朝、目覚めが良くないと、一日を通して憂鬱な気分になってしまいますよね。
なかなか眠気がとれずに体が重い時に、コーヒーを一杯飲むことでシャキッとする人も多いのではないでしょうか。
一方で、カフェインを摂取しすぎることで、血圧に悪影響はないのか心配なところがあります。また、低血圧への対処法として、カフェインの摂取をうまく活用することはできるのでしょうか。
そこで今回は、一般内科,総合診療科,代謝・内分泌科,健診・予防医学科医527人に、カフェインを摂取すると血圧は一時的に上昇するのか、低血圧の方への対処法としてカフェインの摂取は推奨できるのか聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2019年4月17日~2019年4月18日にかけて行われ、一般内科,総合診療科,代謝・内分泌科,健診・予防医学科医527人から回答を頂きました。
カフェインを摂取すると血圧は一時的に上昇する?
まずは、「カフェインを摂取すると血圧は一時的に上昇しますか?」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 大きく上昇する
- 多少上昇する
- あまり変わらない
- 全く変わらない
以下のグラフが結果となります。
集計結果では、「あまり変わらない」との回答の割合が50%と一番高く、次に「多少上昇する」39%、「全く変わらない」7%が続きました。
「あまり変わらない」との回答が半数を占めており、カフェインと血圧はあまり関係がないのかもしれません。
それでは医師のコメントを見ていきましょう。
通常量では、あまり変化はみられない
- 60代男性 一般内科 「あまり変わらない」
あまり関係ないでしょう。 - 40代男性 一般内科 「あまり変わらない」
実際には、極端に摂取量が多くない限り、あまり変わらないように思います。 - 60代男性 一般内科 「あまり変わらない」
通常量では変化がないように思います。 - 30代男性 一般内科 「あまり変わらない」
多少は変化するかと思います。 - 40代男性 一般内科 「あまり変わらない」
誤差の範囲でしょう。 - 40代男性 一般内科 「あまり変わらない」
目に見えて血圧が上昇した症例は経験したことがありません。 - 20代女性 代謝・内分泌科 「あまり変わらない」
動悸や血圧上昇を認める時があります。 - 50代男性 一般内科 「あまり変わらない」
過量摂取した場合の副作用としては、血圧上昇も多いです。 - 60代男性 一般内科 「あまり変わらない」
一律ではなく、個人差があります。 - 60代男性 一般内科 「あまり変わらない」
睡眠障害があれば上がるでしょうが、それ以外ではあまり変わらない気がします。 - 50代男性 一般内科 「あまり変わらない」
コーヒーの飲み過ぎで高血圧にはなりません。 - 60代男性 一般内科 「あまり変わらない」
影響を考えたことがありません。いずれにしても一過性でしょう。 - 60代女性 一般内科 「あまり変わらない」
かえって血管拡張で低下すると思います。 - 40代男性 一般内科 「あまり変わらない」
利尿作用で血圧が下がるかもしれません。 - 60代男性 一般内科 「あまり変わらない」
実際に測定していないので不明です。 - 50代男性 一般内科 「あまり変わらない」
エビデンスがないからわかりません。
一番多く回答を集めたのは、「あまり変わらない」との意見でした。
カフェインの摂取量が極端に多くない限り、血圧に変化が見られない、あるいは変化が多少見られたとしても、誤差の範囲とのことです。しかし、カフェインを過剰摂取した場合については、血圧が上昇するケースも考えられるようです。
一方で、影響があったとしても一過性のもので、コーヒーの飲み過ぎで高血圧になってしまうことはないといったコメントもみられました。
かえって血管拡張や利尿作用により血圧が下がってしまう可能性もあると言われています。血圧の上昇は、過度に心配せずにカフェインを摂取しても良いかも知れません。
カフェインの摂取により一時的に僅かに血圧が高くなる
- 30代男性 一般内科 「多少上昇する」
多少は影響している印象です。 - 40代男性 一般内科 「多少上昇する」
実臨床での経験例があります。 - 40代男性 一般内科 「多少上昇する」
ある程度のエビデンスはあったと思います。 - 60代男性 一般内科 「多少上昇する」
コーヒーを飲んだ後と水を飲んだ後では、血圧は前者の方が高くなります。 - 70代男性 一般内科 「多少上昇する」
カフェインを摂取すると血圧は一時的に僅かに上昇します。 - 50代男性 一般内科 「多少上昇する」
摂取量や個人差もあり、おそらく一概には言えないと思います。 - 60代男性 一般内科 「多少上昇する」
摂取量にもよりますが、多少の影響が出る可能性があります。 - 50代男性 一般内科 「多少上昇する」
少しのカフェインなら影響は少ないと思いますが、多量なら上昇すると思います。 - 30代女性 一般内科 「多少上昇する」
薬物大量服用くらい飲むと上がると思います。 - 40代男性 一般内科 「多少上昇する」
末梢血管の収縮により、血圧上昇をきたす可能性があるのではないでしょうか。 - 60代男性 一般内科 「多少上昇する」
一時的には上昇します。 - 60代男性 一般内科 「多少上昇する」
上昇する人が多いようです。 - 50代男性 一般内科 「多少上昇する」
交感神経の関係で多少はあるのではないでしょうか。 - 50代男性 一般内科 「多少上昇する」
自律神経の影響があると思います。 - 60代男性 一般内科 「多少上昇する」
食後の低血圧を改善します。 - 50代男性 一般内科 「多少上昇する」
多少は高血圧に繋がっていると思います。 - 60代男性 一般内科 「多少上昇する」
日ごろからのカフェイン摂取量によるようです。
次に回答で多かったのは、「多少上昇する」との意見でした。
カフェインの摂取は、血圧上昇に多少影響しているようで、こちらの回答をした医師からは、水を飲んだ後に比べ、コーヒーを飲んだ後の方が、血圧が僅かに高くなるといったコメントがみられました。ただ、カフェインの摂取量にもよるらしく、少量のカフェインであれば影響はないそうですが、大量摂取の場合は、血圧に影響がみられると考えられています。
また、カフェインによって血圧が上昇するのは、交感神経や自律神経が関係しているそうです。この効果を利用して、食後の低血圧を改善できるとの意見もありました。
それでは、低血圧の方は、カフェインの摂取で血圧を上げることを試してみても良いのでしょうか?こちらも医師に聞いてみました。
低血圧の方への対処法として、カフェインの摂取は推奨できる?
続いて「低血圧の方への対処法として、カフェインの摂取は推奨できますか?」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 大いに推奨できる
- 推奨できる
- あまり推奨できない
- 全く推奨できない
以下のグラフが結果となります。
こちらの調査では、「あまり推奨できない」と回答している医師が64%と一番多く、次に「推奨できる」18%、「全く推奨できない」15%が続きました。
「あまり推奨できない」との回答が、半数以上を占めており、カフェインを低血圧の対処法として活用するのは好ましくないのかもしれません。
それでは医師のコメントを見ていきましょう。
リスクが大きいため推奨できない
- 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
あまり推奨しません。 - 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
睡眠障害などとの兼ね合いがあるため、もろ手を挙げて賛成はしかねます。 - 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
昇圧目的で摂取するのはどうかと思います。 - 50代男性 代謝・内分泌科 「あまり推奨できない」
カフェインを摂ったから言って低血圧が解消するとは思えません。 - 70代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
低血圧に効果はないと思います。 - 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
気休め的な効果しかないかもしれません。 - 60代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
利尿作用があると思いますので、場合により血圧低下の原因にもなると思います。 - 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
水分も減ってしまうのではないでしょうか。 - 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
動悸や不安を惹起しうるため、低血圧対策としては勧められません。 - 60代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
かえって副作用が出ると思います。 - 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
依存的になる可能性があると思います。 - 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
直接血圧上昇に繋がらず中毒症状のみ出現するリスクがあります。 - 30代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
デメリットが大きく推奨できません。 - 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
睡眠や精神状態、摂取量の考慮は必要でしょう。 - 30代女性 一般内科 「あまり推奨できない」
カフェインの血圧上昇は持続しませんし、睡眠への影響など他の効果もあるので、薬の代替としては適当ではないと思います。 - 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
低血圧がそもそも治療すべき状態かによりますし、効果は限定的だと思います。 - 30代女性 一般内科 「あまり推奨できない」
様子を見ながらなら良いと思いますが、自己判断は良くないと思います。 - 30代女性 健診・予防医学 「あまり推奨できない」
カフェインの効果は持続しないでしょう。 - 60代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
あまり推奨できません。一時的には、多少上がってもまた直ぐ元に戻ります。 - 40代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
確実な効果とは言い難いように思います。 - 30代女性 一般内科 「あまり推奨できない」
解決策にはならないかと思います。 - 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
本人がリラックスできたりするようなら摂取しても良いと思います。 - 40代女性 一般内科 「あまり推奨できない」
飲みすぎは推奨できませんが、コーヒー1~2杯は良いのではないでしょうか。 - 60代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
血圧を無理して上げる必要はありません。 - 50代男性 一般内科 「あまり推奨できない」
利尿作用もあるため、カフェインには頼って欲しくありません。
一番多く回答を集めたのは、「あまり推奨できない」との意見でした。
医師のコメントによれば、カフェインを昇圧目的で摂取することは推奨できないとのことです。
まず、カフェインを摂取したからと言って、低血圧が解消するとは考えられず、気休め程度に留まると言われています。低血圧に対する効果が少ない反面、カフェインの作用によるリスクが高く、具体的には以下のようなものが挙げられていました。
- 利尿作用により血圧が低下する
- 水分が減ってしまう
- 動悸や不安などの問題が起こる
- 副作用が出る
- 依存的になる
- 中毒症状のみ出現する
更に、カフェインを摂取する際に、睡眠や精神状態、低血圧の状態などを考慮する必要があると言ったコメントや、安易に自己判断で薬の代わりとしてカフェインを摂取することは好ましくないといったコメントもみられています。
また、血圧上昇の効果が見られたとしても、それは一時的なもので、直ぐに元の値に戻ってしまうそうです。
一方、リラックスするために摂取することは、好ましいとされています。コーヒー1~2杯程度を摂取する分にはよい、としたコメントもみられました。
低血圧の種類によっては効果が期待できる
- 30代男性 一般内科 「推奨できる」
ある程度効果がありそうです。 - 60代男性 一般内科 「推奨できる」
低血圧の方への対処法として、カフェインの摂取は推奨できます。 - 60代男性 一般内科 「推奨できる」
短時間の効果としては良いと思います。 - 60代男性 一般内科 「推奨できる」
低血圧の方には良いと思います。特に朝低い人には推奨できます。 - 70代男性 一般内科 「推奨できる」
食後低血圧の人には、食後にお茶やコーヒーなどのカフェインを摂ると良いでしょう。 - 60代男性 一般内科 「推奨できる」
起立性低血圧などには有効です。 - 30代男性 一般内科 「推奨できる」
起立性低血圧の方に処方していました。 - 40代男性 一般内科 「推奨できる」
何事も摂りすぎは良くないですが、適度な摂取はいいと思います。 - 60代男性 一般内科 「推奨できる」
1日3杯までなら良いでしょう。 - 30代男性 一般内科 「推奨できる」
摂取は特に問題無いと思います。 - 70代男性 一般内科 「推奨できる」
悪影響はないでしょう。 - 40代女性 代謝・内分泌科 「推奨できる」
割と副作用の少ない方法だと思います。 - 60代男性 健診・予防医学 「推奨できる」
効果があると思うので、ときどき勧めます。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
薬ではないので患者さんにも勧めやすいです。 - 60代女性 一般内科 「推奨できる」
嗜好品なので、無理はしない方が良いです。
まず、コメントで新しく出てきた言葉の概要をおさえてから、医師のコメントに触れていきましょう。
起立性(体位性)低血圧とは
起立性(体位性)低血圧は,立位をとった際に生じる過度の血圧低下である。コンセンサスに基づく定義は,20mmHgを上回る収縮期血圧の低下,10mmHgを上回る拡張期血圧の低下,またはその両方である。症状としては意識の遠のき,ふらつき,めまい,錯乱,霧視などが,起立後数秒から数分以内に起こり,臥位により速やかに消失する。
引用:起立性(体位性)低血圧|MSDマニュアル
次に回答で多かったのは、「推奨できる」との意見でした。
こちらを選んだ医師からは、カフェインは、短時間の効果として低血圧に有効との声が聞かれました。
医師のコメントによれば、低血圧は、いくつかの種類に分かれるようで、以下のような人にカフェインが有効と考えられています。
- 朝、血圧が低い人
- 食後の血圧が低い人
- 起立性低血圧の人
起立性低血圧の患者さんに、カフェインの摂取を推奨した経験を持つ医師もおられました。また、カフェインの摂取は、適切な量であれば悪影響はないという声もあり、医師のコメントにもあるように1日3杯までの量を守って摂取すると良いかもしれません。
常量であればカフェインで血圧はあまり変わらない
本調査では、カフェインを摂取すると血圧は一時的に上昇するか聞いたところ、「あまり変わらない」との回答の割合が一番高く、次に「多少上昇する」、「全く変わらない」が続きました。
「通常量では、あまり影響がない」との意見が多く見られましたが、なかには「僅かに上昇する」と声もみられました。特に大量摂取の場合は、一時的に血圧が上昇する可能性があるといった指摘がありました。一方で、カフェインによる血圧上昇は一過性のものであり、慢性的な高血圧に繫がってしまうことはないといった医師のコメントもありました。
次に、低血圧の方への対処法として、カフェインの摂取は推奨できるかという質問については、「あまり推奨できない」と回答している医師が一番多く、続いて「推奨できる」、「全く推奨できない」が回答を集めました。
低血圧の対処法としてカフェインを摂取することは、デメリットもあり、推奨できないといった声が多くあがりました。気休め程度に低血圧が解消するという意見もありましたが、利尿作用により血圧が低下してしまったり、依存的になってしまったりするリスクが高いという見解もみられています。
一方で、朝血圧が低い人や、食後の血圧が低い人、起立性低血圧の人には有効であることから、医師から患者さんに薦めることがあるとの声もあがっていました。
なかには、飲み過ぎは良くないとあり、一日3杯程度の摂取量を守ることなどは大事かもしれません。
カフェインの付き合い方を気にしている方は、本記事を参考にしてもらえればと思います。