紹介状ナシの特定機能病院受診、「定額負担」はいくらが妥当?

医者が考える紹介状なし時の特定機能病院初診料の適正価格
紹介状なしの特定機能病院の受診の負担額について医師に聞いてみました。
医療の現場
イシコメ運営事務局 イシコメ運営事務局

医師の3割超が初診時「5000円前後」を支持

 高度な医療を提供する医療施設として主に大学病院(本院)が指定を受けている「特定機能病院」-。患者さんの大病院信仰は依然根強く、軽症での外来受診が続き、混乱や医療スタッフの疲弊を招いています。

 政府は医療保険制度改革の一環として、紹介状なしで直接特定機能病院や500床以上の地域医療支援病院を受診する患者さんに対し、2016年度からは公的医療保険では賄われない「選定療養」を義務化し、「定額負担」を求める方針です(救急などを除く)。初診時については現在、5000~1万円を軸に検討が進められており、2月中旬の中央社会保険医療協議会(中医協)の答申で定額負担の具体的な金額が示されます。

 200床以上の大きな病院では現在も「選定療養」として追加負担を求めることができ、金額はおおむね2000円から4000円ほどとなっています。2015年10月の社会保障審議会医療保険部会の資料によると、特定機能病院を紹介なしで外来受診した患者さんの割合は減少傾向にあるものの、依然として約6割と高い水準にあります。今回義務化される定額負担(初診時では5000円が有力視されています)は最低金額で、病院側の判断でそれ以上の料金を上乗せすることも可能になります。「定額負担」の導入は外来機能を分化することにあり、これによって軽症患者さんの受診を抑制する効果が期待されています。

 そこでMedPeerでは、会員医師を対象に「特定機能病院等への紹介状のない受診(初診)」について、選定療養費(消費税込み)がいくらくらいなら妥当なのかを尋ねるアンケートを行いました。3465件の回答で最も多かったのは、33.3%(1154人)が回答した「4321~5200円(税込)」で、政府が最低ラインとして打ち出した5000円に近い金額でした(図1)。その理由として「それなりに敷居が高くなる妥当な金額」「特定機能病院とはいえ、これ以上になると高すぎる印象」といったコメントが多く見られました。

「もっと上げなければ抑止効果はない」という意見も

図1 全体(n=3,465)

医者が考える紹介状なし時の特定機能病院初診料の適正価格

 第2位は「9721~1万2960円(同)」で15.8%(546人)、第3位は「5401~6480円(同)」で10%(345人)と、いずれも5000円を上回りました。さらに「1万2961円以上(同)」は4.9%(171人)、「1万801~1万1880円(同)」は4.5%(155人)で、5401円以上の回答が全体の4割近くを占め、「5000円では抑止効果はない」とする厳しい意見も目立ちました。

 一方、「夜間や休日の救急だけ高くするべき」「特定機能病院が数多く存在する首都圏と、近隣に信頼のおける医療機関がない地域と分けて考えたほうがよい」といったコメントもありました。

 また、7.8%(270人)は「徴収しないほうがいい」という回答を寄せました。金額を上げて受診抑制を図る施策に疑問を呈する意見も少なくありません。「医療に対する患者さんの意識改革」や「システムの見直し」など、別の方法の検討も必要との声が聴かれました。実際、病院の機能分化や、その一環として進められている大病院における一般外来の縮小について、患者さん側の理解は進んでいるとは言いがたく、定額負担導入の結果によってはさらに見直しが必要になることもありそうです。

勤務医・開業医別、医者が考える紹介状時なし時の特定機能病院初診料の適正価格

 図2・図3はそれぞれ勤務医・開業医の意向を集計した結果です。

「お金よりも患者さんの意識改革が必要では?」

 調査は会員からの投稿をもとに2015年11月4日から11月10日までの1週間行いました。主なコメントは以下の通りです。

  • 勤務先の病院で約3000円の自己負担が発生するようになった時は高い気がしましたが、(外来受信者は)ほとんど減りませんでした。思い切った金額が必要なのかもしれません。(40代、整形外科)
  • そこそこの大病院なら税抜きで5000円程度が妥当。大学病院なら1万円でもかまわないと思います。(40代、整形外科勤務)
  • 特に眼科はかかりつけ医で十分という患者がほとんど。5000円では受診する人は変わらないので、抑制が目的なら、1万円以上払ってもらうしかない。(30代、眼科)
  • 紹介状の費用よりもかなり上げなければ、抑制にならないと思います。(50代、眼科)
  • 夜間救急外来は1万円以上にすべき。救急ではない受診が多過ぎます。(30代、代謝・内分泌科)
  • 開業医ですが、診療情報提供書が欲しいがために受診する患者さんが時々います。当院での診療は初めから希望していないので、初診料と診療情報提供書で結局無駄に診療報酬が利用されます。大病院志向の患者さんには1万円くらい負担してもらっても良いと思います。(50代、一般内科)
  • 近隣に信頼のおける医療機関がないからと(大病院を)受診することもある。セカンドオピニオンの受診もそうですが、お金で敷居を高くする方法には疑問が残ります。(50代、一般内科)
  • あまり抑制にはつながらないと思う。お金よりも患者さんの意識改革が必要です。(40代、一般内科)
  • 今後の増税を考慮すると、むしろ下げるべき。(40代、消化器内科)

参考サイト

この記事の続報・過去記事

ツイート
この記事の著者

関連する記事