突然ですが、みなさんは血液型占いを信じますか?
血液型と性格の関係や、血液型による相性診断など、さまざまな血液型占いがありますが、これらは医学的に信ぴょう性はあるのでしょうか。
人体のスペシャリストである医師はどう思っているのでしょうか。
今回は「血液型と性格との相関性」について医師に向けてアンケート調査の結果をご紹介したいと思います。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2016年1月20日から同年1月26日にかけて行われ、4065名から回答をいただきました。
医師の4割弱が「関係あると思う」
医師に
- 大いにある
- ある程度ある
- おそらくない
- まったくない
- 分からない
の中から、自身の考えに近いものを選んで頂いたところ、「大いにある」「ある程度ある」と回答した医師の合計が37%となり、4割弱の医師が血液型と性格には相関性があると考えていることが分かりました。
選択肢の中で、最も選ばれたのが「ある程度ある」という回答で、全体の34%の医師が選択しました。
ただし「おそらくない」「まったくない」の2回答の合計は53%となり、半数以上の医師が血液型と性格の関連については信じていないようです。
信じる根拠は経験則や最近の論文から
ここで、血液型と性格との相関を信じる医師から頂いたコメントを紹介します。
- 40代男性 心療内科医
ある大学の方が、血液型と性格について研究していましたね。日本人の場合、相関があるとのことでした。わたしはA型で、B型の女性と結婚しましたが、血液型占いの書籍にある通り、相性が悪かったらしく離婚してしまいました。結婚相手は血液型を見たほうが良いかも? - 50代女性 一般内科医
それぞれ「A型は農耕民族、B型は遊牧民族、O型は狩猟民族」というルーツがあるという説を聞き、結構納得できるような気がしました。 - 60代男性 精神科医
DNAにおいて、血液型と性格因子を規定する遺伝子の位置が近いらしいですね。また、性格とは異なりますが、血液型によって感染症に対する反応が違うということはすでに科学的に証明されています。ですので、「まったく関係ない」というのは今やナンセンスでしょう。
最も多かったのは「血液型が同じ人は似たような性格をしている」「実際、血液型占いは一部当たっていると感じることが多い」「相手の血液型を当てられる」という経験則をあげるコメントでした。
また、血液型に応じて特定の病気になりやすいといった例をあげ、性格と相関してもおかしくないとする意見が多数届きました。
信じない理由は科学的根拠の乏しさ
一方、血液型と性格との相関を信じない医師からは、「絶対ありえない!」といった、ある種の気迫のような勢いのあるコメントが多く届きました。
- 30代男性 健診・予防医学
性格を4種に分類しようというのがまず無茶です。仮に分類できたとして、4つしか無いのであれば、「なんとなく当たってるかも」と感じるのは当然のことです。 - 50代男性 一般内科医
(血液型を決める)タンパク質の違いだけで性格に影響を及ぼすとは到底思えません。 - 50代男性 一般内科医
理論的にありえません。むしろ信じている医師がいることが理解できません。誰でも几帳面な点、楽天的な点、おおらかな点、個性的な点はいくらでもあります。結果、血液型に合わせて後付けしているに過ぎないのではないでしょうか。
どの医師も「後天的に作用する可能性がある」
「相関性がある」
「相関性はない」
どちらの医師にも共通していたのが、
「血液型占いの内容が後天的に刷り込まれる可能性がある」
という意見でした。
- 40代男性 精神科医
遺伝子的に多少関係があったとしてもおかしくありません。何より特に日本において、「■型は〜〜な人が多い」と言われ続ければ、後天的に刷り込まれる可能性があります。結果的に、わずかながらでも何らかの相関が生じる可能性は否定できません。
このコメントの通り、テレビや雑誌、親などを通して聞いた血液型占いの結果家から「自分は○型だから△△な性格なんだ」と思いこむことにより、徐々にそういった性格になっていく、と言うものです。
医師に血液型の偏りは無かった
医師から届いたコメントの中には「○○科の医師は■型の人が多い気がする」といったものも多数ありました。
「ホントかよ」
と思い、2013年に取ったアンケートを調べてみましたのでご紹介します。
※ 以下の調査は2013年2月4日から同年2月10日にかけ、MedPeerの全会員に向けて行われ、3232名から回答を得ました。
「あなたの血液型は?」と質問し、得られた結果がこちらです。
日本赤十字社によると、日本人の血液型の割合は
- O型:30%
- A型:40%
- B型:20%
- AB型:10%
らしいので、つまり医師全体で見ると血液型の偏りはまったくないということになります。
(正確にいえば、「日本人における血液型分布と一緒」)
もしかしたら「内科と外科による偏り」や「診療科による偏り」があるかもしれないと思い、調べてみましたが
とくに偏りは見られませんでした。
図3はアンケートに参加してくれた医師全員の第一標榜科目を内科系・外科系に分け、それぞれの血液型の分布をまとめた図です。
図4はアンケートに参加してくれた医師の第一標榜科目のうち、最も人数が多かった上位5つの診療科に関して、それぞれ血液型分布をまとめた図です。
おおよそ血液型の分布に偏りが無いことがわかります。
医師といえばかなりの専門職で、診療科ごとにかなり特性が異なります。
従って、もし血液型による性格の違いがあるのであれば、何かしらの偏りが生じてもおかしくはないと思うのですが、今回の調査ではそういった特徴は見られませんでした。
血液型と性格はもしかしたら関係するかも? でもほとんど誤差
今回のアンケートによってわかったことをまとめると
- もしかしたら血液型と性格は相関性があるかもしれない
- でも科学的に証明されたわけではない
- 血液型占いの内容などが後天的に性格の形成に影響する可能性はある
- ただし仮に血液型と性格に相関があったとしても、誤差の範囲かも
といった形になります。
血液型ごとの性格の違いは、宴会などでも盛り上がる事のできる貴重な話題です。
少なくとも今の時点では、あまり真に受けずに楽しむ程度にするとよいかと思います。