物理専攻だけど築地移転問題の土壌汚染で健康問題が起きるか調べてみた

豊洲の土壌汚染が本当に健康被害を与えるレベルなのか考えてみた
今回の問題は土壌汚染や、その対策がされていなかったことが主要な問題ではありません。大きな話題になった原因は、現場とお上との間のコミュニケーションロスだと思われます。わたしたち消費者としては、お金の話はもちろんですが、健康的で新鮮なおいしい食材が食卓に並べばそれでいいのではないでしょうか。
医療の現場
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最近話題の築地移転問題。
移転先の豊洲市場が、本来される予定だった盛土がされていないことが大きな問題になっていますね。

毎日この話題に関するニュースが飛び交っていますが、「土壌汚染」「ベンゼン」「盛土」とか、よくわからない単語が飛び交っていますよね。

この問題の大切なところは「都が嘘の説明をしていた」ところだと思いますが、イシコメでは「豊洲市場の土壌汚染は健康被害を与えるレベルにあるのか?」を考えてみたいと思います。

理系だけど物理専攻だったもんで化学とかイマイチよくわからないんですけどね。

西日本の方はほとんど他人事な感じだと思いますが、築地で扱われた食材は日本全国の方のお口に入るものですので、ぜひ多分に興味を持って欲しいです。

豊洲市場の土壌汚染について ベンゼンって何よ?

豊洲市場はかつてのガス工場の跡地

テレビで散々いわれていることですが、移転先である豊洲市場は東京ガスの工場跡地だった場所です。

昭和31年から昭和63年までの約30年間、都市ガスの製造と供給がされていたようです。

豊洲市場はもともと東京ガスの工場跡地

当時の都市ガス作りでは有害物質がたくさん出ていた

当時、都市ガスの原料は石炭が主に使われていました。
(現在は液化天然ガスが主原料となっているようです)

石炭から都市ガスを製造する過程では、

  • ベンゼン
  • シアン化合物
  • ヒ素
  • 水銀
  • 六価クロム
  • カドミウム

が副産物として生成されます。

いかにも体に悪そうですね。

豊洲にあったガス工場も、例に漏れず石炭を原料として都市ガスをつくっていました。
都市ガスづくりの原料に石炭をいつまで使っていたのかまではわかりませんでしたが、少なくとも数年間はその状況が続いていたことが予想されます。

実はガス工場の跡地が土壌汚染されている同様なケースは他にもあります。
長崎県佐世保市でも、石炭原料の都市ガス製造で土壌汚染の影響が見られるようです。

5.特定有害物質が発生した推定原因 

当該用地においては、大正元年~昭和39年に石炭を原料とする都市ガスを製造しており、その製造工程で微量のシアンが生じていたことや、原料の石炭には水銀や鉛などの物質が含まれていた等の状況がありました。操業時期が古いため、正確に原因を特定することは困難ですが、装置の損傷等による漏洩があり、土壌に浸透したものと推定されます。

なお、当該用地については、昭和39年に石炭を原料とする都市ガスの製造を廃止しており、新たな有害物質の発生はありません。

引用元:石炭ガス工場跡地(長崎県佐世保市万津町)の土壌・地下水に関する調査結果と今後の対策について|西武ガス

こちらのケースの場合、昭和39年に石炭を原料とする都市ガス製造をやめているとのこと。
豊洲にあった工場は昭和31年に都市ガス製造を開始しておりますので、もしかしたら石炭を使ってたのは最初の数年だけだったかもしれませんね。

ガスをつくる過程で体に悪い副産物がたくさんできる

ベンゼンは医薬品にも使われるメジャーな化学物質

さて、ここから徐々に科学的な話が出てきます。

テレビでも連呼されてますが、思いませんか?
ベンゼンってなんぞ?
って。

ちなみにわたしはベンゼンは聞き覚えがありました。
高校の化学で出てくるので。

ベンゼンは炭素原子6個、水素原始6個からなる最もシンプルな芳香族炭化水素で、無色・有臭・常温で液体の有機化合物です。
ちなみに揮発性があります。

非常に基本的な物質で、その他の化学物質を製造するための材料として用いられています。

代表的なものとしては、

  • プラスチックの原料となるスチレン
  • 接着剤の原料となるフェノール
  • ナイロンの原料となるシクロヘキサン

これらは全てベンゼンを元に製造されます。
その他にもゴムや洗剤、殺虫剤、医薬品など、わたしたちの身の回りにはベンゼンがなければつくれないものがたくさん存在しているわけです。

ベンゼンはわたしたちの生活には無くてはならないもの

ベンゼンって体に悪いの?

化学薬品ってだけでなんとなく体に悪そうですが、実際どのくらい健康に影響がある物質なのか調べてみました。

一般財団法人 化学物質評価研究機構が出している「CERI 有害性評価書 ベンゼン」を中心に参考にさせてもらいました。

ベンゼンには発がん性がある

この辺りからかなり難しい内容になってきて、調べるのがしんどくなってまいりました。

わかったこととしては、

  • ベンゼンは体内に入ると急速に吸収・代謝される
  • 体内でベンゼンからさまざまな物質が生成される
    (「ラジカル反応性が高い」というようです)
  • 体内でベンゼンが代謝されてできる物質に腫瘍をつくる能力がある
    (「反応性ベンゼン代謝物に腫瘍性性能力がある」というようです)

というわけで、ベンゼンには発がん性があるということです。

特に骨髄に対する影響が大きく、急性骨髄性白血病を引き起こすといわれています。

他にも頭痛がしたり、生理不順や精子の質の悪化の原因になったり、急性中毒を起こした場合は心肺停止で死亡することもあります。

基準値を設けてベンゼンによる健康被害を防いでいる

以上のように、ベンゼンが大量に体内に取り込まれると人体には大きな悪影響が生じます。

それを防ぐために、ベンゼンにはさまざまな基準値が設けられ、健康被害が生じないように法規制されています。

  • 水道:0.01 mg/L
  • 空気:年平均0.003 mg/m3
  • 土壌:土壌溶出基準0.01 mg/L

これらを始めとして、水道法、環境基本法、大気汚染防止法などさまざまな法律で基準値が定められています。

ベンゼンは人体にとって非常に悪影響のある物質

豊洲市場の土壌汚染は健康被害を引き起こすの?

ベンゼンによる健康被害の例

過去にベンゼンによる健康被害は発生したことがあるのでしょうか?

実は、わたしたちがコンビニで買える清涼飲料水から基準値を超えるベンゼンが検出され、自主回収になったことがあります。

防腐剤として広く用いられている安息香酸ナトリウムとビタミンCが化学反応を起こしてベンゼンができてしまったのが原因でした。
この時は幸い健康被害を訴える方は出なかったようですが、厚生労働省が自主回収と成分の見直しをメーカーに要請したことで、当時話題となりました。

豊洲市場の現状

当初の予定にあった盛土がされておらず、コンクリートで出来た地下空間が広がっていました。
また、その空間に水が溜まった状態になっています。

そのうえで、現在の豊洲の汚染状況はどんな感じなんでしょうか。

大気中のベンゼン濃度について

小池から命じられ、都は15~16日に豊洲市場で検査した。豊洲は1立方メートル当たり最大0.9マイクログラムなのに対し、同時期に調べた築地は同1.7マイクログラム。いずれも環境基準を満たすが、濃度が高いのは築地という皮肉な結果が出た。

引用元:実は豊洲より高濃度 築地移転延期の波紋(ルポ迫真)|日本経済新聞電子版

日経新聞によれば、問題になっている豊洲よりも現在の築地市場のほうがベンゼン濃度が高いという結果になったようです。

土壌・地下水のベンゼン濃度について

東京都中央卸売市場のWEBサイトで公開されている調査結果を見るかぎり、ほぼ基準値以内の数値を示しています。

地下空間に溜まった水について

盛土の代わりにできた地下空間に水が溜まっていることが話題になってます。

たしかに土壌からベンゼンが溶出した場合、ベンゼンは揮発性がありますので空気中のベンゼン濃度が上がる可能性があります。

しかし、上述の東京都の調査で、今のところ大気中のベンゼン濃度は問題なさそうに思えます。

今のところ大丈夫そうに思える

今のところ、大気や土壌や地下水についてはベンゼン濃度に問題がなさそうなため、特に健康被害の心配はなさそうに思えます。

ただし地下水を組み上げて掃除や食品の洗浄に使ったり、飲水として使うなどすればわかりませんね。

今でてる情報ではとりあえず大丈夫そう

そもそも築地市場ってそれほど衛生的ではないですよね

築地市場に行ったことがあるかたはご存知だと思いますが、築地市場には壁がありません。
開放型というらしいのですが、外部と内部を仕切るものがなく、風が普通に吹き込んでくる形状をしています。

近くには大きな道路や山手線も走っていますし、外部の排気ガスがバンバン流れ込んできます。

また、内部では荷物を運んだりする小型の車両(「ターレ」というらしいです)が走り回ってます。
電動化は進んでいるらしいですが、多くはガゾリンで動いているため、こちらも排気ガスを出します。

上述した通り、今の時点で豊洲よりも築地のほうが空気中のベンゼン濃度が高いのは、こういった理由からではないでしょうか?

さらにいうと築地には空調がありません。
生鮮食品を扱う上では、どう考えても空調完備のほうが良いと思われます。

そもそも築地市場は不衛生に近い

土壌汚染問題はそれほど大きな話じゃない気がしてきました

まだ専門家のコメントなんかが詳しくは報道されていないのでなんともいえませんが、今回自分で調べてみて、あまり土壌汚染は大きな問題じゃないように感じました。

現状で出てる調査結果は数字上問題ないように見えますし、今回の話はやはり「知事として聞いてた話と違うやんけ」ってところが核なのかなと。

都のスタッフも一部は現場の状況を把握していたっぽいですし、知事に対する説明がちゃんとしてなかったっていう小さな問題なんじゃないかという気がしてきました。

消費者的には安全でおいしい食事ができればそれでいい

 

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