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3分の2の医師、「口腔ケア」に取り組む

歯科検診
口腔ケアについて医師に調査をしてみました。
医療の現場
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誤嚥性肺炎や糖尿病と関連

 9月25日付のMedPeerニュースにがん治療における口腔ケアの記事を掲載しましたが、がん患者さんのみならず、手術前などに口腔内の評価とケアが行われています。また手術に限らず、誤嚥性肺炎の予防や糖尿病と歯周病の相互連関など、医療のさまざまな場面で口腔ケアの重要性が指摘されています。MedPeerが9月に行ったアンケートでも、その重要性を踏まえて、ほぼ3分の2の医師が「取り組んでいる」と回答しました。

約3割が「積極的に取り組んでいる」

 調査は会員医師からの投稿をもとに行い、3506人が回答しました。結果は口腔ケアに「積極的に取り組んでいる」が34.3%、「状況に応じて取り組んでいる」が32.9%、「(ほとんど)取り組んでいない」が14.9%、「施設には口腔ケアを行う機会がない」が17.9%でした(図1)。

図1 全体(n=3,506)

医者が口腔ケアに取り組んでいるかのアンケート調査結果

がん治療の副作用対策として

 寄せられたコメントからは、それぞれの診療科における口腔ケアの意義が伺えました。

 例えば、血液内科からは「化学療法を受ける患者さんでは、感染症予防のためにも、積極的に口腔外科受診を勧めています」(勤務医)、「全例、入院時にスクリーニングがあり、基準に達すると自動的に口腔外科のチーム介入が開始されます」(勤務医)のように、治療に伴う免疫力低下に備え、口腔内細菌をコントロールする目的が挙がりました。

 がん治療の副作用対策としては他科からも指摘がありました。 「肺がん患者さんで化学療法、分子標的薬などの治療目的で入院するときには口腔ケアを依頼します」(勤務医、呼吸器内科)、「特に頭頸部への照射では口腔ケアによって副作用の程度が変わるので、積極的にお願いしています」(勤務医、放射線科)、「抗がん剤、放射線治療を行うときは積極的に行います」(勤務医、耳鼻咽喉科)といった方針です。

 がんに限らず、手術前の動揺歯の観察や治療の必要性については従来から知られるところでしょう。麻酔科医からは「先日も、残存歯が気管内に落ち込んでしまい無気肺となり、気管支ファイバーで採取した例を見聞しました。診療報酬が得られる以上、積極的にしていきたいです」(勤務医)との書き込みがありました。

高齢者の誤嚥性肺炎を予防

 手術を施行する患者さんでなくとも、特に高齢者において口腔ケアが誤嚥性肺炎のリスク低下につながることは浸透しつつあるようです。次のような前向きなコメントがいくつもありました。

  • 認知症性誤嚥で、入院治療中に誤嚥性肺炎を生じた例が最近散見されるようになった。そのため、認知症がある患者さんには言語聴覚士(ST)をつけて口腔ケアに取り組むようにしている。(開業医、整形外科・スポーツ医学)
  • 認知症病棟では肺炎の発症率が低下しました。(勤務医、精神科)
  • 重症心身障害児(者)を対象としているので、肺炎の合併症を可能な限り少なくするために、歯科医の病棟への往診をしていただき、定期的に口腔ケアを行っています。(勤務医、小児科)

「現実には難しい」との声も

 他方、「重要であると言いっぱなしで終わっています」(勤務医、一般内科)、「手がかかるので、なかなか難しいことが多い」(勤務医、呼吸器外科)などのコメントからは医療現場の現実を垣間見ることができます。

 その背景をコメントから探ってみましょう。

  • 口腔外科医も歯科医も衛生士もいない。(勤務医、耳鼻咽喉科)
  • どういう場面で利用すべきかが分からず、そのままになっています。(勤務医、腎臓内科・透析)
  • ST、看護師とともに取り組んでいるが、症例が多くすべての患者さんには対応できない。(勤務医、神経内科)
  • 重要性は理解していても仕事量が増えることを心配するあまり、すべての職種が押し付けあっている。(勤務医、感染症科)

このように、人的リソースや対象となる患者さんをどう選ぶかが課題のようです。

参考サイト

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