予防注射、どこに打つ !?

泣いている少女
予防注射はどこに打てば良いのでしょうか。医師に聞いてみました。
医療の現場
イシコメ運営事務局

回答の約8割が、上腕伸側「中央部」もしくは「下1/3」

 小児科や内科系の医師は予防接種をする機会が多々あり、日本の場合はほとんどの種類のワクチンは皮下接種で投与されています。そこでMedPeerでは、会員医師を対象に予防接種の皮下注射を打つ位置を尋ねるアンケートを行い、3695件の回答を得ました。

図1 全体(n=3,696)

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 結果は、最も多かった「上腕伸側中央」の42.5%(1569件)と、続く「上腕伸側下3分の1」の35.3%(1306件)で約8割を占めました。第3位の「上腕伸側上3分の1」は18.7%(690件)と、やや少なめになっています。この3つの回答いずれのコメントにも「教科書で習ったから」「研修医の時にそう教えられた」「予防注射Q&Aに記載されている」といった「マニュアル重視」が理由に挙がっていました。

 例えば、「予防接種Q&A 」では 適切な皮下接種部位は2カ所で、そのうちの1カ所は上腕伸側下3分の1、もう1カ所は三角筋の外側としていますが、文献によっては「上腕伸側上3分の1に行なうのが、一番痛みが少なく適切」と書かれているものもあるなど、医師ごとに基準にしているマニュアルが異なることや、教わった記憶があいまいという点も接種部位のばらつきにつながっているようです。また「なんとなくそうしている」「服を脱がずに腕まくりでできる位置だから下1/3」など、医学的な理由とは関係なく投与部位を選んでいるコメントも目立ちました。

同時接種が多い小児科では臨機応変に

 小児科ではおおむね生後2カ月から予防接種が始まるため、「そもそも乳児の小さな腕で中央とか下1/3を限定できない」というコメントもありました。また最近は同時接種をするケースが多く、回答では「上腕伸側中央」「上腕伸側下1/3」などとしながらも、あくまでも原則で、同時接種の場合は大腿含め4本打ちをするなど、臨機応変に接種場所を分けているケースが目立ちました。

 またコメント欄の「痛くない位置に打っている」という理由は共通していながら、それぞれの医師が痛くないと考える位置は「自らの経験から上腕伸側中央」「小児は大腿」「実践では上のほうが痛くないと教わった」などと回答が分かれました。

 調査は会員からの回答をもとに2015年11月2日から11月8日までの1週間行いました。主なコメントは以下の通りです。

  • 自らの経験から、上腕伸側中央が一番痛くありません。(50代、救急医療科)
  • 「利き腕ではないこと」が重要。上腕伸側中央部に注射しています。(50代、外科医)
  • 大体伸側中央ですが、小児は大腿が痛くないようです。(40代、麻酔科)
  • 教科書的には下3分の1と教わりましたが、実践では上の方が痛くないと教わり、それから中央部から上の方に打つようにしています。また同様に教科書では針は寝せるようにと教わりましたが、実践で直角の方が痛くないと教わり、変えています。(30代、精神科医)
  • 「予防接種Q&A 」によると、適切な皮下接種部位は、上腕伸側下1/3、もしくは三角筋の外側の部分です。とはいえ乳児の腕では1/3部分を特定するのは難しい。(40代、小児科)
  • ケロイド予防を重視して、下1/3に打ちます。(40代、皮膚科)
  • 上腕に走行している腋窩神経と橈骨神経を避けるために上腕骨頭中止部と肘頭を結んだ下1/3と教科書や文献で確認し、その通りにしています。(40代、産婦人科)
  • 下1/3が基本ですが、同時接種が増えたため 大腿部含めそれ以外の場所にも接種しています(50代、小児科)
  • 神経走行から逸れるには高位が良いと思うので、上1/3に打っています。(60代、一般内科)
  • 神経麻痺の危険がないので、肩の三角筋にしています。(70代、脳神経外科)
  • 肩峰下50mm以内が正しいと思います。(40代、整形外科・スポーツ医学)
【訂 正】
記事公開時の図1中に誤りがありました。「上腕伸側上3分の1(35.3%)」および「上腕伸側下3分の1(18.7%)」と紹介しましたが、正しくはそれぞれ「上腕伸側下3分の1(35.3%)」「上腕伸側上3分の1(18.7%)」でした。訂正しました(2016年11月16日 編集部)。

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