インターネット上のサイトを見てみると、肥満の女性が妊娠した場合、難産の恐れもあるといった情報を目にします。
もちろん肥満の女性でも、順調なマタニティーライフを送り、出産もスムーズに済んだという方もいるかとは思いますが、標準体型の女性と比べると、やはりそうしたリスクはあるようです。
では、こうした肥満の女性は妊娠から出産までの間に痩せた方が良いのでしょうか。また痩せるためにおすすめのダイエット方法には、一体どのようなものが挙げられるのでしょうか。
そこで今回は、産婦人科医167名に、肥満の方は妊娠から出産までの間に痩せた方が良いのか、妊娠中にできるおすすめのダイエット方法は何か聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https:/ /medpeer.jp/)にて、2018年10月10日〜10月17日にかけて行われ、産婦人科医の167名から回答を頂きました。
肥満の方は妊娠から出産までの間に痩せた方が良い?
まずは、「肥満の方が妊娠した場合、出産までに痩せた方が良いと思いますか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。
- 痩せた方が良い
- 少しは痩せた方が良い
- あまり痩せなくても良い
- 痩せなくても良い
以下が結果となります。
集計したところ、肥満の方が妊娠した場合、出産までに痩せた方が良いかという質問に対し、58%の方が肯定的な意見(「痩せた方が良い」と「少しは痩せた方が良い」の合計)、42%の方が否定的な意見(「あまり痩せなくても良い」と「痩せなくても良い」の合計)を回答し、肯定派が少しだけ上回る結果となりました。
では、肯定的な意見、否定的な意見を回答した医師の方々のコメントを見ていきましょう。
肯定的な意見
- 40代男性 産婦人科 「少しは痩せた方が良い」
分娩時や帝王切開のことを考えても、程度の強い肥満は避けた方が良いです。 - 60代男性 産婦人科 「少しは痩せた方が良い」
産道の脂肪で難産になりやすいため、無理はせずとも痩せた方が良いです。 - 60代男性 産婦人科 「少しは痩せた方が良い」
肥満だと分娩がきついです。痩せると分娩が少しは楽になります。 - 60代男性 産婦人科 「少しは痩せた方が良い」
栄養障害にならなければ痩せた方が良いです。 - 80代男性 産婦人科 「少しは痩せた方が良い」
少し痩せるように指導しますが、あまり痩せすぎると胎児発育に影響する可能性があります。 - 40代男性 産婦人科 「痩せた方が良い」
肥満の方だと帝王切開の際に何かと大変です。 - 60代男性 産婦人科 「痩せた方が良い」
少なくとも体重増加を最小限度にすることが大切です。 - 60代女性 産婦人科 「痩せた方が良い」
妊娠してからの体重コントロールは困難ですので、妊娠までに体重を減らした方がいいですが、急激な体重減少は卵巣機能が悪くなります。
肯定的な意見をした医師のコメントには、肥満だと帝王切開の際に大変、産道の脂肪で難産になりやすいなどの理由から、過度な肥満は避けた方が良いとの声が目立ちました。
一方、痩せすぎても問題というコメントもあり、痩せすぎると母体の栄養面や胎児発育、卵巣機能などに影響する可能性があるとの指摘もあります。
体重コントロールの重要性がわかりますね。
否定的な意見
- 40代女性 産婦人科 「あまり痩せなくても良い」
痩せなくてもいいですが、体重増加は最小限にするよう指導します。 - 50代女性 産婦人科 「あまり痩せなくても良い」
痩せることは難しいので、せめて体重増加を必要最小限にとどめることです。 - 30代女性 産婦人科 「あまり痩せなくても良い」
痩せる必要はないですが、増加しないでほしいです。 - 50代女性 産婦人科 「あまり痩せなくても良い」
これ以上太らないことを目標として管理していくことが大切です。 - 60代男性 産婦人科 「痩せなくても良い」
妊娠前100kg以上の方には体重を減らしていただくよう指導しています。 - 50代男性 産婦人科 「痩せなくても良い」
妊娠時の体重を維持してもらえば、それが妊娠中のダイエットになると思います。あまりに食事の摂取量が少ないと赤ちゃんが育ちにくいと思います。 - 50代女性 産婦人科 「痩せなくても良い」
妊娠前に痩せておくことが望ましく、妊娠後は必要な栄養は取らざるを得ないので現状維持から少し痩せる程度しか難しいと思います。
否定的な意見をした医師のコメントには、とりわけ痩せる必要があるとの指摘はなかったものの、体重増加は最小限にすることを推奨する声が多かったです。
しかし、医師からは「妊娠前に痩せておくことが望ましい」との意見も見られました。
また、「妊娠前100㎏以上の方は減量してもらう」と具体的な意見もいただいており、肥満の程度が大きい時は体重を落とすべき場合もあるようです。
一方で、妊娠中に食事の摂取量が少ないと、赤ちゃんが育ちにくいといったコメントも寄せられており、あまり過度な食事制限で体重を落とすことは好ましくないようです。
妊娠中のおすすめのダイエット方法とは?
次に、「肥満の方が妊娠した場合、妊娠中にできるダイエットでおすすめの方法は何だと思いますか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。
- 食事の量やメニューを見直す
- 自分の体重を毎日記録する
- 負担のかかりにくいマタニティースイミング
- 日常生活での家事
- 散歩やウォーキング
- 軽い筋肉トレーニング
- 特になし
- その他
以下が結果となります。
- 50代男性 産婦人科 「食事の量やメニューを見直す」
正しい食事と正しい日常生活が一番です。 - 50代男性 産婦人科 「食事の量やメニューを見直す」
食事を客観的に把握するのが良いでしょう。 - 60代男性 産婦人科 「食事の量やメニューを見直す」
必要な栄養を摂りながら、食事のバランスを考えるとよいでしょう。 - 70代男性 産婦人科 「食事の量やメニューを見直す」
体重は食事の量が重要です。妊娠中は運動で減量することは非常に難しいので。 - 60代女性 産婦人科 「食事の量やメニューを見直す」
7割方は食事ですが、胎児に必要な栄誉は十分とるべきなので、そこの食事バランスが難しいです。 - 50代男性 産婦人科 「散歩やウォーキング」
なるべく体重を増やさないことが大事です。 - 50代男性 産婦人科 「散歩やウォーキング」
過度になりすぎないように体重が増えないようにすることが大事です。 - 50代男性 産婦人科 「散歩やウォーキング」
なるべく体を動かす習慣をつけることがいいと思います。 - 40代女性 産婦人科 「散歩やウォーキング」
適度なもので習慣的に続けられるものが良いでしょう。 - 80代男性 産婦人科 「自分の体重を毎日記録する」
体重を測定する事は、ダイエットの基本です。 - 50代男性 産婦人科 「自分の体重を毎日記録する」
体重を記録することがまず肝心だと思います。肥満の人は体重を意識していない人が多い傾向にあるので。
調査の結果、「食事の量やメニューを見直す」との回答が最も多く、続いて「散歩やウォーキング」、「自分の体重を毎日記録する」という結果となりました。
最も多く回答された「食事の量やメニューを見直す」では、妊娠中は運動で減量することは難しいため、食事量やメニューの見直しが効果的といったコメントが寄せられました。
ただし、胎児に与える必要な栄養が損なわれないよう、食事のバランスを考えることも大事だといいます。
2番目に多かった「散歩やウォーキング」を選んだ医師のコメントを見てみると、なるべく体重を増やさないこと、習慣的にできるものとして、散歩やウォーキングを勧める声が主でした。
ただし、ウォーキングなどをする場合はやりすぎに注意が必要とのことです。
3番目に多かった「自分の体重を毎日記録する」では、「体重を記録することがまず肝心だと思います。肥満の人は体重を意識していない人が多い傾向にあるので。」とのコメントを頂きました。
まずは体重を意識することがダイエットへの一歩となると考えられているようです。
半数以上の医師が痩せることを支持。過度にならない程度に食事の見直しを
まず、肥満の方は妊娠から出産までの間に痩せた方が良いという質問に対し、58%の医師が肯定的な意見(「痩せた方が良い」と「少しは痩せた方が良い」の合計)、42%の医師が否定的な意見(「痩せなくても良い」と「あまり痩せなくても良い」の合計)を回答しました。
肯定的な意見には、肥満だと帝王切開の際に大変、産道の脂肪で難産になりやすいといった理由から、過度な肥満は避けた方が良いとのコメントが目立ちました。
一方、否定的な意見には、痩せる必要があるとのコメントはないものの、体重増加にならないよう注意を呼びかけるコメントが散見されました。
また、妊娠中にできるダイエットでおすすめの方法は何かという質問に対し、「食事の量やメニューを見直す」との回答が最も多く、続いて「散歩やウォーキング」、「自分の体重を毎日記録する」という結果となりました。
妊娠中は運動で減量することが難しいため食事の量が重要、なるべく体重を増やさないことが大事、体重を記録することがまず肝心など、医師の方からは様々な意見が見られました。
みなさんのなかにも、今後、出産を考えているという方がいましたら、今回の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。