。
それでは、医師のコメントを見ていきましょう。
「有酸素運動」と回答した医師
- 60代男性 一般内科 「有酸素運動」
- ゆっくり長時間ウォーキングや、プールで歩くのも良いです。
- 60代男性 一般内科 「有酸素運動」
有酸素運動による血糖改善と相まって、脂質の改善が見込まれます。 - 40代男性 一般内科 「有酸素運動」
脂肪の燃焼が必要と考えるためです。 - 30代男性 一般内科 「有酸素運動」
継続できる有酸素運動が有用なのではないかと思います。 - 40代男性 循環器内科 「有酸素運動」
有酸素運動の方が肝臓に対する影響を考えるといいと思います。 - 50代男性 総合診療科 「有酸素運動」
有酸素運動の方が、代謝作用があるため良いと思います。 - 50代男性 代謝・内分泌科 「有酸素運動」
有酸素運動は血糖値も下げると思います。
有酸素運動と回答した医師からは、代謝作用がある、有酸素運動による血糖改善と相まって、脂質の改善が見込まれるとのコメントをいただきました。
有酸素運動により代謝を促し、脂肪を燃焼させることがコレステロール値の低下につながると考えられているようです。
また、「ゆっくり長時間ウォーキングや、プールで歩くのも良い」、「継続できる有酸素運動が有用なのではないか」と述べた医師もいることから、自身で継続できる有酸素運動をすることがコレステロール値を下げるために有効dであることがうかがえました。
「どちらも同じくらい効果的である」と回答した医師
- 60代男性 総合診療科 「どちらも同じくらい効果的である」
むしろ、年配の方には筋トレなどの無酸素運動が良いとの報告があります。 - 60代男性 一般内科 「どちらも同じくらい効果的である」
どちらも同じくらい効果がありますが、継続が必要です。 - 60代男性 代謝・内分泌科 「どちらも同じくらい効果的である」
運動することが大事だと思われます。 - 40代男性 一般内科 「どちらも同じくらい効果的である」
有酸素運動を1日30分以上おこなうように勧めています。また軽い負荷は必要と説明しています。負荷をかけるために筋肉トレーニングも推奨しています。 - 50代男性 一般内科 「どちらも同じくらい効果的である」
中性脂肪ではないので、コレステロール値を下げる運動として、有酸素運動と無酸素運動のどちらも多少の効果があります。 - 50代男性 一般内科 「どちらも同じくらい効果的である」
運動をしてエネルギー消費をすれば脂質も下がります。エネルギー消費したにも関わらず、栄養を摂れば元の木阿弥です。
どちらも同じくらい効果的であると回答した医師からは、「運動をしてエネルギー消費をすれば脂質も下がる」とのコメントが寄せられました。運動であればどちらでも良いという考えのようですね。
なかには、「どちらも同じくらい効果がありますが、継続が必要」との見解も見られるため、どちらにせよ継続することが大事なことがわかります。
ほかにも、「年配の方には筋トレなどの無酸素運動が良い」との声もあり、年齢層によって有効な運動が変わることもあるようでした。
「有酸素運動を1日30分以上おこなうように勧めています。また軽い負荷は必要と説明しています。負荷をかけるために筋肉トレーニングも推奨しています」と具体的に提示してくれた医師もいらっしゃいました。
コレステロール値が高くてお困りの方は、この方法を参考にしてみても良いかもしれません。
「どちらも効果的でない」と回答した医師
- 50代男性 代謝・内分泌科 「どちらも効果的でない」
運動療法で良くなった例は経験がありません。 - 50代男性 一般内科 「どちらも効果的でない」
コレステロールは運動により消費される物質ではありませんので、運動がコレステロールを直接下げる効果はないと考えます。 - 50代男性 代謝・内分泌科 「どちらも効果的でない」
HDLコレステロール値は上げるかもしれませんが、LDLコレステロール値は下がりません。 - 40代男性 循環器内科 「どちらも効果的でない」
LDLコレステロールを下げるものは特にありません。
一方でどちらも効果的でないとの回答からは、理由として「コレステロールは運動により消費される物質ではないため、運動がコレステロールを直接下げる効果はない」、「HDLコレステロール値は上げるかもしれないが、LDLコレステロール値は下がらない」といったコメントが見られました。
HDLとLDLのコレステロールについては、日本動脈硬化学会のサイトに以下のように書かれていました。参考にしてみてください。
LDLコレステロール・HDLコレステロールとは
“LDL(低密度リポ蛋白)とは肝臓から出てきたリポ蛋白が小さくなったもので、血液中で最も数が多い粒子です。この中に含まれるコレステロールをLDLコレステロールといいます。全身の組織や細胞は、主にこのLDLからコレステロールを取り込みます。LDLは血管壁に入り込み、動脈硬化の原因になります。
HDL(高密度リポ蛋白)とは体の細胞から使われなくなったコレステロールを肝臓に運ぶ粒子で、この中に含まれるコレステロールをHDLコレステロールといいます。HDLは脂質が蓄積して動脈硬化を起こした血管からもコレステロールを引き抜くことができます。
したがって、LDLを悪玉、HDLを善玉と考えて、LDLコレステロールを「悪玉コレステロール」、HDLコレステロールを「善玉コレステロール」と説明することがあります。”
コレステロール値を下げるには、どちらかといえば有酸素運動が有効
本調査によれば、コレステロール値を下げるには、有酸素運動の方が効果的だと考える医師が最も多いという結果となりました。
有酸素運動と回答した医師のコメントからは、代謝作用があることや、コレステロール値を下げるためには脂肪の燃焼が必要なため、有酸素運動で血糖改善と相まって、脂質の改善が見込まれるといったコメントをいただきました。
また、「継続できる有酸素運動が有用」と考える医師もおられ、継続できるということがポイントとなるようでした。
続いて、有酸素運動と無酸素運動のどちらも同じくらい効果的であると回答した医師からは、継続することが大事、年配の方には筋トレなどの無酸素運動が良い、両方の運動を織り交ぜることが大事といったコメントが寄せられました。
やはり全体を通して「継続が大事」というコメントが目立ったことから、運動を始めようとする方は、自分にできそうな無理のないものから試してみると良いかもしれませんね。
全身の不調の悩み