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病院食|献立と種類について医師に聞いた

病院食
医療の現場
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病院食の献立

病院に入院した際に出る「病院食」について、皆さんどのようなイメージをお持ちでしょうか。

今回はその病院食についてご紹介します。

病院食とは外食産業の一分野

外食産業の中に「給食事業」という分野があります。

給食事業は特定多数が対象で、安定性があります。

給食事業は、「病院給食」以外に学校給食と事業所給食を併せた3つの事業に分けられます。

学校給食、事業所給食は1日に昼だけというケースが多く、休日もあるので稼働率が下がります。

一方、病院給食(病院食)は1日3食、年中無休です。設備稼働率は圧倒的に高いです。

病院食と給食の違いとしては、病院食は病気ごとに細かく分類されており、さらに病気の回復度合い、アレルギーの状況など、きめ細かい配慮が必要となります。

病院給食(病院食)は1日3食、年中無休の中で、材料の購入・準備・調理・盛付けと配膳・後片付け・下膳と洗浄を繰り返します。

例えば病床数300の病院などは、1回の病院食で300もの工数がかかるため、大変な労力と時間がかかります。

また病院給食(病院食)は一度に配らないといけないため、作り置きとなり冷めてしまいます。

病院食の歩み

人類は,古くから日常の食事や食品が病気の発症や治療に関与する事を経験的に知っていた。

古今東西を問わず、日常の生活習慣や医療の中で、食事と健康や病気との関係は多く議論され、伝統的な医療や風習として残っている。

しかし、現在、世界中で実施されている病院食は、18世紀後半、ヨ-ロッパで誕生した栄養学を基盤にした食事法である。

その理由は、食事と病気との関係が数多く議論される中で、栄養学のみが生命科学の一部として、科学的に論理を積み重ねることができ、医療の近代化の中に組み込むことができたからだと思う。

わが国で栄養学が紹介されたのは、明治維新の際に行われたドイツ医学の導入からである。

1877(明治10)年,外国人科学者として政府から招聘された医師フォイト(Foit)は、「食事と言うのは好みに従って食べるのは悪く、含有される成分によって食べること」と、栄養学の考え方と食事療法の概念を解説している。

しかし,病院食が,治療の一環として位置づけられ,制度的に整理されてくるのは戦後のGHQの指導による。1947(昭和22)年、GHQは当時の病院を調査し、病院の改善の必要性を政府に指摘した。

そのことを踏まえ,1948(昭和23)年に医療法が制定され、その中で病院食と病院栄養士が法的に位置づけられたのである。

1950(昭和25)年には、入院患者が補食をしないで、病院の食事だけで適正な栄養量が確保できることを趣旨とした「完全給食制度」が策定され、1日に2,400kcalの食事が提供されるようになった。

当時、多くの国民が食料不足のために低栄養状態に悩まされる中で、病弱者への食料は優先的に確保し、患者の栄養状態を良くしようと考えた栄養関係者の努力があったからである。

※ 引用:病院食を再考する―病院食の現状とこれから(中村丁次 著)

病院食に起きている様々な変化

病院食は患者によっては厳密なカロリー制限や塩分制限があるため、味付けも平淡なものになります。

普段の食事と比べてしまうと、やはり物足りなく感じてしまいますよね・・・。

かつて病院給食は,「まずい、冷たい、早い」と揶揄されていました。

また医療制度の改革において,病院給食の患者負担は増加しました(一般入院1食260円,療養病床1食460円)。

患者はその負担に見合うだけの高いクオリティの食事を病院給食に求めるようになってきています。

病院食の美味しさは当然として、食事選択の自由度や嗜好対応などが,患者にとって病院を選択する際の重要な指標となりつつあります。

しかし、今や病院食の質はどんどん改善されています。

配膳するときに、トレーを温めたり冷やしたりする工夫で、病院食を適温で提供することができるようになりました。

病院食については日本人の食事摂取基準に沿って1日の塩分量が決められおり、それに基づいた献立がつくられていますが、最近ではダシをとって旨味を効かせたり、香辛料を使用して、薄味でも満足感できるような工夫をしています。

大きな変化の理由として、病院が外部の専門企業に病院食の調理を委託できるようになったためです。

そのため、1990年代半ばには病院食の外部委託は20%程度であったものの、2015年には70%を超えるまでに拡大していきました。

外部の専門企業のサービス範囲としては、患者さんへの病院食の提供だけでなく、盛り付け、配膳、食器洗浄までを行います。

背景には、1986年の医療法改正で、「病院における給食業務の一部委託について」という通知が出されたためです。

それまでは原則院内調理だった病院食が、外部委託による調達が可能になりました。

※ 医療関連サービス復興会調べ

病院給食(病院食)業界で有名な企業とは?

病院給食(病院食)業界のトップ企業は日清医療食品で受託病床数の約4分の1を占めます。

続いてエームサービス、富士産業、シダックス、メフォスなどの企業です。

富士産業とメフォスは病院給食(病院食)が主体で、エームサービスは事業所給食が主体です。

病院給食(病院食)の業界団体として、日本メディカル給食協会というものがあります。200社を超える、多くの企業が加入しています。

その中で病院食の改善を目的とした「治療食等献立・調理技術コンテスト」も開催されています。

例えば、治療食(病院食)部門としては下記のテーマで開催をしています。

高血圧の方に向けた献立テーマが多いですね。下記参考にしてください。

治療食(病院食)部門開催テーマ

  • 高血圧食の献立
  • 腎不全(透析)の献立
  • 脂質異常症の献立
  • メタボリックシンドローム
  • 口腔期・軽度障害・咀嚼・嚥下困難食
  • 鉄欠乏症貧血の治療食献立
  • 咀嚼・嚥下困難食の献立
  • 低たんぱく血症、糖尿病
  • 肥満、高脂血症、脂肪肝、高尿酸血症、高血圧
  • 糖尿病性肝症、高血圧
  • 高血圧、軽度腎機能低下(腎硬化症)
  • 高脂血症(WHO区分Ⅳ型)、肝障害
  • 糖尿病、肝臓障害

※ 日本メディカル給食協会

日本メディカル給食協会の会員全体の受託病床数は、120万床を超えます(2015年3月)。

単純計算をすると、120万床×3食×365日のボリュームとなり、かなり大規模です。

今後は病床の数を削減するということも言われていますが、高齢化に伴い介護施設からの受託依頼は増えていくでしょう。

また国公立病院の外部委託はまだ進んでいないため、その部分の進展が起きると予想されます。

病院食と特別治療食

病院食には「一般食」と「特別治療食」があります。

一般食は特別な制限のない食事で、流動食から易消化の段階食と嚥下食があります。

特別食は制限のある食事です。病態に応じた、カロリー制限、たんぱく質制限、脂質制限、塩分制限、消化管庇護食等の食種区分となっています。

※ 東京病院の食事メニューより引用

一般食

  • 常食 (1400~2000kcalの4種類)
  • 軟菜食
  • 分粥食(7分・5分・3分)
  • 流動食

特別治療食

  • 嚥下訓練食
  • 嚥下食1(ゼリー)
  • 嚥下食2(ペースト)
  • 嚥下食3(きざみ)
  • 嚥下食4(軟菜ソフト)

エネルギーコントロール食

  • 800~2000kcalの7種類(糖尿病、肥満、脂質異常症のエネルギー制限食)

脂質コントロール食

  • 脂質5~40g
  • 食形態(流動~常菜)

たんぱく質・食塩コントロール食

  • 塩分制限を基本としたたんぱく質調整食(たんぱく質40~80g塩分6g以下)

肝臓食

  • 1400~2000kcalの4種類

貧血食

  • 1400~2000kcalの4種類

術後食(6回食)

※ 流動は3回食、3分粥からおやつ付きの6回食

  • 流動
  • 3分
  • 5分
  • 7分
  • 全粥

潰瘍食

※ 食形態は術後食と同じだが、おやつは付かない

  • 3分
  • 5分
  • 7分
  • 全粥

低残渣食

※ 食物繊維の少ない、腸管への刺激の少ない食事

濃厚流動食

※ 病態にあわせ対応

禁止食(アレルギー食)

※ 各種アレルギー対応

化学療法食

※ 化学療法による食欲不振の方のための食事

豪華な病院食を提供する病院も

四谷メディカルキューブでは、「オテル・ドゥ・ミクニ」のオーナー・シェフ三國清三氏がプロデュースする病院食を出しています。

メニューは、一人ひとりの病名や症状に合わせて、フランス料理を、イタリアン、中華、和食などをアレンジして、美味しい病院食として提供するようです。

低カロリーかつ、低糖質なマンスール食(見た目も美しく心にも体にもいい美味しい食事)を病院食として提供しています。

病院内のレストランで提供しているため、入院患者ではない一般の人もこだわりの病院食を食べることができるようです。

メニューの一例をご紹介します。病院食とは思えないほど豪華ですね。

※ 参考:四谷メディカルキューブ

  • 朝食:
    フォカッチャ、スパニッシュオムレツ、野菜スープ、フルーツのヨーグルトがけ、紅茶
  • 昼食:
    ごはん、豚肉のしょうが焼き、けんちん汁、ほうれん草のお浸し、フルーツ、ほうじ茶
  • 夕食:
    キャロットライス、サーモンの紙包み焼き、海藻スープ、キノコのワイン蒸し、フルーツポンチ、ほうじ茶

 

日本人の約8割が病院で最期を遂げる現代の医療事情において、病院食が果たす役割というのは非常に大きいです。

いかに健康的に寿命を伸ばしていくかを考えた場合、病院食は非常に重要になります。

食事メニュー以外にも病院食を盛り付ける食器も再加熱をしても乾燥しないように材質や形を工夫し、色調も明るいデザインのものを使用したりしています。

産後の病院食に関しては、産後数日後に「出産お祝い膳」を提供する病院も多いようです。

また、行事食として、お正月、ひなまつり、クリスマスなど、年間23回程度の季節感あふれた行事食の提供を行っている病院もあります。

病院食の歴史は古く、また進化し続けています。

最近の病院食では、栄養価が高いアイスクリームは誤って気管に入ってしまう可能性も低いことから、他の食材と組み合わせた病院食メニューを増やすための研究も各所でされているようです。

確かにアイスクリームは風邪のときにもオススメの食べ物ですし、あとは冷凍保存できる環境があれば普段の病院食に一品の追加がすぐできそうですね。

医師が病院食を食べる機会はほとんどありませんが、残念ながら患者さんから食事がおいしい、と言われたことはほとんどありません(笑)。

しかしこれは厳密にコントロールされた食事ですので、しかたのないことだと思います。

入院して不健康になってはしょうがないですからね。

入院をきっかけに食事に対する意識が変わってくれればいいのでしょうが、なかなか難しいかもしれませんね。

しかし記事にもあるように、生活習慣病予防の基本は「食事」と「運動」です。

この2点に気をつけるだけで、数値は明らかに改善します。是非心がける様にして欲しいと思います。

最後に、世界の病院食の献立の一例をご紹介します。

国々の文化性が色濃く出ていますね。

皆さんは、どの国の病院食メニューがお好みですか?

世界の病院食の献立

1.「日本」

  • 漬物、汁物、和え物、ごはん、お茶。
  • 御膳にそば、うどん、てんぷら、漬物、とろろ、煮つけものなど

2.「ドイツ」

  • シュニッツェル、シュペッツレ(ダンプリン・ヌードル)、サラダ、ケーキ

3.「オーストラリア」

  • ラムのタジン鍋、スープ、サンドイッチ、ブロッコリー、コーン、フルーツサラダ、パンなど
  • サンドイッチ、ブロッコリー、トウモロコシ、果物類、パン、ラム肉の鍋料理

4.「イギリス」

  • ミネストロスープ、ビーフ&オニオンパイ、茹で野菜、バナナ

5.「エストニア」

  • マッシュポテト、肉とキャベツのシチュー、野菜、牛乳、ペイストリー

6.「フランス」

  • スモークサーモンのサラダ、鶏肉とズッキーニ、フランスパン、パイ1切れ

7.「インドネシア」

  • 麺類、鶏肉、卵、味のついたお粥

8.「ドバイ」

  • スパゲティ、サラダ、パン、野菜、スープ、ケーキ

9.「ポーランド」

  • パン、バター、ピクルス、ソーセージ

10.「ノルウェー」

  • パン、サラダ、ハンバーガー

11.「アメリカ」

  • ハンバーガー、フライドポテト、サラダ、チキンスープ、クラッカー

※ 参考:Around the world in 8 hospital meals

医師のコメント

  • 中山 祐次郎
    そういえば以前韓国のドクターに、「胃を切った患者さんでも手術後にはすぐにキムチを食べるのか」と聞いたところ、食べないと返事をもらったことがあります。ほぼ毎食キムチを食べる韓国でも、さすがにその時は食べないんですね。 病院食は管理栄養士さんが献立を考えて作ります。限られた金額で、過不足なく色々な栄養を入れ、塩分に注意し、様々な種類のカロリーと形態の食事を作るのです。しかも毎日同じではなく、なるべく美味しいように、です。神業のような仕事です。 ※記事へのツッコミですが、タイトルには「医師に聞いた」とありますがどこの誰に聞いたのでしょう。また記事中のどの部分でしょう。また、引用が多すぎです。
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