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ADHDの年齢層別の特徴と改善方法について精神科医200人にきいてみた

ADHDで癇癪を起こす子供
ADHDの症状にはいくつかのタイプがあり、患者がどういった特性を持っているかを見極めることが大切です。それを踏まえて、医師や周囲の方と協力して取り組めば、症状を改善することは十分に可能でしょう。
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突然ですが、ADHDって聞いたことはありますか?

ADHDとは注意欠陥・打同性障害のことを指します。
「ADHD」という呼称は英語のAttention Deficit Hyperactivity Disorderの頭文字をとったものです。

文部科学省ではADHDを下記のように定義しています。

 ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。

 また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

引用元:主な発達障害の定義について:文部科学省

子供だけでなく、大人になってからADHDであることが発覚する方が増え、近年注目されている病気です。
どんな症状が見られるかはADHDの症状についての記事でまとめておりますので、そちらをご確認ください。

今回は精神科・心療内科の医師207名から得たADHDの改善方法に関するアンケート調査の結果について共有したいと思います。

※ 本調査は2017年2月9日に、医師専用サイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて精神科・心療内科の医師に向け行われました。

改善するにはそれぞれの症状の特徴を知ることが大切

ADHDの症状には大きく分けて以下の3つのタイプがあります。

  • 多動性-衝動性優勢型
    落ち着きがなく、思ったことをすぐに行動に移してしまいます。ちょっとしたことでも乱暴になってしまったり、不適切な言動が増える傾向があります。
  • 不注意優勢型
    気が散りやすく、自分が好きなこと以外に関しては集中して取り組むのが苦手です。忘れ物が増えたり、持ち物を無くすことが多い傾向が有ります。
  • 混合型
    上記の2つの特徴を併せ持っているタイプです。早期発見はし易いですが、アスペルガー症候群との区別が付きづらく、ADHDとの診断を下すのが難しくなりやすいです。

タイプによって特徴が異なりますので、それぞれに合わせた対応をすることが改善のためには必要です。

大人と子供、それぞれにおけるタイプの違い

ADHDは大人から子供まで、多くの方がなる病気ですが、年齢や性別によって出やすい症状は異なるのでしょうか。
医師に質問してみました。

子供に多い症状は?

図1_子供に多いADHDのタイプは?

子供の場合は男女で多い症状のタイプが異なるとの結果になりました。

男女ともに、それぞれ男児は多動性-衝動性優勢型、女児は不注意優勢型が多いと回答した医師が全体の6割弱に登りました。

大人に多い症状は?

逆に、大人には男女の差はなく、共に不注意優勢型が多いという回答が6割以上に登りました。

図2_大人に多いADHDのタイプは?

乳児の場合はそもそも診断が出来ない

たまに「乳児の場合のADHDの特徴」のような情報もインターネット上では見かけますが、本当に乳児であってもADHDかどうか判断できるのでしょうか。

図3_乳児にADHDの診断をすることは可能か?

医師に質問したところ、98%の医師が「乳児は幼すぎてADHDの診断は出来ない」と回答しました。
ほとんどの医師が「乳児の頃は健常な場合とADHDとの場合で区別することは難しい」とコメントしています。

また、「診断できる」と回答した医師についても

  • 60代男性 精神科医
    難しいが、落ち着きの無さなどから、ある程度疑うことは可能かも知れない。

といった「診断は不可能じゃないかもしれないが、正確性は著しく落ちる」といった趣旨のコメントでした。

医師でも見分けられない違いを一般人が区別することはかなり難しいでしょう。
多少他の子供達と様子が違うように感じても、それは個人差によるもので、成長の過程で落ち着く可能性が高いです。

インターネット上にはADHDの乳児の特徴に関する情報も多々あるようですが、あまり真に受けず、不安にならないようにしてください。

ADHDの症状は幼稚園児〜小学生程度に最も出やすい

乳児では診断できないとのことですので、では何歳くらいであれば診断が可能なのでしょうか。

図4_ADHDの症状が出やすい年齢は?

ADHDの症状が出やすい年齢を医師に質問した所、「7〜9歳」という回答が最も多く、全体の45%を占めました。
つまり、小学校低学年程度でADHDの症状が顕著になってくるということですね。

「4〜6歳」「10〜12歳」という回答を合わせると全体の86%になります。
幼稚園〜小学生までに症状が出ることがほとんどと言えるのかもしれません。

ADHDの方によく見られる年齢別の特徴

次に、ADHDの方によく見られる特徴を年齢層別に医師に質問してみました。

「もしかして?」と思っている方はぜひ参考にしてください。

未就学児(1〜6歳)までによく見られる特徴

  • 40代女性 精神科医
    落ち着きがなく、視線があいません。また発語が少ない子も多く見受けられます。さらに(お友達と)一緒に遊べず、他者にケガをさせてしまったり、自傷行為を行うことも有ります。
  • 80代男性 精神科医
    興味の対象が移りやすいので、注意が次々に移っていきます。今やっていることをほったらかして次のことを始める、というのを繰り返す傾向にあります。
  • 50代男性 精神科医
    幼稚園や保育園の年長の年頃になると(先生や親の)指示になかなか従えない傾向が目立つようになります。

このようなコメントを多くいただきました。

特に全体を通して「多動、落ち着きがない」という回答が最も多かったです。

小学生(7〜12歳)までによく見られる特徴

未就学児の頃に比べて落ち着くものの、やはり多動が目立つというコメントが非常に多く見られました。

  • 50代男性 精神科医
    学校の授業中に集中できず、持ち物の忘れ物が多くなります。
  • 50代男性 精神科医
    教室で、授業中あてられていないのに話し始めたり、落ち着きがなかったりします。
  • 40代男性 精神科医
    教室や診察室でじっとしていられません。ケガや喧嘩が多く、しばしば学級崩壊の要因になります。
  • 40代女性 精神科医
    先生に怒られている意味が理解できない、友達が居やがっているのに理解できない、空気がよめないなどの特徴があります。

中高生(13〜18歳)までによく見られる特徴

中高生ほどになると、多動も見られるものの、それによる失敗を踏まえて自信喪失などにつながってくる子供が多いようです。
また、「成績不振が目立つ」とする医師が最も多く見られました。

  • 40代男性 精神科医
    忘れ物・ケアレスミスが多く、自己評価(自己肯定感)が低い傾向があります。
  • 40代男性 心療内科医
    周囲のずる賢い子供に利用されたり、いじめられたりしてしまうようになります。また、成績不振、話にまとまりがないといった特徴が見られます。
  • 30代男性 精神科医
    テストでは数学の小さな計算ミス、英語でピリオドを打たない・(人名等の頭文字を)大文字で書き忘れる、などの不注意症状が目立ちます。
  • 20代男性 精神科医
    人当たりが良く友達を早期につくれた場合も長続きしません。
  • 40代女性 精神科医
    好きな教科以外は勉強できません。ただし一芸に秀でるケースが有り、「ちょっと変わっているけど憎めないヤツ」的なキャラになることもあります。

大学生以降、就労後(19歳以上)によく見られる特徴

  • 40代女性 精神科医
    挨拶・返事ができないことが多いです。こだわりが強いため人のアドバイスを聞けません。また話を最後まで聞かず、最初の部分だけで判断します。
  • 40代男性 精神科医
    会社での仕事でミスが多いため、徐々に抑うつ的になる方が多いです。
  • 50代男性 精神科医
    同時に複数の仕事をこなせません。上司の話を聞いておらず、また、会議等で場にそぐわない発言をして周囲が固まることも多いです。さらに、約束を忘れるので取引先に迷惑をかけることも。

ほとんどのコメントに共通していたのが「仕事のミスが多い」というものです。
優先順位を付けられないので複数の仕事を同時進行させることが出来ず、結果的に期日に間に合わなくなってしまうとのこと。

  • 40代男性 精神科医
    就労できていれば(ADHDとしては)軽い方です。面接しても受からないからADHDという障害です。

というコメントも見られました。

ただし自分の好きなことを仕事にしている場合などは、稀に健常の方と比べても相違ないこともあるようです。

また、女性の場合は「天然」という言葉で片付けられているケースも多いとする医師もいました。

ADHDを治すには?

若ければ成長とともに改善することも

ADHDは加齢によって自然と症状が改善することもあります
医師に質問したところ、

図5_年齢とともにADHDは改善するか

上記の通り、7割の医師が年齢とともに症状が改善することがあると答えました

「改善することがある」とした医師に、何歳くらいまでであれば改善が期待できるか尋ねたところ、

図6_何歳くらいまでならADHDの症状は回復する?

図の通り、「10代まで」と回答した医師が最も多く、全体の33%でした。
一方で「30代まで」とする医師も全体の1割強存在し、人によっては30代までは年齢とともに徐々にADHDの症状が改善することが多いようです。

普段の生活に症状改善のためのトレーニングを取り入れよう

若い内であれば、加齢とともに自然と症状が改善することもあります。
ただし、それだけで必ずしも十分な社会生活を遅れる様になるとは限りませんので、症状改善のためのトレーニングをすることが重要です。

これは親や学校の先生など、周囲の方の協力が不可欠です。

具体的なトレーニング方について、医師に聞いてみましたが、「精神科に相談し、できれば服薬すること」という趣旨のコメントが最も多く見られました。
個人差があるので、医師とともに患者の特性を見極めつつ対応をしていくことが大切ということでした。

病院に行く以外でできることとしては下記のようなアドバイスをいただいております。

  • 50代男性 精神科医
    周囲の理解が必要不可欠です。社会的に問題のある行動をしたときに、都度フィードバックし、徐々に理解を促すことが大切。
  • 50代男性 心療内科医
    運動が効果的な場合があります。また、アラームを活用したり、メモ書きを使って視覚に訴えることも重要です。親や周囲の大人は、起こるのではなく、わかりやすくアドバイスしたり、褒めて自信を付けさせるようにしましょう。
  • 40代男性 心療内科医
    いっぺんにアレコレ言うのではなく、一つ一つ丁寧に指示を出すようにしましょう。手順を明確にし、工程を細かく分けてその都度説明してください。短時間・短文での説明を心掛けるとより効果的です。出来なくても叱らずに、成功したら褒めてあげましょう。
  • 60代男性 精神科医
    知的能力が高い方は失敗で気づき、自分で改めていけます。しかし、知的能力に余裕がない場合には、自尊心を傷つけないように細かい注意を与え、改善が見られたら都度ほめることが必要。
  • 30代女性 精神科医
    子供の場合は、注意がそれやすくなるようなものを勉強机の周囲に置かないこと。机を壁に向けると良いでしょう。また片づけやすいように物の定位置を決めて、図示してあげると有効です。
  • 50代女性 精神科医
    聴覚ではなく視覚で確認できるように紙に書いて教えると効果的です。忘れてはいけないものは靴の上に置いておきましょう。比喩的な表現はできるだけ避けてください。

また、ペアレントトレーニングという発達障害児を持つ両親向けのトレーニングを勧める声も複数の医師から届きました。
子供だけでなく親も一緒にADHDと付き合う必要がありますので、こういった親向けのプログラムを受けることも大切です。

ADHDはそれぞれの特徴を理解し、周囲と協力して改善に取り組むことが大事

ADHDの症状にはいくつかのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。

個人差の大きい病気でもありますので、それぞれの特性を理解し、医師や周囲の方と協力しながら焦らずゆっくりトレーニングを積むことが大切です。

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