視界が突然くらくらとする…、そんなめまいの症状に悩まれていたことのある方は多いのではないでしょうか。
椅子から立ち上がった時や、荷物を持ち上げる時など、めまいはいきなりやって来ます。
めまいもすぐにおさまらなければ、病院の受診を考えますよね。
でも、病院では実際どんな治療が行われているのでしょうか。気になる方も多いと思います。
そこで今回は、一般内科、耳鼻咽喉科、神経内科、脳神経外科医538人に、めまいの治療として最も多く行っている治療法は何か、外来で経過をみる際のめまいの薬物療法に際して処方頻度の最も多い薬は何か聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年3月8日~2018年3月9日にかけて行われ、一般内科、耳鼻咽喉科、神経内科、脳神経外科医538人から回答を頂きました。
めまいの治療で多く行われるものは何?
まずは、「めまいの治療として最も多く行っている治療法は何ですか」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 薬物療法
- 理学療法
- 手術療法
- その他
以下のグラフが結果となります。
集計結果では、「薬物療法」との回答が87%と一番多く、次に「理学療法」、「その他」が続きました。
ほとんど全ての医師が「薬物療法」を支持しているのが分かります。
まず「理学療法」という言葉をおさえてから、医師のコメントを見ていきましょう。
理学療法とは
理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
薬物療法で改善し、対応する場合がほとんど
- 50代男性 耳鼻咽喉科 「薬物療法」
内服治療になると思います。 - 50代男性 一般内科 「薬物療法」
内服薬、注射などでほぼ改善出来ています。 - 40代男性 一般内科 「薬物療法」
メリスロンなどを処方します。 - 60代男性 一般内科 「薬物療法」
抗めまい薬を処方しています。 - 50代男性 一般内科 「薬物療法」
内科ベースなので、まず生活指導とともに薬物療法を行います。 - 50代男性 一般内科 「薬物療法」
嘔吐を伴うことが多いので点滴をしています。 - 30代男性 一般内科 「薬物療法」
薬物療法を行い経過をみます。 - 60代男性 一般内科 「薬物療法」
メイロン点滴でほとんどよくなります。 - 50代男性 一般内科 「薬物療法」
一般内科受診例ではメリスロンくらいで軽快する例が多い印象です。ただし高齢者ではメイロン有効例が少なからず存在するとも思います。 - 60代男性 一般内科 「薬物療法」
1週間以内の薬で良くなる症例がほとんどです。
医師の回答を見ると、「薬物療法」との声が多数挙がっていました。
医師のコメントによれば、内服薬、注射などでほぼ改善出来るケースが多いようです。
具体的な薬としては、主にメリスロンおよびメイロンが挙げられていました。メリスロンは処方される錠剤で、メイロンは点滴などで用いられるようですね。
高齢者の方の場合だと、メイロンの有効例が少なからず存在するそうです。
また、1週間以内の服薬で良くなる場合がほとんどといったコメントもありました。
病院を受診すれば薬物療法に加えて生活指導も行って頂けるようなので、めまいなどの症状が気になる方は医師に相談してみましょう。
規則正しい生活など、理学療法をする場合もある
- 50代男性 一般内科 「理学療法」
多いのはまずは理学療法でしょうか。 - 50代男性 一般内科 「理学療法」
色々な手法がありますが、まずは安静、そして、徐々に身体を動かすという事だと思います。 - 50代男性 一般内科 「理学療法」
良性発作性頭位めまいではエプリー法を自分でやってもらうのが良いです。 - 50代男性 耳鼻咽喉科 「理学療法」
薬物療法と併用しています。 - 60代男性 一般内科 「理学療法」
規則正しい生活が必要です。 - 50代男性 一般内科 「理学療法」
生活指導がもっとも大事です。 - 30代男性 一般内科 「理学療法」
安静や急な体動を避けるなど、日常生活の対処が重要だと思います。 - 40代男性 神経内科 「理学療法」
肩こり体操など勧めています。 - 50代男性 神経内科 「理学療法」
エプリー法として確立されている療法の解説印刷物を実際に渡しています。 - 40代男性 一般内科 「理学療法」
運動療法が一番良く効くと思います。
次にコメントで気になったのは、「理学療法」との意見です。
具体的には、主に以下のような方法が推奨されていました。
- 規則正しい生活
- 安静にすること
- 急な体動を避けること
- 肩こり体操
- 運動療法
- エプリー法
個々の状態によって、日常生活の中で対処をしていくことが重要なようです。
エプリー法という具体的な方法も挙げられましたが、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の場合に有効な方法なようです。
それぞれの言葉の概要をおさえましょう。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)とは
良性発作性頭位めまい症とは、その名前の通り、発作的に突然、頭の位置を変えた時におこる良性のめまいのことです。生命の危険がなく、後遺症も残らず、治療をしなくても自然と軽快することも多く、ぐるぐるまわるようなめまいの原因として一番多いとされています。
エプリー法とは
後半規管に迷い込んだ耳石を、元あった卵形嚢に戻す理学療法です。①ベッド上でまず正面を向いて座り、②仰向けに寝ながら首を耳石がはがれている耳と同じ、右方向に回します。③続いて首だけをゆっくり左に回し、④その後に体も左に回して左側臥位になります。このとき顔は下を向いていることになります。⑤そのままベッド上、ゆっくり起き上がり、⑥最後に顎を引いて俯きます。このリハビリを全体として5分くらいかけて行います。
引用:エプリー法|堺市医師会
方法を知っていれば、医師の指導のもと自宅でも実践できそうですよね。
また、「理学療法」ですが、場合によっては薬物療法と並行して行うこともあるそうです。
病院に行けば最適な方法を指導して頂けるので、めまいの症状で悩んでいる方は医師に相談してみましょう。
めまいの治療で処方する事の多い薬は何?
続いて「外来で経過をみる際のめまいの薬物療法に際し、処方頻度の最も多い薬は何ですか。」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)
- 炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)
- 血流改善薬(アデホスコーワなど)
- 精神安定薬(デパス、セルシンなど)
- 吐き気止め(ナウゼリン、プリンペランなど)
- ステロイド薬(プレドニンなど)
- 利尿薬(イソバイドなど)
- その他
以下のグラフが結果となります。
こちらの調査では、「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」と回答している医師が74%と一番多く、次に「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」、「血流改善薬(アデホスコーワなど)」が続きました。
「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」に対する医師からの支持が大変高い結果となりました。
それでは医師のコメントを見ていきましょう。
抗めまい薬を処方する場合が大半を占める
- 40代女性 一般内科「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
メイロンを投与してから、内服薬を処方します。 - 60代男性 一般内科 「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
内服薬で改善する事が多いです。 - 50代男性 一般内科 「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
抗めまい薬が一番有効な気がします。 - 50代男性 一般内科 「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
メイロンを点滴して抗めまい薬服用させるくらいだと思います。 - 60代男性 一般内科 「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
メリスロンをよく処方します、アデホスを併用する場合もあります。 - 40代女性 耳鼻咽喉科「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
ほぼ全員にメリスロンは処方しますが、他は疾患によります。 - 60代男性 一般内科 「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
有効性が一番高く、副作用も少ないと思います。 - 60代男性 脳神経外科 「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
嘔気嘔吐が強い場合は、メイロン静注になります。 - 60代男性 一般内科 「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
あとトラベルミンも屯用で追加します。 - 50代男性 一般内科 「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
典型的な良性発作性頭位めまい症(BPPV)にはメリスロンを処方します。不安が強ければデパスを併用します。 - 60代男性 耳鼻咽喉科 「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」
所謂、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の治療として個人的には抗めまい薬と安定剤を合わせて処方していますが、老人に対しては安定剤を削る事があります。結果として抗めまい薬の処方が多くなります。
一番多く見られたコメントは、「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」というものでした。
抗めまい薬の処方は有効性が一番高く、副作用も少ないことが指摘されていました。
疾患によるようですが、特にメリスロンが処方されることが多いようです。メリスロンがよく処方される病気としては、良性発作性頭位めまい症(BPPV)が挙げられていました。
嘔気嘔吐がある際には、炭酸水素ナトリウムのメイロンの点滴も同時に行うことがあるようです。併用する薬としてはアデホスやトラベルミンの名前が挙がっており、不安が強ければデパスも処方されるようです。
ただし、高齢者の場合は、安定剤は処方しないとの声もあり、年齢によっても併用する処方薬は変わってくるのかもしれません。
メイロンを点滴することも多い
- 40代男性 一般内科 「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」
救急外来では多いと思います。 - 50代男性 一般内科 「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」
メイロンの点滴後、メリスロン、ナウゼリンを出します。 - 50代男性 脳神経外科 「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」
メイロンの点滴での投与は良く効く印象です。 - 60代男性 一般内科 「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」
即効性ではメイロンだと思います。 - 50代男性 一般内科 「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」
内服を基本にして、当日にメイロンを静注します。 - 50代男性 一般内科 「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」
炭酸水素ナトリウムの注射が即効性があります。 - 50代男性 一般内科 「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」
急性のめまいで来院された場合は、メイロンの点滴を行うことが多いです。 - 50代男性 一般内科 「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」
救急外来で見ることが多いのでメイロンの注射が多くなります。 - 50代男性 一般内科 「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」
急性期にはメイロン、慢性期には原因に応じて対応します。
次にコメントで気になったのは、「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」との意見です。
急性のめまいの場合はメイロンの点滴を行う事が多いそうで、救急外来でも多く用いられるようです。またメイロンは即効性もあり、効き目も良好なことが多いとの指摘もありました。
メイロンを投薬しても、めまいの症状が慢性的に続く場合は、病院でそれに応じた対応をして頂けるようでした。めまいの症状で悩んでいる方は、病院の受診を検討してみるのも大事そうですね。
薬物療法で改善することが多い。薬はメリスロンやメイロンがよく用いられる
本調査では、まずめまいの治療として最も多く行っている治療法は何か聞いたところ、「薬物療法」との回答が一番高く、次に「理学療法」、「手術療法」が続きました。
「薬物療法」を選んだ医師のコメントによれば、1週間以内で良くなる症例が多いとのことでした。
また少数派の意見でしたが、規則正しい生活にするなど「理学療法」を用いるケースもあるそうです。
ただ、ここでも「薬物療法」を併用する場合もあるとのことでした。
また、外来で経過をみる際のめまいの薬物療法に際して処方頻度の最も多い薬は何かという質問については、「抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)」と回答している医師が一番多く、次に「炭酸水素ナトリウム(メイロンなど)」、「血流改善薬(アデホスコーワなど)」が続きました。
抗めまい薬は有効性が高く、副作用が少ないことから推奨されていました。一方、炭酸水素ナトリウムは即効性があるため、急性のめまいに用いられるとのことです。
今回はめまいの治療として最も多く行っている治療法は何か、外来で経過をみる際のめまいの薬物療法に際して処方頻度の最も多い薬は何かみてきました。
めまいの治療法としては、薬物療法が代表的に用いられていることがこの調査によって分かったと思います。
病院を受診すれば、めまいや随伴する吐き気などの症状に応じて対応して頂けるので、症状に悩んだ際は医師に相談してみましょう。