まだまだ寒い時期が続いていますが、皆様はどうお過ごしでしょうか?
暖かくなるのを心待ちにしている方も多いかと思います。
しかし、春・夏に向けて気温が徐々に上がるとともに心配になるのが汗のにおいですよね。
特にワキガでお悩みの方の場合は、天気予報で日々発表される最高気温の数値が高まるのと反比例するように気分が憂鬱になっていく、という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、皮膚科・美容・アンチエンジング・形成外科などを専門とする医師210人に、ワキガの治し方・改善の仕方についてアンケート調査を行いました。
※ 本調査は2017年2月3日〜2月6日にかけて、医師専用サイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて行われました。
世間一般で言われているワキガの治し方・対策って正しいの?
ワキガの対策についてはたくさんのサイトで解説がされていますが、それらで紹介されている対策方法って本当に効果があるのでしょうか。
- 制汗スプレー・デオドラント(の使用)
- 脇毛を剃る
- 食事の改善
- 睡眠時間や生活習慣の改善
- ストレスを溜めない
- 禁酒・禁煙
- 定期的な運動
これらについて、有効かどうかを医師に質問してみました。
得られたのがこちらの結果です。
制汗スプレーやデオドラントが、ワキガ対策として有効なようです。
その他の対策は、「有効だと思う」と回答した医師が半分もいないことから、あまり期待できないかもしれません。
また、上記で挙げた以外の方法としては、
- こまめにシャワーを浴びる、拭くなどして清潔を保つ
- 脇の下に抗菌剤を塗る
などの意見が見られました。
ただ、
- 60代男性 皮膚科医
遺伝的要素が強いので、汗をかかないようにするしかないと思います。
のように、自分で改善するのが難しいとする意見も数名の医師からいただきました。
また、
- 50代男性 皮膚科医
ワキガを自称する方が、本当のワキガであるケースは体感的に少ないです。医学的な真性のワキガの方は、ほどんどは自覚されていません。
といった意見も見られ、ワキガでお悩みの方は、まずは一度病院に行き、自分が本当にワキガであるか医師の診断を受け、その上で治療を受けるのが最善と言えそうです。
医師がおすすめできる制汗スプレー、デオドラントは?
約8割の医師が制汗スプレー・デオドラントがワキガ対策に有効と考えていることが分かりました。
そこで「じゃあ、医者がおすすめできる制汗スプレー・デオドラントってあるの?」と思いまして、ちょっと聞いてみました。
- 50代男性 皮膚科医
各製品、ほぼ同様(に効果がある)と考えています。 - 60代男性 皮膚科医
市販品はどれでも大丈夫と話しています。 - 50代男性 形成外科医
特に(おすすめできるものは)ありません。患者さん自信が効果を実感できるものが良いとお伝えしています。
結果は、「ない」と答えた医師のほうが多いようです。
しかし、現在の製品であればどれも同程度の効果が見込めるとしている医師が多く見られました。
また、「ある」と答えた約4割の医師のうち、3割の医師が銀イオンが配合されたものがオススメだとコメントしていました。
特に資生堂のAG+については、具体的な製品名とともに例に上げる医師が多くいたのが印象的でした。
- 40代男性 皮膚科医
銀イオンの入った製品はとても良い。スプレーよりシートで塗るのが良い - 40代女性 皮膚科医
資生堂のAgが入ったものはかなり有効な気がします。 - 30代女性 皮膚科医
Ag配合は評判がよいです。
他には
- 60代男性 皮膚科医
アクアチームローションですね。 - 60代男性 皮膚科医
ノブのデオドラントクリームが、比較的効果あり! - 40代男性 形成外科医
D-tubeやD barが(医薬部外品といのもあり)おすすめできます。 - 40代男性 形成外科医
ラヴィリンやリフレアが聞いた患者さんも多いです。
といった意見がありました。
自分にあったものを選ぶことが一番大切
ただし個人差もあるので、全ての方がこれらの製品と相性がいいわけではありません。
そこで制汗スプレー、デオドラントを選ぶポイントについても聞いてみました。
その内容をまとめると
- 刺激が少ないものを選び、かぶれないようにすること
- 無香性のものを使うこと
- 自分で効果を実感できること、使いやすいと感じること
- 銀イオンや塩化アルミニウムが配合されていると良い
このようになります。
代表的な医師のコメントを紹介します。
- 40代男性 皮膚科医
皮膚炎を防止するため、使用してみて刺激の多いものは避けるように(患者には)いいます。かぶれたらすぐ使用を中止してください。 - 40代女性 皮膚科医
匂いのきついもので覆い被せると思うのは良くありません。
なるべく香りのないものを使うように伝えます。 - 50代男性 皮膚科医
継続することが大切なので、使用感がよく、患者さん自信が使いやすい・使いたくなるようなものを選ぶことが重要と思います。 - 30代女性 皮膚科医
Ag入りのものは抗菌効果があるので効果ありかと思います。 - 40代女性 皮膚科医
制汗作用があるので塩化アルミニウムがなるべく高い濃度で配合されていると良いと思います。
ミョウバンには反対意見も
銀イオンと同様、ミョウバンが配合されていること、またその濃度が高いことを選ぶポイントとした医師も複数名いました。
しかし、逆に
- 50代男性 皮膚科医
市販品であればどれも同様に効果があると思われるが、ミョウバンは接触皮膚炎を生じることがあるため、やめた方がいいと思います。
とする医師もいらっしゃいました。
医師の中でも意見が分かれているので難しいですが、使ってみて刺激や皮膚のかぶれがあるようならすぐに使用を中止するようにしてください。
ワキガの治療って費用が高い?
制汗スプレーやデオドラントではどうしても臭いがおさまらない、という方は医療機関での治療を受ける必要が出てきます。
病院やその医師の方針にもよりますが、ワキガの治療には下記のような種類があります。
- 塩化アルミニウム液の処方
- 臭化プロバンテリン(プロバンサイン)の処方
- ボトックス注射
- 手術(電気凝固法、剪除法、皮下組織吸引法、etc)
実際に医師にアンケートをとってみたところ、
やはり、保険適用している割合が最も高い剪除法という手術であっても3割に満たず、自費での診療になるケースが多いようです。
ただし別途「ワキガの手術に保険を適用するか?」と質問した所、
4割強が保険を適用すると答え、先程の図3とは若干矛盾する結果になりました。
状態に応じて保険適用できる手術とできない手術を使い分ける
ワキガ手術に保険を適用する基準について質問してみたところ
- 60代男性 皮膚科医
基準は特に決めていません。 - 50代男性 皮膚科医
日常生活に支障があると判断できる場合は保険適用できると考えます。
患者のQOLに対する障害の程度によります。 - 40代男性 皮膚科医
患者が本当に困っている時
といった回答が多く寄せられました。
基本的には臭いの強度によって医師が判断している側面が多いようです。
「客観的な基準は無いと思います(50代女性 皮膚科医)」という声もありました。
ただしワキガ手術の中には保険点数表に記載のあるものもあり、それに関しては全ケースを保険適用とする医師もいます。
- 40代女性 皮膚科医
保険点数表に記載されている手術であれば、当然保険適用として申請する。 - 40代男性 形成外科医
保険適応の術式しか施行していません。従って全例保険です。 - 30代女性 形成外科医
皮弁法による手術のみを行っており、全ての患者さんで保険適応としています。
つまり、
- 保険適用できる手術のみで治療可能なのであればその手術を行う
- 患者の状態に応じて、保険適用できない手術が必要と医師が判断したら保険を使わずその手術を行う
- 但し、自由診療のみを行っている病院・クリニックもあるので事前に確認が必要
といったところでしょうか。
保険適用すれば両脇で4万弱、しなくとも15万円未満で治療可能
保険適用できるワキガ手術の場合、両方のワキを手術しても4万円弱で受けることが可能です。
では、保険のきかない手術の場合はどうでしょうか?
結果、全体の4割以上が15万円未満と回答しました。
2番目に多い「15万円以上20万円未満」とあわせて64%なので、20万円あればおおよそ手術を受けられると考えて良いでしょう。
ワキガでお悩みの方はまずは自分に合う制汗剤を探すことから
自分の臭いが気になる場合、まずは自分に合う制汗スプレーやデオドラントを探すところから始めましょう。
どうしても臭いが収まらない、という方は、思い切って親しい方に自分の臭いについて相談してみてはいかがでしょうか。
上述しましたが、ワキガで悩み方の中には、実際にはワキガじゃない方が多く含まれているようです。
つまり、考え過ぎ・気にし過ぎの状態ですね。
本当にワキガかもしれない、とお悩みであれば、迷わず医療機関を受診するようにしてください。