最も危険な腹痛の箇所とは?医師523名に聞いてみました

腹痛
本調査の結果、「お腹のどの場所が痛むときが特に危険ですか」という質問に対し、「場所と危険性は相関しない」との回答が最も多く、「腹部全体」、「みぞおち」が続きました。場所と危険性は相関しないと回答した医師からは、痛む箇所ではなく、痛みの性状・随伴症状・発症の速度・強さ・持続時間などで判断するとの意見が見られ、痛む箇所よりも症状の具合の方が危険性に関与するといった見解のようです。続いて、腹部全体と回答した医師からは、腹部全体が痛む場合に考えられる疾患として、十二指腸潰瘍、大動脈破裂、腹膜炎、イレウスが挙げられています。最後にみぞおちと回答した医師からは、「心疾患、虫垂炎など、鑑別すべき疾患が多い」、「心筋梗塞、胆石症、胃潰瘍の疑いがある」とのコメントが寄せられ、なかでも心筋梗塞は生命に影響すると危険性を述べた医師もいらっしゃいました。腹痛が生じた際は、痛みの箇所の他にも症状の強さや随伴症状に注意を払い、上記に当てはまる場合は速やかに病院を受診することを推奨します。
胃痛・腹痛
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腹痛になると、お腹がギュルギュルしたり、長い時間トイレから離れられなくなったりと色々と大変な思いをすることもありますよね。
また、腹痛といっても厳密に言えばその痛む箇所はさまざまです。
お腹の右側だけ痛むことやお腹全体が痛むこともあるかと思いますが、なかでも命に危険を及ぼすような腹痛はどのような箇所に起こりやすいのでしょうか。

そこで今回は、お腹のどの場所が痛むときが特に危険なのか、一般内科医、消化器内科医、消化器外科医、総合診療科医の計523名に聞いてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年9月4日に行われ、一般内科医、消化器内科医、消化器外科医、総合診療科医の計523名から回答を頂きました。

お腹のどの場所が痛むときが特に危険なの?

「お腹のどの場所が痛むときが特に危険ですか」という質問に対し、以下の選択肢から選んでもらいコメントを頂きました。

  • 腹部全体
  • 下腹部
  • みぞおち
  • おへその周辺
  • 右の肋骨の下辺り
  • 左の肋骨の下辺り
  • 右手側の下腹部
  • 左手側の下腹部
  • 場所と危険性は相関しない
  • その他

以下が結果となります。

集計の結果、「場所と危険性は相関しない」との回答が最も多く、その後を「腹部全体」、「みぞおち」が続きました。

それでは医師のコメントを見ていきましょう。

場所と危険性は相関しないと回答した理由とは

  • 30代男性 一般内科 「場所と危険性は相関しない」
    痛みの性状や随伴症状が重要だと思います。
  • 50代男性 消化器外科 「場所と危険性は相関しない」
    あくまでも腹膜刺激症状があるかどうかです。
  • 50代男性 消化器内科 「場所と危険性は相関しない」
    特に高齢者の場合には、腹膜刺激症状が出にくいことが多いです。
  • 50代女性 一般内科 「場所と危険性は相関しない」
    移動性盲腸もあり、部位よりも筋満感や随伴症状など総合評価します。
  • 40代女性 消化器内科 「場所と危険性は相関しない」
    腹膜刺激症状や意識障害、高熱などの随伴症状で総合判断をします。
  • 50代男性 一般内科 「場所と危険性は相関しない」
    発症の速度、強さ、持続時間等因子は多くあります。
  • 50代男性 消化器外科 「場所と危険性は相関しない」
    痛がる程度は問題で、ひどく痛がるときはやはり重篤な場合が多いと思います。場所とは必ずしも一致しないと認識しています。
  • 60代男性 一般内科 「場所と危険性は相関しない」
    心筋梗塞や動脈瘤の破裂では場所より強さです。腹膜炎になっている場合は腹部全体。ひとつだけ選ぶのは無理があります。
  • 50代男性 消化器外科 「場所と危険性は相関しない」
    緊急性の高いイレウス、穿孔は部位で決められません。
  • 50代男性 一般内科 「場所と危険性は相関しない」
    部位よりも症状の強さ・触診の具合、炎症所見の程度や画像など総合的に緊急性の有無を判断します。

医師のコメントを見ると、痛む箇所ではなく痛みの性状・随伴症状・発症の速度・強さ・持続時間などで判断するとの見解が多く見られました。
ほかにも、「触診の具合、炎症所見の程度や画像など総合的に緊急性の有無を判断します」とコメントする医師もいらっしゃいました。
特に随伴症状では、腹膜刺激症状や意識障害、高熱などがあるかで判断するとの声もあります。

しかし、「高齢者の場合には、腹膜刺激症状が出にくいことが多い」とのコメントもあり、高齢者の場合にはもし危険性があっても気付かない可能性も考えられるため、特に注意が必要かもしれません。
また、痛みが強い場合は心筋梗塞や動脈瘤の破裂も考えられ、緊急性の高いイレウスや穿孔では部位で決められないと指摘する声もありました。

続いて2番目に多かった「腹部全体」を回答された理由を見ていきましょう。

腹部全体と回答した理由とは

  • 40代男性 一般内科 「腹部全体」
    全体をすごく痛がるとき、腹膜炎であったので。
  • 50代男性 一般内科 「腹部全体」
    腹膜炎、イレウス、動脈瘤破裂は怖いです。
  • 60代男性 一般内科 「腹部全体」
    どの場所が危険ということもなく腹痛自体気をつけるものですが、あえてどこかと聞かれれば、腹部全体は腹膜炎、みぞおちは心筋梗塞、胆石、胃潰瘍の鑑別を要します。
  • 50代男性 消化器内科 「腹部全体」
    筋性防御があると緊急対応が必要です。
  • 60代男性 消化器内科 「腹部全体」
    全体が痛くどこだかわからないほど痛いのは、汎発性腹膜炎など危険なことが多いです。
  • 60代男性 消化器外科 「腹部全体」
    腹膜炎であったり、大動脈破裂だったり、重篤感があります。
  • 30代男性 消化器外科 「腹部全体」
    特に場所を限定するのは危険ですが、腹膜炎の場合は全体を七転八倒で痛がるので、直ぐに鎮痛+検査後オペ室です。
  • 60代男性 消化器内科 「腹部全体」
    若い頃の話ですが、当直の折に2連続で十二指腸潰瘍の破裂の患者さんでした。お二人とも腹部が板状硬で全体に痛みがありました。どちらも緊急手術で助かりましたが忘れられません。

腹部全体と回答した医師のコメントを見ると、腹部全体が痛む場合に考えられる最も危険な疾患として、十二指腸潰瘍、大動脈破裂、腹膜炎、イレウスが挙げられました。
なかでも、「腹膜炎、イレウス、動脈瘤破裂は怖い」、「筋性防御があると緊急対応が必要」といったコメントがあり、腹部全体の痛みで起きうる危険な疾患には医師たちも注意している様子が伝わってきます。

また、「腹膜炎の場合は全体を七転八倒で痛がるので、直ぐに鎮痛+検査後オペ室です」との見解が見られ、その緊急度もうかがえました。
上記のような痛みが生じた際は、無理をせず、すぐに対応した方が良さそうです。

今回医師のコメントに登場した疾患は以下のように説明されています。ご存じない方はぜひご覧ください。

十二指腸潰瘍

“消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。
消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。”
(引用:消化性潰瘍 - 03. 消化器の病気 - MSDマニュアル家庭版

腹部大動脈瘤

“腹部大動脈瘤とは、大動脈が腹部を通過する部分(腹部大動脈)の壁に膨らみ(拡張)が生じた状態のことです。
動脈瘤ができると、腹部に拍動が感じられることがあり、破裂した場合には体の深部の耐えがたい激痛や低血圧が起こり、死に至ります。”
(引用:腹部大動脈瘤 - 06. 心臓と血管の病気 - MSDマニュアル家庭版

腹膜炎

“腹膜炎は腹腔の炎症です。強い痛みを伴い、ほとんどの場合、非常に重篤な病気または生命を脅かす病気の徴候です。腹部に問題があり、臓器が炎症や感染を起こして腹膜炎になることがあります。”
(引用:急性腹痛 - 03. 消化器の病気 - MSDマニュアル家庭版

イレウス

“イレウスとは、腸壁が一時的に正常な収縮運動をしなくなった状態です。一般的な原因として、腹部の手術や腸の運動を阻害する薬があります。”
(引用:イレウス - 03. 消化器の病気 - MSDマニュアル家庭版

それでは最後に「みぞおち」と回答した理由を見ていきましょう。

みぞおちと回答した理由とは

  • 30代女性 消化器外科 「みぞおち」
    腹くう内には多数の臓器があり、痛みの場所の近くの炎症/腫瘍などを疑います。
  • 50代男性 一般内科 「みぞおち」
    心筋梗塞の疑いがあり、生命に影響します。
  • 60代男性 一般内科 「みぞおち」
    どの場所が危険ということもなく腹痛自体気をつけるものですが、あえてどこかと聞かれれば、腹部全体は腹膜炎、みぞおちは心筋梗塞、胆石、胃潰瘍の鑑別を要します。
  • 60代男性 一般内科 「みぞおち」
    心筋梗塞の疑い、胆石症の疑いがあります。
  • 50代男性 一般内科 「みぞおち」
    心疾患、虫垂炎など、鑑別すべき疾患が多いです。

みぞおちと回答した医師からは、「心疾患、虫垂炎など、鑑別すべき疾患が多い」、「心筋梗塞、胆石症、胃潰瘍の疑いがある」とした声が寄せられました。
なかには、「腹くう内には多数の臓器があり、痛みの場所の近くの炎症/腫瘍などを疑います」との見解もあり、これらを鑑みると痛む箇所によってある程度原因が予測できるのかもしれません。
しかしながら、必ずしもこの場所が痛むからこの疾患と判断できるわけではないので、あくまでも参考程度にしておくことをおすすめします。

ここまでで医師のコメントにて挙げられた疾患については以下に記載しましたので、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

心筋梗塞(急性性冠症候群)

“急性性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。
急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。”
(引用:急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) - 06. 心臓と血管の病気 - MSDマニュアル家庭版

穿孔

“中空の消化器はいずれも穿孔(せんこう)が生じる可能性があり、穿孔が生じると消化管の内容物が漏出し、すぐに手術を行わなければショックを起こして死に至ります。
症状としては胸部や腹部に突然重度の痛みが生じ、腹部に触れると圧痛がみられます。”
(引用:消化管の穿孔 - 03. 消化器の病気 - MSDマニュアル家庭版

胆石症

“胆石は胆嚢内で固形物(主にコレステロールの結晶)が集積したものです。
肝臓はコレステロールを過剰に分泌することがあり、このコレステロールは胆汁とともに胆嚢に運ばれ、そこで過剰なコレステロールが固体粒子を形成して蓄積します。
胆石は、ときに数時間続く上腹部痛を起こすことがあります。”
(引用:胆石 - 04. 肝臓と胆嚢の病気 - MSDマニュアル家庭版

虫垂炎

“虫垂炎とは虫垂に起こる炎症と感染症です。
しばしば虫垂の内部に閉塞が生じることで虫垂が炎症を起こし、感染症が生じます。
腹痛、吐き気、発熱がよくみられます。”
(引用:虫垂炎 - 03. 消化器の病気 - MSDマニュアル家庭版

腹痛箇所と危険性は相関しないが最多で回答。強いて挙げるなら、お腹全体・みぞおちが危険。

本調査によれば、「場所と危険性は相関しない」との回答が最も多く、次に「腹部全体」、「みぞおち」が回答されました。

場所と危険性は相関しないと回答した医師からは、痛みの箇所よりも、痛みの性状・随伴症状・発症の速度・強さ・持続時間などの方が危険性に関与していると考えているようでした。

続いて、腹部全体と回答した医師からは、腹部全体が痛む場合に考えられる疾患として、十二指腸潰瘍、大動脈破裂、腹膜炎、イレウスが挙げられました。なかには「筋性防御があると緊急対応が必要」、「腹膜炎の場合は全体を七転八倒で痛がるので、直ぐに鎮痛+検査後オペ室です」との声もあり、これらは特に緊急を要することがうかがえます。

最後にみぞおちと回答した医師からは、「心疾患、虫垂炎など、鑑別すべき疾患が多い」、「心筋梗塞、胆石症、胃潰瘍の疑いがある」とのコメントが寄せられ、なかでも心筋梗塞は生命に影響するとのこと。

腹痛が生じた際は、痛みの箇所の他にも症状の強さや随伴症状に注意を払い、上記に当てはまる場合は速やかに病院を受診するようにしましょう。

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