皆さんは、「カルシウム」というと、どのような食品を思い浮かべますか。
多くの人は、子供時代から親しみのある「牛乳」を思い浮かべるかもしれません。子供の頃は成長のため、大人になると健康的な骨づくりのためなどの理由で、カルシウムは私たちの体にとって重要な栄養素と言えます。
では実際に、牛乳はカルシウムを効率よく摂取できる飲み物なのでしょうか。
そこで今回は、一般内科,総合診療,代謝・内分泌科,健診・予防医学医526人に、カルシウムを効率的に摂取する飲料として牛乳は推奨できるのか聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2019年4月24日~2019年4月26日にかけて行われ、一般内科,総合診療,代謝・内分泌科,健診・予防医学医526人から回答を頂きました。
カルシウムを効率的に摂取する飲料として牛乳は推奨できる?
「カルシウムを効率的に摂取する飲料として牛乳は推奨できますか?」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
- 大いに推奨できる
- 推奨できる
- あまり推奨できない
- 全く推奨できない
- わからない
以下のグラフが結果となります。
集計結果では、「推奨できる」との回答が52%と一番高く、次に「大いに推奨できる」17%、「わからない」15%が続きました。
「推奨できる」と回答した医師は、全体の半数以上を占めました。やはり、カルシウムを含む食品として一番に連想される牛乳は優秀なのかもしれません。
それでは医師のコメントを見ていきましょう。
栄養価が高くカルシウムの吸収率も良い
- 50代男性 一般内科 「推奨できる」
牛乳でカルシウムを補うことはできると思います。 - 60代男性 一般内科 「推奨できる」
一番手頃な飲料かも知れません。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
値段を考えればコスパは良いでしょう。 - 60代女性 一般内科 「推奨できる」
牛乳の成分が良いと思います。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
色んな栄養素が入っているので、良いのではないかと思います。 - 60代男性 一般内科 「推奨できる」
他の成分も含め、基本的な栄養補給には有用でしょう。 - 60代男性 総合診療 「推奨できる」
栄養源としても重要です。 - 40代男性 一般内科 「推奨できる」
ビタミンも含まれているので推奨できます。 - 50代男性 代謝・内分泌科 「推奨できる」
骨への沈着を促す蛋白質も有しているため、推奨できます。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
「牛乳はカルシウムの吸収率が良い」というデータを見たことがあります。 - 50代男性 代謝・内分泌科 「推奨できる」
バランスが良いのでよく吸収されます。 - 40代男性 一般内科 「推奨できる」
吸収率は、小魚より高いと聞いたことがあります。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
まずは、ビタミンDが重要です。 - 30代女性 一般内科 「推奨できる」
ビタミンDと一緒に摂取した方が良いと思います。 - 50代男性 代謝・内分泌科 「推奨できる」
カルシウムをサプリで摂るより有効と思います。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
牛乳の成分表示を詳しく読む必要があります。 - 40代男性 総合診療 「推奨できる」
推奨できますが、成分調整してしまうと本来の質が落ちるでしょう。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
カルシウムを摂取するには良い飲料ではありますが、カロリーと脂質が気になります。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
カロリー制限の必要な患者には不向きでしょう。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
手軽に摂取できるので、低脂肪乳を推奨します。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
飲める方は良いと思います。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
乳糖不耐症でなければ推奨します。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
乳糖不耐症では、消化吸収に支障があるかも知れません。 - 30代男性 一般内科 「推奨できる」
飲まないよりは、適量摂取が望ましいかと思います。 - 50代男性 一般内科 「推奨できる」
摂り過ぎなければ、推奨できると思います。
まず、コメントに新しく出てきた言葉の概要をおさえてから、医師のコメントに触れていきましょう。
乳糖不耐症とは
「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」は、牛乳の中に含まれる「乳糖(ラクトース)」を消化吸収のため分解するラクターゼという消化酵素の、小腸での分泌不足が原因で起こります。消化不良・腹部不快・腹痛・下痢・おならなどの症状がでます。
引用:乳糖不耐症|長野県医師会
一番多く回答を集めたのは、「推奨できる」との意見でした。
医師のコメントによると、牛乳でカルシウムを補うことは可能で、値段などを考慮すると一番手頃な飲料とのことです。それだけでなく、牛乳の成分が優秀で、ビタミンやタンパク質などの基本的な栄養補給として有用であると言われています。
また、カルシウムの吸収率が良いというデータも存在するようで、小魚よりも高いと聞いたことがあるといったコメントもありました。さらに吸収率を上げるためには、ビタミンDと一緒に摂取することも推奨されていました。
しかし、牛乳にはカロリーや脂質が含まれていることから、カロリー制限の必要な患者には不向きだそうです。そのため、該当する人は、低脂肪乳を選択しても良いかもしれません。
また、乳糖を分解する酵素の分泌不足で生じる乳糖不耐症を抱え、牛乳を飲むと下痢などの症状が生じてしまう人もいるかもしれません。そのような人は、消化吸収に支障をきたす可能性が考えられているため、牛乳からのカルシウム摂取は控えた方が良いでしょう。
牛乳のカルシウムは最も吸収率が高い
- 60代男性 総合診療 「大いに推奨できる」
やはり手軽に摂れて有用と思われます。 - 60代男性 総合診療 「大いに推奨できる」
安価で確実な健康食と思います。 - 60代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
継続して摂取するのにはちょうど良いのではないでしょうか。 - 60代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
栄養価も高いため、大いに推奨できます。 - 50代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
栄養が沢山ある上、簡単に入手できるからです。 - 80代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
牛乳に含まれるカルシウムは、重要な食物成分です。 - 60代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
タンパク質と同時に、無理なく摂取できるからです。 - 40代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
非常に効果が高いと感じているからです。 - 50代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
吸収面から見ても効率的であると思います。 - 50代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
食品の中では、牛乳のカルシウムが最も吸収率が高いと言えます。 - 50代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
一番良いとされています - 50代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
便秘の解消にも良いです。 - 50代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
患者さんにも勧めています。 - 60代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
胃の保護を含め、眠前は推奨しています。 - 50代男性 一般内科 「大いに推奨できる」
下痢等の合併がなければ、定期的な摂取をすすめます。
次に回答で多かったのは、「大いに推奨できる」との意見でした。
医師のコメントによると、牛乳は、安価で簡単に入手でき手軽に摂れることから、継続して摂取するにはちょうど良い飲料と言われています。それだけでなく、栄養価も高く、タンパク質とカルシウムを無理なく同時に摂れるようです。
また、吸収率の面から見ても、効率的であり、食品の中では牛乳のカルシウムが最も吸収率が高いとも言われています。さらに、便秘の解消や胃を保護する効果も期待でき、カルシウムの摂取以外の目的としても活用できることもあり、医師から患者へすすめることもあるそうです。
カルシウムを牛乳のみから摂取しようとするのは疑問が残る
- 40代男性 一般内科 「わからない」
そんなに牛乳は飲めないと思います。 - 40代男性 一般内科 「わからない」
他のものを飲むよりは、タンパク質も含め良いとは思います。しかし、カルシウムの摂取のみを目的として効率的かというと、そうでもないですよね。 - 40代男性 一般内科 「わからない」
サプリメントなども充実している現代では、以前と比較して牛乳が効率的かどうかは、はっきりしません。 - 40代男性 代謝・内分泌科 「わからない」
カルシウムは豊富に含まれてはいると思いますが、吸収率に関しては分かりません。 - 50代男性 一般内科 「わからない」
「牛乳を推奨しない」という先生のコメントも読んだことがあり、なんとも言えません。 - 60代男性 一般内科 「わからない」
牛乳のみでは、十分摂取できないのではないでしょうか。 - 50代男性 一般内科 「わからない」
牛乳からと限定するのは、どうかと思います。 - 40代男性 一般内科 「わからない」
様々な牛乳がありますので、成分などを十分に確認することが必要です。 - 50代男性 一般内科 「わからない」
糖分だけでなく脂肪分も多いことを認識しなければなりません。 - 40代男性 総合診療 「わからない」
不耐症の方もいるため、積極的にはすすめられません。
次に回答で多かったのは、「わからない」との意見でした。
「わからない」と回答した医師からは、否定的な意見が多く挙がりました。
まず、他の回答でも言われていましたが、乳糖不耐症の人には、医師から積極的にすすめることはできないそうです。
次に、「他のカルシウムを含む飲み物を飲むよりは、牛乳を飲んだ方が良い」との意見が挙げられたものの、カルシウムの摂取のみを目的とすると、現代ではサプリメントなどが充実していることから、牛乳にカルシウムが豊富に含まれているとはいえ、効率よくカルシウムを摂取できるとは言い切れないようです。
さらに、「牛乳のみでカルシウムを摂取しようとしても、十分に摂取できないのではないか」との意見も挙がっていたことから、牛乳のみで体に必要な量のカルシウムを摂取するのではなく、日頃から食事のバランスを考えてカルシウムを摂取することが大事そうです。
牛乳は栄養・吸収において優秀なカルシウム源
本調査では、カルシウムを効率的に摂取する飲料として牛乳は推奨できるのか聞いたところ、「推奨できる」との回答の割合が一番高く、次に「大いに推奨できる」、「わからない」が続きました。
医師のコメントによれば、牛乳からカルシウムを摂取することは、手頃で続けやすいため、推奨できるとのことです。
また、栄養面でみても、栄養成分が優秀で、豊富なカルシウムだけでなくビタミン・タンパク質などを含み栄養価が高いと言われていました。さらに、吸収率の面でみても牛乳は食品の中で吸収率が高いとされています。
しかし、乳糖不耐症やカロリー制限を受けている人には、積極的に推奨することはできないそうなので、体質を把握した上で、牛乳を飲んだほうが良いのかもしれません。
また、牛乳だけでは体に必要な量のカルシウムを十分に摂取できないといったコメントもあり、牛乳でのカルシウム摂取だけでなく、バランスのとれた食事からカルシウムを摂っていく意識が大事かもしれません。
本調査を参考に、日々の食生活の中に牛乳を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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