漢方薬を何種類使っていますか?

医者が日常的に使用している漢方薬の種類
漢方薬の使用について医師に聞いてみました。
医療の現場
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「2~3種類」が35%

 医師はどれくらいの種類の漢方薬を使っているでしょうか。MedPeer会員を対象とした調査では、「2~3種類」とする答えが35.2%と最も多くを占めました。次いで「5種類程度」が26.8%でした。勤務医と開業医を比較すると、勤務医では「2~3種類」が、開業医では「10種類程度」が比較的多く見られました。お気に入りの処方としては、葛根湯、芍薬甘草湯、大建中湯、抑肝散、六君子湯などが挙がりました。

「5種類程度」は3割弱

 調査は昨年12月21日から27日まで、MedPeerサイト上で行いました。日常的に何種類くらいの漢方薬を使い分けているかを聞きました。

図1 全体(n=3,791)

医者が日常的に使用している漢方薬の種類

 3791件の回答を集計すると、最も多かったのは「2~3種類」で35.2%でした(図1)。2位は「5種類程度」(26.8%)、3位は「10種類程度」(13.0%)と続き、「全く使用しない」が12.4%、などとなりました。

開業医・勤務医別、医者が日常的に使用している漢方薬の種類

 開業医(n=667)と勤務医(n=3124)を比較すると、開業医では「10種類程度」が勤務医の約2倍に上りました(図2)。勤務医では「2~3種類」が37.7%で最も多く、全体の結果に反映したと見られます(図3)。「5種類程度」や「全く使用しない」との回答は両群で同様でした。

図4 年代別の割合(n=3,791)

年代別、医者が日常的に使用している漢方薬の種類

 年代別では、20代では「2~3種類」が多いのですが、その割合は50代まで順に減少していました(図4)。一方で、「10種類程度」が年代とともに増える傾向でした。

「エビデンスに着目して」「西洋薬と使い分け」

漢方薬を使用している医師の印象は、次のようなコメントが代表的です。

  • 科学的根拠が示されてきている。ただ、漢方薬はすべて副作用がないと多くの患者さんが思っていることには注意したい。(開業医、一般内科)
  • 保険病名、臨床的な適応がはっきりわかっているものは使います。(勤務医、一般内科)
  • 西洋薬で解決できないところを解決できることがある。(開業医、一般内科)
  • うまく使えば、西洋薬数種類を置換できることがあります。(勤務医、精神科)
  • 「証」を診なければならず、困難な領域ですが、なんとかこうとか処方しています。(勤務医、一般内科)
  • しっかり使いたい患者さんには漢方外来のある病院を紹介します。(勤務医、精神科)

 診療科別では、産婦人科、消化器外科、消化器内科、耳鼻咽喉科、精神科などで使用の意向が高い(「全く使用しない」との回答が少ない)傾向でした。対照的に、眼科、小児科、麻酔科などでは、「全く使用しない」との回答が20%を超えていました。

 注意している副作用としては、間質性肺炎、肝機能障害、偽アルドステロン症が挙がりました。副作用発現のリスクとなる漢方薬同士の併用に注意しているとの指摘もありました

お気に入りは葛根湯、芍薬甘草湯、抑肝散など

 コメントにはお気に入りの処方を挙げていただきました。著名な葛根湯を始め、消化器領域のエビデンスが出てきた大建中湯や六君子湯、医師自身も「こむら返り」に使うという芍薬甘草湯、精神神経症状に用いられる抑肝散、「婦人科3大処方」と呼ばれる桂枝茯苓丸・当帰芍薬散・加味逍遙散などが上がりました。

 特に、芍薬甘草湯については「即効性があるので『こむら返り』(腓腹筋に限りませんが)に困る時は第一選択」(開業医、リハビリテーション科)、「よく効くと患者さんの満足度も高い」(勤務医、整形外科・スポーツ医学)のように、200件以上の書き込みがありました。

 抑肝散も「認知症診療では必須」(勤務医、一般内科)、「認知症の行動と心理症状(BPSD)に使用」(勤務医、精神科)と、認知症への処方が進んでいる様子が伺えました。

 脳神経外科医からの「五苓散が脳浮腫の改善に効果があることを学会で聴講して、特に処方が増えました」(勤務医)、「慢性硬膜下血腫に対して五苓散をよく処方しています」(勤務医)といった書き込みは、10件ほどですが、目を引きました。

「知識がない」「効果実感できず」

「全く使用しない」と答えた医師の理由は、おおむね次のように集約されます。

  • 漢方の勉強をしていないので。(開業医、循環器内科)
  • 診察方法と考え方が違う。(勤務医、腎臓内科・透析)
  • 作用機序がはっきりわからない。(勤務医、眼科)
  • エビデンスの少ない薬は控えたい。(勤務医、精神科)
  • 昔は2、3種試してみたが、あまり効果が実感できなかった。(開業医、眼科)
  • 副作用で痛い目に遭っている。(勤務医、呼吸器内科)
  • 小児科では内服がなかなか難しい。(勤務医、小児科)
  • 処方機会が少ない科ですので。(勤務医、放射線科)

 ただし、全く使わないという医師も「患者さんから希望があった時に検討する」(勤務医、精神科)、「前医からの処方があれば継続します」(勤務医、麻酔科)との姿勢ではあるようです。

参考サイト

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