母がアルコール依存症…生活保護、育児放棄、最後は保護された子供時代の体験談

アルコール依存症は命を縮める
離婚を機に母の毎日お酒を飲む生活が始まりました。次第に暴言を吐いたり、数日帰らないといったことが起き始め、最後には46歳の若さで亡くなってしまったのです。
医療の現場
イシコメ運営事務局

わたしの母は16年前に他界しました。

当時、わたしは20歳でした。
母がアルコール依存症で苦しみ出したのは亡くなる10年ほど前からのことです。

発症のきっかけは、今思うと父との離婚だったと思います。
子供だったわたしは、母が変わり果てていく姿をどうすることもできずに途方にくれていたことを覚えています。

お酒を飲んでは父の悪口を聞かされる

両親が離婚したのはわたしが小学校3年生のときです。
わたしと弟は母に引き取られ、3人での生活が始まりました。

離婚の原因は父の心変わり。
母はずっと父に対して恨んでいたようで、子どもだったわたしに父のことを悪く言っていました。

子供心にも両親が険悪な姿は見たくはありませんでした。
実際は父のことも好きでしたが、母の機嫌をとるように「お父さんひどいね」と同調し、母の肩を持っていました。

その頃、母は生活のために夜の仕事をはじめました。
すると毎日お酒を飲むことが当たり前な生活になっていったのです。

しかし、お酒を飲むと父の悪口はエスカレートし、子供のわたしが話を聞くには辛い状態でした。

この頃から、母の様子が普通の酔っ払いとは違うと感じ始めていました。

お酒をやめて!母に訴えた日々

ある日、母が突然体調を崩して入院になってしまいました。
お酒の飲みすぎで、肝臓の数値が上がってしまったことが原因でした。

入院は短くて済みましたが、その後は療養が必要との診断を受け、仕事ができなくなりました。

お店に出られなくなったこの時から、飲んではいけないと言われているのにお酒を飲みだし、わたしが学校から帰るとすでに泥酔している、という状態になっていったのです。

母に不満をぶつけても、酔払っていてまともに話もできません。
この頃には家事もままならなくなり、食事もまともに与えてもらえませんでした。

それなのに自分のお酒は買いに行く。
ときには「酒かってきて」とすがってきたりもしました。

「もうお酒をやめて!」
そう訴えたこともありますが全く聞いてくれず「今日飲んだらやめるから」と言われました

それを信じて買って、また裏切られる、ということを何度も繰り返しました。

次第にわたしは追い詰められていました。

父に助けを求めて

こんな暮らしが、わたしが高校生になるまで続きました。
母が働けなくなっているため、生活保護を受けて生活していたのです。

母は外面がよいというのか、乱れた生活が周囲にバレないようにうまくやっていました。

そのせいで誰にもこの状態に気付いてもらえず、わたしも「誰も助けてくれない」と諦めて生きるようになっていました。

この頃には、母はお酒を飲んで暴言を吐いたり、外で飲んで数日帰ってこない、というのが当たり前の状態でした。
帰ってきたときに顔にあざを作っていたこともあります。

わたしは本気で酒を恨みました。
母をこんな風にしたのは酒だと、母のお酒を投げ捨てたのです。

しかし母の酒への依存はわたしの想像以上でした。

お酒を捨てたわたしに
「お前なんかいらない!」
「産まなきゃよかった、父親のところに帰れ!」
と言ったのです。

何かがわたしのなかで崩れたのを感じました。
それまで母のためにと耐えていましたが、限界を感じてその場で離婚した父に初めて連絡しました。

その結果、わたしと弟は保護されることになります。

アルコール依存症と診断 命を縮めた母

役所は、母がわたし達を育児放棄したとみなしました。
わたしたち姉弟と母は引き離されることになり、母はすぐに措置入院になったのです。

そこで「アルコール依存症」と診断がつき、母が「病気」だと初めて認識できました。

アルコール依存症の診断とはこのようなものです。

ICD-10によるアルコール依存症(alcohol dependence syndrome)の診断ガイドライン

過去1年間に以下の項目のうち3項目以上が同時に1ヶ月以上続いたか、または繰り返し出現した場合

1. 飲酒したいという強い欲望あるいは強迫感 

2. 飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して行動を統制することが困難 

3. 禁酒あるいは減酒したときの離脱症状

4. 耐性の証拠

5. 飲酒にかわる楽しみや興味を無視し、飲酒せざるをえない時間やその効果からの 回復に要する時間が延長

6. 明らかに有害な結果が起きているにもにもかかわらず飲酒

引用元:独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

この後、わたしたちと離れた母はアルコール依存症と向きあうこととなりました。

しかし完全に回復することはできませんでした
お酒を断ち切ることができず、46歳で脳溢血を起こしこの世を去りました。

次回、母のエピソードをもとにアルコール依存症からの回復についてお話したいと思います。

医師のコメント

  • 眞鍋 歩
    大変な経験ですね。 アルコール依存症はれっきとした病気ですので、きちんとした治療を受けることが重要ですね。また患者会などのコミュニティも多くありますので、治療を続けることが難しい場合はこういったグループに参加されるのもよろしいかと思います。
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