中性脂肪というキーワードを聞くと、マイナスイメージを抱く方も多いことでしょう。
健康診断や人間ドック等で「中性脂肪が高い」と言われれば、食事で摂る脂質の量を減らすように心がけるようになると思います。
しかし、逆に中性脂肪の値が低くなってしまった場合、何か他の弊害が生まれることはあるのでしょうか。
そこで今回は、中性脂肪の値が基準値よりも低いことが原因で起こる症状について、一般内科医、総合診療医、循環器内科医、代謝・内分泌科医、健診・予防医学医の計527名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年10月6日~2018年10月9日にかけて行われ、一般内科医、総合診療医、循環器内科医、代謝・内分泌科医、健診・予防医学医の計527名から回答を頂きました。
中性脂肪の値が基準値より低くて起こる症状とは?
医師の方々には「これまでの先生のご経験から、中性脂肪の値が基準値よりも低いことが原因で起こる症状は何ですか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントをいただきました。
- 特にない
- 倦怠感
- 動機・息切れ
- めまい・ふらつき
- 低体温・手足の冷え
- 頭痛
- 食欲不振
- 貧血
- 肌荒れ
- その他
以下が結果となります。
- 50代男性 一般内科 「特にない」
あまり経験したことはありません。 - 50代男性 一般内科 「特にない」
特に経験はないので分かりません。 - 50代男性 一般内科 「特にない」
低中性脂肪が原因で症状が起こったことはないです。 - 50代男性 一般内科 「特にない」
聞いたことがありません。 - 30代女性 健診・予防医学 「特にない」
自分自身が中性脂肪低値ですが、とくに症状ありません。 - 30代男性 代謝・内分泌科 「特にない」
中性脂肪が低いための症状は経験ないです。 - 30代女性 代謝・内分泌科 「特にない」
低くて特に問題になったことはありません。 - 50代男性 健診・予防医学 「特にない」
低い分には問題ないと思います。 - 30代男性 一般内科 「特にない」
低栄養でなければ問題ないと思います。 - 50代男性 一般内科 「特にない」
飢餓でなければ問題はないです。 - 60代男性 循環器内科 「特にない」
中性脂肪が下がるだけでは問題ありませんが、バランス良い栄養摂取は必要です。 - 50代男性 代謝・内分泌科 「特にない」
低いのは低栄養を除いては問題ないでしょう。 - 50代男性 循環器内科 「特にない」
低いことが問題では無く低栄養があれば問題です。 - 40代男性 代謝・内分泌科 「特にない」
低栄養は考えなくてはならないですが、それ以外の症例はあまり問題ないと考えます。 - 70代男性 代謝・内分泌科 「特にない」
先天的代謝異常以上を除けば栄養不良でしょう。 - 50代男性 一般内科 「特にない」
栄養不良が中性脂肪低値なら、それなりの全身症状が出ます。 - 50代男性 一般内科 「特にない」
併せて栄養不良があるというなら別です。 - 50代男性 循環器内科 「特にない」
栄養不良以外に、中性脂肪の値が基準値よりも低い経験がないです。 - 60代男性 循環器内科 「倦怠感」
低栄養の症状ですね。 - 50代男性 総合診療 「倦怠感」
中性脂肪が低いことの原因が低栄養なら症状があるでしょう。 - 50代男性 一般内科 「倦怠感」
低中性脂肪による全身倦怠感が不安です。 - 50代男性 一般内科 「倦怠感」
低栄養の症状だと思います。 - 50代男性 総合診療 「倦怠感」
低栄養に伴う症状はあると思います。 - 50代男性 一般内科 「倦怠感」
高いのは問題ですが、低いのは低栄養だと思います。 - 70代男性 一般内科 「低体温・手足の冷え」
低栄養による症状が見られる可能性があります。 - 60代男性 一般内科 「低体温・手足の冷え」
低栄養による低体温・手足の冷えだと思います。 - 50代男性 一般内科 「低体温・手足の冷え」
低栄養の症状ではないでしょうか。 - 50代女性 総合診療 「低体温・手足の冷え」
低栄養状態が考えられます。
集計したところ、中性脂肪の値が基準値よりも低いことが原因で起こる症状は、「特にない」との回答が圧倒的に多く、実に75%もの医師が選択していました。
次いで「倦怠感」、「低体温・手足の冷え」が多かったですが、いずれも回答した医師は全体の10%未満という結果となりました。
最も多かった「特にない」を選んだ方々の中では、経験がない、問題はない、低栄養・飢餓でなければ、といったコメントが目立っていました。
中性脂肪の値が基準値よりも低いというだけで、体に異常を起こしたり、何か特定の症状を引き起こすことはないようです。
一方で、低栄養ないし栄養不良の場合は問題であるとの指摘もありましたが、そうでない状態の低中性脂肪は、とりわけ問題視されることではないようです。
2番目・3番目に多かった「倦怠感」、「低体温・手足の冷え」を挙げた医師のうち、ほとんどの方が低栄養を指摘していました。
医師のコメントによれば、栄養状態が悪いことで全身倦怠感、低体温、手足の冷えが生じるようでした。
中性脂肪の値が低くても特定の症状を引き起こすことはあまりない
今回の調査では、中性脂肪の値が基準値よりも低いことが原因で起こる症状について質問したところ、「特にない」との回答が最も多く、次いで「倦怠感」、「低体温・手足の冷え」との結果となりました。
全体の75%もの医師が「特にない」と回答しており、経験がない、問題はない、低栄養・飢餓でなければ、といったコメントが目立っていました。
中性脂肪の値が基準値よりも低いというだけでは、体に異常を起こしたり、特定の症状が表れたりすることはないと考える医師が多いようです。
「倦怠感」や「低体温・手足の冷え」を選択した方々からは、低栄養というキーワードに触れる意見が多く見られています。
今回の調査で回答していただいた医師の方々の意見をまとめると、中性脂肪値が基準値よりも低い場合でも、特定の症状を引き起こすことはあまりないようですが、低栄養の場合は、倦怠感や低体温・手足の冷えの症状が表れることもあるようでした。