飲酒によって吐き気が生じた際に適した自己対処法は何?吐き気を抑えるために指を入れて強引に吐くことは推奨できる?医師525人に聞いてみました

ビールを飲む女性
本調査では、飲酒によって吐き気が生じた際に適した自己対処法は何かという質問をしたところ、「横になり安静にする」との回答が一番多く、続いて「水を飲む」、「嘔吐を我慢しない」が回答を集めました。吐き気が生じた場合は、まず横になることが推奨されていましたが、脱水対策のための飲水も重要といえるようです。次に、吐き気を抑えるために指を入れて強引に吐くことは推奨できるかという質問については、「あまり推奨できない」と回答している医師が一番多く、続いて「全く推奨できない」、「推奨できる」が回答を集めました。多くの医師が「推奨できない」と回答しており、強引な嘔吐による合併症の危険を示唆していました。本記事を参考に、適切な対処法を試みて下さい。
吐き気
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お酒に弱い人は特に、飲酒によって吐き気が生じてしまうことはありますよね。
吐き気が続くと、気分が悪くなり辛い時間が続くと思います。そのような時に、適した対処法があれば、実施したいですよね。
また、吐き気に伴って「嘔吐してすっきりしたい」と考える方もいるかと思いますが、果たして口に指を入れて強引に吐くことは医師から推奨されることなのでしょうか?

そこで今回は、一般内科,総合診療,消化器内科医525人に、飲酒によって吐き気が生じた際に適した自己対処法は何か、吐き気を抑えるために指を入れて強引に吐くことは推奨できるのか聞いてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2019年2月12日~2019年2月13日にかけて行われ、一般内科,総合診療,消化器内科医525人から回答を頂きました。

飲酒によって吐き気が生じた際に適した自己対処法は?

まずは、「飲酒によって吐き気が生じた際に適した自己対処法は何ですか?」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。

  • 横になり安静にする
  • 水を飲む
  • 嘔吐を我慢しない
  • 衣服を緩める
  • スポートドリンクを飲む
  • 胃腸薬や吐き気止めを使用する
  • 糖分やビタミンを摂取する
  • ミント系のガムやアメを使用する
  • その他
  • わからない

以下のグラフが結果となります。

集計結果では、「横になり安静にする」との回答が54%と一番高く、次に「水を飲む」45%、「嘔吐を我慢しない」43%が続きました。

上位3つに限っては回答が集中する結果となっています。

それでは医師のコメントを見ていきましょう。

嘔吐による窒息の危険があるため横向きで寝る

  • 50代男性 一般内科 「横になり安静にする」「嘔吐を我慢しない」「衣服を緩める」「水を飲む」「スポートドリンクを飲む」「糖分やビタミンを摂取する」
    横になり安静にするのが一番だと思います。
  • 30代男性 一般内科 「横になり安静にする」
    安静臥床は、必須要件と考えています。
  • 50代男性 一般内科 「横になり安静にする」「衣服を緩める」「水を飲む」
    リラックスさせてあげることが重要です。
  • 50代男性 一般内科 「横になり安静にする」「衣服を緩める」
    とにかく安静にして、アルコール血中濃度が下がるのをひたすら待ちます。
  • 50代男性 一般内科 「横になり安静にする」「衣服を緩める」
    横になって安静にし、嘔吐する場合に備え、側臥位での体位保持が重要です。見守りの等の為に人の確保も重要といえます。
  • 50代男性 一般内科 「横になり安静にする」「嘔吐を我慢しない」「衣服を緩める」
    飲み過ぎなら嵐がさるのを待つか、アルコールを体から抜くしかないです。
  • 50代男性 一般内科 「横になり安静にする」「嘔吐を我慢しない」「水を飲む」
    上向きで寝ていると、吐物により窒息する恐れがあるので、横向きで寝ましょう。
  • 50代男性 一般内科 「横になり安静にする」「嘔吐を我慢しない」「水を飲む」
    過度のアルコール摂取による酩酊状態の場合には、本人の判断が出来ない前後不覚になっているので、水も取れない状況だと思います。吐いても誤嚥しないように横になって静かにするのが一番ですが、可能ならばアルコールを薄めるべく水分を取ります。
  • 50代男性 消化器内科 「横になり安静にする」
    頭の位置を低くするのが良いです。
  • 50代男性 一般内科 「横になり安静にする」
    普段から糖質制限を心がけていれば、吐き気の症状は出にくくなります。

まず、医師のコメントで新しく出てきた言葉の概要をおさえてから、医師のコメントに触れていきましょう。

誤嚥とは

食物や唾液は、口腔から咽頭と食道を経て胃へ送り込まれます。食物などが、なんらかの理由で、誤って喉頭と気管に入ってしまう状態を誤嚥(ごえん)と呼びます。
引用:誤嚥|日本気管食道科学会

一番多く回答を集めたのは、「横になり安静にする」との意見でした。
吐き気の症状が出ている場合は、横になり安静にすることが必須条件といったコメントがみられています。
また、吐き気を催している場合は、嘔吐による窒息や誤嚥の危険が考えられるようでした。そのため、休むときは体を横向きにすることが推奨されています。その際、安全面から見守りを頼むと好ましいようでした。

一方で、飲酒による吐き気の予防法に言及した医師からは「普段から糖質制限を心がけていれば、吐き気の症状は出にくくなる」という意見が挙がっていました。
飲酒により吐き気が生じてしまった場合は、まずは横になり、リラックスすることに努め、吐き気が治まるまでじっと待つのがよいかもしれませんね。

体内のアルコール濃度を下げるために水を飲む

  • 30代男性 一般内科 「水を飲む」
    基本的には安静にしながら水分を摂取します。
  • 30代男性 一般内科 「水を飲む」
    可能であれば水分摂取でしょうか。
  • 60代男性 一般内科 「水を飲む」「横になり安静にする」「衣服を緩める」「スポートドリンクを飲む」
    飲めないことも多いですが、飲める場合は水分摂取が役立つと思います。
  • 50代男性 一般内科 「水を飲む」「横になり安静にする」「嘔吐を我慢しない」「衣服を緩める」「スポートドリンクを飲む」「糖分やビタミンを摂取する」「胃腸薬や吐き気止めを使用する」
    水分を十分に摂取していただいています。
  • 40代男性 一般内科 「水を飲む」
    ひたすら水を飲んで体内のアルコール濃度を下げます。
  • 50代男性 消化器内科 「水を飲む」
    水分を多く取り排尿を促します。
  • 60代男性 一般内科 「水を飲む」「スポートドリンクを飲む」「糖分やビタミンを摂取する」
    水分補給で脱水状態を改善します。
  • 50代男性 一般内科 「水を飲む」「横になり安静にする」「衣服を緩める」
    脱水にならないように、少しずつ、飲水するよう薦めています。同時に、誤嚥しないような体制で、横になってもらいます。
  • 50代男性 一般内科 「水を飲む」「横になり安静にする」「嘔吐を我慢しない」「衣服を緩める」「スポートドリンクを飲む」「糖分やビタミンを摂取する」
    しじみ汁を飲むのもおすすめです。
  • 60代男性 一般内科 「水を飲む」
    吐き気を生じる前に水を飲むのがコツです。

次に回答で多かったのは、「水を飲む」との意見でした。
まず、吐き気が生じている場合には、水分摂取が基本といったコメントがみられました。

次に、水分摂取の理由として、体内のアルコール濃度を下げるため排尿を促すため脱水状態を改善するためという意見が挙がっています。
その他の意見として、しじみ汁を飲むことを推奨している医師もいました。

更に、「吐き気を感じる前に水を飲むことがコツ」との予防に着目した意見もありました。ご自身が飲酒により吐き気が生じやすいと把握している方は、一緒に水を用意すると良いかも知れません。

吐き気を抑えるために指を入れて強引に吐くことは推奨できる?

続いて「吐き気を抑えるために指を入れて強引に吐くことは推奨できますか?」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。

  • 大いに推奨できる
  • 推奨できる
  • あまり推奨できない
  • 全く推奨できない

以下のグラフが結果となります。

こちらの調査では、「あまり推奨できない」と回答している医師が49%と一番多く、次に「全く推奨できない」34%、「推奨できる」12%が続きました。
「あまり推奨できない」との回答が約半数を占めており、「全く推奨できない」との回答を合わせると、その数は8割近くを占め、無理やり嘔吐することについて医師は推奨していないといえます。
以上の回答を踏まえ、医師のコメントを見ていきましょう。

強引な嘔吐は合併症を引き起こす恐れがある

  • 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    通常吐き気が強ければ自然に吐くので、無理やり吐かせる必要はありません。
  • 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    強引なやりかたは好ましくありません。
  • 60代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    無理に吐くことは危険です。
  • 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    誤嚥の恐れ、窒息の恐れがあるため、あまり推奨できません。
  • 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    嘔吐により合併症を起こす危険があります。
  • 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    炎症などを引き起こす危険があります。
  • 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    無理に吐くとマロリーワイス症候群を起こす危険があります。
  • 60代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    マロリーワイス症候群や食道破裂のリスクがあるのではないでしょうか。
  • 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    よほど胃が張って苦しい時は仕方がないかもしれませんが、空えづきすると胃の入り口を傷つける恐れがあります。
  • 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    嘔吐時に出血することがあります。
  • 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    食道裂傷により、吐血するかもしれません。
  • 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
    自然に吐いた方が良いと思います。

まず、新しく出てきた疾患の概要をおさえてから、医師のコメントに触れていきましょう。

マロリーワイス症候群とは

激しい嘔吐を繰り返すと、急激に上昇した腹腔内圧が食道に加わり、食道胃接合部付近(食道下部から胃の入り口=噴門部)の粘膜に裂傷が起こります。この裂傷は粘膜下層まで生じ、粘膜下動脈から出血します。新鮮血の混じった吐血であり、通常は胸痛や腹痛を伴いません。吐血を主訴として来院する上部消化管出血の5%前後を占める頻度の高い疾患です。
引用:マロリーワイス症候群|厚生労働省

特発性食道破裂とは

正常の食道に突発的に破裂・穿孔が生じる病態で,1724年にBoerhaaveが初めて記載した。比較的まれであるが,早期診断・早期治療が予後を左右する重要な疾患である。多くは飲酒後嘔吐などにともなって,正常の胃・食道接合部から下部食道に圧力が加わり,主に構造上脆弱である左壁が縦方向に破裂する。初発症状は上腹部,胸部の激痛で呼吸困難,ショック,皮下気腫,チアノーゼなどがみられる。
引用:特発性食道破裂|日本救急医学会

一番多く回答を集めたのは、「あまり推奨できない」との意見でした。

まず、推奨できない理由として、「吐き気が強ければ自然と嘔吐するため、無理やり吐かせる必要はない」との意見が挙がりました。

次に、推奨できない理由として、強引な嘔吐による合併症のリスクが挙がっていました。第一に考えられるのは、マロリーワイス症候群とのことです。他にも、マロリーワイス症候群の危険性を示唆しているコメントが多くみられました。第二に考えられるのは、食道破裂とのことです。
また、激しい嘔吐や空えづきによって食道辺りに裂傷が起こると言われており、嘔吐時に吐血の症状が見られるとされています。
吐き気の症状がある場合は、無理に嘔吐しようとしない方が良いのかもしれません。

極めて危険なため絶対にやってはいけない

  • 30代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    絶対に推奨できません。
  • 60代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    極めて危険なのでやってはいけません。
  • 60代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    反射で血圧が下がります。食道がただれるから推奨できません。
  • 50代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    咽頭から食道の裂傷、さらには指の裂傷の危険があり、誤嚥もしやすいです。
  • 50代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    マロリーワイス症候群や逆流性食道炎になります。
  • 50代男性 消化器内科 「全く推奨できない」
    マロリ-ワイス症候群や誤嚥性肺炎など、思わぬ合併症を惹起する恐れがあります。催吐はやめるべきです。病院を受診し、制吐剤(プリンぺランなど)の点滴持続静注をお勧めします。
  • 50代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    マロリーワイス症候群を何度も見ています。
  • 60代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    無理に吐くと食道からの出血の恐れがあります。
  • 60代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    咽頭から食道・ 胃に負荷がかかってしまいます。
  • 60代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    気道や消化器を傷つける可能性があるため推奨できません。
  • 40代女性 一般内科 「全く推奨できない」
    消化器系に損傷が起こり得る上、脱水や電解質異常が悪化し余計に症状が悪くなる可能性があります。
  • 50代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    粘膜が傷つくから止めましょう。
  • 30代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    かえって体に負担になるため推奨できません。
  • 40代男性 一般内科 「全く推奨できない」
    苦しいだけでメリットはないと思います。

まずは、コメントで新しく出てきた疾患の概要をおさえてから、医師のコメントに触れていきましょう。

逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは、強い酸を含む胃の内容物が、食道に逆流して起こる食道粘膜の炎症を言います。粘膜の炎症は、硫酸などの化学薬品によって起こる化学性のやけどと同じで、軽い症状には腫れと赤みがありますが、進行すると、粘膜がはがれる食道びらんや、粘膜を通り越して食道の壁の一部が壊れる食道潰瘍を引き起こします。
引用:逆流性食道炎|一般社団法人 江戸川区医師会

誤嚥性肺炎とは

本来気管に入ってはいけない物が気管に入り(誤嚥)、そのために生じた肺炎。
老化や脳血管障害の後遺症などによって、飲み込む機能(嚥下機能)や咳をする力が弱くなると、口腔内の細菌、食べかす、逆流した胃液などが誤って気管に入りやすくなります。その結果、発症するのが誤嚥性肺炎です。
引用:誤嚥性肺炎|厚生労働省

次に回答で多かったのは、「全く推奨できない」との意見でした。
まず、強引に嘔吐することが全く推奨できない理由として、食道がただれたり、食道の裂傷が起きたりなど、無理な嘔吐によって粘膜が傷つき、咽頭から食道胃にかけて負担がかかってしまうことが挙げられています。
次に、合併症の危険も、全く推奨できない理由としてあるようで、マロリーワイス症候群逆流性食道炎誤嚥性肺炎などが挙げられていました。特にマロリーワイス症候群は、頻度が高いようです。
また、嘔吐することによって、脱水電解質異常が起こる恐れがあり、かえって体に負担がかかるため、推奨できないといった声も聞かれました。
以上のことから、強引に嘔吐するメリットは無く、極めて危険であるようなので、やめたほうがよさそうです。

吐き気の際は、横になり安静を。強引に吐くのはやめましょう

本調査では、まず飲酒によって吐き気が生じた際に適した自己対処法について聞いたところ、「横になり安静にする」との回答が一番高く、続いて「水を飲む」、「嘔吐を我慢しない」が回答を集めました。
吐き気が生じた場合、嘔吐の危険があることから、まず体を横向きにし、安静にするのがよさそうです。その場合、可能であれば見守る人を頼むことが好ましいとのことでした。もし、飲水ができる状態であれば、体内のアルコール濃度を薄めたり、排尿を促したりするために、なるべく多くの水分を摂るのも大事そうです。

次に、吐き気を抑えるために指を入れて強引に吐くことは推奨できるかという質問については、「あまり推奨できない」と回答している医師が一番多く、続いて「全く推奨できない」、「推奨できる」が回答を集めました。
強引に嘔吐することは推奨されておらず、その理由としてマロリーワイス症候群・逆流性食道炎・誤嚥性肺炎などの合併症を生じる危険性が挙げられていました。特にマロリーワイス症候群の頻度は高いようで、吐き気を催したからといって口に指を入れて強引に嘔吐することは避けた方がよいかもしれません。
以上、飲酒による吐き気の対処法について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。本記事を参考に、適切な対処法を試みてもらえればと思います。

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